めぐみ…俺がきっと…。   作:たけぎつね

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プリキュアオールスターズメモリーズ見てきました。やばいっす。まじはんぱねぇって!一人、映画館のど真ん中の列で号泣してました。嫌だ、見ないでそこの子供…!変な人じゃないからぁあ!!

さて、二週間分とか言ってた癖に明らかに一ヶ月分くらいになってしまいました…。テスト終わったら学校祭、それも終わったら今度は風邪をひいてました。風邪には皆様お気をつけ下さいね。


思い出を無駄にしたくない。

 ──ゆらゆらと、草木が揺れる。

 

「──けじめ、だと?」

 

「そうよ…私は…幻影帝国の女王として、多くの人々の平和を、時間を、心を、奪ってしまった…。だから、今度は私が世界の多くの人々を守る…そして、自分に決着をつける…!」

 

「ふん、笑わせる。所詮そんなの建前に過ぎんのだろう?本当は──ハピネスチャージプリキュアのための足止めというわけか…まあいい、誠司は充分持ちこたえるだろうし少しは遊んでやるとしようか」

 

 ミラージュの力強い眼差しがレッドを捉える。

 

「それは良かっ…たぁッ!!」

 

 ミラージュが叫びながら拳を繰り出すも、僅かに首を動かしてレッドが澄まし顔で避ける。

 そしてそのままレッドは回し蹴りを繰り出すも、ミラージュは両手で受け流す。その上に返された足をわざと思い切り上げ、勢いを利用し空中で回転して着地。

 すぐに低い体制になって右足で地を蹴り、ミラージュに接触するほどの至近距離から赤い光を放つ。

 

「…くっ!?」

 

「その程度の力か。ファントムがいたらもう少し準備運動になったというものを…。ふん。想像以上に早く片付きそうだ。まぁ、お前など無視して立ち去ればいいだけだがな」

 

「私は──諦めない!けじめも、誠司さんも!」

 

 お互い傷付け合い、お互い言葉をぶつけ合いながら戦いは続く。

 

「……何を言っている?」

 

「自分の気持ちを押し殺し続けてきたのに、我慢してきたのに、その我慢は無駄だったのかもしれないと知ってしまって、今までこんなに我慢に我慢を重ねてきたのに、って。どうして、って。どうして自分は大切な人の側に、一番いたいポジションで一緒にいられないのかなって。私がブルーにふられた時も。今までずっと、身分が違いすぎる、仕事に影響が出てしまう、って我慢してて、自分の思いだけは伝えたいと思って伝えたら、案の定。ずっと私はブルーの隣に『プリキュアの一人』という立場でしかいられない。実は今も少し、思うの。私がブルーの隣に恋人としていられるのは、かつて私が悪に堕ちてしまったから、二度と同じことにさせないためのある種の保護手段でしかないんじゃないか、って。私は、誠司さんの想いが少しは分かる気がするの…」

 

 ミラージュはプリキュアの力で強化した拳でレッドを殴り飛ばす。土煙が周囲を覆い視界を遮った一瞬の隙に、レッドがミラージュの足を蹴り飛ばしてバランスを崩し、再びミラージュの腹に赤い弾丸を放つ。

 

「────くは」

 

 口元から赤い液体が吐き出される。

 

「誠司を闇に堕とした原因が何を言う?お前にそれを言う資格などない!想いが分かる?戯れ言だな。たとえお前が共感しようと知ったことではない!それに……世界を侵略し、人々の時間を、人生を奪っておきながら、被害者面するのか?」

 

「───そんなわけない!私に何が出来るかは分からない……けれど、世界のため、平和のため、罪を償いたい…!その最初の段階の最初の敵が、ディープミラーよ!貴方を倒して、過去の私にけじめをつけて、もう闇に飲まれる人がでないようにするわ!」

 

「─ミラージュ!スクエアミラーインパクト!」

 

 口内の鉄の味を無視し、四角形の対角線のように頂点から中心─レッド─に向かって四方から稲妻を走らせる。病み上がりのミラージュが出せる最大限の必殺技だ。これできっと少しは世界の役に立てたはず。

 

 ────が。

 

「──ぐはっ…。今のはなかなかじゃないか?だがもうアップの時間は終わりだ───ッ!」

 

 直後、先の稲妻など比にならないほどの、とてつもない攻撃力の衝撃派がミラージュを襲った。

 

