(……ここまで、かもしれませんね。でも、私が負けても他の皆さんが成し遂げてくれるはずです)
☆TURN05(ホワイト)
「俺のターン、ドロー!! このデュエル、俺の勝ち筋は……《HSRカイドレイク》あたりをS召喚することかな?」
《HSRカイドレイク》
シンクロ・効果モンスター
星8/風属性/機械族/攻3000/守2800
機械族・風属性チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上
このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードがS召喚に成功した場合、以下の効果から1つを選択して発動できる。
●このカード以外のフィールドのカードを全て破壊する。
●相手フィールドの全ての表側表示のカードの効果を無効にする。
(2):このカードが相手によって墓地へ送られた場合に発動できる。デッキから「スピードロイド」モンスター1体を手札に加える。
「……はい。カイドレイクはS召喚成功時に自身以外のフィールドのカードを全て破壊する効果を持っています。その効果を通せれば、攻撃力3000のダイレクトアタックが可能ですので」
ホワイトからしてみれば墓地に存在しているSRのチューナーモンスター、三つ目のダイスを特殊召喚できる《SRダブルヨーヨー》やSRモンスターのサーチが可能な《SRベイゴマックス》を特殊召喚してからの《SRタケトンボーグ》から2体目の三つ目のダイスに繋げればカイドレイクのS召喚にまで繋げられるのだ。
「ああ、だが……俺もここまでのようだ」
「えっ……?」
「何度も言わせんな、カイドレイクに繋げられるカードを引けなかったんだよ」
そう言ってその場に胡坐をかいて座り込むホワイト。
「サレンダーはしない。俺は騎士だ、自分から死を選ぶくらいなら殺される方を選ぶ」
「……わかりました」
何もせずにターンエンドを宣言したホワイト。そして皐月にターンが回り、ヴァレルソード・ドラゴンが攻撃態勢に移る。
「私は、今回自分の実力で勝ったとは思えません。もしまたいつかデュエルできる時が来たならば、今度こそ自分の力だけであなたを超えます」
「……俺もその時を楽しみにしてるぜ。そら、来い!!」
ヴァレルソード・ドラゴン ATK3000
ホワイト LP2500→LP0
*
「皐月!」
「千春さん!」
ほぼ同じタイミングで勝利を収めた千春と皐月は駆け寄ってハイタッチを交わす。デュエルモンスターズの精霊、という未知の相手とのデュエルではあったが、こうして二人揃って勝利を収められたためにその喜びは一入と言えた。
「見事ね、あなたたち人間の力を認めましょう」
「上に行きな、最も……先に行った奴らがどうなってるかはわかんねーけどな」
「まさか、鈴とエヴァも私たちと同じようにデュエルを!!」
こうしてはいられない、とばかりに駆け出す千春と皐月。しかし、皐月は一度立ち止まるとその場に立ったままのパープルとホワイトの方を振り返る。皐月はどうしてもこの後の二人がどうするかが気になってしまったのだ。
「……あの、あなた方はどうされるのですか?」
「俺たちはお前らとデュエルをするために蘇った。その役割はもう終わった以上、もう俺たちにやることはない」
「老兵は死なず、ただ消え去るのみ。そんな言葉があるようね、あなたたち人間の世界には。つまりはそういうことよ」
パープルとホワイトはデュエルモンスターズの精霊でありながら、自身で人の姿を持ち、鈴たちを足止めするためにこうして彼女たちの前に立ちはだかった。彼女たちはそれを理解した上で戦ったのだ。役目を果たした後はこの世界から消えることも覚悟の上で。
「そんな……! ただデュエルをするために生まれたなんて……!」
「ほらほら、お仲間が待ってるぜ。お前は勝ったんだ、俺たちなんか気にせずとっとと行った行った!」
「……!」
ホワイトに無理矢理促される形で先に行かされる皐月。なんで俺たちがあいつを励ましてんだろうな、と呆れたように笑うホワイト。皐月の姿が見えなくなると同時に、ホワイトはパープルの胸に身体を預けた。
「負けて悔しかった? 今なら泣いても誰にも見られないわよ?」
「……るせえ」
「そんな乱暴な言葉遣いしないの。強がってるけど、あなたも可憐な乙女なんだから」
