ハイスクールI×B   作:兵太郎

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7月に禁書新刊発売!

……リバースってなんだ……?


合流

「木場と協力するには、俺がいない方がいいだろうな」

そう言って離れる一誠と、非常時にも連絡が取れるように連絡先を交換して、別れた。しばらくすると木場が起き上がる。殺意のこもった目が周囲を見渡すが、その対象となる一誠はもういない。

 

「おはようだにゃー木場きゅん先輩、実はあの後俺達の必死の説得のお陰でエクスカリバー奪還作戦に加えてもらえることになったんだぜぃ!なぁ上やん」

「えっ!?…あ、あぁ、そうなんですよ木場先輩!イッセーさんからの伝言を携帯で録音してますんで、今流します!」

 

 

『テステス、あー、あー。おはよう、木場。お前の話は聞いた。聞いてしまった。本当に申し訳ないと思って…』

 

そう言った時、上条当麻の携帯が縦に真っ二つとなった。

 

「……え?えぇ!?俺の携帯がぁ!?」

 

叫ばれてハッ、となる木場。彼は少しばかりバツが悪そうな顔をしたが、すぐに表情を変え土御門を睨む。

「ツッチー君……いや、土御門君。彼に僕の過去を話したね」

 

「そうでもしないと教会側からの許可が降りなそうだったからにゃー。苦肉の策ってやつだぜぃ」

 

木場の手元に小さなナイフが創られる。

 

「彼は、どうだった?僕の過去を聞いて、どうだったんだい?」

 

土御門は口元に笑みを浮かべながら、軽く言う。

 

「アイツは大泣きだったぜぃ。元から感受性と正義感が強くて、情に絆されやすいやつだ。

聞いた上で、お前のエクスカリバーに対する執念や恨みを知った上で、お前の作戦参加を許可した。それが全てだにゃー」

 

木場はその言葉にしばし黙り…そして、小さく笑んだ。

「……ありがとう、と言っておいてほしい。彼が僕の知っている教会の人間とは違うのは、接していてわかってた。それでもあの態度を続けた非礼も、詫びてほしい」

「直接自分で言えばいいんじゃないかにゃー?」

 

「心で彼らの優しさをわかっていても、僕の奥底にある復讐心はきっと彼らを許せない…今はこうして彼に感謝をしているし、謝りたいと思っているけど、実際彼が目の前にいるときに、僕が襲いかかろうとしないかは別の話だよ。

 

だから、君が伝えておいてくれないか。僕は個人で動くとするよ」

そういうと、木場は立ち上がる。それを引き留めようとする上条を、土御門が制した。

 

「木場の身体にはちょっとした魔術をかけた。どこにいるか、そしてその健康状態を知るという魔術師の親が子供にかける初歩的な魔術だ。これさえあれば木場の行動はある程度読める。

 

さて、こちらはイッセーと合流だ。本格的にエクスカリバー、および堕天使コカビエルの捜索を開始する」

 

「合流場所は駅前の噴水だったよな…木場先輩と一緒にいけないのは残念だけど、言ってても仕方がない。行くか!」

 

木場と別れ、イッセーと合流するため移動した二人。彼らが最初に見たのは。

 

 

「えー、迷える子羊にお恵みをー」

「どうか、天の父に変わって哀れな私達にお慈悲をぉぉぉ!」

 

駅前で箱を持って立ち、周囲から奇異な視線を受けた二人の少女だった。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「んー、美味しい!」「うむ、おかわり」

 

上条当麻はファミレスにて、一人頭を抱えていた。

「ヒデヨさんが一枚、二枚……あぁ、それを頼むと三枚……!」

 

「いやー、奢ってやるなんて上やんは太っ腹だにゃー!」

「うるせー!お前も払え土御門!」

「ごめーん、俺今日財布持ってきてないんだにゃー。あ、店員さんついでにポテト大盛り一つ!」

「てめぇ追加してんじゃねぇ!」

 

 

……騒がしい食事は三十分ほどで終わった。上条はその間にドリンクバーを頼み、土御門に調合品を試させたりしていたが、食事が終わったのを見て席に着いた。

 

「イッセーさんが話していた、派遣されてきた教会の戦士っていうのはあんた達だろ?」

 

その言葉にイリナが素早く頷く。

「ええ、私とゼノヴィアは確かに教会の戦士よ!それで、あなたは?ツチミカドと仲がいいようだけど、戦士という言葉まで知っている以上、こちら側の人間よね?」

 

彼女の問いに、横でアイスコーヒーと青汁をブレンドした飲み物を口に運んでいた土御門が代わりに答える。

 

「こいつは上条当麻。アーシア・アルジェントの保護者ですたい。この街の堕天使討伐作戦でも助力を受け、成果を出した。

 

よって、今回の聖剣奪還任務にも加えることにした」

 

少女二人は目を丸くする。

 

「正気か、ツチミカド。見たところコイツはただの一般人、相手は聖書にも載った堕天使だぞ。無謀だ、一瞬で消し炭にされるのがオチだぞ」

 

「チッチッチ…甘いぜぃゼノヴィア。それはコイツの神器を見てから言うんだ…ぜぃ!」

 

言葉とともに、土御門から上条に向かって光の弾丸が飛んでくる!

上条は目を剥きながらも、咄嗟に右手を前に出した!弾は右手に触れると、ヒビ割れるような音とともに消滅した。

 

「とこのように、上条当麻には光攻撃を無効化する神器が…」

 

上条は澄まし顔の土御門の腹に、パンチをお見舞いした。




次回、一方その頃

今回も読んでいただき、ありがとうございますm(_ _)m
これからもよろしくお願いします!

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