ハイスクールI×B   作:兵太郎

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新刊の試し読みを読んだだけで、新約22巻が大変そうなことがわかる……
早急に手に入れねば!


閑話--用務員

 

「いいですか上条ちゃん!この夏休みの宿題は一学期の復習なので、きちんとやらないといけないのですよ。夏休みが始まって一週間経って宿題を忘れたことに気づいたということは一週間宿題に全く手をつけていないということなのです!こういうものは最終日にまとめてやるのではなく毎日少しずつコツコツとですね……」

 

フェニックス家との戦いをどうにか制し、上条当麻は再び日常に戻った。そして気がついたのは、夏休みの宿題を全て学校に置いてきているという事だった。職員室に行って鍵を借りる時に小萌先生に見つかり、そして今に至る。上条としては生死の危機でそれどころではなかったが、何もなくても恐らく一週間は遊び呆けていただろうと思ったため、素直に先生の話を聞いておく。

 

長いように思えたお説教はその実五分ほどで終了し、上条は無事に鍵を借りることができた。小走りで教室に向かう上条を、小萌は見送る。

 

「夏休みまで生徒が来てくれるなんて羨ましいじゃん、小萌先生」

 

後ろから声を掛けられる小萌。振り返ると同僚の教師が、用務員室のドアに寄りかかってこちらを見て笑っている。

黄泉川愛穂(よみかわ あいほ)。この高校で体育教師を務め、また上条の隣のクラスの担任にも付いている。

 

「黄泉川先生こそ、卒業しても生徒に頼られるなんて先生冥利に尽きるのです!」

 

冗談に真面目に返された黄泉川は、誤魔化すように笑って応える。

 

「それはこのバカ共が浪人してでも教師になるーって泣きついてきたからじゃんよ。男三人と狭い部屋に篭って、むさ苦しいのなんの。プールにでも入りたいじゃんよ」

「事務所から許可をもらったら使えるんじゃないです?指導書の中に書いてあったと思うのです」

 

その言葉に黄泉川は目を光らせ、用務員室のドアを開き、叫ぶ!

 

「お前ら、プールに入りたいかーっ!」

 

少し遅れて、野太い歓声が小萌の耳にも入ってきた。用務員室から、ツナギを着た三人の男がノソノソと現れる。

 

「この部屋チョー暑いし、一刻も早く飛び込みたい!というかクーラーのついたこっちの部屋で勉強してーんだけど!」

居酒屋の店員のように頭にバンダナを巻いた、青白い顔の少年。名を服部半蔵(はっとり はんぞう)。有名な伊賀忍者と全くの同姓同名だが、本人は親がカッコつけてつけた名前だと言っている。一年浪人。

 

彼が真っ先に叫ぶと、後ろからくすんだ金髪の少年も続く。

「俺水着とか持ってきて無いんだけど!着衣水泳ってのを授業の一環でやるって聞いたけどそれやっていいですか!」

着衣水泳に挑もうとする少年の名は浜面仕上(はまづら しあげ)。手先が器用で用務員の仕事に最も向いているが、よく女子のスカートの生足を鼻の下を伸ばして見ているため、用務員としての人気はダントツで低い(他の二人はバレないように見ている)。一年浪人。

 

ジェスチャーでクロールをする浜面に対し、最後に部屋から出てきた男がニヤニヤ笑いながら言う。

「……こういう暑い日に、気分屋の黄泉川だ。こんな状況になるのは予想済み……俺はちゃんと水着を持ってきてる……」

 

巨漢に厳つい顔をした男、名を駒場利徳(こまば りとく)。高校の体育教師を目指す他二人に対し、一人だけ小学校教師を目指しているため、ロリコン疑惑が浮上している。他二人より一歳年上で二浪中。

 

「ちなみに俺も持ってきている。ボクサーパンツ一丁で飛び込むのはお前だけだぞ浜面!」

「ちょ、そういう流れなら言ってくれよ!俺水着とか持ってないし!高校の水着はダサかったから捨てたしー!」

 

その言葉を聞いた黄泉川は浜面に言い放つ。

「ダサい、か。せっかく学校の水着をレンタルしてやろうかと思ったが、ダサいのなら仕方ない。お前はカッコいいパンツでプールに入るじゃん」

 

「待てーっ!待ってください!今一度俺にチャンスを!ダサいってのは取り消すから、俺にも水着を!ギブミーミズーギ!」

 

土下座して頼む浜面。それを見て笑う半蔵・駒場と黄泉川。それを見て小萌も微笑むのだった。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「だー、疲れたー!」

プールで遊んだ後、その分を取り返すように熱血指導をされた浜面は心身ともに疲労困憊のまま寝床であるマンションに帰りつく。物置に荷物を投げ混むと服を全部取っ払い、冷たい水のシャワーを全身に浴びた。風呂場から出ると部屋着を着て、敷きっぱなしの布団に横になる。黄泉川から読め、と貸してもらった小説を二ページ読んで、閉じた。もうすぐプロローグは読み終わりそうだ。

 

大量の漫画とエロ本の中に申し訳なさそうに参考書が置いてある本棚に小説を直すと、そのタイミングでドアがノックされる。ドアを開けると、甚平を着た前髪だけをブロンドにした黒髪の男が立っていた。彼は浜面のお隣さんである。外国人で、日本の文化を嗜む為にこちらに住んでいるらしい。

 

「よう兄ちゃん、話題のゲームを買ってみたんだけど途中で詰まっちゃってよ、教えてくれねぇか」

 

彼は趣味によく浜面を誘う。食事なんかも一緒に奢ってくれることが多いため暇な時は浜面もよく付き合っているのだが、今日はとにかく疲れたし、眠い。

 

「あー、今日は無理だ。ヘロヘロでさ。明日は一日休みだから、いくらでも付き合ってやるよ」

「お、そうか。悪りぃな」

 

彼は胸の裾から手を振ると、こちらに背を向け隣の部屋にゆっくり歩いてく。浜面はその背中に向かって一言、告げる。

 

「明日の昼にでもそっちに行くから、軽いメシでも用意してくれよ、アザゼルのおっさん!」

 

 





次回、発見。

今回も読んでいただき、ありがとうございますm(_ _)m
これからもよろしくお願いします!
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