☆TURN04(ブラック)
「私のターン、ドロー」
ブラックはライフアドバンテージこそ圧倒的であるが、ボードアドバンテージではエヴァに利がある。8000というライフは一見多いように見えて複数体の大型モンスターに直接攻撃を受ければあっさり削り取られる程度の数値でもある。そのため、ブラックからしてみればこのターンをどうできるかが大事であった。
「私は手札から強欲で貪欲な壺を発動。デッキトップ10枚をゲームから除外し、2枚ドローする。私は《魔界発現世行きデスガイド》を召喚」
《魔界発現世行きデスガイド》
効果モンスター(準制限カード)
星3/闇属性/悪魔族/攻1000/守600
(1):このカードが召喚に成功した時に発動できる。手札・デッキから悪魔族・レベル3モンスター1体を特殊召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターは効果が無効化され、S素材にできない。
「召喚に成功した魔界発現世行きデスガイドの効果を発動。デッキから悪魔族・レベル3モンスターである《クリッター》を効果を無効にして特殊召喚する」
《クリッター》
効果モンスター
星3/闇属性/悪魔族/攻1000/守600
このカード名の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードがフィールドから墓地へ送られた場合に発動する。デッキから攻撃力1500以下のモンスター1体を手札に加える。このターン、自分はこの効果で手札に加えたカード及びその同名カードの効果を発動できない。
「そして私はレベル3の魔界発現世行きデスガイドとクリッターでオーバーレイ・ネットワークを構築。エクシーズ召喚! 現れよ、幻影騎士団ブレイクソード。ブレイクソードの効果を発動。オーバーレイユニットを1つ取り除き、お互いのフィールドのカード1枚を破壊する。破壊するのは黒い旋風とブレイクソード自身だ」
「黒い旋風を破壊したか。だが、お前の墓地に存在する幻影騎士団はサイレントブーツのみ。ブレイクソードの蘇生効果を発動することはできない!」
「ああ、わかっているさ。だが、抜かりはない。幻影騎士団モンスターが破壊されたことで、手札の《幻影騎士団フラジャイルアーマー》の効果を発動する!」
《幻影騎士団フラジャイルアーマー》
効果モンスター
星4/闇属性/戦士族/攻1000/守2000
「幻影騎士団フラジャイルアーマー」の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):自分フィールドの表側表示の「幻影騎士団」モンスターが戦闘・効果で破壊された場合に発動できる。このカードを手札から特殊召喚する。
(2):墓地のこのカードを除外し、手札の「幻影騎士団」カードまたは「ファントム」魔法・罠カード1枚を墓地へ送って発動できる。自分はデッキから1枚ドローする。
「フラジャイルアーマーの効果。幻影騎士団モンスターが破壊されたことでこのカードを手札から特殊召喚する。そしてフラジャイルアーマーの特殊召喚に成功したことで手札の《幻影騎士団ステンドグリーブ》の効果を発動」
《幻影騎士団ステンドグリーブ》
効果モンスター
星3/闇属性/戦士族/攻1200/守600
このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):自分フィールドに「幻影騎士団」モンスターが特殊召喚された場合に発動できる。
このカードを手札から特殊召喚する。その後、このカードのレベルを1つ上げる事ができる。
(2):墓地のこのカードを除外して発動できる。手札から「幻影騎士団ステンドグリーブ」以外の「幻影騎士団」モンスター1体を特殊召喚する。その後、そのモンスターのレベルを1つ上げる事ができる。
「手札から幻影騎士団ステンドグリーブを特殊召喚。その後、ステンドグリーブのレベルを1つ上げる」
幻影騎士団ステンドグリーブ 星3→星4
「レベル4のモンスターが2体……」
「私はフラジャイルアーマーとステンドグリーブでオーバーレイ! 2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築。エクシーズ召喚!! 現れよ!“漆黒の闇より愚鈍なる力に抗う反逆の牙!”《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》!!」
《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》
エクシーズ・効果モンスター
ランク4/闇属性/ドラゴン族/攻2500/守2000
レベル4モンスター×2
(1):このカードのX素材を2つ取り除き、相手フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターの攻撃力を半分にし、その数値分このカードの攻撃力をアップする。
「ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴンか。ヴァレルロードはモンスター効果の対象にならないモンスターだ。アーマード・ウィングの攻撃力を奪い、それでヴァレルロードを倒す。そういうことだろう?」
「……ヴァレルロードを倒す、ということは正解だ。だが、私が墓地にサイレントブーツを残していた理由はここにある。墓地のサイレントブーツをゲームから除外し、効果を発動。デッキからファントム魔法・罠カード1枚を手札に加える。私は―――《RUM-ファントム・フォース》を手札に加える!」
【幻影騎士団】には既に《RUM-幻影騎士団ラウンチ》というRUMが存在し、そのカードは素材を持たない闇属性のXモンスターを1つ上のランクのXモンスターにランクアップさせる効果を持った速攻魔法だ。しかし、ブラックがアーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴンやレイダース・ナイトなどの新しい力を手にした、ということはこのようにエヴァの知らないRUMが存在していても何らおかしなことではない、ということだ。
「ファントム・フォース……?」
「手札から速攻魔法《RUM-ファントム・フォース》を発動!」
《RUM-ファントム・フォース》
速攻魔法
このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。
(1):自分・相手のメインフェイズに、自分の墓地から闇属性モンスターを任意の数だけ除外し、自分フィールドの闇属性Xモンスター1体を対象として発動できる。除外した数だけ、その自分のモンスターよりランクが高い、
「幻影騎士団」、「RR」、「エクシーズ・ドラゴン」Xモンスター1体を、対象のモンスターの上に重ねてX召喚扱いとしてEXデッキから特殊召喚する。このカードの発動後、ターン終了時まで自分はXモンスターしかEXデッキから特殊召喚できない。
「私は墓地のブレイクソードをゲームから除外し、ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴンを対象に発動! 除外したモンスターの数と同じだけダーク・リベリオンを幻影騎士団、RR、エクシーズ・ドラゴンモンスターのいずれかにランクアップさせる!」
―――墓地コストがいるとはいえ、ランクアップの範囲が決まっていないってこと!?
