銀河の竜を駆る少女   作:Garbage

144 / 164
降り注ぐ弾丸

 

 

 

 

 

☆TURN03(皐月)

 

「私のターン、ドローです」

 

 皐月の脳裏にチラつくのはターン終了時に深淵の青眼龍の効果でデッキからサーチしたディープアイズ・ホワイト・ドラゴンの存在だ。レベル10の大型モンスターであるが、ブルーアイズモンスターの破壊をトリガーに特殊召喚できるモンスターであるため、迂闊に破壊しようものなら少なくとも攻撃力3000以上のモンスターが突然現れることになる。

 

(ディープアイズ・ホワイト・ドラゴンは厄介ですが……それを恐れていてはカオス・MAXに押し切られてしまいます。だったら!)

「私は手札から魔法カード、死者蘇生を発動します! 墓地のレッドアイズ・ダークネスメタルドラゴンを特殊召喚します!」

 

レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン DEF2600

 

「げ、レダメ戻ってきた……」

―――とはいえ守備表示だから攻撃には参加できないがな。

―――でも……どうして守備表示なんだろう……?

 

 鈴のフィールドには守備表示モンスターに対する貫通ダメージを倍増させるブルーアイズ・カオス・MAX・ドラゴンが存在している。そのため、守備力2600のレッドアイズ・ダークネスメタルドラゴンを攻撃すれば、その差分である1400×2=2800のダメージが皐月を襲うことになる。今の皐月のライフを鑑みても、この2800というダメージは致命傷としては十分だ。

 

(……カオス・MAXの効果を皐月は知らないわけがない。となるとレダメを守備表示にするってことは……)

 

 皐月の脳内ではカオス・MAXを処理するだけの算段がある、ということだ。

 

「レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴンの効果を発動します。手札・墓地からドラゴン族モンスター1体を特殊召喚します!」

 

 レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴンの咆哮によって地面を突き破ってヴァレルエンド・ドラゴンが現れる。EXデッキから特殊召喚される大型モンスターは一様にして召喚制限がついていたりするのだが、ヴァレルエンド・ドラゴンにはそれらの召喚制限がない。そのため一度正規の方法でリンク召喚に成功していれば、蘇生・帰還が可能なのだ。

 

「ヴァレルエンド・ドラゴン……でも攻撃力じゃカオス・MAXには及ばないわ!」

「確かに攻撃力500の差はそう易々と埋められるものではありません。ですが、ヴァレルは銃口。銃口は銃弾を撃ち出すことでその真価を発揮します! マグナヴァレット・ドラゴンと墓地のヴァレット・トレーサーを対象に、ヴァレルエンド・ドラゴンの効果を発動します!」

 

 ヴァレルエンド・ドラゴンの効果の対象になったマグナヴァレット・ドラゴンは自身を文字通り弾丸に変え、ヴァレルエンドの身体に装填される。ヴァレットモンスターの共通効果の一つが“リンクモンスターの効果の対象になった時に自身を破壊し、各モンスターごとの固有効果を発動する”というものだ。

 

「ヴァレルエンドの効果はフィールドの効果モンスター1体と墓地のヴァレットモンスターを対象として発動します。その効果モンスターの効果を無効にし、墓地のヴァレットモンスターを特殊召喚する効果です。ですが、その効果にチェーンしてマグナヴァレットの効果が発動します」

 

チェーン2(皐月):マグナヴァレット・ドラゴン

チェーン1(皐月):ヴァレルエンド・ドラゴン

 

「チェーン2のマグナヴァレット・ドラゴンの効果、マグナヴァレット・ドラゴンを破壊し、フィールドのモンスター1体を選んで墓地に送ります!」

「っ……!そういうことね!」

 

 マグナヴァレットを装填したヴァレルエンドの銃口がカオス・MAXを捉える。カオス・MAXは相手の効果の対象にならず、効果では破壊されないモンスターだ。しかし、マグナヴァレットの効果は対象を取る効果ではなく、そして“墓地に送る”効果であるためカオス・MAXの破壊耐性をすり抜けるのだ。

 

「ヴァレルエンド! カオス・MAXをその弾丸で撃ち抜きなさい!」

 

 放たれた一筋の弾丸が、カオス・MAXの心臓を撃ち抜いた。断末魔の咆哮と共に、カオス・MAXの身体がボロボロとガラスのように崩れ落ちていった。

 

