不良共が艦これの世界で艦息(かんむす)になりました   作:鯣伊賀耕作

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さぁーて続きあげま・・・
「おいてめぇ、しばらく何処に行ってた?」(127mmチラチラ)
「まさか忘れてたんとちゃうわなぁ?」(76mmチラチラ)
え、えぇ、ま、まさかそんなことは・・・
「じゃあこの空白の期間は?」(アスロックランチャートマホークイリクパァ)
い、いやぁー・・・色々あったの・・・
「「「「「氏ねぇ!」」」」」
ドォオオオオオオン!


第6話 戦力評価

ー05:00 呉鎮守府沖 -

東の空が徐々に明るくなり始め、朝の訪れを告げていた。

そして、朝日に照らされた洋上には5人の艦息(かんむす)達がいた。

中心に一人おり、それを囲むように3人、後ろを一人が付いて行くように陣形を取っていた。

先陣を切って航行するこんごうが地図を広げながら呟いた。

「フムン・・・どうやら俺たちの居た世界とは地名は一緒でもその位置や形はまるで違うな」

「そうだねぇ、なんか複雑」

地図に書かれている日本は確かに彼らが知っている日本の形はしているが、周辺の島々、近隣の国名、形状が違っていたり、国内も国内で地名地形が多少異なっていた。

「まぁ覚え直せばええやん!」

少しややこしそうないそゆきとこんごうをよそに開き直ったようにいかづちが言った。

それに便乗するかのようにかがが言った。

「そうだな、それよりも早速作戦に参加させられるとはな」

 

そう、彼らは昨日配属されて早々任務を与えられていた。

鎮守府周辺海域を警戒せよと。

 

「絶対俺たちのスペック探りだろ」

「間違いない」

「なら少し遊んでやるか?」

「いいね!やっちゃおう!」

「ご丁寧に調査するためか偵察機が後ろを飛んでるからな!やってやんよ!」

 

そう、当の偵察機は遥か彼方にいるため、気づかれていないと思っているが、彼らとは少なくとも50年の技術格差がある。そして彼らのその50年も恐ろしく早いバージョンアップが行われ、最先端技術を盛りに盛りまくった彼らである。おまけに神様補正で旧式艦も最新データリンクが使用可能になっているため、アホほどスペックアップしていた。

 

なので遠くにいる偵察機を確認するなど朝飯前なのである。

そんなこととはいざ知らず、偵察機の妖精は満面の笑みを浮かべていた。

 

「へっへっへ、まさか自分達が監視されているなんて、夢にも想うまい」

「どれ、お手並み拝見と行こうか」

 

 

 

「・・・とでも思ってるんじゃないのかな?」

そして当の彼らは、まさか自分達が思っている会話が本当に空の上で繰り広げられているとはいざ知らず、のんきに会話していた。

「絶対そんな会話してるやろな!丸見えやっちゅーに!」

「さて、敵艦隊もどんどん近づいてきてるし、俺は潜航するぞ」

「そうだな、さて俺もシーホークを3機ほど出して偵察するか」

「頼んだ」

そうりゅうは潜行し、かがはシーホークを甲板に並べて発艦させ、偵察に向かわせた。

「さて、こいつらとどう遊んでやるか」

こんごうは迫り来る艦隊をレーダー上に映る大型の1隻を中心に覆うようにして配置された大小7隻を睨みながら呟いた。

 

 

ー06:00ーーー

「そろそろ目視圏内だよー!」

いそゆきの報告にこんごうはにやりと笑った。

「了解。さて、お前たち、ダンスは好きかい?」

「おーおー、急にどうしたんや?楽しそうやんか!わしはダンス好きやでー」

「僕も好きだよー!」

いそゆきといかづちが答えた。

「俺は・・・まぁまぁかな?」

かがだけはどこか微妙な表情を浮かべた。

「そうか。まぁ無理はしないでくれ。俺たちは今、敵にものすごーく近づきすぎた。さぁ、やつらの砲弾が当たったらどうなる?」

「そりゃわしら紙装甲やからイチ殺やろうなぁ」

「そうだ。だがしかし、やらなければやられてしまう。

かといってアスロックなんか撃ったところで手の内を見せることになるし勿体ない。

となると・・・我々がとらなきゃいけない行動はただひとつ・・・」

 

するといそゆきは何かを察した顔をした。

「ま・・・まさか!」

こんごうはさらに口角を上げて鋭い八重歯を見せた。

「そう・・・我々がやることは・・・」

 

そうしていると、空中に空気を引き裂くような甲高い音が響いた。

「全員避けロォ!!」

「「ひぃ!」」

「・・・(唖然)」

寸手で全員が回避に成功し・・・

 

 

 

 

 

 

 

ドォォォォオオオオオオオン!!

