僕が岩鳶高校に進学して1か月が経とうとしていた。この学校のことはまだ知らないことだらけで部活にはまだ入っていない。っていうか入る気がない。
「水泳部を作ろうよ!」
いきなり話しかけてきたのは葉月渚だった。
岩鳶高校には水泳部がないため渚は水泳部を作りたがっているようだ。入学してすぐにずっとこればかり僕に言ってくるどうしようもない人である。渚がこんなにもしつこく水泳部に誘うのかはわからないが、聞こうとも思わない。
「嫌だ」
「なんで~?作ろうよ~!」
とにかくしつこく1か月間なぜか言われ続けている。
「じゃあ何のために作るんだよ」
逆に問いかけてみた。
「はるちゃんたちとまた泳ぎたいんだよ~」
「はるちゃん?って誰?」
「一個上の七瀬遙っていう……」
「なんかようか?」
渚が振り向くとそこには……
「はるちゃん!!まこちゃん!」
この人が七瀬遙……?てかまこちゃんって……?
「あなたが七瀬先輩ですか?」
「そうだがどうかしたか?」
「僕は……渚のクラスメートで。渚が水泳部を作ると言ってるもので、理由を聞いたら理由が七瀬先輩が関係していたのでちょっと気になっただけです」
七瀬先輩の目つきが変わった。
「どういうつもりだ、渚」
渚に七瀬先輩が問い詰める。
「えと、僕は、はるちゃんたちともう一度泳ぎたいんだよ!」
「嫌だ」
「えー、なんで~?一緒に泳ごうよ~もしかして水が嫌いになったの?」
沈黙が続き、もう一人の先輩が口を開いた。
「渚、はるは水が嫌いになったわけじゃないよ。毎日お風呂に水を入れて浸かっているんだから」
そうそのまこちゃんという先輩だ。
「まこちゃんじゃあなんで?」
「渚、そう問い詰めるなよ」
渚が引こうとしないが、時間は迫りもうじき授業が始まる。
「渚、授業始まるから教室行くよ?」
「わかった。はるちゃん、まこちゃんまた後でね~!」
渚にまこちゃんっていう先輩の名前を聞いてなかったな。
「渚、そういえば、まこちゃんっていう人の名前って何?」
「そうだった教えてなかったね!橘真琴だよ!」
教室に戻ったころんにちょうどチャイムが鳴る。
「授業始めるぞ~」
僕が授業をまじめに受けようとしているとき渚は……
「んー、どうすればはるちゃん水泳部入ってくれるかな?」
授業が終わって放課後、帰宅の準備をしていると渚が話しかけてくる。
「はるちゃんたちのところに行こうよ!」
授業中どうすれば入ってくれるか考えたついたらしい。
「もう僕は帰りたいんですよ」
「そんなこと言わずにさ!」
断れる空気じゃないらしい。
「わかったよ」
はるちゃんは早退したらしくまこちゃんだけ教室にいた。
「なんで早退したの?僕が昼間にあんなこと言ったから?」
「違うよ。はるは今日はちょっと調子が悪くなっただけだよ」
嫌な予感がした。
「じゃあお見舞いに行こう!」
やっぱり。
「そんな面識ないし、僕は行きませんよ」
「まこちゃんは行くよね?」
「俺は行ってもいいけど多分家には帰ってないと思う」
ちょっと気になったので聞いてみた。
「家に帰ってないってどういうことですか?」
「わからないよ。けど、多分家に帰ってないのかなと思ってるだけ」
「あ、自己紹介がまだでしたね。僕、斎藤陽向です」
「斎藤君?僕も自己紹介していなかったね。僕は橘真琴。よろしくね?斎藤君もお見舞い行かない?」
少し沈黙になった。
「僕も行っていいんですか……ね?」
「いいよ。きっとはるは水泳部に入ってくれるから顔合わせしないとでしょ?」
結局水泳部……作ることになったのか?
「えー?水泳部にはるちゃんも入ってくれるの?」
渚が嬉しそうに問う。
「渚ここで騒ぐなよ」
反省したのか静かになった。
「はーい!じゃあお見舞いにレッツゴー!!」
「本当に帰っているかわからないけど」
「七瀬先輩いますかね?」
「開いてるね?」
渚が言うと橘先輩が家の中に入ろうとする。
「先輩、勝手に入っていいんですか?」
そう言うと後ろから七瀬先輩の七瀬先輩の声がした。
「お前ら何しに来た?」
「はるが学校を早退したから心配で家に来たんだよ」
何も答えずに無言で家に入っていった。
「渚たちはもう帰っていいよ。僕があとはなんとかするから」
「えー僕も行く!」
「渚、ここは先輩に任せれば大丈夫だよ」
「わかったよ」
残念そうに渚が答えた。
とりあえず今日は僕と渚は帰ることにした。
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