(……私たちはここまで。ねえ、ブラック。もし私たちがこの時代に再度目覚める時が来たならば……“本当の力”を取り戻した上で戦いたいわね)
先程まで千春と皐月が激戦を繰り広げていた場所には静寂が戻る。そこには2枚のカードが落ちていた。
*
「アーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン!? なんだ、そのモンスターは!!」
「これは【ダーク・リベリオン】の新たなる姿。そして私の精霊としての真名にもまた近しき黒竜だ」
《アーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》
エクシーズ・効果モンスター
ランク5/闇属性/ドラゴン族/攻3000/守2500
レベル5モンスター×3
このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):X召喚したこのカードは効果では破壊されない。
(2):このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。このカードの攻撃力は、このカード以外のフィールドのモンスターの元々の攻撃力の合計分アップする。このカードが闇属性XモンスターをX素材としている場合、さらにこのカード以外のフィールドの全ての表側表示モンスターの効果は無効化される。この効果の発動後、ターン終了時まで自分はこのカードでしか攻撃宣言できない。
「X召喚されたアーク・リベリオンはカードの効果では破壊されない。よってレイダース・ナイトのデメリットもこのカードは受け付けない」
―――じゃあ自壊しないということ!? レイダース・ナイトとのコンボ前提で作られたカードなのね……
(天宮 遊望がI2社を根城にするわけだ。I2社で開発途中、まだ世に出回っていないカードを自由に使えるということなのだからな……)
「そしてアーク・リベリオンのもう一つの効果を発動。このカードのオーバーレイユニットを1つ取り除くことで、このカード以外のフィールドのモンスターの元々の攻撃力の合計分アップする!」
「なっ……!?」
アーク・リベリオン以外にフィールドに存在しているのは攻撃力3000のフルアーマード・ウィングと攻撃力2000のレヴォリューション・ファルコン。よってアーク・リベリオンの攻撃力にその2体の攻撃力が加算されるのだ。
「っ、その効果にチェーンしてフルアーマード・ウィングの効果を発動する! アーク・リベリオンに楔カウンターを撃ち込む!」
チェーン2(エヴァ):BF-フルアーマード・ウィング
チェーン1(ブラック):アーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン
アーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン 楔カウンター:1
アーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン ATK3000→ATK8000
「攻撃力……8000……!?」
「そして闇属性Xモンスターを素材にしている場合、このカード以外のフィールドの全ての表側表示モンスターの効果は無効化される!」
他のカードの効果を受け付けないフルアーマード・ウィングはアーク・リベリオンの効果から逃れられるものの、レヴォリューション・ファルコンの効果は永続的に無効にされてしまうのだ。レヴォリューション・ファルコンには特殊召喚された相手モンスターとバトルをする際、その攻撃力を0にできる効果を持っているためその効果を封じられてしまえば攻撃力2000の一介のモンスターに過ぎない。
「ふむ、楔カウンターを乗せられてしまったか。しかし、フルアーマード・ウィングを破壊してしまえばそのコントロール奪取効果は使えまい。バトル。アーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴンでBF-フルアーマード・ウィングを攻撃!“反逆のライトニング・エアレイド”!!」
アーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン ORU:1 ATK8000 VS BF-フルアーマード・ウィング ATK3000
エヴァ LP7600→LP2600
「ぐあああっ!!」
―――エヴァ!!