「カオス・MAX!」

「そしてチェーン1のヴァレルエンドの効果……と言いたいところですが、マグナヴァレットの効果が無効になっていないので蘇生は行えません」

―――やられたな、破壊ではなく墓地送りだからディープアイズを特殊召喚できない。

―――相手のフィールドには、攻撃力3500のヴァレルエンド……

「ヴァレルエンドは相手フィールドの全てのモンスターに攻撃できます。最もモンスターがそもそも1体しか存在していないのであまり意味を成しませんが。バトルです! ヴァレルエンド・ドラゴンで深淵の青眼龍を攻撃します!“終幕のヴァレル・ストリーム”!」

 

ヴァレルエンド・ドラゴン ATK3500 VS 深淵の青眼龍 ATK2500

 

鈴 LP8000→LP7000

 

「きゃあっ! だけど、手札のディープアイズ・ホワイト・ドラゴンの効果を発動するわ! ブルーアイズモンスターが破壊されたことでこのカードを手札から特殊召喚する! そして墓地のドラゴン族の数×600のダメージを与えるわ!」

 

 鈴の墓地のドラゴン族モンスターはカオス・MAX、深淵の青眼龍、青眼の白龍、伝説の白石の4種類。よって2400のダメージが閃光となって皐月に降り注いだ。

 

皐月 LP4750→LP2350

 

「……あっという間にライフが……」

「ディープアイズ・ホワイト・ドラゴンのもう一つの効果。召喚・特殊召喚に成功した時、墓地のドラゴン族1体の攻撃力をコピーするわ。カオス・MAXの攻撃力4000を写し取って!」

 

ディープアイズ・ホワイト・ドラゴン ATK0→ATK4000

 

(ヴァレルエンドの攻撃力は超えれたけど……)

「バトルフェイズを終了し、メインフェイズ2に移ります。とはいえ、私にできることはありません。ターンエンドです。そしてターン終了時に破壊されたマグナヴァレット・ドラゴンの効果を発動します。デッキから同名カード以外のヴァレット1体を特殊召喚します! 私が特殊召喚するのはアネスヴァレット・ドラゴンです!」

 

 

皐月 LP2350 手札1枚

デッキ:25 メインモンスターゾーン:3(ヴァレルエンド・ドラゴン、レッドアイズダークネスメタル・ドラゴン、アネスヴァレット・ドラゴン)EXゾーン:0 魔法・罠(Pゾーン:青/赤):0 墓地:14 除外:2 EXデッキ:9(0)

鈴 LP7000 手札0枚

デッキ:28 メインモンスターゾーン:1(ディープアイズ・ホワイト・ドラゴン)EXゾーン:0 魔法・罠(Pゾーン:青/赤):1 墓地:10 除外:0 EXデッキ:15(0)

 

 

皐月

 □□□□□

 ア□ヴレ□□

  □ □

□□□デ□□

 □伏□□□

 

 

○凡例

デ・・・ディープアイズ・ホワイト・ドラゴン

 

 

○TURN04(鈴)

 

「あたしのターン、ドロー!」

 

 単純なライフの差だけ見れば、鈴が圧倒的に有利ではある。しかし、ボード・アドバンテージを念頭に入れると流れは皐月の方にある。ディープアイズ・ホワイト・ドラゴンは特殊召喚成功時に墓地のドラゴン族モンスターの攻撃力を得るのだが、それはあくまで効果で低い攻撃力を補っているからこそ成り立つのであって、その効果自体を無効化されてしまうと元も子もない。そして、ヴァレルエンド・ドラゴンの無効効果は相手ターンでも発動できる。そのため迂闊にディープアイズで攻めようものなら効果を無効にされた攻撃力0のモンスターを晒すだけになってしまうのだ。

 

(レダメくらいは倒しかったけど……)

「あたしはディープアイズを守備表示に変更。モンスターをセットしてターンエンド」

「そうするしかありません……よね? ですが、手は緩めません。エンドフェイズの前にヴァレルエンド・ドラゴンの効果を発動します。対象はディープアイズ・ホワイト・ドラゴンと墓地のヴァレット・トレーサーです」

 

 守りを固めようとした鈴であるが、その隙を逃す皐月ではない。ヴァレルエンドの効果によって、ディープアイズの効果は無効化され、皐月の墓地からはヴァレット・トレーサーが舞い戻る。効果を無効化されたことでディープアイズの攻撃力は0に戻されてしまった。

