めぐみ…俺がきっと…。   作:たけぎつね

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感想とかもらえたら、それはとっても、嬉しいなって。


消したくない。

「助けたい。みんな助けたいの!だから……みんな私が壊す。何もかも滅茶苦茶にしてから、助けてあげる……っぐっ!?」

 

ラブリーが胸と頭を押さえて苦しそうに悶え始めた。

そして今度は、

 

「滅茶苦茶になんて、壊…さない…壊したくなんて…ない!…私は…困ってる人を…助けたい…だけ…なのに…」

 

とさっきとは真逆のことを呟き始めた。

 

「一体何がどうなって…!?」

 

 

 

*

 

 

苦しい。心からじわりじわりと黒いなにかが広がっていくのを感じる。辛い。怖い。そう思えば思うほど、力が底なしなのかというくらい沸き上がってくる。

破壊衝動が全身を駆け巡る。

 

壊せ、と囁く声が聞こえる。めぐみの思い通りにしてしまえばいいのに、と甘い言葉で私を惑わす。

ファントムが変身したアンラブリーではないけど、多分仕組みは同じなのだろう。

私を鏡で写し出して負の感情だとかの闇の部分を切り離したもの。私自身。

 

どうすればいいのか分かんない。

助けたい。その思いでいつも動いてきたけど、それが誰かの邪魔をしてたなんて。気づかないばっかで。気づいてほしいばっかで。私、何してたんだろう。

 

バカ。バカバカバカバカバカバカバカバカバカバカバカバカバカバカバカバカバカバカだ!

本当に!私はっ!大バカだ!

 

誰にも気づいてもらえてない?

多分みんな気づいてくれてたよね。

アンラブリー戦のときもそう。

 

『そんなの、ラブリーらしくない!』

 

私のこと、みんな見てくれたのに。

 

『お前らしくていいんじゃねぇの』

 

『たまには自分も幸せにならないとな』

 

誠司っ…私っ…ずっと一緒にいたのに何も気づけなかった。

自分を誰かに見てもらいたいって思ってるだけだった。

私がちゃんと誰かと向き合えたことはあったのだろうか?

ひめ。ゆうゆう。いおなちゃん。お母さん、お父さん。いおなちゃんのお姉さん。街や学校のみんな。そして………誠司。

 

全部私がやればみんな楽になれると思った。

私がやらなきゃ駄目なんだって思った。

だけど。

この世界にいるのは。

この街にいるのは。

このチームは。

 

──私だけじゃなかったんだ。

皆が、私を大切に思ってくれてたんだ。

 

私もみんなが大好きだし大切だから、この性格はなかなか変わらないかも知れないけど…。

 

「……頼っちゃっても…良い…かな…」

 

みんな………助けて…っ!」

 

私は胸を押さえながら叫んだ。

ハピネスチャージプリキュアに。

大好きなみんなに向かって。

迷惑かけてばっかでごめんね。私の力不足かもしれない。みんなに力を借りたい。どうしても。

 

私の知らかったことをたくさん教えてくれて、

私と一緒に笑ってくれて、相談にのってくれた、

ひめと、ゆうゆうと、いおなに。

助けられたいって思っちゃった、私の我が儘、聞いてくれるかな…?

 

どんな反応が返ってくるか不安になりながらも顔を上げてみると、ひめがこれまでに無いんじゃないかってくらいに、とっても嬉しそうに、にっこりと笑ってくれて、いつも以上に元気で明るい声を届けてくれて。

 

「──あったりまえでしょーっ!!むしろ私めっちゃ頼っちゃってたからね、もっと頼ってもいいですぞ!」

 

「何年一緒にいると思ってるんですか~?頼るの、遅すぎだよ?頼りすぎも頼らなさすぎも、ご飯のバランスと同じでかたよるのは禁物なのよ!」

 

「んもう……何でも一人で抱え込まないの!それを私に教えてくれたのはあなたじゃない!」

 

ゆうゆうもいおなちゃんも。

それがとっても嬉しくて。今までのモヤモヤなんてどこかに消えちゃった。

 

「私に…必殺技…ばーんと打ち込んじゃって!…ちょっと、何言ってるのよ!?またあの日々に戻るつもり?戻るよ。いつもの普通の生活に。幸せな生活に、ね?」

 

