「ラ、ランク12のXモンスター!?」
《天霆號アーゼウス》
エクシーズ・効果モンスター
ランク12/光属性/機械族/攻3000/守3000
レベル12モンスター×2
「天霆號アーゼウス」は、Xモンスターが戦闘を行ったターンに1度、自分フィールドのXモンスターの上に重ねてX召喚する事もできる。
(1):このカードのX素材を2つ取り除いて発動できる。このカード以外のフィールドのカードを全て墓地へ送る。この効果は相手ターンでも発動できる。
(2):1ターンに1度、このカード以外の自分フィールドのカードが戦闘または相手の効果で破壊された場合に発動できる。手札・デッキ・EXデッキからカードを1枚選び、このカードの下に重ねてX素材とする。
天霆號アーゼウス ORU:4 DEF3000
「私はこれでターンエンド。さて……このモンスターを前にあなたはどうするのかしら? 次のターンが楽しみね」
「っ……」
遊希 LP4700 手札3枚
デッキ:27 メインモンスターゾーン:1(天霆號アーゼウス ORU:4)EXゾーン:0 魔法・罠(Pゾーン:青/赤):0 墓地:12 除外:1 EXデッキ:8(0)
鈴 LP7200 手札3枚
デッキ:25 メインモンスターゾーン:2(ブルーアイズ・カオス・MAX・ドラゴン、深淵の青眼龍)EXゾーン:0 魔法・罠(Pゾーン:青/赤):0 墓地:13 除外:0 EXデッキ:14(0)
遊希
□□□□□
□□天□□□
□ □
□深□□M□
□□□□□
鈴
○凡例
天・・・天霆號アーゼウス
☆TURN06(鈴)
―――鈴、あのモンスターはオーバーレイユニットを2つ消費することで自身以外のフィールドのカードを全て墓地へ送る効果を持っている。墓地へ送る効果だからカオス・MAXでも防げない。
―――でもって、その効果は相手ターンでも発動できるってマジヤバいじゃん……
―――……攻撃力が3000というのが唯一の救い……救いなのかなぁ……
攻撃力が3000ということが救い、という青眼の言葉に少しだけ眩暈がしてくる鈴。それでも彼女の言う通り、残りライフが7200である以上アーゼウス“単体”の攻撃であれば2発は耐えられるということでもある。
(アーゼウスの効果は味方も巻き込む。遊希にとってはそう連発できないはず)
「あたしのターン、ドロー! あたしは伝説の白石を召喚!」
「……その召喚にチェーンして天霆號アーゼウスの効果を発動するわ! オーバーレイユニットを2つ取り除き、自身以外のフィールドの全てのカードを墓地へ送る! 神の雷霆の裁きを受けなさい!!」
天霆號アーゼウス ORU:4→2
アーゼウスから放たれた雷霆が互いのフィールドを焦土へと変える。神の名を冠した雷の前にカオス・MAX、深淵の青眼龍、伝説の白石の3体は為す術もなく消滅させられてしまった。
(青眼、ごめんね……)
―――ううん、気にしないで鈴……
「墓地へ送られた伝説の白石の効果を発動するわ。デッキから3体目の青眼の白龍を手札に加える。あたしは……これでターンエンド」
結局フィールドをがら空きにした状態でターンを回すことになってしまった鈴。しかし、彼女の眼に絶望はなかった。むしろ逆境にありながらも決して下を向かず、諦めを感じさせない様は遊希にわずかながらの動揺を呼び起こした。
(あの子……アーゼウスを恐れていない。あの手札の中にアーゼウスを攻略し、私を倒す算段があるとでもいうの?)
