十五周年のグッズとかがあんま無かったのが悲しいところですが普段から近所にグッズあんま売ってないので買えて良かった…。最近ジョジはな推しです。
今回はほぼめぐみちゃん回です
「誠司ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!」
ふと建物の外から聞こえた声主が誠司の動きを止める。
「何回同じことすんだよ?てかまだお前はブルーを守るのか?では問おう。お前はブルーを助けたいのか、誠司を助けたいのか。ブルーを選べば俺は世界を巻き込んで自殺でもしてやろう。俺を選べば…まぁ、それでも結果は同じだが」
「私は、二人も世界も助けるよ!目の前の人を助けられないでプリキュアとは言えないもん。…ねぇ誠司。いつもと違う誠司も誠司なんだよね…。ずっと隠してた本心の誠司なんだよね。私、ちゃんと誠司と向き合いたいの…だから…!」
ラブリーは誠司の胸の結晶に優しく触れた。
刹那、赤やら紫やらが混じり合った光が二人を包む。
目映い光に思わず目を閉じたブルーが再び目をあけたとき、先の戦場には誠司とラブリーが目を閉じて倒れているだけになっていた。
☆☆☆
「───ん?もしかして…」
気がつくと、めぐみは暗い空間の中にいた。
全体的に薄暗く、かろうじて周りは見えるものの、明かりなどは存在しておらず、果ての見えない天井から垂れ下がる赤いリボンがうっすらと光っているだけである。
多分、ここは誠司の結晶の中。つくりがどうなっているのかは分からないけれど、とりあえず進んでみよう。
一歩、一歩と歩くたびにカツンと靴音が何度も跳ね返り不気味さを演出してくる。うぅ…。
少し狭めの一本道だ。最初に目覚めた広場から見えたのはこの道一つだけだったので怯えながらも足を進めた。
やがて、扉が現れた。鏡のようになっていて、私の顔を写し出している。
この扉開けるのかな?と思い、取っ手もないのでそのまま強く押すも、びくともしない。
プリキュアの力でも無理なの!?どーしよう…。
他に道はなさそうだしなぁ…。
「おいお前」
「誠司…?」
背後から聞き覚えのある声。だが、お前、と呼ぶということは、誠司であり誠司でないことを示している。
「何しに来た?こんなとこまでよぉ?」
「あなたを──誠司を助けに来たの!実際に来て実感してる。やっぱりここ、誠司の心の中だよね?」
「あぁ、まぁあながち間違ってないが…それで、お前はどうするつもりだ?お前は、俺を助けるとかぬかしてたが、それ相応の策があるんだろ?」
「──ないよ?」
「は?馬鹿かお前」
「うん。馬鹿だよ…。私は大馬鹿もんだよ!誠司の気持ち、全然何も知らなかった…。だから、もっと誠司を知りたいの!誠司を助けたいの!助けたい、って思いだけじゃどうにもならないかもしれない。つむぎちゃんのときみたいに、やっぱり私が出来ることなんてないのかもしれない。だけど!諦めたくないの!想いすら無かったら何も始まらないから!あなたと戦う気はないよ。とりあえず進もうと思ってただ歩いてただけだけど…」
「お前なぁ…本当に助けるつもりなのか?救えると思ってんのか?ならば証明してみせろ。お前が人を助けることが出来る人間なのか。他人の前に自分とでも向き合っとけ。証明できたらこの扉、開けてやるよ。もし出来なければ───永遠に悪夢の中だ」
嘲笑の不吉な笑みを浮かべ、扉に視線を促す。
「証明、か。うん!やるよ!」
キュアラブリーは……愛乃めぐみは、一切の迷いもなく扉へ触れた。瞬間、めぐみを鋭く赤い光が包み込んだ。
☆☆☆
「ラブリー、大丈夫かなぁ?」
プリンセスが怪訝そうな顔で、倒れてびくともしない誠司とラブリーを見つめる。何故かあり得ないくらい冷たくなっている二人の身体に毛布をかけて、さっきまでとはうってかわった静寂の空気にふぅ、とため息をつく。
ブルーは疲れたのか壁にもたれかかっていて、息も少しあがっていた。ハニーとフォーチュンも特に何も出来ないので鋭い目つきのままうつ向いている。
誰も喋りはしないので、よりこの静まり返った空間に緊張感をもたせている。
めぐみ、誠司、頑張れ!信じてる!