「なんか二人で一人みたいな感じになってるわね…」

 

「めぐみが、ばーんって言うならやっちゃうよ!信じてるからねっ!?」

 

「思いを込めて…いくよ、めぐみちゃん!」

 

「「「ハピネスチャージプリキュア!イノセントフォーム!!」」」

 

「プリンセス・ウィンデイウィンク!」

 

「プリキュア・ハニーテンプテーション!」

 

「プリキュア・エメラルドイリュージョン!」

 

三人から同時にまばゆい光の花束がぶつけられる。

──あったかい。とげとげした最悪な気持ちを包み込んでくれる。私は、幸せもんだなぁ。

 

 

 

問い:【あなたはあなたを乗り越えられますか】

 

回答:私だけじゃ無理かも。みんなと一緒に、乗り越えたい。 ずっと私は幸せ。でもね、みんなと一緒にいれたら、もっともっともーっと、幸せなんだよ。

そのときは勿論、誠司もいないと。

誰も欠けることなく。

 

誠司、苦しいよね。私とは違うかもしれないけど…結晶の空間のときからも、言葉からも、行動や表情からも、辛いことは伝わってきた。

憎い。辛い。怖い。嫌だ。苦しい。痛い。苦い。何故。酷い。嫌い。悲しい。そんなような闇の感情が。

助けたい。多分、今までで一番心からそう思ったかも。

大切な、大好きな、人だから。

誠司が私の幸せを願ってくれたように、私も彼の幸せを願いたい。正しい形で。

 

人を傷つける誠司じゃない、人を守る誠司を。

 

助けたい。私で…私たちで…!

 

再び私は結晶に触れる。誠司…待ってて…!

 

 

 

 

──ここは、さっきの…。

アンラブリーが私に囁きかけたところだ。もう今はアンラブリーはおらず、代わりに目の前に誠司が立っていた。

 

「それが、お前の答えか?」

 

「うん」

 

「はっ、戯れ言ばっかぬかしやがって。まぁ約束は約束だ。この扉を開けてやる。助けれるもんなら助けてみろ」

 

「ありがと!助けてみせるよ、絶対!──ねぇ誠司」

 

「?なんだ?」

 

「誠司はやっぱり誠司だね」

 

ラブリーはそう言うと笑顔で、しかし真剣な表情で扉をくぐっていった。

 

「───は…」

 

彼女の言葉に思わずため息をついて、壁にもたれながらへなへなと倒れこんだ。

 

 

 

 

 

「──ぐみ?」

 

「─おい、めぐみ?」

 

「──あれ?誠司?どうしたの?」

 

「どうしたはこっちの台詞だ。何ぼーっとしてるんだよ?次、移動だぞ?」

 

「う、うん…。なんかね、怖い夢を、ずっと見てた気がしたの…」

 

「怖い、夢?」

 

「誠司が、苦しんでいなくなっちゃった夢」

 

「なんだそれ」

 

「さぁ…?もう忘れちゃった」

 

幼なじみの穏やかな顔。いつも通りの日常。

閉めた窓から冷気が伝わってきて身震いする。寒い…。

──あれ?気のせいかな…?

なんか妙な違和感を感じるけれど、それがどうしてなのかも何に感じているのかも分からないのでスルー。

 

 

 

「───ふぅ、やっと終わったぁぁ!」

 

最後のチャイムが下校を告げてくれたところだ。

 

「めぐみー、帰るぞー」

 

「オッス!」

 

「あ、大森は今日は手伝い忙しいから先帰るってさ」

 

私は急いで鞄を準備して誠司と並んで帰路を歩きだす。

 

「そっか。あれ?今日って何日?」

 

「嘘だろ…お前に限ってそんな事あるかよ…!?てか一時間目、何やってたんだよ」

 

一時間目?あれ、確か、眠っちゃってたっけ?目が覚めたのは二時間目の大きな放課のときだったし…。

 

「──クリスマス、だぞ」

 

「ふーん、クリ────くくくクリスマス!?」

 

「めぐみ…もしかしてずっと寝てたのかよ!?一時間目、みんなでクリスマスパーティーするためにわざわざ冬休みなのに先生が出校日にしてくれただろーが」

 

「そっ、そうだっけ?」

 

全然覚えてなかったけど、言われてみればそんなような気がするような…?