遊希は微かに頭が痛むような感じがした。三蔵法師の読経によって金環が軋む孫悟空のような、締め付けるような痛みだ。遊希は目をつぶり、頭を数度振ると改めて鈴を見据えた。
(……何なの、このもやもやとした気持ち。どうして、私は……あの子を見て……)
遊希 LP4700 手札3枚
デッキ:27 メインモンスターゾーン:1(天霆號アーゼウス ORU:2)EXゾーン:0 魔法・罠(Pゾーン:青/赤):0 墓地:14 除外:1 EXデッキ:8(0)
鈴 LP7200 手札3枚
デッキ:24 メインモンスターゾーン:0 EXゾーン:0 魔法・罠(Pゾーン:青/赤):0 墓地:16 除外:0 EXデッキ:14(0)
遊希
□□□□□
□□天□□□
□ □
□□□□□□
□□□□□
鈴
☆TURN07(遊希)
「私のターン、ドロー。残念ね、結局何もできずに終わるなんて」
「……まだ終わるなんて決まってないよ。デュエルはライフが1でも残っている限り、最後の最後まで諦めないことが大事。それを、あたしはあんたから学んだんだよ、遊希」
「……気安いわね。まるで友達みたいにぺらぺらと歯の浮くような言葉を……だったら思い知らせてあげる。あなたの考えが間違っているということを! 私はフィールド魔法《竜輝巧-ファフニール》を発動!」
《竜輝巧-ファフニール》
フィールド魔法
このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。
(1):このカードの発動時の効果処理として、デッキから「竜輝巧-ファフニール」以外の「ドライトロン」魔法・罠カード1枚を手札に加える事ができる。
(2):儀式魔法カードの効果の発動及びその発動した効果は無効化されない。
(3):1ターンに1度、自分フィールドに「ドライトロン」モンスターが存在する状態で、モンスターが表側表示で召喚・特殊召喚された場合に発動できる。このターン、その表側表示モンスターのレベルは、その攻撃力1000につき1つ下がる(最小1まで)。
「ファフニール発動時の効果処理で、私はデッキから竜輝巧-ファフニール以外のドライトロン魔法・罠カード1枚を手札に加える。私は2枚目の流星輝巧群を手札に加えるわ。そして墓地のエルγの効果を発動! 手札の儀式モンスター、古聖戴サウラヴィスをリリースし、このカードを墓地から特殊召喚! そしてエルγの効果で墓地のバンαを特殊召喚!」
「2体のドライトロン……」
「儀式魔法、流星輝巧群を発動! フィールドの攻撃力2000のモンスター、バンαとエルγをリリースし、墓地から竜儀巧-メテオニス=DRAを儀式召喚!! 蘇りなさい、大いなる竜座の化身!」
攻撃力4000の竜儀巧-メテオニス=DRAが冥府の底より舞い戻る。メテオニス=DRAが戻ると同時に遊希はアーゼウスを攻撃表示に変更した。
「バトル。思い知りなさい、あなたの、自分の無力さを!! アーゼウスでダイレクトアタック!“ゼロ・ケラウノス”!」
天霆號アーゼウス ATK3000
鈴 LP7200→LP4200
「っ……!!」
「まだよ! メテオニス=DRAでダイレクトアタック!“メテオニス・シューティングスター”!!」
竜儀巧-メテオニス=DRA ATK4000
鈴 LP4200→LP200
「きゃあああっ!!!」
2体のモンスターの総攻撃によって、一気に鈴のライフ7000が消し飛ぶ。その余波はすさまじく、鈴はまるで大嵐に翻弄される木の葉のように吹き飛ばされては固い地面に叩きつけられる。
―――鈴!!
