めぐみ…俺がきっと…。   作:たけぎつね

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遅れました。いつも遅れましたって書いてますね、私!?


ウラギリ。

小惑星は、『小』という名がつけられるかどうかも怪しいくらいに大きく、その周りの岩たちもそこそこの大きさ。直前の予想通りだった。

 

既にチームの皆は小惑星破壊に取りかかっている。

レッドも参戦すべく近くまで行き、続けて赤い光線を放ち、破壊していく。

 

「くっ…この数だと…」

 

チームの消耗も激しく、死者は流石に出ていないものの、皆かなりボロボロになりながらも、巨大な剣を振ったり、強化された拳で殴ったり、とそれぞれの得意武器を使って破壊を続けている。

 

もともとは惑星レッドの治安を守る騎士団だ。

こんな戦闘はまっぴらごめんだろうが、たとえ意思がバラバラでもこの星を守るという一心が貫かれる限り勝算はある。だが───

 

「なんだこいつら!めっちゃ硬いぞ!攻撃がまるで効かねえ!リーダー!応答願いますっ!」

 

「なんだと!?お前の拳が効かないとなれば俺が行くしかないのか…だがこっちも今手が離せない!もうかなり深層部まで来ている!────よし、こっちはもう片付きそうだ!ちょっと待っ──」

 

「うわあああああああああああああああああああああ!」

 

「リーダー!チーム2,6,7の反応が消えました!!」

 

「何だと!?何だ!何が起こっている!」

 

汗が額を流れていくのがわかった。

そしてリーダーである彼は、2、6、7にはチームの中でもかなりの腕前をもつ四天王のうちの一人と、それには惜しくも及ばぬもかなり互角の勝負までもっていけるほどの人物が二人、それぞれ2、6、7で先陣をきっていたことを思い出す。

余計に不安が積もっていく中、ピピっとインカムが鳴って、焦る女性の声が聞こえてくる。

 

「レッド様!リーダー!こちら指令部!聞こえますか!?」

 

「「ああ!一体何事なんだ!?」」

 

「…えと、小惑星に異常なエネルギー反応がみられるんです!それも、人工的な…一旦その場から離れてください!」

 

「了解!総員、急いで退避!鏡の中へ!」

 

「チッ」

 

舌打ちするものもいたが構わず、すぐさまレッドは大きな鏡を召喚し、少し離れた所へ皆を転移させる。

 

そしてレッドは再び鏡を召喚し、小惑星の近く、さっきいた場所に設置しておいた鏡に映る出来事を、こちらの鏡と通信して見れるようにした。

 

何だ…?

 

不安げに一同が鏡を見つめる。

数秒、双方に沈黙。

 

『ゴゴゴゴゴゴゴゴ……』

 

不気味な音が通信鏡からだけでなく、直接耳にも届いてくる。相当な音量、振動。

 

直後、目映い光に思わず目をつぶった。

 

 

 

 

 

 

 

────

 

 

───────

 

 

 

衝撃。今までに感じたことない、とてつもない衝撃と、爆発音がかなり遠くまで一時退避しているはずのレッド達をも包み込んだ。

 

 

 

 

 

────────はっ!?

 

 

「…………なんだと?」

 

 

 

鏡には、爆発の勢いで速度の増していく隕石と、緑色の炎を纏った小惑星が映し出されていた。

 

緑色の炎。それが意味するのは───。

 

「はは…そうか…そういうことか」

 

「ふは…ははははははははははははっ!」

 

レッドは狂ったように笑った。

見事なまでに情けない自分に向かって。

 

またか。また同じなのか。

また俺は。また俺のせいで失敗するのか。

今まで何度失敗してきた!?ギリギリ惑星は守れてきたのに。ついにその惑星すらも守れなかったというわけか。笑える。滑稽だよ、実に、俺は。

 

誰にもすがるんじゃなかった。誰も頼るんじゃなかった。

 

「おい…レッド様笑ったぞ…!?」

 

「やっぱりこれを仕組んだのはレッド様──いや、レッドだったんだ!」

 

「ならば、レッドを倒せば隕石たちの衝突も止められるんじゃないか!?」

 

「そうだな」

 

「わが惑星のため、家族のため、少しでもかすなな望みがあるのなら俺は戦うぞ!」

 

「俺もだ!」

 

「私も!でも、隕石の方もやらなきゃだよね!そっちは私がもっと細かくするから!」

 

「分かった。俺達はレッドを倒す!隕石は頼んだ!───ほら、お前も行くぞ、サマンサ」

 

「え……?何でレッド様と戦おうとしてるの、リーダー?私、頭悪いけど、分かるよ。レッド様は悪くない!」

 

「何言ってるんだ、サマンサ!レッドは笑ったんだ!この状況で!それに、レッドは昔から素行が悪くて有名だっただろ!?きっと今までだって大臣やらに言われるがままだったんだ!そして今回本性を表したに違いない!」

 