 

「はぁ…じゃあ、今日の放課後のことも…覚えてないのか?」

 

誠司が少し瞳を潤し気味に、私のことを見つめてきた。──頬を赤らませながら。

 

「…ごめん…最近忘れっぽくて…」

 

分からないのに分かったふうにするよりは、と素直に忘れてしまったことを伝えた。

クリスマスかぁ。ゆうゆうの家のチキン配りの手伝い?それとも誠司の家と合同でパーティーとかかなぁ?

 

「……俺と……その…えっと…」

 

「……?」

 

「………っ!で、デート…みたいな…」

 

「…デデデデート!?……わ、分かった!な何時にどどこで待ち合わせ?」

 

「俺より焦ってどうすんだよ。5時にぴかりが丘クリスマスツリーで待ち合わせな」

 

「うん!じゃあまた後で!」

 

「おう!」

 

あっという間に家に到着。

玄関のドアに鍵を閉めたとたんに、わっと身体が熱くなってきた。なのに、私はマフラーとか制服とか着たままベッドに横になった。少し大きめの枕を胸に強く抱きしめる。

 

デート…デート…誠司と…デート…!?

 

突然の幼なじみからのデートのお誘い。

いや、実際は以前から誘ってもらってたみたいだけど…。

どうせ買い物に付き合え的なやつなんだろうけど、やっぱりデートとか言われると…何か胸がかーっと熱くなって心臓がばくばくしちゃう。

 

そうだ!せっかく誘ってくれたんだからクリスマスだしプレゼントとかしようかな!

 

「お母さーん!毛糸ってどこに仕舞ってたっけ?」

 

☆☆

 

「やべぇ、まじで誘っちまったぁぁぁぁああああ!!」

 

「お兄ちゃん、うるさーい」

 

「あ、ごめん」

 

「あー!お兄ちゃんめぐみちゃんのこと誘えたのねー!良かった良かった~!ふふっ」

 

「んなっ!?」

 

玄関の鍵を閉めるなりついに叫んでしまった。

真央がにやにやしながら、お兄ちゃんが変なときはめぐみちゃんのこと考えてるときだけだからねー、とからかってくる。むむー。我が妹よ…いつからそんな子に…!?

 

二人で、デート……!

 

デート、返事待ちだったから、一応約束してたってことにしてもいいよな?サンタさん。

 

何かプレゼントでも買っておこうかな…。あ、そうだ!この前雑貨屋で見た、あれにしよう!

 

「ちょっと出かけてくるー!」

 

「えっ、ちょ、お兄ちゃん!?…行っちゃった…。もう、早く付き合っちゃえばいいのにー」

 

浮かれぎみに玄関を出る…が、冷気にあてられたからなのか、いつの間にか頭は冷静になっていた。

 

どうか、このまま…。

めぐみがあいつらのことを、プリキュアのことを、ブルーのことを、思い出すことなく普通に幸せに暮らしてくれるといいな…。

今のところは順調。クリスマスというのすら忘れるくらいにあいつらのことを忘れている。元から学校にいるいおな、幼なじみのゆうこはそのままいる設定だが、彼女らはあくまでゲームでいうNPCになっている。

自ら行動は起こさない。

 

 

この世界には、俺と、めぐみだけ。

 

プリキュアもいない。

 

幻影帝国もいない。

 

ブルーもミラージュもレッドも妖精もいない。

 

ハピネスチャージプリキュアは、いないんだ。

 

 

 

 

──めぐみ、この世界で、二人で暮らそう…?




プリキュアの敵ってよく世界征服!とか言ってますけど、多分いざ世界征服すると何もやること無くなりそうだなぁと。征服することがあくまでの目的のまま、それ以上の目標を設定してないので、征服することで満足するのであって、やることといえば恐らく他人を襲ったり服従させたりなんでしょうけど、結局みんな絶望したハイライトのない目で『はい』意外言わず、誰も逆らわずに従うだけで何の面白味もなさそう。
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