「……あれだけ粋がっていたのに、もう残りライフは200。不甲斐ないわね」
―――遊希……お前は……
倒れた鈴を一瞥する遊希であるが、鈴はそれをもろともせずに立ち上がる。満身創痍といった状態の鈴であるが、立ち上がって所定の位置に戻る時でも余裕綽々といった様子を見せていた。
「不甲斐ない? それはどっちのことを言うのかしら?」
「……どういうつもり?」
「あたしのライフはまだ200も残ってる。その200のライフすら削り切れなかったあんたの方がよっぽど不甲斐ないと思わない? 少なくとも、いつもの遊希ならそんな詰めの甘いデュエルはしなかったわ!」
「っ……うるさいっ、うるさいっ! バトルフェイズを終了。私はこれで……ターンエンド!」
鈴から手痛い言葉の一撃を受けた遊希は顔を真っ赤にして鈴を睨みつける。元来臆病な性格の遊希は感情表現があまり上手ではない。しかし、そのポーカーフェイスがデュエルにおいて活かされていた。だが、今の彼女からはそのポーカーフェイスすら失われている。その場にいた誰もがライフで勝っているはずの遊希が追い詰められているように感じていた。
(お姉さま、一体どうされたというのですか)
そしてそれは遊希のデュエルを遊希の側から見守る遊望も同じだった。自分のところに連れてきてからというものの、一向に心を開こうとしない姉のの心を溶かすために、遊望はI2社で開発途中のカードを彼女に差し出した。遊望からしてみればあまり望ましいことではなかったが、天宮 遊希という少女の心を構築する最も大きなピースがデュエルモンスターズとなっていたのだ。
背に腹は代えられない。そんな想いの下カードを差し出した。カードを見た遊希はまるで遊望のよく知る子供のころの遊希のような目の輝きを見せると、他のカードには目もくれず1時間足らずで【ドライトロン】デッキを組み上げ、自分のものにしたのだ。何故そのカードを選んだのか、ということには踏み入らなかった遊望であるが、このデュエルを見てその理由がわかったような気がした。
(……星乃 鈴は儀式青眼の使い手。お姉さまの心の中には、まだ星乃 鈴が残っていた……)
遊希 LP4700 手札2枚
デッキ:25 メインモンスターゾーン:2(竜儀巧-メテオニス=DRA、天霆號アーゼウス ORU:2)EXゾーン:0 魔法・罠(Pゾーン:青/赤):1(竜輝巧-ファフニール)墓地:16 除外:1 EXデッキ:8(0)
鈴 LP200 手札3枚
デッキ:24 メインモンスターゾーン:0 EXゾーン:0 魔法・罠(Pゾーン:青/赤):0 墓地:16 除外:0 EXデッキ:14(0)
遊希
□□□□□
D□天□□フ
□ □
□□□□□□
□□□□□
鈴
○凡例
フ・・・竜輝巧-ファフニール
☆TURN08(鈴)
「あたしのターン、ドロー!!……遊希、このデュエルあたしの勝ちよ!!」
「……っ、まだそんな世迷言を!!」
「世迷言なんかじゃない! あたしの頭の中にはこのデュエルに勝つための道筋が出来上がったわ! それを見せてあげる!! あたしは墓地の太古の白石の効果を発動! このカードをゲームから除外し、墓地のブルーアイズ1体を手札に戻す! あたしは青眼の亜白龍を手札に戻すわ。そして青眼の白龍を見せることで、青眼の亜白龍を特殊召喚!」
青眼の亜白龍は自身の攻撃権を放棄する代わりに、相手フィールドのモンスター1体を破壊することができる。メテオニス=DRAは対象に取るモンスター効果に対して耐性を持つが、アーゼウスはそういった耐性を持ち併せていない。
「あたしは青眼の亜白龍の効果を発動、相手フィールドのモンスター1体を破壊するわ!」
「させない! 青眼の亜白龍の効果にチェーンしてメテオニス=DRAの効果を発動! 墓地の攻撃力2000モンスター、竜輝巧-エルγをゲームから除外し、相手フィールドのモンスター1体を墓地へ送る!」
チェーン2(遊希):竜儀巧-メテオニス=DRA
チェーン1(鈴):青眼の亜白龍
「でもその効果は効果の発動自体を無効にできない!」
チェーン2のメテオニス=DRAの効果によって青眼の亜白龍はまたしても消滅させられる。しかし、今度はただ黙って破壊されることはない。亜白龍が死に際に放った一撃がアーゼウスを粉砕する。遊希にアーゼウスの効果を発動されなかった、ということは大きいが、彼女のフィールドに残ったのは戦闘面ではアーゼウスよりも強力なメテオニス=DRA。遊希を守るに立ちはだかるこのモンスターを超えなければ、鈴に勝ちはないのだ。
