決意。
めぐみが、泣いた。
もうどうしたらいいのか分からない、と。
プリキュアを恋愛禁止としたブルーという輩。
彼が元クイーンミラージュと恋人になっていることは俺も知っている。
そして。
めぐみがブルーに好意を寄せていることも知っている。
めぐみ。
またお前は自分を押さえるのか…?
お前らしいけど。
《本当にそれでいいのか?》
確かにお前は優しい。そんなとこも大好きだ。
だが、やっぱり俺はめぐみに幸せになってほしい。
もう。うんざりなんだ。お前の悲しむ顔を見るのは。
めぐみはいつも俺を、俺達を、皆を笑顔にしてくれた。励ましてくれた。応援してくれた。相談にのってくれた。
お前にたくさん貰った。どれだけ今まで助けられたことか。今度は俺が助ける番だ。だが、どうすればいい?
目の前にいるめぐみを見つめる。
するとめぐみは、ふぅ、と息をついて。
「なんか愚痴っちゃったね…。ごめん。でも、ありがとうね。本当、いつも助けてもらっちゃって…エヘヘ」
「違う。それは俺の台詞だ!いつもめぐみに、めぐみの笑顔に勇気を貰ってるんだ。俺もめぐみの役に──」
「──ううん、いいの誠司。今話せただけで充分助けてもらったから。──あー、すっきりしたー!」
「──そうだ、じゃあ俺何か飲み物買って来ようか?」
「あ、うん!誠司様セレクトでよろしくお願い致しまする」
「お、おう!楽しみにしているのだぞ」
めぐみはうん、と笑った。
この笑顔を守りたい。
──どうやって?
守りたいと思って入った道場で習得した技はサイヤーク
には効かなかった。それどころか俺はサイヤークにされ、めぐみに救われた。なんて無様なんだ。
俺は。俺は──
『ドガァァァァン』
「!?」
突如、大きな音が耳に響いた。
衝撃音…めぐみのほうからだ。もしかして…。
「サイヤーク!?」
☆☆
「大丈夫か!?」
「うん!心配かけてごめんねっ」
「心配くらいかけさせてくれよ…」
俺は小声で呟いた。
「え?」
「いや、何でもない…」
ひ「ま、ちゃんと私達も途中で駆けつけられたし、良かったよ~。ね、だから安心しなよ、誠司!」
お前はよくやってるんだから。
「はぁ~。そんなボロボロで言われてもなぁ。
たまにはちゃんと休めよ?」
め「大丈夫!毎日寝てるしね!」
「そうか……は」
「ははははははっ!」「ふふははははっ!」
顔を見合わせて大声で笑った。何がツボになったかは分からないけれど。
すんだ青い空色が俺達を見下ろしていた。
ひめ(二人ともお熱いですなぁ。ゆうゆうもいおなも分かってるみたいだしやっぱここは立ち去るかねぇ)
「あー、そうだー!いおな、ゆうこ、この前言ってたやつがね…!あーー、ごめんーーー、ちょーーーっと私達用事あるから先に帰るねーーーー!?」
ひめが目線を上に向けて言う。そしていおなとゆうこ
も見合わせて、
ゆ「そうだったねー」
い「じゃ、じゃあお先にー」
と言ってスタスタと帰っていった。
「俺達はどうする?」
「んー、どうしようかな。あ、そういえば、渡したいものがあるんだけど」
「?」
はい、と言ってめぐみが差し出したのはマフラーだった。可愛らしいが着飾りすぎないおとなしめのマフラー。そして、下には小鳥とクローバーのバッチがついていた。
「下手だけど…私なりに頑張ってつくってみたんだ。バッチは、最近誠司、ずっとつらそうで思い詰めた感じだから、幸せがきますように、って。幸せハッピネス!ってね!」
「めぐみらしいな。すっごい嬉しい。ありがとうな」
「どーいたしましてっ」
「実は俺からも…」
俺はめぐみにネックレスをかけた。
大きな丸の中心に小さな宝石が吊られている。マゼンダ色の宝石だ。
「うわぁ~、キレイ!すっごい!ありがと、誠司!」
「こちらこそ」
この笑顔だ。
この笑顔を、見ていたいのだ。
《ずっと》
そう、ずっと。
《この笑顔を長い間奪っていたのは誰だ?》
ブルーだ。プリキュアの力を与え、めぐみを失恋させてそんな気持ちも知らずに平然としているあいつだ。
まぁ確かにめぐみをプリキュアにしたのはひめでもあるが、ひめは自分の弱さを受け止めているし、皆を勇気づけてくれるし、一緒に戦ってくれているのだ。
だから、傍観者のブルーに腹がたつ。
《腹が立って、終わりか?》
終わらない。今度こそ。今度こそ。今度こそ。今度こそ。今度こそ。今度こそ。今度こそ。今度こそ。
めぐみを助ける。
「どうしたの?誠司、だまっちゃって」
ブルーを倒す。
めぐみを傷付けるこの世の全て愛を消す。
《この世界が、憎いか?》
当たり前だ。
めぐみをこんなふうにさせた世界が憎い。
めぐみを裏切り自分中心に動く、否、動きもしないブルーが憎い。
戻ってきてそうそう自分の恋人を手に入れたミラージュが憎い。
こんな世界。
こんな不幸な世界。壊してやりたい。
《お前にはその力がある》
だが俺は無力だ。
《本当の力を引き出してやる。俺のところへこい》
すべては。めぐみのために。
たとえどんな手段を使ってでも。
「大丈夫だ、めぐみ。─────俺が守ってやるからな」