「私はランク4のダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴンでオーバーレイ! 1体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを再構築、ランクアップ・エクシーズ・チェンジ!“煉獄の底より、いまだ鎮まらぬ魂に捧げる反逆の歌!永久に響かせ現れよ!” 飛翔せよ、ランク5!《ダーク・レクイエム・エクシーズ・ドラゴン》!」
《ダーク・レクイエム・エクシーズ・ドラゴン》
エクシーズ・効果モンスター
ランク5/闇属性/ドラゴン族/攻3000/守2500
レベル5モンスター×3
(1):このカードが「ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン」をX素材としている場合、以下の効果を得る。
●1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除き、相手フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターの攻撃力を0にし、その元々の攻撃力分このカードの攻撃力をアップする。
●相手がモンスターの効果を発動した時、このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。その発動を無効にし破壊する。その後、自分の墓地のXモンスター1体を選んで特殊召喚できる。
「ダーク・レクイエム・エクシーズ・ドラゴンの効果を発動! オーバーレイユニットを1つ取り除き、相手フィールドの表側表示モンスター1体の攻撃力を0にし、その元々の攻撃力分このカードの攻撃力をアップする! 対象はもちろんBF-アーマード・ウィング! “レクイエム・サルベーション”!!」
ダーク・レクイエム・エクシーズ・ドラゴン ORU:2 ATK3000→ATK5500
BF-アーマード・ウィング ATK2500→ATK0
「っ……!」
「バトルだ! ダーク・レクイエム・エクシーズ・ドラゴンでヴァレルロード・ドラゴンを攻撃!!“鎮魂のディザスター・ディスオベイ!!」
ダーク・レクイエム・エクシーズ・ドラゴン ATK5500 VS ヴァレルロード・ドラゴン ATK3000
「私は、ただでは転ばない! ヴァレルロードの効果を発動! ダーク・レクイエムの攻撃力・守備力を500ダウンさせる!」
「ダーク・レクイエムには相手モンスター効果の発動を無効にして破壊し、その後墓地のXモンスターを特殊召喚する効果がある。ここでの効果発動など!!」
「できるものならやってみるがいい! ヴァレルロードのこの効果に対して発動できるのであればな!!」
「っ!?」
ヴァレルロード・ドラゴンの弱体化効果は相手はそもそもチェーンすることができない。そのため、ダーク・レクイエムのオーバーレイユニットがいくら残っていようともヴァレルロードの弱体化効果を回避することはできないのだ。
ダーク・レクイエム・エクシーズ・ドラゴン ATK5500/DEF2500→ATK5000/DEF2000
「だが、ダーク・レクイエムの敵ではない!“鎮魂のディザスター・ディスオベイ”!!」
ダーク・レクイエム・エクシーズ・ドラゴン ATK5000 VS ヴァレルロード・ドラゴン ATK3000
ダーク・レクイエム・エクシーズ・ドラゴンは両方の翼をステンドグラスのように眩く輝かせながらその牙でヴァレルロード・ドラゴンの身体を切り裂いた。弱体化したとはいえ、その攻撃力の差は2000。残りライフ2600のエヴァにはその一撃が激流のように襲い掛かった。
「ぐあああっ!!」
エヴァ LP2600→LP600
「エヴァちゃん!!」
迸るパワーに吹き飛ばされる形になったエヴァは壁に叩きつけられる。意識こそ保っているようだが、重い一撃を受けてしまったがために、身体の自由が利かないようだった。
「エヴァちゃん、エヴァちゃん!! っ……エヴァちゃんがこんなに激しく戦っているのに、なんにもできないなんて……!!」
―――鈴……
―――鈴。お前が辛く、悔しいのはわかる。私も同じ気持ちだ。だが、今我々にできるのはエヴァを信じ、エヴァに声援を送り続けることだ。
(光子竜……)
「エヴァちゃん、頑張って!!」
「り……ん……!」
ふらつきながらもなんとかして立ち上がるエヴァ。頭を抑えながら立ち上がるその様はまさに満身創痍と言っていいだろう。そんな状態でも、彼女の眼には炎が宿っていた。
―――エヴァ!
