ふと目が覚めた所はよくわからない場所にいた。
状況を確認しようと思った時、この場所と自分の状況についての知識があることに気づいた。
どうやらここは『座』という場所のようだ。
自分は王に看取られた後、ここに英霊として登録されたらしい。
この『座』には過去現在未来に関係なく英雄や怪物などを英霊として登録しておく場所らしかった。
私は王を守ることが出来なかった未熟者なので、この場所に登録され、英霊に召し上げられたことに疑問を抱かないこともないが、なってしまったものはしょうがない。
まあ、私のような木っ端英霊など呼ぶような者がいるとは思えないし、と考えながら自分以外の『座』に召し上げられている者達の知識を『座』から与えられていたのでその知識を閲覧しながら過ごしていた。
その過程で王が"まだ"死んでもいないしアヴァロンで眠っているわけでもないと知った。
どうゆうことなのかはわからないが、ともかく王が生きていることに安堵していた。それに、知ったところで自分は死人。知識にある人類悪が出たとしても自分が呼ばれることは格が足りないので無いだろう。
つまりどうすることも出来ないわけである。
それに、ここでは何をしても変化を得ることが出来ないらしい。なので剣を振る意味も無く、剣を振らなくても勘や経験が劣化することもない。
なので先程も言ったように知識を蓄えるしかないわけである。
それにここは先程も言ったように過去現在未来に関係が無いので時間の経過があまりわからないらしい。
あと、『座』には並行世界の英霊もいるようなので、私の知らない、または私を知らない王もいるのだろう。
それからというもの、知識にある英霊達の凄さを予測したり、自分にも宝具があったことに驚いたり、その中に『王の盾』というものがあって喜んだりしていた。あと同じ名前のスキルもあった。
そんなことをしているうちに、抑止の守護者という存在がいることを知った。それは、『抑止力』という存在と死後を売り渡すことで願いを叶える力や機会を得る契約を結んだ後死んだ存在であるそうな。
この存在を知った時に、もしや王はこの『抑止力』と契約を交わしたのでは?という疑問を抱いた。
というのも、あの優しくも厳しい王は、ブリテンが滅んだことを悔やんでいるだろう事は想像に難くない。
ならばなんとかして過去をやり直すための機会を得ようと、『抑止力』と契約してしまってもおかしくはない。
しかし気づいたところで、自分には何も出来ることはないのだと思い至って、無力感に沈んでいた。
勿論思い違いの可能性も大いにあるが一度出た疑問はなかなか消えてくれなかった。
そんな疑問を抱えながらも知識の閲覧を続けていた時にふと何かに呼ばれているような感覚が自分を襲った。それに対して自分はどう動くべきかを考えていると、自分に対して情報が送り付けられていた。
その内容は、聖杯戦争という万能の杯である聖杯をめぐって七騎の英霊とそれを従えるマスター達の戦いに呼ばれていることが記されていた。
私は確実に罠だろうと考えていた。
理由としては、クソいけ好かないとはいえあの千里眼すら持つマーリンが出来ないかったことを、今の人間ができるはずがないという考えである。それに、どう考えても怪しい。話がうますぎるのだ。戦争に勝てばなんでも手に入ると言うなら、そもそも戦わずにそれを奪って先に使ってしまえばいいのだ。それをしないということは、その話が嘘なのか、それとも本当だけど説明していないでメリットがあるかしかないと思う。これでも自分は、王の役に立つために色々と勉強をしていたのだ。結局、王の役には立てなかったが。
自分の考えに自爆しながらも悩んでいると、呼ばれている感覚が弱くなっている気がしてきた。タイムリミットがあったようだ。慌てて決めようと送られてきたルールをもう一度見返してみると、『座』に登録されている英霊の分霊を召喚すると書いてあったので、悩んで損したような気分になりながら、投げやり気味に呼びかけに応じた。
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そこには半死半生の男が苦しげにしながら英霊の召喚を行っていた。
「素に銀と鉄。 礎に石と契約の大公。 祖には我が大師シュバインオーグ。
降り立つ風には壁を。 四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ」
「閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。
繰り返すつどに五度。
ただ、満たされる刻を破却する」
「―――――Anfang」
「――――――告げる」
「――――告げる。
汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。
聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ」
「誓いを此処に。
我は常世総ての善と成る者、
我は常世総ての悪を敷く者。
されど汝はその眼を混沌に曇らせ侍るべし。汝、狂乱の檻に囚われし者。我はその鎖を手繰る者――。
汝三大の言霊を纏う七天、
抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ―――!」
その詠唱が終わった時、そこには鉛色の鎧を着た盾を持った騎士がいた。
「サーヴァントバーサーカー、ここに召喚に応じて参上した。貴方が私のマスターか?」
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召喚された場所はどうやらどこかの地下室のようだ。召喚者はどうも死にかけに見えるのだが大丈夫だろうか?
それはともかくとして、マスターだろう死にかけの男も
そう考えていると、マスターだろう男の後ろから、明らかに人間ではない雰囲気を纏った爺が歩いてきた。
「カカッ、サーヴァントの召喚に成功したとわかった瞬間に気絶しおったわ。まあ、こやつにそこまでのことを期待していた訳では無いがな、カカカッガフ?!」
とりあえず、民を傷つけそうな奴なので殺しておこうと思う。私のスキルの中には、王を最も殺す可能性のある者以外の全てに対してどんな条件があっても殺すことを可能にするスキルがある。まあ、だからといって本当に全てを殺せるかといえばそうではないが。
ともかくこいつは、ほぼ絶対に真っ当な人間ではなさそうではあるが、そういう理由で殺せるはずだ。
そう考えていると、斬った後の死体が崩れたと思ったら、多数の虫になってモゾモゾ動いていたが、ゆっくりと動かなくなった。
とりあえず、さっきの爺の話でマスターだと確認が取れた男を、安静な場所に運ぶために行動を開始した。