「……アーゼウスを倒したことは褒めてあげる。でも、メテオニス=DRAまでは超えられない」
「確かにモンスター単体の力だけじゃメテオニス=DRAを倒せない。でも、あたしのブルーアイズたちは強い絆で結ばれている。そして、その絆をより強くするのが―――あんたの残していったこのカードよ! 手札から魔法カード発動!」
―――フォトン・サンクチュアリ!!―――
「フォトン・サンクチュアリ……!?」
フォトン・サンクチュアリは発動ターンに光属性以外のモンスターを特殊召喚できなくなる反面、フィールドに光属性のフォトン・トークン2体を特殊召喚することができるカードだ。遊希はこのカードを起点にデュエルを進めることが多く、間違いなく彼女にとって大切なカードの1枚であった。鈴はお守り代わりとして遊希が落としていったカード数枚をデッキに加えていたのだ。まるで遊希が鈴を助ける時にブルーアイズ・カオス・MAX・ドラゴンを自分のデッキに入れていた時のように。
「あたしのフィールドにフォトン・トークン2体を守備表示で特殊召喚! そしてこのフォトン・トークン2体をリリースし、青眼の白龍をアドバンス召喚!!」
鈴のフィールドに降臨したのは青眼の白龍。デュエルモンスターズを代表するカードであるが、何の効果も持たない攻撃力3000のモンスター。遊希のフィールドに攻撃力で上回るメテオニス=DRAが存在する以上、このカードだけではこの状況を覆すことはできない。
「青眼の白龍……そんなモンスターをアドバンス召喚したからってどうだっていうの!」
「……そのそんなモンスターが、このデュエルを決めるのよ。あたしは墓地の深淵の青眼龍の効果を発動! このカードをゲームから除外することで、あたしのフィールドのブルーアイズモンスターの攻撃力を1000アップするわ!」
青眼の白龍 ATK3000→ATK4000
―――青眼の攻撃力がメテオニス=DRAに並んだ!
「メテオニス=DRAと相討ち狙い……あ、違う……」
熱くなっている遊希であるが、それでも彼女は天才と言えるだけのデュエリストだ。故に彼女は覚えていた。鈴の手札には深淵の青眼龍の効果で手札に加えたあのカードが眠っていることを。
「バトル! 青眼の白龍で竜儀巧-メテオニス=DRAを攻撃!“滅びの爆裂疾風弾”!!」
「っ、迎撃しなさい、メテオニス=DRA!“メテオニス・シューティングスター”!!」
青眼の白龍 ATK4000 VS 竜儀巧-メテオニス=DRA ATK4000
白龍と竜座の化身は猛烈な光に飲み込まれて消滅していく。そして斃れた白龍の亡骸からまるで新たな命が生まれるかのように1体のドラゴンが舞い上がった。ブルーアイズモンスターの破壊をトリガーに特殊召喚が可能なモンスター、ディープアイズ・ホワイト・ドラゴンだ。
「あ、ああっ……」
「……あんたは、前にこのカードであたしのことを助けてくれた。今度はあたしがディープアイズであんたを助ける番よ! 特殊召喚に成功したディープアイズの効果を発動! 墓地のドラゴン族モンスターの種類×600ポイントのダメージを与える!」
鈴の墓地に眠るドラゴン族モンスターは、青眼の白龍が3体、青眼の亜白龍が2体、伝説の白石が2体、ブルーアイズ・カオス・MAX・ドラゴンが2体、そしてトレード・インのコストで墓地に送ったレベル8のドラゴン族モンスター、白き霊龍の計10体。種類に変換すれば5種類だ。
「ディープアイズ、全部ぶつけて。悲しみでも怒りでもない―――あたしと遊希の絆の力を!!」
墓地に眠るドラゴンたちの想いを一身に背負ったディープアイズの放った光が、遊希を飲み込んでいく。
遊希 LP4700→LP1700
「きゃああっ!!」
遊希がディープアイズを使って鈴とのデュエルに終止符を打った時はこのバーンダメージだけでそのデュエルを終わらせていた。鈴はこの効果だけでデュエルを終わらせた遊希とそうでない自分の差を感じざるを得なかった。
(あたしは、遊希の足元にも及ばない―――でも!!)
「バトル! 特殊召喚に成功したディープアイズは墓地のドラゴンの力をその身に宿す! カオス・MAXの魂を受け継ぎなさい!!」
ディープアイズ・ホワイト・ドラゴン ATK4000
「攻撃力……4000……そんな、どうして、私が……負ける?」
「遊希、普段ならともかく、今のあんたじゃ私には勝てない。痛いかもしれないけど、我慢して。バトル、ディープアイズ・ホワイト・ドラゴンでダイレクトアタック!!」
ディープアイズ・ホワイト・ドラゴン ATK4000
遊希 LP1700→0