 

 ☆☆☆

 

 誠司はプリキュア達と未だ戦闘を続けている。一対四なのにも関わらず、誠司が優勢だ。

 そして、もうひとつの戦いが行われようとしていた。

 

 ───ファンファンが、ファントムに変身した。青く澄んだ眼差しでまことを睨み付ける。

 

「貴様、何者だ!」

 

「え?何者って、緑山まことです。どうしたんですか、突然?というか、貴方の方こそどちら様ですか?」

 

 まことはきょとんとしたまま殺意を向けてくる相手を見る。そのやりとりを、隣の知恵も見つめる。

 

「何やってるんですの、ファンファン!一般人の前ですわよ!失礼ですわよ!?」

 

「──お前達は黙れ。おい、こいつらの言ったこと、聞いてなかったのか?」

 

「何か変なこと言ってたか?俺たちには特に聞こえなかったぜぇ?」

 

「緑山まことと言ったな。印知恵とやらもお前の仲間か。貴様ら、レッドを知っているな?」

 

 そのファントムの台詞を聞き、まことは少し驚いた顔をしたのち、うっすらと微笑んで、

 

「君、すごいねぇ?殺気がだだもれだよ?そう、僕達はレッドを知っているよ?だけどそれがどうしたんだい?一応言っとくけど僕達はレッドの仲間じゃないよ?しいて言うなら───レッドに恨まれている立場だろうよ?」

 

「どういうことだ…?貴様はどっちの味方だ!?」

 

「妖精さん、僕達はどちらの味方でもないよ?人間の憎み合う様を、苦しむ様を、滅び行く世界を見届けたいと思った純粋な観光客さ?何もしてないじゃないか、ただの観光客を殺すというのかい?」

 

「何が純粋だ!何してないだと?そんなわけないだろう!お前達が、プリキュアをここに導いたんだろう?何のつもりだ?」

 

「だーかーらー本当に楽しみたいだけなんだって!ただ単に面白そうだなーと思って、相楽誠司のポケットから変身アイテム奪ったり、アジトを突き止めてプリキュアを案内しただけ。レッドのときだって、面白かったから星を滅ぼしてやっただけ」

 

「────星を、滅ぼした…?もしかして、君達は、守護者か?」

 

「おー、やっぱり気づいた?でも遅いねぇ?ダメダメな弟さんだねぇ?まぁ知ったところで何になるんだい?僕達は危害を加えてもいないし、加えるつもりもないんだ。……そろそろその剣をおさめなよ、プリキュアハンターさん?」

 

「───っ」

 

 ファントムはやむを得ず剣をしまった。確かにこいつらは危害を加えてこないきがした。それに、こいつらの戦闘能力ははかりしれなかった。恐怖さえ感じるほどだ。到底敵わないかもしれない。ましてや、ファントム化はレッドの能力で叶ったものだったのだから、自分の意思で発動させるにはかなりの体力を要するし、プリキュアの戦闘に加わったとしても、今の力じゃただの足手まといになってしまう。

 

「君が話の分かる奴で良かったよ」

 

 ファントムが気を緩めた瞬間、またファンファンの姿に戻ってしまった。

 

「ところで、君達はここで何するつもりなんだい?見るだけ?傍観者だねぇ?僕達はここにいて見届けるけど?」

 

「僕は……見届けなければならない…恐らく、僕が誠司くんに何を言っても、彼を逆上させるだけだろう…何をすれば分からないけど…でもここにいなければいけない気がする…もし、何か少しでも状況が変わればいいんだけど…」

 

 ☆☆☆

 

 ブルー達のやりとりをよそに、誠司とプリキュアは戦闘を繰り広げていた。

 

「あの鎌をどうにかしないと!イノセントフォームでも斬られるかもしれないし…何かないかな?……まあでも取り敢えず……っ!!」

 

 ひめが呟きながら誠司の鎌をかわし、後ろへ飛ぶ。

 

「戦闘範囲、広げた方が戦いやすいっ!──プリンセス・ウォール!」

 

「ナイスひめ!」

 

 ひめが周りへの被害を考慮して、新技プリンセス・ウォールで壁をつくり、建物から抜けてその広い壁内へ落ちて着地。続いて他の三人も降りて、ファントムを待ち構える。───が。

 

「広い方がいいのは同感だが……俺はお前達とお遊びしたい訳じゃないんだ。そのままじっとしておけ」

 

