彼なら奇人変人レベル5にも対抗できるはず!
高校に辿り着いた頃には二人とも息が切れていた。上条はアーシアを引っ張るのにも体力を使っていたし、アーシアはそもそも長距離を今まで走ったことはなかったのだ。途中で転んだりもして、普段の上条なら五分で着ける距離を今日は三倍近くかけてしまった。
ここは駒王町にある公立の高校である。駒王町には駒王学園という地方でも有数な高校があるが、その門はかなり狭い。駒王学園に入れなかった駒王町の中学生はここに来るものが多い(もちろん、最初からこの学校狙いで必死に勉強してギリギリで合格した上条当麻のような人間も多くいるが)
そんな下の下レベルの上条が教室に入ると、幼い声が出迎えてくれた。
「上条ちゃーん?もう授業は始まっていますよ?一年生から遅刻癖をつけるのは先生感心しないのです」
その幼い声に見合うような小さな体躯をしているロリ教師が、上条の担任
「おいおい上やん十分の遅刻だぜぃ?上やんが遅刻すると俺達まで巻き添え食らうんだからやめて欲しいにゃー」
「僕はそれならむしろウェルカムやけど、小萌ちゃんの授業に遅刻するとは、いつもながら贅沢な人生送っとるなあ上やんは」
「うるせー土御門に青ピ。俺にもちょっと事情があったんだよ!」
服装や髪型に関しては割とフリーダムな校風のこの学校の中でもなかなか異質なのが、この二人。金髪グラサンの
「上やんまた女の子口説いてきたんかぁ!今度という今度は許さへんで!」「毎回わざわざ俺達に見せつけやがって!嫌味かてめぇ!」
「待てってこれには理由があるんだって!ていうかいつも口説いたりしてねーし!駒王学園の奴が絡んでくるだけだし!」
上条当麻は不幸故に不良に絡まれることもよくある。駒王町にも不良と呼ばれる類の人間は多くいるのだ。そのため少しは喧嘩慣れもしている。
ただ、駒王学園の生徒に喧嘩を売られるのは何故なのだろうか。しかも女子に、よくわからない理由で。
生体電気がどうだとか気の流れがどうだとか知らねーし!と上条は彼女達から逃げ続けているのだが、そこをたまにこの二人に目撃されてしまうのだ。代われるものなら代わってやりたい、と上条は思っている。
(それに比べてアーシアのなんと静かな事か……)
アーシアに後光が差しているように錯覚した上条であった。
「上条ちゃん、そちらの方はどうされたのですか?学校に生徒と教師以外が入ってくる場合は許可証が必要になるのですよ」
ここで口を挟んだのが小萌先生だった。どうやら規則違反をしたらしいと気づいた上条は、それでも一応言い訳をしておく。
「今日は土曜日だから、学校の敷地内に部外者が入っても問題ないんじゃないんですか?」
「それは敷地内の話であって、校舎内ではないのです!」
そう言われたがまだ入学して2ヶ月ほどの上条には、許可証の取り方がわからない。それを言うと小萌先生はそれもそうですねと納得する。
「では申請のやり方を教えますので、上条ちゃん……とついでに二人もついてきてくださいー」
〜〜〜〜〜〜〜
何事もなく立ち入り許可証を手に入れる事ができたので、上条達は教室に戻る。本来の開始時間から大幅に遅れて補習が始まった。上条は宿題が倍になってしまったが、アーシアの無事と比べれば安いものだと泣く泣くそれを受け取った。
化学の方式やら科学の公式やらを詰め込まれ、上条の頭がパンク寸前になったところで授業が終わる。一ミリも分からなかった用語が少し理解できるようになっただけでも有意義なものだっただろう、と上条は自画自賛した。
「お疲れ様です。お帰りになりますか?」
アーシアの笑顔からも、補習をやりきったのだと達成感を感じる。上条は頷いたのだが……
「あー、ちょっといいか?上やんじゃなくて、そこのシスターさん?ちょっと用事があるんだにゃー」
ここでこちらを呼び止めたのは金髪グラサン。青髮ピアスが「わいもわいもー」と言ってくるので、上条は丁重にお断りしようとする。が。
「私は構いませんよ。むしろ日本で知り合いが増えるのは、大歓迎です!」
という言葉に、許可を出すことにした。事情は教えないまでも、教会の仲間とやらが来るまでアーシアを見守ってくれる知り合いがいてくれた方が心強い。
話はどちらも数分で済んだようで、帰ってきたアーシアは「有意義な時間でした」とだけ告げた。何か変な事をされていないか少し心配だった上条が話の内容を聞いてみたが、アーシアは答えなかった。上条は話を変えてみる。
「ところで、教会にはいつ行くんだ?お仲間が待ってるんだろ?」
「あ……はい。この町の端の方に、古い教会があるそうで、そちらの方から呼ばれているのです。本来なら今日にでも訪れたかったのですが、急なハプニングがありましたので、明日にでも……」
「じゃあ今日はどうするんだ?」
その言葉にハッとするアーシア。どうやら何も考えていなかったようだった。上条もそれは同じだったので、アーシアに聞く。
「今日は泊まってくか?」
その誘いを受けたアーシアは、笑顔で「はい!」と頷いた。
次回、教会を訪れます。
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