めぐみ…俺がきっと…。   作:たけぎつね

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みなさん、お気づきでしょうか?今までレッドやブルー、ファルサ達は『守護者』と書かれていたことを。
この設定は今後も続行です。
宗教的にも、このキャラたちの性格的にも、『神』とは言えないので。あくまで、力が強く、ずっと星を守り続けるという宿命を背負った、星の代表であり、星の守護者です。

そのため、これからひめやゆうこ、いおな達がブルーを呼ぶときは呼び方が変わります。
クリスマス回のブルーの台詞は『彼も僕と同じ…守護者だ!』ってことになります。ご了承下さい


サヨナラ。

「あぁ…俺は何もしていないさ…なぜわざわざ守護者たる俺がこの星を破壊しようとすると思うものか。そして、今は言い合っている余裕など無い!隕石たちを全力で破壊するまでだ!文句がある奴はこれが片付いたらいくらでも相手してやる!」

 

レッドは言い合っているサマンサ達に向かって言う。

 

「レッド!だから、お前と言い合いたい訳じゃないんだ!お前が原因の可能性があるから───」

 

「──リーダー。まず隕石、壊さないと、もともこもないですよね?」

 

「サマンサ……何故お前はこいつの肩をもつ!」

 

「尊敬してるからよ!信じてるからよ!

ねぇ、リーダー!急がないと!今も星の速度は上がってるの!!!」

 

「わかったよ…総員!とりあえず隕石を片付ける!」

 

「「「「「「「了解!」」」」」」」

 

鏡を通り、次々とさっきの隕石に向かっていく。

とりあえずは、といったところかと少し安堵したのもつかの間、インカムから焦るチームの声が聞こえてくる。

 

「とは言ったものの、やはりこいつら硬いですよ、リーダー!しかも、暑くて移動速度が速い!このままでは…」

 

「うろたえるな!我らの故郷を守るためだ!何としてでも隕石どもを破壊する!だが、我々も当然、必ず生きて帰る!」

 

リーダーは叫び、自身も再出撃していく。レッドとサマンサも顔を見合せ、頷き合い、大きめの隕石のもとへ。

 

リーダーは両手斧で隕石を細かく分断し、サマンサは小柄な体型に見合わぬ巨大ハンマーを軽々と振り回して粉々に打ち砕き、レッドは赤いエネルギーで生成したビームや鋭利な刃物を一斉に放ち破壊していく。

 

かなり戦況は良くなったかに見えた。誰もが達成感を感じていただろう。ただ、ファルサ達を除いて。

 

「レッド様!危ないっ!!」

 

「!?待て、サマンサ!何を…」

 

───もし今、何故こんなことをしたのかと彼らに問うならば、

 

 

「だって、つまんないじゃん?友情とか見せられても吐き気がするからね?ほら、よく言うじゃんか?創るより壊すのは簡単なんだよぉ?君たちが汗水たらして創り上げてきたものを一気にぶっ壊すんだよっ?最高じゃない?」

 

と笑顔で言うだろうさ。

 

「私は、レッド様を信じています!」

サマンサは笑顔でそう言った。

レッドをハンマーで加減しつつも横から吹き飛ばして。

そして彼女は、

 

 

 

 

 

 

 

目の前で、消えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「───サマンサァァァァァァァァァ!!!!」

 

気付けばレッドは泣き叫びながら、エターナルゲージを発動させていた。星の人々も、防衛チームの人々も鏡に閉じこめた。宇宙でレッドは独り、惑星レッドが破壊されていく様をただ呆然と見つめるしか出来なかった。

 

 

緑色の炎に包まれた彗星のごとき速さの隕石が、

 

 

惑星レッドに衝突した。

 

 

それは、長い長い出来事。

追い打ちをかけるように次々に隕石が惑星に降り注ぐ。

レッドは立ち尽くして、見た。

 

焼かれていく星を。

 

消えていく命を。

 

灰となる自然を。

 

倒壊する文明を。

 

そしてついさっき、消滅するサマンサを、見た。

 

自分が背後の微かな気配に気付いていれば。

隕石がこれ一つだけだと思っておなければ。

小惑星が、しかも様々な大きさの隕石までもがかたまって移動してきていることを少しでも怪しみ、警戒していれば、もしかしたら、サマンサはしななかったかもしれない。

 

サマンサは。

ハンマーを扱える勤勉で優秀なあの小惑星は。

あの、笑顔を浮かべて信じてると言った少女は、

レッドを庇い緑色の隕石に衝突し、消滅した──死んだ。

 

もう、終わりだ…。

星も、信じる気持ちも、民も、希望も、夢も、自然も、関係も全て。

火の海。忌々しき緑色の炎と本来の赤い炎がうずめいている。

 

何日か経ち。

 

いくつもの隕石は大きなクレーターを作りながら全てを壊していく。

 

放心状態のレッドはふらつきながら惑星レッドに降り立ち、周りをみる。とりあえずそこに、集めてきた全ての鏡に閉じこめた人々を置く。

 

ここはかつて、一番の都市だったところだ。いつも人々で溢れかえり、お祭りのごとき賑わいをみせていた。それが今は、緑色の炎が微かに残り、煙がたちこめているただの荒れ地とクレーター。

 

次に、宮殿へ。そこは、数本の柱が立っているのみで、他にはもう残っていなかった。

 

奇妙な化物以外は。

 

赤いエネルギーを纏い、黒いサングラスをかけた『サイアーク!』と時々うめき声をあげる化物。

 