 誠司は建物から降りずに、壊れた床や壁、勿論ドアや窓にも赤いエネルギーで新たな壁をつくり、プリキュアが建物に侵入できないようにした。

 

「えっ??嘘でしょぉぉおぉぉぉぉ!?どどどどどどどうしよーーーう!?」

 

 ひめの叫びは町中に響いたが、建物内には全く響かなかった。

 

「お前達はいらん」

 

 そう言って、壁を歪ませて、妖精と知恵とまことを外へ放り出す。

 

「……誠司くん」

 

 ブルーと誠司が互いに、戸惑いの視線で、憎しみの視線で見つめ合う。先程までとは一変、怖いほど静まりかえった空気が漂う。

 

「お前は、めぐみのことをどう思ってる?もしくはミラージュが戻るまでどう思ってた?」

 

「……たくましくて元気な女の子だと思ってるよ。今も、出会った時も。世界を救ってくれて、ひめを、いおなを、そしてミラージュを救ってくれて、本当に感謝している」

 

「…それだけ、か?」

 

「ああ。勿論。誠司くんがめぐみに好意を抱いていることも知っている。僕も心のなかで応援していたさ…」

 

「俺は……知っている。お前が、夏の合宿のときにめぐみのそばを離れずにずっと一緒にいたことも、ブルーと呼ぶようになったのもあの日からだ。ハロウィンのときも、誕生日会のときも、いつもめぐみのそばにいた。俺は、めぐみがお前を好きならそれでいいとも思った。めぐみが幸せになるなら。でも違った。お前はめぐみを捨てた。ミラージュが戻ってくるから捨てたんだろ…?」

 

「君は、何を言っているんだ…?僕は別にめぐみに好意を寄せていた訳じゃない。特別視していたのは間違いはないが、それはハピネスチャージプリキュアのリーダーである彼女をサポートしなければと思っただけだよ」

 

「そうかよ。…じゃあ最後の質問だ。お前は何故戦わない?何故プリキュアに、ただの女子中学生に戦わせる?」

 

「僕は………弱い。防御しか、出来ないんだ。レッドから守護者のことや、能力のことは聞いているかい?

 

「──そうか。何故かは分からないけど……僕に与えられた力は、シールドの展開、シールドの操作、結晶の生成、結晶に選ばれた者への力の譲渡だけだった」

 

「聞きたいことは聞けた。─お前を殺す」

 

 ブルーはどこか遠くを見るような悲しげな眼差しで、

 

「……そうか…」

 

 と呟いた。

 

「ん、意外な反応だな。あっさりすぎて名残おしいけど…まぁいいや」

 

「さようなら」

 

 誠司は鎌を生成し、振り下ろした。

 何か硬い感触だ……ん!?

 ブルーの腹の服は切れていたが、肉は綺麗なままだった。破れた服から若干見えるのは───シールドか。

 

「流石に抵抗くらいはするのかよ」

 

 力は今朝の時点で使いきったはずだと思ったが……。回復したのか?いや、今朝より力が増している。どんどん…!?

 

「そうじゃないか……忘れちゃいけなかった……僕は…みんなを守らなきゃいけないんだ…あんなにボロボロになった少女達でも諦めなかったのに、僕があきらめてどうする…!どれだけ傷つけられようと、世界中からの応援がある限り、力は無根だ!」

 

「ぶつぶつと…。くだらねぇー!守るだと?ふん、笑わせる。少年一人守れなかった奴が、女一人守れなかった奴が、兄弟一人守れなかった奴が何を吠えてるんだよー───!?」

 

 ブルーをさらににらんだその時、壁から大きな声が聞こえてきた。

 

「誠司いいいぃぃぃぃ!!!」

 

 ☆☆☆

 

「どうだった?いおなちゃん」

 

「…全然駄目ね。ヒビ一つ入らなかったわ…悔しいけれど」

 

「そっかー…いおなでも駄目かー……あれ、何か声が聞こえない?」

 

「あああああああああああああああああ!!!!」

 

「ぎゃふんっ!?」

 

 ひめの上に妖精と知恵とまことが落下してきた。うぅ、とうめきながら彼らをどくように急かす。

 

「あっははは…ごめんごめん…!」

 

 頭をかきながら知恵が差しのべた手をひめがとってフラつきながら立ち上がる。

 