 

ディープアイズ・ホワイト・ドラゴン ATK4000→ATK0

 

(これでディープアイズ・ホワイト・ドラゴンは無力化できた。しかし、先ほどからセットしてあるあのカードは……)

 

 

皐月 LP2350 手札1枚

デッキ:25 メインモンスターゾーン:3(ヴァレルエンド・ドラゴン、レッドアイズダークネスメタル・ドラゴン、アネスヴァレット・ドラゴン、ヴァレット・トレーサー)EXゾーン:0 魔法・罠(Pゾーン:青/赤):0 墓地:13 除外:2 EXデッキ:9(0)

鈴 LP7000 手札0枚

デッキ:27 メインモンスターゾーン:2(ディープアイズ・ホワイト・ドラゴン)EXゾーン:0 魔法・罠(Pゾーン:青/赤):1 墓地:10 除外:0 EXデッキ:15(0)

 

 

皐月

 □□□□□

 ア□ヴレト□

  □ □

□□□デ伏□

 □伏□□□

 

 

○凡例

ト・・・ヴァレット・トレーサー

 

 

☆TURN05(皐月)

 

「私のターン、ドローです。ヴァレット・トレーサーの効果を発動します。フィールドのカード1枚を破壊し、デッキからヴァレットモンスター1体を特殊召喚します。アネスヴァレットを破壊し、シルバーヴァレット・ドラゴンを特殊召喚します!」

 

 アネスヴァレットの攻撃力は0(守備力は2100)と攻撃に向かないモンスターであるが、そのアネスヴァレットを破壊して現れたシルバーヴァレットは攻撃力1900と下級のヴァレットモンスターの中では最も高い攻撃力を持っている。

 

「レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴンを攻撃表示に変更」

 

レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン ATK2800

 

「更に私はレベル4のシルバーヴァレット・ドラゴンに、レベル4のチューナーモンスター、ヴァレット・トレーサーをチューニング! 再び出撃せよ! ヴァレルロード・S・ドラゴン! S召喚に成功したヴァレルロード・S・ドラゴンの効果を発動します。墓地のスリーバーストショット・ドラゴンを装備し、ヴァレルカウンターを3つ乗せます。そして攻撃力を1200上昇です!」

 

ヴァレルロード・S・ドラゴン ヴァレルカウンター:3 ATK3000→ATK4200

 

「更に私はレッドアイズ・ダークネスメタルドラゴンの効果を発動。墓地のシルバーヴァレットを特殊召喚。そしてヴァレルエンドの効果でディープアイズの効果を無効にし、墓地のヴァレット・トレーサーを特殊召喚します!」

 

ディープアイズ・ホワイト・ドラゴン 効果無効

 

 皐月のフィールドにはEXゾーンに攻撃力4200かつ1ターンに1度効果の発動を無効にできる効果を3度発動できるヴァレルロード・S・ドラゴン、メインモンスターゾーンには攻撃力3500で破壊耐性持ちかつ相手フィールドの全てのモンスターに攻撃できるヴァレルエンドをはじめとしたモンスター4体が並ぶ。その総攻撃力は14000に達しており、鈴の残りライフ7000の倍の数値に値する。

 

「ヴァレルエンドは相手フィールドの全てのモンスターに一度ずつ攻撃することができます。いくら壁モンスターを並べたところで無意味です」

「……」

「わずか4ターンで終わるのも忍びないですが、これもデュエルですので。バトルです! ヴァレルエンド・ドラゴンで守備表示のディープアイズ・ホワイト・ドラゴンを攻撃!“終幕のヴァレル・ストリーム”!」

 

ヴァレルエンド・ドラゴン ATK3500 VS ディープアイズ・ホワイト・ドラゴン DEF0

 

「破壊されたディープアイズ・ホワイト・ドラゴンの効果を発動するわ! 相手フィールドのモンスターを全て破壊する!」

「その効果にチェーンしてヴァレルロード・S・ドラゴンの効果を発動します!」

 

チェーン2(皐月):ヴァレルロード・S・ドラゴン

チェーン1(鈴):ディープアイズ・ホワイト・ドラゴン

 

「チェーン2のヴァレルロード・S・ドラゴンの効果! 1ターンに1度、ヴァレルカウンターを1つ取り除くことで相手のカード効果の発動を無効にします! ディープアイズ・ホワイト・ドラゴンの効果は無効です!」