「何で決めつけるの…?レッド様は毎日心から深く傷つき、苦しんでいたのに…!知らないくせに…!───ねぇ!レッド様!?私は、サマンサは信じています!」

 

サマンサが目を潤わせて叫び、レッドに答えを求めてくる。

 

俺は──。

俺は無力だ…。他を信じた俺が馬鹿だった。

ファルサが今さら協定を結んでくることに疑問を抱かないほうがおかしかったのだ。

 

もとよりかなり仲が悪かった。──というより、ファルサがこちらを良く思っていなかったのだ。卑怯な手で貿易関係を妨害したり、ファルサの挑発で戦争しそうになったことも、ファルサの命を受けたファルサの民が民に紛れ込んでレッドの民にデマを流し混乱させたときもあった。ありとあらゆることで妨害されてきたのだ。

 

緊急事態だからと焦っていたのか、俺は!?

緑色の炎はファルサの固有能力だ。他にあの色であれほどのエネルギーをもつ炎を操れる奴は少なくともこの宇宙の中で一人もいないだろう。

 

固有能力とは、そのままの意味である。

一つの星につき一人だけいる、守護者。

星の守護者は必ず一つは固有能力を持っているのだ。

固有能力と言うだけあって、全宇宙の中で同じ能力を持っている者はいない。似ているのはたまにあるが。

 

レッドとブルーは鏡。特に兄弟である俺達は特殊で、レッドは赤いエネルギーで戦闘に特化、ブルーは青いエネルギーで防御に特化している。

先述のように、ファルサは緑色のエネルギーで炎。

他に隣する星の守護者は、惑星アルゲオは水色のエネルギーで氷の能力、惑星ルプスは茶色のエネルギーで木々の声を聞くこと、惑星ニヒルは紫色のエネルギーで素手で触れたものを砂にする能力(一日三回のみ)、惑星クラヴィスは深緑色のエネルギーで天候操作。最初に行った惑星ドクトゥスは…何だっただろうか…思い出せそうで思い出せない…。

 

 

最近ファルサの妨害が減ってきて一安心してたが、それは恐らくこの計画の準備のためだったのだろう。

 

恐らく民の間に爆発的に広がっていったデマもファルサの仕業だろう。

 

───ファルサの目的は何だろうか。

 

そう考えたときに浮かぶものは。

 

何故あんなに妨害してくるのか、と問い詰めたときのことだ。

 

「何言ってるんだい、レッド。僕は別に君が嫌いなんじゃないんだよぉ?むしろ大好きなんだよ?それはもちろん君に恋しているとか君と友達だとかじゃないよ?君の反応を見るのが大好きなんだよぉ?最高だよ?実に、君が苦しんでもがいて、あげく何も救えなかったときの失望した君がね?」

 

狂ってる。奴は狂っている。

人が苦しむことを、壊れていくことを、そして──死ぬことを楽しんで傍観しているのだ。

それに奴は頭がよくきれるので何度も策略にはまってきたし、自身が負傷することを怖がらないところも恐ろしい点の大きなひとつと言える。

ただただ自分が楽しむことしか考えてない。

 

あと、気になることがもうひとつ。

 

───今になるまで記憶がぼやけていたことだ。

ファルサに会うといつも心の底から溢れんばかりの怒りがこみ上げていた。ましてや、いくら星が危ない事態になったとしてもファルサにだけは助けを求めたりはしないと思っていた。もちろん会おうともするわけがない。

 

いくら俺が馬鹿だとしてもおかしいのだ。

ファルサにそんな力は無いはず───しかし、そう言えば。

 

一番最初に頼みに行った星の守護者の固有能力は、

 

 

記憶消去であることを思い出した。

 

 

ただ、脳は記憶をいろいろな他の記憶に関連させて覚えていくため、曖昧にする程度しかできないらしい。

 

勿論、これも今思い出したことだ。

さっき出かかっていた記憶をやっと思い出せた。

 

ということは、他の星もグルか。

まぁ恐らく、ファルサが脅迫したのだろう。

みな、あいつが、あいつの星の奴らが好戦的なことは知っている。そして、とてつもなく強いことも。

 

自分の星を守るため、そうせざるを得なかったと。

言い換えれば、自分達の星のために消えろと。

 

そういうことなのだ。

誰かに頼るというのはそういうことなのだ。

相手が善意で協力してくれる訳がない。

仲間など必要ない。どれだけ愛してもどれだけ時間をかけて築いたものも全て、壊れ、壊される。

絆も希望も愛もいらぬ。傷つくだけの曖昧なものは全て消してしまえ。自分の欲しいもの以外を見るな。自分のもの以外を見たらもう、それすらも手放しかねないのだから。

 

何としてでも小惑星を壊す。粉々に打ち砕いてファルサの笑い声を無くしてやる。惑星レッドを守り、ファルサの意外そうな顔をおがんでやる。

 

改めてそう誓ったのだった。

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