ハイスクールD×X   作:寧々火丸

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始まりの話


第零話

登場人物達の最初の話に成ります。

時間軸はバラバラです。

 

 

 

あの時俺を救ってくれたのは、天使でも、堕天使でも悪魔でもなかった。

 

「おや?君!大丈夫かい?こんなに怪我をして・・・」

 

 

俺を助けてくれたのは、一人の人間。

そして・・・

 

「もし良かったらですけど、家の子に成りません?丁度貴方と同じ歳の子もいるので、兄弟になって欲しいです」

 

 

自分の息子として、俺を引き取ってくれた。

 

「そうですか・・・そんな事情が。なら強く成らなくてはいけませんね。ん?あぁ、違います。力ではありません。ココです」

 

俺の心臓に手を当て優しく笑っていた。

 

「優しく強い人に成りなさい。君の力は、決して何かを壊す為だけではないのですから」

 

「怖いと思う気持ちを否定してはいけません。その気持ちは、君を強くしてくれる大切な気持ちです」

 

「人と人の繋がりを大切になさい。それはきっと君の力になる。」

 

「男の子は簡単に泣いてはいけません。涙は女の子の武器です。男の子は紳士たれです」

 

楽しそうに色々な事を俺に示してくれた。力の在り方を教えてくれた俺の父。

 

 

 

 

走った。身体が心が悲鳴を上げた。

大切な妹を置いて囮になった。追っ手を撒いて迎えに行くつもりだった。

 

でも・・・

 

「あぅっ!」

 

足に魔弾がかすった。

 

「よっしゃ!当たった当たった」

「これまでだな、いい加減遊ぶのにも飽きた。颯々と殺るぞ」

 

 

遊びだったのだ。アタシが逃げ惑うのを嘲笑っていたのだ。

 

悔しい・・・

 

「あれ、泣いてんの?あ、もしかして妹?」

「お前の妹なら心配はいらねーよ。俺達が有効に活用してやる」

 

悪魔が嘲笑う。安心して死ねと・・・

でも一人の悪魔がそれを止める。

 

「なぁ、此処までの駄賃欲しくね?」

 

アタシの身体を厭らしく見る悪魔に怖気が走る。

 

「確かにな、良く良く見れば中々に良いモン持っているし、お前だって痛いのより気持ちヨく死にたいだろ?」

 

「だからさ、オラッ!」

 

悪魔達がアタシを組敷く。悔しい・・・

でも、泣きたくなかった。哭きたくなかった。啼きたくなかった。だから、睨んだ。それが気に入らなかったらしくて、殴られた。けれども、歯を食い縛った。

 

 

「・・・誰か」

 

「誰も助けねぇよ、お前なんて」

 

この世界に神様なんていない。いたらこんなに苦しくて、悔しくて、悲しい事になんてなってなかった。

 

「誰か・・・助けて・・・」

 

次の瞬間何が起こったのか分からなかった。悪魔がアタシの上から吹き飛んだから。

 

其処にいたのは、神様だった。

金の瞳が爛々と、アタシを見ていた。

 

月明かりに照らされて、豊かな金の毛並みが暗い夜を明るく波打っていた。なんて、なんてキレイな

 

 

「神様・・・」

 

アタシの目から涙が零れた。

 

 

 

 

「待ってくれ、フランシス!」

 

薄色の髪を後ろに撫で付け、眼鏡を掛けた男を呼び止める男がいた。

 

その男はピジョンブラッドを砕いて絹糸に溶かし込んだ髪を持ち、同じくらい極上のピジョンブラッドを目にした美丈夫だった。

 

「お前か・・・何の用だ」

 

フランシスと呼ばれた男は此方には無いと言わんばかりに、美丈夫に背を向けた。

 

「何故、冥界から出て行くんだ・・・此れから、此れから冥界を立て直すのに・・・何故「本気で解らないのか?」フランシス?」

 

フランシスは呆れたと言わんばかりに見る。

 

「確かに此度の大戦の際、多くの悪魔が死んだ。しかも悪魔の出生率はとても低い。だからこその“悪魔の駒”なんだろう?」

 

「そうだ。他種族を悪魔に転生させ、悪魔を増やす為にだ」

 

矢張りその事か、と男は思った。フランシスは悪魔で在る事を誇りにしていた。が、他種族に関して排他的ではなかったはず・・・何が気に入らないと言うのだろう。

 

 

「“転生悪魔を守る法”すら確定していない状況で“悪魔の駒”を作成?馬鹿なのか?」

 

「フランシス、何を言っているんだ?転生悪魔は我々にとって大切な存在だ「出生率を現段階より大幅に引き上げる存在で在る。か?そんなもん気に掛ける真面な気概のヤツはいか程いるんだろうな?」そんな事はない!」

 

 

男はフランシスの言葉を否定する。だが、男は知っている。フランシス・ダンダリオンがどの様な男で悪魔で在るかを知っていた。

 

 

「サーゼクスよ、いや、魔王ルシファーよ、今に見てろ。私が言う事は必ず的中する。お前は法を作らなかった事を必ず後悔する」

 

「私にも眷属はいる。私を信頼し共感し共に在ると誓ってくれたな。だからこそだ。私には、彼らとその家族を守らねばならない。義務であり、責務でもある」

 

フランシスの言葉にサーゼクスは、まるで自分はその責任すら出来ていないと言われた気になる。

 

「君の言い分では、此のままでは冥界と共にいたら巻添えを食う。と言っているみたいだね」

 

「実際その通りだろ?今のまま何もしないでいたら、まず冥界に未来は無い。私はそんな泥船に乗る気は無いな」

 

「何処へ行くんだい?」

 

 

すがる様にフランシスを見るサーゼクスにもう用は無いと言わんばかりに立ち去ろうとする。

 

「日本」

 

 

それだけ言うと今度こそ立ち去って行った。

 

後にサーゼクスはフランシス・ダンダリオンの言葉通りに後悔する。

文字通り頭を抱える羽目になった。

 

 

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