めぐみ…俺がきっと…。   作:たけぎつね

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ハピネスチャージプリキュアオープニングを見てみたら、めぐみ→ブルーが出てきたときに誠司くんめっちゃ嫌そうな顔してました…可哀想…。


君が望むなら。

「よし…やるか」

 

誠司は上着を脱ぎ、着ている長袖トレーナーの袖をまくる。そこへレッドがやって来て、

 

「おぉ、帰ってきたか……って、おい、何やってる!?」

 

と驚きの声を漏らした。

何故なら───誠司がせっせと掃除を始めたからだ。

 

「?何、もなにも、掃除だ」

 

「いや…それは見れば分かるが、掃除する必要はあるのか!?」

 

「いつまでここにいるか分かんないしな…それにこのままじゃここで夜も過ごせない気がするし。てか気になるんだよ…片付けたくてうずうずする」

 

「はぁ、勝手にしろ…」

 

誠司の主夫感にレッドは呆れて溜息をつく。

既に磨かれた小さなテーブルにはいくつかレジ袋が置いてあり、見ると、そこそこの量の食材が氷と共に詰め込まれていて、しかもご丁寧なことにガスや電気を使わずに食べれるものばかりが。非常食とか缶詰とか。

 

ちょっと経って、

 

「あ、やべ、あれ買い忘れた…ちょっとまた買い出しに行ってくる」

 

と言い残して誠司は再び出ていってしまった。

 

「はぁ…」

 

こんな奴がまさか数時間前まで憎しみを叫んでブルーを斬ったとは思えん…。

 

ふと、レッドは少し外の空気でも吸うか、と思い河川敷へ。誰にも見付からないように術を施して。

緑の広がる河川敷と、ゆっくりと流れている澄んだ川や、狭くも広くもない道路の脇には街路樹と歩道を見つめ、街の楽しげな人々の生活音を聴き、改めて思う。

 

───惑星レッドとは大違いだ、と。

幸せは一瞬。愛は幻。

どうせ幸せなんてほんの僅かなものだ。

誰かを傷つけずに幸せになんてなれない。誰かが幸せなとき、そのせいで他の誰かが幸せになっていないということに気づいていない、愚か者どもめ。

どれだけ誰かを愛しても同等の愛が還ってくる保証もないのに、何故誰かを愛す?理解不能だ。

 

少年が少女をどれだけ好きでも、少女は決して振り向かないように。

 

ある女性が幸せになった代わりに、少女の幸せが犠牲になり、その少女の幸せが奪われたことによって少年の気持ちが犠牲になった。

 

女性の幸せのために動いた妖精によって世界中のプリキュアが多くの時間を奪われた。

 

幻影帝国の幸せは、世界の不幸。

世界の幸せは、幻影帝国にとっての不幸。

 

───世界の幸せは、プリキュアの幸せ?それは同等か?

 

人々はプリキュアという存在がどんなものかを本当は知らない。ただの中学生だということも、普通の女の子だということも、そのためにどれだけ自分を犠牲にしているのかも。

 

プリキュアはなかなか幸せにはなれない。

あの鈍感なブルーは気づいていないだろうが、永遠のループだ。

 

ミラージュとブルーのときも、キュアラブリーのときも、他の世界中のプリキュア達だって、みんなが本当の幸せにはなれていない。

その僅かな不幸が積もっていっていることも気づいていない。

 

いっそのこと全て不幸に塗り替えてしまえばいいのだ。

世界をめちゃくちゃに壊してやればいい。

誰かが悲しむ前に、消す。もう誰も失わないように。

 

作戦なんて立派なものは考えてないが。

まぁ恐らくは世界中のプリキュアの動きを封じてからブルーのところへ再出撃という形になるだろう。

 

「ディープミラー…っ!」

 

突如、レッドの背後から聞き覚えのある声が聞こえてきた。

プリキュアの姿で、こちらを見つめている。

 

「何故お前がいる…!?」

 

「私は……ここでけじめをつける!」

 

☆☆☆

 

「えー?あんなボロいとこ?あんなとこテレビで紹介してたの?」

 

「てかゆうこよく分かったわね…」

 

「うん。ここらへんは常連さんがいるからねー、通るたびに空き家の数多いなって思ってたから、ここかなって。合ってたみたいでよかった」

 

「本当、ありがとうございます。実はここ、昔知り合いが住んでたのでちょっと様子を見に。テレビで紹介っていうか、正しくは映りこんでただけなんです。それで、なんか気になっちゃって…」

 

「なんか、騙しちゃったみたいでごめんなさい!でもね、お兄ちゃんとここにこれて良かったですよぉ!感謝感謝です!」

 

「あと、急いでるところ重ねて申し訳ないのですが、一緒にこの建物に入ってくれませんか?最近世界中で化物がいるみたいで二人だと怖くて…あと、帰り道も途中まで分かんなくて…」

 

「行こーよ!危ないもんね!幻影帝国はいなくなったけど、もしものことがあったりしたら!」

 

ひめが二人に聞こえないように小声で言う。

 

「それもそうね。帰り道も案内するなら待ってるよりは一緒に入った方が」

 

「同じく。乗り掛かった船だもの最後までついていくわ」

 

「それは良かった。では」

 