「あれ?でもまだざわざわしてる気がする…」

 

 ひめが呟き、少し飛んで壁の周りを見回す。

 ──壁の周りにはいつの間にか多くの人々が集まっていた。一体何があったのか、と混乱しているようで、。それもそのはず、建物は崩壊寸前、壁は半分以上真っ赤だし、煙も辺りを漂っている。

 そして、とある少女が先のキュアフォーチュンに気づいたのか、

 

「プリキュアだ!きっと何か悪いやつと戦ってるんだ!頑張れー!!プリキュアー!!」

 

 と叫んでいた。どうやらその声だったようだ。やがて声は周りに伝染していき、応援の声が大きくなってきた。

 

 傷だらけだった身体が少しずつ癒えて、疲れもどこかに吹っ飛んでしまった。

 

「凄い…みんなの応援でみるみる力が沸いてくる!」

 

 おぉー!っとつい声が漏れてしまう四人。

 

「…ねぇ、めぐみちゃん、やっぱりイノセントフォームにならない?」

 

 次の戦闘に向け、対策をしなければ、とキュアハニーが心配げにめぐみの顔を覗く。

 

「あれ?確かに!てか、まだ使ってなかった!?」

 

「…ハニー、今の言い方だと、どうやらめぐみがイノセントフォームにならないって指示してたみたいな解釈しかできないんだけど…もしかして、本当にそうなの…?」

 

「ええ」

 

「ええっ!?何でぇ!?っていうか、めぐみがそれを指示してたってことは、今まで使える場面があったってこと!?弱ってからじゃないと使えないのかと思ってたんだけど!?」

 

「相楽くんは…多分、あれでも大分身体に支障がでてきているわ。力を使うのはまだ慣れてないはず…それに、今朝も、今も、四人を一人で相手していたから…」

 

「いおなちゃんの言うとおりよ。それで少しずつ隙が見え隠れするようになってきたから、今やればきっと、って思ったんだけど…」

 

「みんなごめんね…でも…!何か、違う気がするんだ……確かに、誠司には効くかもしれない。もし浄化までは出来なくても大きなダメージは与えられると思う。けど、それじゃもっと大きな問題の解決にはならない気がするの…さっき戦ったとき、一瞬だけ赤い結晶に触れたんだ……そしたら、なんかもう分かんなくなっちゃって。今日の誠司は、いつもの誠司とは違う誠司ばっかで…。何かに対して、燃え盛るように、怒りを爆発させてた。憎しみとか悲しみとか、苦しい気持ちでいっぱいになってたの…でもそんな誠司も全部誠司なんだよね。多分、私とかみんなの前では隠してた、隠し続けてた、本当の誠司なんだと思うんだ…。私、誠司のこと全然知らなかった。分かってなかった。誠司は私のこと、私より知ってるかもしれないくはいたくさんのことを知ってたのに…」

 

「めぐみ…」

 

「だからね、私、誠司とちゃんと向き合いたい。二人きりで。きっと私が原因だから。あの赤い結晶に触れたらもっと何か起きるかもしれない…。感じるの…ただの勘だけど、うずくまってる誠司があの中にいる」

 

「じゃあ次の作戦は、誠司の結晶に触ってめぐみが奇跡を起こす、だね!」

 

「このみんなの、世界中のみんなの応援でパワーアップしてるんだから、できるわよ!」

 

「私もめぐみちゃんをサポートするわ!……めぐみちゃん……相楽くんを…激しい感情の渦から解放してあけて…!」

 

 それぞれがめぐみを激励する。

 最後、知恵が寄ってきて、

「もし出来たら、誠司さんに、これ渡してほしいだけど…!」

 

 と言って小さな紙を手渡した。めぐみは何も聞かずにこくりと頷いて受け取り、建物へと飛んでいった。それに他の三人もついていく。

 

 知恵はその姿を見届けた。強い意思を秘めた少女達を心の中で応援した。

 

「行っちゃった…ふ──まこと、どうする?」

 

「ま、ついていっても結晶の中なんて見れないからいいかなー」

 

 まことが草むらに身体を預け、空を見る。

 

「えっと…気になるのですが、さっきの紙は何だったのです?」

 

 くつろぐまことをよそに、リボンが訪ねる。

 

 

 

「──誠司さんのお母さんからのお手紙だよ。()()()()会ったから貰ったの。あの子にあったら渡して、って」

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