 

 

 

 

 

戦艦級の砲弾が背後で爆発し、水柱が上がる。

「つまり我々がやるべき行動は!」

「アホやろお前・・・」

「えぇ・・・」

そして大量の砲弾が降り注ぐ。

 

「避けながら相手をこうげきするんだぁぁぁぁぁああ!!」

「アホやろあんた!」

「命がけぇ!?」

「・・・あぁ無理だぁ」

全員がもといた場所に水柱がたち、間一髪で避ける。

「各自!優秀なレーダーと射撃管制システムを信じ、主砲だけで相手を撃破すべし!なお!かがは敵艦隊の外周を回りながら回避し、航空機による火力支援を頼む!さて!レッツパーティー!」

「「了解!」」

「俺一応母艦だよね!?」

 

 

 

 

そういって波乱万丈な戦闘が始まった・・・

 

 

 

ー深海棲艦ーー

「テキガチカヅイテクル」

「タカダカ4セキダ、ソレニクウボガタンドクコウドウダ」

「テキハナニヲカンガエテイル?」

彼らのとった行動に、深海棲艦は困惑していた。

しかし、それもつかの間。

「オマエタチ、ヤレ」

その一言で、次々と砲弾をうち始めた。

 

 

ー深度50m程ー

「うっわぁあいつら何やってんだ。よかったぁ潜水艦で。にしても、潜水艦さっき倒したやつだけだったんか?雑魚かったなぁ」

そう、そうりゅうは潜行しはじめてすぐに敵の潜水艦を発見し仕留めていた。

静かなそうりゅうは敵に急接近して挑発したにも関わらず気づかれなかったため、ほぼゼロ距離で敵の潜水艦を撃破。

よって敵艦隊の真下は文字どおり、がら空きとなってしまったのである。

「さぁてと、暴れますか!」

そういってそうりゅうは、敵艦隊の中央にいる戦艦に狙いを定めた。

 

 

ー海上 かがーーー

「うわぁきたぁ!っひょいっと!あれ、案外よけれる!」

かがは、その巨体をブンブン振り回しながら回避行動をとっていた。そして相手の命中精度の悪さに驚いていた。

「まって?これ俺が上手いの?相手が下手なの?分からないなぁ、まぁいっか。スーパーコブラに・・・対戦車ミサイルでいいか。あいつら海の戦車だし。発艦!」

こうして、スーパーコブラを発艦させ、戦艦めがけて飛んでいった。

「・・・実質シーコブラのような扱いだなぁ」

そっとかがは回避行動を取りながら呟いた。

 

 

ーーこんごう、いかづち、いそゆきーーー

「さてと、お前たち!恐らくかがとそうりゅうが真ん中の戦艦を仕留めてくれる!俺たちは回りを潰すぞ!」

「「了解!」」

「撃ちまくれぇ!」

そしてこんごうたちの単装砲に炸薬弾頭が装填され、打ち出された。

打ち出された砲弾は駆逐艦目掛けて飛んでいった。

弾丸は綺麗な放物線を描きながら駆逐艦の口に飛び込み、爆発した。

さらになにやら弾薬庫のようなものに引火したらしく再び爆発し、駆逐艦三隻は沈んでいった。

「命中!やったね!」

「アホぅ!気ぃ抜いたら死ぬで!ほら踊るでぇ!」

いそゆきといかづちはくるくると回りながら弾を避けながら喜んでいた。

そして無駄口を叩きながら再び単装砲が火を吹く。

今度は雷巡と思われる艦に命中した。

しかし、命中したものの弾けてしまった。

「あれま!」

「なんやあいつ硬いやんけ」

「当たり処悪かったら弾かれるな。流石2次大戦」

三人は再びくるくると回り避けながら口々に感想を漏らした。

 

『なら支援させてもらいますぜ兄貴たち!』

 

突然無線のようなものが耳に入ってきたと同時に空からパタパタと音がした。

見上げるとそこにはスーパーコブラがいた。

「かがからの支援か。有難い」

「戦艦には戦車ミサイルってか?」

「頼んだよー」

『任せてくだせぇ!』

スーパーコブラは華麗に機銃掃射を避けつつ対空兵器を潰しながら雷巡に接近した。

 

『TOWミサイル、撃てぇ!』

 

スーパーコブラから発射されたミサイルが雷巡の腹部に命中した。

そして爆発した。

「っしゃあ!命中!」

「ありがとう!さぁてどんどん潰していこうねぇ」

そして同時に隣で二隻の軽巡が魚雷で沈んだ。

「・・・流石潜水艦だな」

「突然やからビックリするわ!」

 

戦闘開始から30分、深海凄艦の艦隊は残すところ戦艦一隻になった。

「あれ何級や?」

「さんざん気にせず暴れといて今さら敵の種類気にするの?」

「確かル級とかいうやつだな」

「へぇー。ほな行こか」

「作戦通りに、ね」

3人は残った戦艦ル級からの砲撃を雑談しながらかわし、どんどんと接近していった。

 