この気持ちだけは皆一緒、だよね!
『ガチャ』
そのとき、ゆっくりとドアが開かれた。
ミラージュが来たのかと思った。だけどそこに平然と立っていたのは、ほぼ無傷のままのレッドだった。
☆☆☆
「──ふふ、目、覚めたのね」
頭に柔らかい感触。膝枕されてるみたい。
ここは何処だろう?何のために来たんだっけ?あれ?
優しく包み込むような声が頭上から聞こえてきた。
聞き覚えのある──ありすぎるような声が。
「アンラブリー……?」
「覚えててくれて嬉しいわ。──ねぇ、めぐみ。辛かったよね?とっても苦しかったよね?この空間なら何も心配しなくてもいいのよ?一緒に、ずっとここにいよう?」
「それは、無理だよ」
「誠司、助けるの?やめてよ。もう。人助けなんて。だって、本当は嫌だもんね?知ってるよ?めぐみのこと。たっくさん知ってるの!」
愉快げにアンラブリーは語り出す。
あのいつもと違う誠司も私でいうところのアンラブリーと同じような感じなのかな。
「嫌なんかじゃないよ!誰かを助けると笑顔になってくれるの!それが、私にとっても嬉しい!」
「そうよね。嬉しいよね。誰かを助ければ誰かが褒めてくれる。私の存在を認めてくれる。愛してくれる。感謝してくれる。仲良くしてくれる。とっても嬉しい。だけどとっても辛いよ」
今度は切なげに目を伏せて囁いた。
「辛くなんてないよ」
「嘘よ。私は私だもん。ロケット作りを手伝ったときのこと、覚えてるかしら?私はあの汚い白衣を洗ってあげたのに!あの女はめぐみに感謝しなかった!褒めてくれなかったよ!完成するまで洗わないつもりだったなんて知らない!めぐみはあの女のためを思ってやったことなのに!また失敗した、って。めぐみは不器用だもんね。ひめがケーキ作ってくれたときもそう。皆が頑張ってたからめぐみも手伝いたかっただけなのに!あり得ない!ブルーだってめぐみを裏切って!めぐみはあんなに愛していたのにブルーは元カノが戻ってきたとたんに手のひら返しやがったわ!あり得ない!世界の人、なんてゆう曖昧で不確かなものなんかのためにめぐみが犠牲になる必要なんてないの。もう無理しなくてもいいのよ?可哀想に。あぁ、可哀想なめぐみ。愛して。もっと皆、めぐみを愛してよ」
アンラブリーが私の髪をふわりと撫でる。
何故だろうか。心が落ち着く。けど、なんか変。
心臓から苦しくて苦いものが溢れてる感じ。
「だってめぐみは!誰かに認めてもらわないと存在できないもの。最初はお母さんのお手伝いだったよね。でもだんだん皆大きくなっていって、みんな将来の夢も決まってて、個性も豊かで…自分だけひとり取り残されちゃったよね。人助けしたら感謝してくれるもん。愛してくれたもんね。お母さんは身体が弱いし、お父さんもあんまり帰ってこないから、しっかりしなきゃって思ってる。それから、両親がめぐみを構ってくれなくても全然幸せだって思うようにしたよね。不幸じゃないって。最悪じゃないって。私は幸せだって」
「私は、そんなこと、思ってないよ。本当に私は幸せだよ」
小声で私は抵抗する。
アンラブリーの言葉が心に浸透して、広がる。
ずきずきと痛む。
私は幸せ。苦しくない。辛くない。痛くないよ。安心して。私は大丈夫だから。心配しないで。みんなを心配するのは私なの。私がみんなを助けるから。
本当に幸せだよ。あれ?本当のことのはずなのに、何で私は小声になってしまったんだろう?
私は何?私は、誰?