ボロボロの木造ドアを開ける。ギギギギ…という不気味な音に三人は身体を震わせた。

 

「良かった。埃は凄いけど泥棒とかには荒らされてなさそうで。じゃあ次行きましょうか」

 

特に何か怪しいところはなかったので早くも一行は三階へ。

 

「あれ、なんかこの階だけ少し綺麗じゃない?泥棒さんが綺麗にしてくれたのかな、すごごごーい!」

「そんな訳ないでしょ…?でもなんでかしら」

「何か気になるからハニーキャンディでも舐めながら調べてみよう。はい、みんなどうぞ~」

 

ゆうこが四人に飴を配り、それぞれが部屋を調べる。

 

──ピコンピコン♪

 

「あ、ちょっと電話出てくるね~」

 

二つ鏡を召喚し、電話の方も写す。

 

♪♪♪

 

階段の方に駆けていき、ブルーからの電話に出る。

 

『今どこにいるんだい?僕はもう大分回復できたから、これから鏡を使ってめぐみと誠司くんたちを追うつもりなんだけど…まだそっちは時間かかりそうかい?』

 

「もう三階ですし、あと数分くらいだと思います。今、えっと、川の近くの廃屋?みたいなところにいるけど、分かるかな…?」

 

『大丈夫。確認できたよ。あの二人を案内してるんだね。でも気をつけて。嫌な気配を感じるんだ…』

 

「嫌な気配?」

 

『ああ。……とりあえずその廃屋にいないかじっくり探してみるよ』

 

「了解です!そちらもお気をつけて」

 

プー、プー、プー。

通話は終了し、お待たせと言いながら再び部屋に戻った。

♪♪♪

 

「甘くておいしー!!この飴!」

 

電話をしている頃、少女が飴を舐めて感動していた。

 

「でしょでしょー!?ゆうこの作る飴は世界一美味しいのよっ!」

 

「世界一かぁ…凄いねっ!でも世界一で納得できるよぉっ!だってこんなに美味しいもん!」

 

「ふふん!もっと褒めてもいいのよ?」

 

「なんかね、すっごくスッキリした甘さでね…」

 

「こーら、二人とも!?なんかひめが二人いるみたいだわ…。褒め合うのもいいけど、今は、何でこんなにこの部屋だけ綺麗なのか原因を探るんでしょ?」

 

「「はーい」」

 

 

「お待たせ」

 

「ゆうこ、なんて言ってた?」

 

「ん、ブルーさんが今何処にいるのか聞いてきたのと、ここにめぐみちゃんがいないか調べてみるって。あと、嫌な予感がするから気をつけて、だって」

 

「そう…」

 

ピコンピコン♪

 

「あら、まただわ」

 

「そんな頻繁に電話してくるなんて、やっぱり何かあったのかしら…」

 

再び階段の隅で電話をしだすのを見つめて、いおなが呟く。

 

─────その、ほんの数秒後。

 

「おや?こんなところに鏡が…。しかもとても綺麗です。あれ、なんか、感触が硬くないです…」

 

少年が小さな鏡を見つけて、その表面に触れた。

ぐにゃん、と歪み、泥に手を突っ込んだみたいにどぼどぼと少年の手が入ってゆく。

 

「みんな!小さな鏡だって!緊急事態だからブルーさんも来るって──!それ!」

 

少年が鏡を見つけた直後、ゆうこが物凄い勢いで階段から戻ってきて言い、と同時にブルーが突如現れる。

 

「驚かせてしまってすまない…。説明は後。とにかく危険だ。どんな罠があるかも分からないから、僕が先に行くよ。君は少し下がってくれないかい?」

 

「えっ!?……訳分かんないけど…分かり…ました」

 

ブルーは鏡に手をかざし、はあぁっと力を込めて鏡を大きくする。

 

「行くよ。ゆうことひめはゆっくり僕の後ろを着いてきて。いおなは、何かあったときのためにその二人を守ってくれ」

 

「分かりました」

 

いおなと二人は、鏡の中へ入ってゆく不思議な光景を不安げに見送った。

 

☆☆☆

 

「ここって…めぐみの部屋?──あっ、めぐみ…!寝てるの!?起きてー!!起きて起きて起きてー!!」

 

ひめが半泣きで、バシバシと乱暴にめぐみを叩き起こす。

 

「……ふぇ?」

 

「…めぐみ。…すまない、僕の力が及ばなかったせいだ…さぁ、大使館へ帰ろう」

 

ブルーはお姫様抱っこでめぐみを抱き抱えて鏡を後にする。

 

「!ブルー!みんな!…でも私、プリチェンミラーとられちゃったみたいなの…」

 

「めぐみ!良かった…無事で!…あと、それなら大丈夫よ。君」

 

「え?あ、これですか?」

 

少年がめぐみ達にプリチェンミラーを差し出した。

さっき部屋で鏡を見つけたときに一緒に見つけたそうだ。

 

「えーっ!?あるのー!?少年、すごごごーい!」

 

「たまたまですよ、たまたま…あはは…」

 

──この少年が何故鏡を見つけて、さらにプリチェンミラーまで見つけることが出来たなんて、この時考えるものは誰もいなかった。ただ運が味方をしてくれたのだと、そう思って疑う者なんていなかった。

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