「立ち上がるか。人間よ、お前は何故そこまで戦える?」
「私は……一人では戦っていない。その意味が、お前にわかるか? 鈴が、光子竜が、青眼が、私の勝利を願っている! 千春が、皐月が私を信じてくれている! そして―――遊希が私たちの助けを待っている!! 私には多くの友が、仲間がいる!! 私と共に歩んでくれる仲間がいる限り、私の心は折れない!! これが、私……デュエリスト、エヴァ・ジムリアだ!!」
エヴァの決意とも取れる魂からの叫びに呼応して彼女の身体が赤く、そして熱く輝き始めた。エヴァの背後にはスカーライトの姿、そしてそのスカーライトの後ろには誰も見たことのない1体のドラゴンの姿がぼんやりと現れる。
「……なるほど、それがお前の決意。魂ということか。いいだろう、ならばその魂を私に見せてみるがいい。バトルフェイズを終了。ターンエンドだ」
エヴァ LP600 手札1枚
デッキ:27 メインモンスターゾーン:1(BF-アーマード・ウィング)EXゾーン:0 魔法・罠(Pゾーン:青/赤):0 墓地:14 除外:3 EXデッキ:8(0)
ブラック LP8000 手札1枚
デッキ:19 メインモンスターゾーン:1(ダーク・レクイエム・エクシーズ・ドラゴン ORU:2)EXゾーン:0 魔法・罠(Pゾーン:青/赤):0 墓地:10 除外:12 EXデッキ:9(0)
エヴァ
□□□□□
□□□□ア□
□ □
□□□レ□□
□□□□□
ブラック
○凡例
レ・・・ダーク・レクイエム・エクシーズ・ドラゴン
☆TURN05(エヴァ)
(感じる。新しい力の鼓動が。お前もそうだろう? スカーライト)
―――……うん。正直得体知れないから気味悪いんだけどね。確実にあたしのことを強くしてくれる。そんな力な気がする。
(私たちの前には最後の壁がある。ならば、その壁を共に超えて行こう!!)
―――うん!!
「私のターン、ドロー!! 私は手札から魔法カード、貪欲な壺を発動! 墓地のヴァレルロード・ドラゴン、トロイメア・ユニコーン、水晶機巧-ハリファイバー、BF-フルアーマード・ウィング、RR-レヴォリューション・ファルコンの5枚をデッキに戻し、2枚ドロー!!」
貪欲な壺でデッキに戻したのは全てEXデッキのモンスターである。そのためエヴァは今残っている26枚のカードを増やさずにドローする形になった。
「……見えた。これが、勝利への道筋だ!! 私のフィールドにBFモンスターが存在することで、この2体は手札から特殊召喚できる! 現れよ、BF-疾風のゲイル! BF-突風のオロシ!」
「チューナー2体。だが、ゲイルの効果はダーク・レクイエムの効果で無効にできる。ダーク・レクイエムの攻撃力を下げようとしたところで無意味だ!」
「……確かに、それができたら苦労はしない。だが、私の狙いは別にある。私は2体目のオロシを通常召喚!」
「チューナーモンスターが3体!? リンク召喚?それともシンクロ召喚……」
「見せてやる。これが、私たちの力! 私と!」
―――このレッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライトの絆の力よ!!
―――私はレベル7のSモンスター、BF-アーマード・ウィングに! レベル3の疾風のゲイル、レベル1の突風のオロシ2体を―――
―――トリプル・チューニング!!―――
チューナーモンスターを2体以上使用するS召喚は《水晶機巧-グリオンガンド》や《ヴァイロン・オメガ》などの大型Sモンスターでも見られるものであり、決して珍しいことではない。しかし、チューナーモンスター3体をS召喚のための条件に持つモンスターが、この瞬間爆誕した。
「チューナーモンスター3体のS召喚だと!?」
―――“悪魔竜に秘められし力を解き放つは三つの力。紅き星は滅びず、ただ眼前の敵を滅するのみ! 荒ぶる我が魂よ、天地開闢の時を刻め!!”シンクロ召喚!! 吠えろ!!―――
―――《スカーレッド・スーパーノヴァ・ドラゴン》!!―――
超新星爆発が如く輝きと共に現れたのは深紅の身体を持った禍々しくも美しい竜だった。