ワンショットキルこそ防げたものの、エヴァは一気に5000のライフを奪われてしまった。レヴォリューション・ファルコンは予め守備表示でX召喚していたため、アーク・リベリオンに貫通効果を付与するカードでも使われない限りはレヴォリューション・ファルコンを盾にできるものの、それでも凌げるのは1ターンのみであり、エヴァに残された時間は少ないと言っていいだろう。
「私は墓地のダスティローブの効果を発動。このカードをゲームから除外し、デッキから幻影と名のついた魔法・罠カード1枚を手札に加える。私は《幻影霧剣》を手札に加える。そしてカードを2枚セットしてターンエンドだ」
エヴァ LP2600 手札4枚
デッキ:29 メインモンスターゾーン:1(RR-レヴォリューション・ファルコン ORU:2)EXゾーン:0 魔法・罠(Pゾーン:青/赤):0 墓地:6 除外:1 EXデッキ:11(0)
ブラック LP8000 手札3枚
デッキ:33 メインモンスターゾーン:1(アーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン ORU:2 楔カウンター:1)EXゾーン:0 魔法・罠(Pゾーン:青/赤):2 墓地:2 除外:1 EXデッキ:12(0)
エヴァ
□□□□□
□□□□レ□
□ □
□□□ア□□
□伏□伏□
ブラック
○凡例
ア・・・アーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン
☆TURN03(エヴァ)
(あのセットカード2枚のうち、1枚は恐らく幻影霧剣)
《幻影霧剣》(ファントム・フォッグ・ブレード)
永続罠
フィールドの効果モンスター1体を対象としてこのカードを発動できる。
このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードが魔法&罠ゾーンに存在する限り、対象のモンスターは攻撃できず、攻撃対象にならず、効果は無効化される。そのモンスターがフィールドから離れた時にこのカードは破壊される。
(2):墓地のこのカードを除外し、自分の墓地の「幻影騎士団」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターは、フィールドから離れた場合に除外される。
(仮にアーク・リベリオンを倒せるモンスターを出したところで、幻影霧剣で無力化されては元も子もない。わかっているとはいえ、対処の難しいカード……あれをどうすべきか)
「私のターン、ドロー! 手札から永続魔法、黒い旋風を発動! そして手札からBF-蒼炎のシュラを召喚! BFモンスターの召喚に成功したことで、黒い旋風の効果を発動。デッキからシュラの攻撃力1800以下のチューナーモンスター1体を手札に加える。私が手札に加えるのはBF-疾風のゲイル。そしてゲイルは自分フィールドにBFモンスターが存在する場合、手札から特殊召喚できる!」
ゲイルはBFというテーマのカードが登場した最初期から存在するカードであるが、その効果および特殊召喚効果で後発のカードが多数登場した今もなお最前線に位置するカードだ。逆境にあってもそのモンスターをフィールドに呼び込めるあたりエヴァは冷静だった。
「疾風のゲイルの効果を発動! 相手フィールドに存在するモンスター1体の攻守を半分にする!」
「アーク・リベリオンは効果破壊の耐性を持っているが、効果自体に耐性を持っていない。チェーンはしないでおこう」
(幻影霧剣はやはり温存か。まあ次のターンで攻撃力を戻そうと思えば戻せるからな)
アーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン ORU:1 ATK8000/DEF2500→ATK4000/DEF1250
―――……なんとか見れる数値にまで落ちてきたね。
(攻撃力4000が見れる数値という時点でいろいろとおかしいと思うがな。スカーライトの効果でもまだ倒せない以上安心するのは早い)
「私はレヴォリューション・ファルコンとチューナーモンスターである疾風のゲイルをリンクマーカーにセット! サーキットコンバイン! 現れよ、水晶機巧-ハリファイバー!」
チューナーモンスターを含むモンスター2体でリンク召喚可能な水晶機巧-ハリファイバー。今や珍しくなくなったリンクモンスターを代表するパワーカードだ。エヴァに限らず、S召喚を多用するデュエリストならまず間違いなくEXデッキに忍ばせておくカードと言っていいだろう。
「リンク召喚に成功したハリファイバーの効果を発動する! デッキからレベル3以下のチューナーモンスター1体を守備表示で特殊召喚する!」
「……ハリファイバーの効果にチェーンしてリバースカードを発動する! 永続罠、幻影霧剣! 対象はもちろんハリファイバーだ」
(来たか)
チェーン2(ブラック):幻影霧剣
チェーン1(エヴァ):水晶機巧-ハリファイバー
「チェーン2の幻影霧剣の効果でハリファイバーの効果は無効になる」
「チェーン1のハリファイバーの効果は幻影霧剣の対象になったことで無効になる。さて、お前には礼を言わせてもらおう」
「……礼?」