 

ヴァレルロード・S・ドラゴン ヴァレルカウンター:3→2

 

「ディープアイズの効果で起死回生、とは行きません。ヴァレルエンドでもう1体のセットモンスターも破壊します!」

 

ヴァレルエンド・ドラゴン ATK3500 VS 太古の白石 DEF500

 

「太古の白石でしたか。まあ上級主体の青眼デッキでセットできるモンスターはそれほど多くありませんからね。これであなたのフィールドのモンスターは0。一気に決めます! ヴァレルロード・S・ドラゴンでダイレクトアタック!“天雷のヴァレル・カノン”!」

 

ヴァレルロード・S・ドラゴン ATK4200

 

「……攻撃したわね?」

「えっ……?」

「皐月、あんた勝ちを急ぎ過ぎよ。普段のあんたならもっと慎重に行ったかもしれないのに」

「まさかそのセットカード……」

「リバースカードオープン! 罠カード《聖なるバリア-ミラーフォース-》!」

 

《聖なるバリア-ミラーフォース-》

通常罠

(1):相手モンスターの攻撃宣言時に発動できる。相手フィールドの攻撃表示モンスターを全て破壊する。

 

「せ、聖なるバリア-ミラーフォース-!? な、何故そのようなカードを……!」

「あら、リンクモンスターは守備力を持たないから守備表示にできない。カオス・MAXの効果が決めにくい以上そのメタカードをあたしが入れることはおかしなことじゃないと思うけど?」

 

 ヴァレルロード・S・ドラゴンの効果発動無効は1ターンに1度のみしか発動できない。ディープアイズ・ホワイト・ドラゴンの被破壊時効果こそ把握していた皐月であるが、まさか同様の効果を持ったカードを重ね掛けしてくるとは思っていなかった。天雷のヴァレル・カノンがミラーフォースによって跳ね返され、弾丸が皐月のフィールドに降り注ぐ。戦闘・効果で破壊されないヴァレルエンドはその攻撃を受け付けないが、攻撃を放ったヴァレルロード・S・ドラゴン、そしてレッドアイズ、シルバーヴァレット、ヴァレット・トレーサーの計4体は為す術もなく貫かれていった。

 

「底知れぬ絶望の淵に沈め!……なんてまぐれ当たりのカード使って言うのはなんか恥ずかしいわよね。でも、これであんたのモンスターはヴァレルエンドを除いて全滅。戦況は五分に戻ったわ!」

「……私もまだまだ未熟者、ということですね。わかりました。この有様を受け入れます。バトルフェイズを終了してメインフェイズ2に移ります。私はカードを1枚セット。ターンエンドです。ターン終了時に破壊されたシルバーヴァレットとアネスヴァレットの効果を発動します」

「だったらあたしもターン終了時にこのターン墓地へ送られた太古の白石の効果を発動するわ」

 

チェーン3(皐月):アネスヴァレット・ドラゴン

チェーン2(皐月):シルバーヴァレット・ドラゴン

チェーン1(鈴):太古の白石

 

「チェーン3のアネスヴァレットの効果で2体目のシルバーヴァレットを、シルバーヴァレットの効果で2体目のマグナヴァレットを特殊召喚します」

「結局増えるんだから、もう……太古の白石の効果であたしはデッキからブルーアイズモンスター1体を特殊召喚するわ。あたしは青眼の白龍を攻撃表示で特殊召喚! 効果を持たないモンスターなら、ヴァレルエンドの対象にできないのよね?」

「はい。これでターンエンドです」

 

 

皐月 LP2350 手札2枚

デッキ:21 メインモンスターゾーン:3(ヴァレルエンド・ドラゴン、シルバーヴァレット・ドラゴン、マグナヴァレット・ドラゴン)EXゾーン:0 魔法・罠(Pゾーン:青/赤):0 墓地:18 除外:2 EXデッキ:8(0)

鈴 LP7000 手札0枚

デッキ:26 メインモンスターゾーン:1(青眼の白龍)EXゾーン:0 魔法・罠(Pゾーン:青/赤):0 墓地:13 除外:0 EXデッキ:15(0)

 

 

皐月

 □□□□□

 シ□ヴ□マ□

  □ □

□□青□□□

 □□□□□

 

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。