ハイスクールI×B   作:兵太郎

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かまちー先生がまた連続刊行してる……今度は何ヶ月続くかな?
あんな速筆になりたいものです。


調理

一日目の練習を終えて外から帰ってきた上条。手を洗ってリビングへ向かうと、外に小さい炎が見えた。どうやら料理をしているらしい。上条は脱いだ靴を履き直して、外へ出る。

 

屋外キャンプ用の調理場では、御坂とアーシアがペットボトルを片手に話し合っていた。

 

「何やってんだ?」

上条が話しかけると、御坂の背筋がピンと伸びる。アーシアはそれを気にせず、こちらに笑いかけてきた。

 

「とーまさん、どうやらミコトちゃんはとーまさんのむぐぐぐぐ」

「ちょ、ちょっと!なんでもないから!別にあいつも関係ないし!!」

「……何やってんだ?」

 

アーシアの口を押さえにかかる御坂に再び質問する。

 

「何って、料理よ料理!見たらわかるでしょ?」

 

御坂はこちらを向き、服装を見せつけてきた。確かにアーシアは白いエプロンを身につけていて、料理をするというのが伝わってきた。そして御坂は……緑と紫で塗られた奇妙なエプロンを装備している。よくよく見ると緑の部分はカエルの顔の形になっていて、胸のあたりに目が、太もものあたりにヒゲが描かれてあった。

 

「……呪われて外せないエプロンとか?」

「この可愛さをわからないなんて、あんたもまだまだね」

 

肩をすくめる御坂から目を離し周りを見ると、二人の後ろのテーブルにはにんじん、玉ねぎ、じゃがいもとルーがあった。どうやらキャンプ飯の王道、カレーライスを作るようだ。上条の心が躍る。

 

「こういう風に屋外で作って食べるカレーって、美味しいよな」

「そうね、自然もスパイスになるっていう感じかしら?」

「?この森の中にも香辛料がある、ということでしょうか?」

 

アーシアの言葉に御坂が笑った。アーシアはわからなかったらしく、小首を傾げる。

 

「外で皆と食べるカレーは美味しいって事よ。アーシアさんは経験ないの?」

「私はずっと教会にいましたから、そういったイベントはありませんでした……だから、今回は楽しみです!」

アーシアは目を光らせた。それを見て御坂も腕を捲る。

 

「よーし!じゃあ期待を裏切らないように、ミシュランも驚きの五つ星(レベル5)カレーを作ってやろうじゃないの!アーシアさん、頑張るわよ!」

御坂が力強く言い、アーシアも大きく頷いた。それを眺めていた上条も、手を挙げる。

 

「それなら俺も手伝わせてくれ!少しなら料理できるからさ!」

「え?別にいいけど、あんたエプロン持ってんの?」

 

言われて気づいた。上条家には男用のエプロンはない。アーシアが付けているのは母親が前に使っていたエプロンの一つだ。母、椎菜は料理の際は必ずエプロンを着けていたが上条はエプロンを着けずに料理していた。

 

「じゃ、じゃあこれ貸してあげるわよ!エプロンなしは良くないし!はい!」

そういって御坂が取り出したのは、緑とピンクのカエルが手を繋いだ手が胸元に描かれたエプロン。緑のカエルの方は御坂が付けているのと同じカエルのようだ。ヒゲはついていないが。

 

「そちらのエプロンも可愛らしいですね。日本のキャラクターは可愛い子が多いです」

笑顔で言うアーシアに御坂が食いつく。

 

「可愛いわよね!私の後輩は子供っぽいなんて言うけど、アーシアさんならわかってくれると思ってたわ!このゲコ太は日本を代表するマスコットなのよ!!ゲコ太は……」

 

力説する御坂。アーシアはそれをニコニコ笑って聞き入れる。上条はそんな平和な光景を傍目に見ながらエプロンを装着した--

 

〜〜〜〜〜〜〜

 

美味しいカレーが出来上がった。上条達は食事に舌鼓を打つ。

 

「いやー、肉がないと思ったら猪を狩ってくるなんて、上条さんには想像もつきませんでしたよ」

 

言いながら猪肉を頬張る上条。肉は噛みごたえがあり、ジューシーだ。テーブルには他にも焼き魚が並んでいた。木場が先ほど川で取ってきたらしい。なんでもできる先輩だと上条は思った。

 

「トウマ、特訓はどうだったかしら?何か掴めるものがあった?」

 

リアスが問いかけてくる。上条は少し考え、答えた。

 

「祐斗先輩の動きは早いですけど、どうにか避けられるようになったと思います」

 

リアスは祐斗に視線を投げかける。彼も笑って頷いた。

 

「当麻君は飲み込みが早くて助かります。避け方はまだ無駄が多いですが、頭よりも先に身体が動いてくれるようで、時には予想外の動きで避けたりされましたね」

「そう。じゃあその経験を活かして、明日は小猫と対人をさせましょう。大丈夫かしら、小猫?」

「……問題ありません。再起不能にしないよう、頑張ります」

 

小猫の大きな目が上条を見つめた。それに気づいた上条が視線を合わせると、小猫は視線を逸らしてリアスの方に移動する。

 

「祐斗は明日は美琴と組んでちょうだい。朱乃は私と作戦について話しましょう。じゃあ明日は朝の六時から修行開始よ。今日の所は解散、自由時間に移行よ!お風呂の場所は祐斗と美琴がそれぞれ案内してあげてね」

 

風呂、その言葉に上条センサーが反応した。急に真面目な顔になった上条に、木場が釘を刺す。

 

「覗きはしたらダメだよ、トウマ君」

「覗きなんてとんでもない!ワタクシ上条当麻は湯上がり女の子を愛でるジェントルマンであって犯罪行為はいたしません!」

「……サイテーです」

 

 




次回、組手。

今回も読んでいただき、ありがとうございますm(_ _)m
これからもよろしくお願いします!

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