ああ、これか、と思った。ふ

自分の力は知っていたが、そういえば使ったことのない技だったな、と振り替える。

エターナルゲージ。永遠の檻、という意味だったきか。

人々の負の感情を鏡に写しとって実体化させた化物、サイアークを生み出す。

 

その檻の特徴は四つ。

一つ目は、鏡でその人物の負の感情を写し出し、サイアークにすること。

 

二つ目は、心に蓋をして閉じ込めておくこと。

 

三つ目は、その檻は外部からの鏡への直接攻撃によって傷ひとつつかないこと。

 

四つ目は、エターナルゲージから解放するにはサイアークの浄化が必要なこと。最悪な気持ちを浄化すること。

この星の人々やチームの人々の最悪なことは、隕石のこととレッドのことだということは予想がつく。つまり、レッドには浄化は不可能。もしも原因が違う者がいるとしても、荒野となり全てが消えてしまったこの星に望めるものなどもう無いので、不可能。

 

「すまないな…民よ」

 

とっさの判断で惑星レッドの人々を全てエターナルゲージで閉じこめたのは、命を守れたという点では良かったと言えるだろう。だが、レッドには浄化が出来ないため、ずっと負の感情を発散させるべくサイアークはこの星を徘徊し続けるだろう。まぁ、この星の状況を見せるよりはいいかもな、と思いながら、レッドは砂埃の舞う荒れ地に寝転がり空を見上げる。───と。

 

「なんだ、あの星は……!」

 

澄んだ青が緑や茶色の大地を包んでいる、命に溢れた星がすぐ近くに。あれは、確かブルーの星…民には地球と呼ばれているのだったか…。

美しい星だ…そして、憎い星だ…。

人々は笑顔に溢れて生活している。幸せそうに毎日を過ごす。だが、正しき者ほど傷ついていく理不尽さは何処の星も同じようだ。人々は疑い、憎み、騙しあう。

 

愛は幻のように儚く散る。

幸せはたった一瞬のことだが、不幸は長く続く。

 

 

 

 

────深く深く、沈んでゆく。

 

 

独り静かに落ちていく。

 

なにも聞こえない。

 

見えるのは、目線の先に僅かに輝く光だけ。

 

それを覆っていく赤く黒い影のもや。

 

レッドを柔らかく包んでいく。

 

《もう、苦しむ必要はないよ》

《もう、悩まなくてもいいよ》

 

本当、か?

 

《君には闇がお似合いなんだ》

 

闇?

 

《そうだよ。何色にも染まらない、深い深い闇さ》

 

《さぁ、壊そうよ。大切な人を失う前に》

 

壊、す…。

 

《大切な人が悲しむ前に》

 

 

奥底から聞こえてきて。

 

そして、

 

 

───なにかが溢れ。

 

 

 

 

 

───なにかが、きえた。

 

 

 

 

 

「──幸せは一瞬、愛は幻」

 

 

 

「俺が、全て壊す。誰かが悲しむ前に全て無かったことにする…」

 

 

☆☆☆

 

 

 

───っ。

 

「おい、起きろ」

 

誠司は、ソファの背もたれで瞼を閉じているレッドに声をかける。

 

「──あ?」

 

「どーして寝てたんだよ?」

 

「あぁ、そうか。終わったのか。別に寝てた訳ではない。記憶を写す鏡を使うとその記憶の持ち主は気を失うんだよ…」

 

「ふーん…」

 

 

先程まで誠司は『レッドの記憶を写した鏡』の中にいた。

レッドの記憶を、全て疑似体験した。

思考がテレパシーのように流れ込んできた。

レッドの言動を、誠司は横からただ眺めた。

眺めることしか出来なかった。

 

その鏡の空間の中では、誠司自身が何かを考えることも感じることも、話すことはおろか身体を動かすことも出来なかった。

 

鏡から出され、部屋に戻ってきたとき、恐ろしかった。

怖かった。寒かった。

 

この男はこれほどのことを体験し、経験したのだと。

そしてここに、この地球に来たのだと。

 

行動理念は『悲しむ前に全て無かったことにする』。

愛という幻に惑わされて打ち砕かれるくらいならばもとより愛などいらない、と。

 

対して誠司は『めぐみを悲しませるものは消す。めぐみが幸せになる世界をつくり、出来れば一緒にいたい』という願い。

 

 

だが、目的は世界の破滅。

ブルーの破滅。

そこは一致している。

 

「まぁ、なんだ、その…お前も…大変、だったんだな…」

 

「……何がいいたい?」

 

「何がも何も、ただ俺は辛いんだろうなーって思っただけだ。そうだ、地球ぶち壊したらファルサ倒しにいくか」

 

「貴様、俺に同情でもしたのか?」

 

「するさ。俺だって…何も出来なかった。お前ほどのスケールじゃないけどな。それに、そいつがめぐみを襲ってくるかもしれないだろ!?」

 

「そういうことにしておいてやるよ」

 

レッドがへっ、と笑んで言う。

 

「はっ!?何言ってんだ─」

 

誠司は目を丸くして赤い顔でレッドの言葉に食いつく。

 

「──誠司、小娘を鏡の中へ運ぶぞ、手伝え」

 

「分かったよ…」

 

言葉を遮られた上に命令までされたが、不思議と嫌な気分にはならなかった。

そして、レッドが自分を名前で呼んだことに少しだけ嬉しさを感じたのだった。

 

 




【訂正】神殿→宮殿
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