「ハリファイバーにそのカードを使ってくれたことに対する礼だ! 私は墓地のRUM-スキップ・フォースの効果を発動! 墓地のこのカードとRRモンスターであるワイズ・ストリクスをゲームから除外し、墓地のRRXモンスター1体を特殊召喚する! 戻ってこい、レヴォリューション・ファルコン!」
一度リンク素材として墓地に送られているレヴォリューション・ファルコンはアーク・リベリオンの無効効果から解き放たれている。よって戦闘時に自身の対特殊召喚モンスターの効果を発動できるのだ。
「……まんまと幻影霧剣を使わされたということか」
「そうだ。そしてBFモンスターであるシュラがフィールドに存在することで、手札の残夜のクリスは手札から特殊召喚できる。バトルだ! レヴォリューション・ファルコンでアーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴンを攻撃! そして特殊召喚された表側表示モンスターとバトルをするダメージステップ開始時にレヴォリューション・ファルコンの効果を発動! そのモンスターの攻守を0にする!!」
「……戦いにおいて、勝つ者に共通していることがある。勝つ者はいずれも、謀を幾重にも張り巡らせているということだ。リバースカードオープン、レヴォリューション・ファルコンに対して2枚目の幻影霧剣を発動!」
「2枚目だと……!?」
翼と爪を閃かせて襲い掛かろうとするレヴォリューション・ファルコンが霧に包まれて身動きが取れなくなる。ブラックはダスティローブの効果でサーチしたものとはまた別に2枚目の幻影霧剣を素引きしていたのだ。モンスターの効果でサーチ可能とはいえ、非常に汎用性の高いカードである。【幻影騎士団】デッキであれば3積み必至とも言えるカードだった。
―――あちゃー……せっかくアーク・リベリオンを倒せたのに。
「だが、まだ手がない訳ではない。バトルフェイズを終了し、メインフェイズ2に移る。私はリンク2のハリファイバーとレヴォリューション・ファルコンをリンクマーカーにセット! サーキットコンバイン! リンク召喚! 現れよ、トロイメア・ユニコーン!」
―――そっか、その手があったわね!
「リンク召喚に成功したトロイメア・ユニコーンの効果を発動。手札を1枚墓地へ送り、フィールドのカード1枚を対象として発動できる。そのカードを持ち主のデッキに戻す! アーク・リベリオンは残させん!!」
「お前はライフアドバンテージを減らすチャンスを失い、私はエースモンスターを失う。双方痛み分けだな」
ライフアドバンテージこそ埋まらなかったが、アーク・リベリオンという相手の主力モンスターの除去に成功したエヴァ。ブラックの言う通り、このターンはまさに痛み分けと称するのが妥当だろう。しかし、それはエヴァにもう打てる手がない場合の話である。
「痛み分け? そんなわけないだろう。私は墓地の《BF-大旆のヴァーユ》の効果を発動!」
《BF-大旆のヴァーユ》
チューナー・効果モンスター
星1/闇属性/鳥獣族/攻800/守0
(1):このカードはモンスターゾーンに存在する限り、S素材にできない。
(2):このカードが墓地に存在する場合、チューナー以外の自分の墓地の「BF」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターとこのカードを墓地から除外し、その2体のレベルの合計と同じレベルを持つ「BF」Sモンスター1体をエクストラデッキから特殊召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターの効果は無効化される。
大旆のヴァーユはチューナーモンスターでありながら、モンスターゾーンに存在する限りS素材にできない癖の強いモンスターだ。エヴァは手札で腐りかけていたこのカードをトロイメア・ユニコーンのコストに充てることで墓地でのシンクロに繋げたのだ。
「私は墓地のレベル6、毒風のシムーンとヴァーユを除外しシンクロ召喚を行う!“黒き旋風よ、天空を駆けあがる翼となれ!”シンクロ召喚! BF-アーマード・ウィング!」
BF-アーマード・ウィングは通常であれば戦闘破壊耐性を持つが、ヴァーユの効果でS召喚されたモンスターは効果が無効になるため、エヴァは守備表示でアーマード・ウィングをシンクロ召喚する。
「まだだ。私はリンク3のトロイメア・ユニコーン、クリス、シュラの3体をリンクマーカーにセット。サーキットコンバイン! リンク召喚、咆哮せよ! ヴァレルロード・ドラゴン! 私はこれでターンエンドだ!」
エヴァ LP2600 手札1枚
デッキ:27 メインモンスターゾーン:1(BF-アーマード・ウィング)EXゾーン:1(ヴァレルロード・ドラゴン)魔法・罠(Pゾーン:青/赤):1(黒い旋風)墓地:12 除外:3 EXデッキ:8(0)
ブラック LP8000 手札3枚
デッキ:33 メインモンスターゾーン:0 EXゾーン:0 魔法・罠(Pゾーン:青/赤):0 墓地:6 除外:1 EXデッキ:12(0)
エヴァ
□□黒□□
□□□□ア□
ヴ □
□□□□□□
□□□□□
ブラック
○凡例
ヴ・・・ヴァレルロード・ドラゴン
ア・・・BF-アーマード・ウィング