「ここには私と私。めぐみと、めぐみしかいないわ。何でも言っちゃっていいのよ?全部吐き出していいのよ?」
いままで堪えてたなにかが弾けて溢れた。
相手は私何だし、言っちゃっていいかな…。
「ねぇ、私、どうすればいいのか分かんない。私は人助けしたい。笑顔が見たい。ブルーに振り向いてほしかった。愛してほしかった。お母さんもお父さんも私にもっと構ってほしかった。私、みんなを助けたのに!みんなは私じゃなくてプリキュアに感謝してる!めぐみである私じゃなくてプリキュアのキュアラブリーに感謝してる!同じことのはずなのになんか嫌なの。それに、頭悪いからみんなの考えてること全然分かんなくて。周りが今どういう気持ちなのかとか分からない。何でいつも失敗ばっかりなんだろうね。私。みんなは普通に出来るのに。勉強だってちゃんとやってるはずなのに全然分かんない。助けたつもりなのに迷惑かけてばっかだし。みんなに頼ってばっかりなの。助けてほしくないの。誰にも助けてほしくない。自分で出来なきゃだめなの。全部私がやりたいの。じゃないと、私は私じゃなくなっちゃう気がするから」
誰にも言いたくなかったこと。
ポロポロ出てきちゃった。
「あれ、やっぱり私、アンラブリーの言ってる通りなのかな…」
涙が出てきちゃった。何でだろう。
「めぐみ。めぐみ。優しいめぐみ。世界を守った英雄のめぐみ。めぐみはさ、世界を命懸けで守ったよね。じゃあその分壊してもいいんだよ」
「駄目、だよ。人を傷つけちゃ」
「めぐみ」
「?」
「もう休んでいいんだよ。めぐみは精一杯戦った。私に任せてよ」
「……………私って、最悪…だなぁ…」
甘い香りが漂う。あんなに恐ろしかったアンラブリーが今は全然怖くなかった。むしろ優しく感じた。
私の心から溢れでる何かをアンラブリーが受け止めてくれる。暖かくて、冷たい。
力も元気もでなかった。疲れた。
正直辛かった。何もしたくない。何も考えたくない。
嫌い。みんな嫌い。滅茶苦茶にしてやりたい。
黒いもやが私の周りに漂い始める。
赤い光が暗い心を照らし出す。
《何でみんな笑ってるの?めぐみはこんなに辛いのに》
《誰にもめぐみを責める権利なんてないのに。中学生のひとりの女の子に一体何を求めてるのかしらね》
《もう悲しむ必要なんてないわ》
──本当に?
《壊して。壊して。壊して。》
《そしたらまた皆があなたを必要とするわ》
──そう、かもね。
《さぁ、解放してよ》
あぁ、
プリキュアなのに、私最低だ。
───誠司もこんな感じなのかな。
「ぐ…あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!」
「──所詮綺麗事に過ぎなかったようだな。自分の闇すら乗り越えられずにどうして他人を助けようなんて思えるのか、全く愚問だぜ」
☆☆☆
「レッド!?ミラージュは…」
「準備運動程度にはなったが。まさか流石のお前達でもあれで倒せるとは思ってないだろう?」
「………そんな…っ!」
「それで、あなたはわざわざ何故ここに戻ってきたの?まさかまた──」
フォーチュンが目を細めて構えをとり、レッドを睨み付ける。
「いや、戦いはしない。誠司とプリキュアとブルーがどうなっているのさ見ておこうと思っただけだ。で、今はどういう状況だ?」
「ラブリーが相楽くんの憎しみの結晶の中に入って助けにいったわ」
ハニーが低いトーンで答え、視線を促してレッドに説明を求める。
「そんなこと…結晶製作者の俺ですらどうなるか知らないぞ…とはいえ恐らく、一つの要素は確定だ。結晶の性質は闇だ。光を速攻排除しようとする。つまり──」
「めぐみも誠司みたいになるかも知れないってこと…!?うそぉぉぉぉぉおお!?」
「そういうことだ。おっと、噂をすれば」
「………っぐ…あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!」
ラブリーのプリチェンミラーが不吉に輝きを放ち出して、フォームや髪を黒く染めていく。
やがて、苦しみながら、か細い声でラブリーが呟き始めた。
「私は幸せ。私が助ける。みんな助ける。私を認めて。私を愛して。私を見て…」
ふらふらと、立ち上がる。
それをただ傍観することしか叶わない自分たちを呪った。
「うそでしょ…」
深紅の瞳が鋭く見開かれ、一同を見つめた。
「──大好きだよ、みんな。だから私に助けられてよ」