ーーー戦艦ル級ーーー

私は動揺していた。

今までそれなりの戦価を上げていた編成で、敵を攻めようとしていたところ、突如現れた4隻にあっという間に殲滅されてしまったのだ。

「ナ、何ナンダアイツラ。タッタ数隻ニ我が艦隊ガ敗北スルナド・・・」

そうしている内に、彼らは目の前まで迫っていた。

そして明らかに私達よりも小さな砲身をこちらに向けていた。

「ック。ソノ程度ノ豆鉄砲デ私ヲ倒セルト思ワレテイルノカ。ナメラレタモノダナ」

そしてル級は彼らに向かって火を吹いた。

しかし、至近距離にもかかわらず、華麗にかわされてしまった。

「ナンダト!?」

そして彼らが口を開く。

「そんな重武装じゃぁ、踊ることすらも難しそうだな。最も、踊る時間があればの話だったがな」

そういって彼らは、回避したことにより照準がずれた筈の砲を撃ってきた。

四方八方から小さな弾丸が降ってくる。

私にとっては痛くも痒くもない筈の弾丸だった。

 

しかしその弾丸は私に当たったどころか、見事なまでに私の弱いところを突いてきた。

そして当たって爆発し、さらに内部からも爆発した。

機関部が抉られる感触と、中から破裂するような感触。

当たったのは3発の筈なのに。

「ッガ!」

口から血が出る。

そして奇妙な音を聴いた。

まるで羽音のような軽快な音を。

見ればそこには緑色に塗装され、大きなプロペラのような物を頭で回転させている奇妙なものがいた。

「・・・小賢シイ真似ヲ」

私は奴等がどうやって私にここまでの傷を負わせたのか分かった。

そしてそのうるさいハエを叩き潰そうとしたとき、下から音が聞こえた。

何かが軽く弾けるような規則正しい音を。

状況を理解できぬまま、私は意識を飛ばした。

 

ーーーこんごう達ーーー

俺は、静かに黙祷をした。

相手は敵だ。

それでも、なにかを目的に戦っていた。

生きていた。

その事に敬意を称え黙祷した。

まぁ、少し罪悪感を誤魔化すためでもあるのかもしれないが。

 

俺が黙祷を捧げ終えると後ろで大きな水切り音がした。

見ればそうりゅうが浮上してきていた。

「敵艦に黙祷かい?」

「敵とはいえども、彼らは生きていた。生きるために戦っていた。そのことに敬意を称えていただけさ」

「単なるエゴだとは言われそうだけど、自分もそう思うから、拝んでおくか」

そういってそうりゅうは俺の横で手を合わせた。

「さて、戦闘報告しとくか」

「それならしておいたよ~」

「ありがとう」

「鎮守府から、残党おるかもしれんから回りに気ぃ付けて帰ってこいやってさ」

「了解。俺らの戦闘はどうだったか?って打っといてくれ」

「りょーかい」

そんな会話をしていると、今日のMVPが合流してきた。

ぜぇぜぇと息を切らしてはいるが、まだまだ行けそうな表情をしていた。

「まだ行けそうだな」

「・・・もう嫌だ。あんた全通甲板紙装甲の艦に恨みでもあるんか?」

半狂乱っぽくかがは言ってきた。

「あーこいつまだいけるやろ?」

「うせやろ?あんたら殺す気かぇ?」

そうは言っているが、かがは生前(今もか)無茶な要求を色々押し付けてきたが、口では言うものの何食わぬ顔して片付けてしまうのだ。

それも嬉しそうに。

そこへそうりゅうが追い討ちをかけるが如く、かがに言った

「じゃあ、まだ踊れって言われたら?」

「はぁ?やっぱりあんたら殺す気やろ?・・・はいはい分かりましたよぉ!いくらでも踊ったるけん任しときぃ!」

かがはそういって鎮守府の方へ進み始めた。

躍りながら。

「サァサァみなさん元気ですかぁ?まさかもうへばってあはるんっすかぁ?全通甲板に負けてどないするんすかぁ?さぁさぁ行っきますっすよぉー」

かがは疲れたアピールで捲し立てながら、しかし体は砲弾回避戦並みに素早く動きながら踊っている。

「何やてぇ?わいらも負けてへんでぇ」

いかづち達も躍りながら帰路についた。

全く、こいつらは変わらねぇな。

これだから、楽しくって仕方がない。

 

俺たちは、鎮守府に向けて帰るのであった・・・

しかも、かががふざけて撃ったSeaLAMが後をつけてた偵察機を落とすと言う土産話つきで・・・




はい、更新遅れて大変申し訳ございません。
気づけば卒業して新たな進路へって訳でございますわ。
みなさんすみません。
気まぐれですが、更新しますので、どうかお付き合いくださいまし・・・

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