銀河の竜を駆る少女   作:Garbage

26 / 164
反撃の時

 

 

 

―――さて、このデュエルどう見る?

(そうね。一言で言えばいきなりしんどいわ)

 

 エヴァが先手でフィールドに並べたのは戦闘以外では破壊されず、他のカードの効果を受け付けないフルアーマード・ウィングに、墓地の上級鳥獣族を蘇生させる漆黒のホーク・ジョー。そして特殊召喚に成功するたびに遊希のライフを削り、モンスターを弱体化させるノートゥングにもはや説明すら不要であるハリファイバー。いくら展開力に優れたデッキであるとはいえ、これだけのモンスターを並べるプレイングは認めざるを得ないだろう。

 

(ああしんどい。実にしんどい)

―――だが、相手のそんなフィールドを切り崩すのもデュエルの醍醐味だ。幸い相手の手札は0。このデッキが苦手とする《灰流うらら》や増殖するGといった手札誘発を心配する必要もない。

(そうね)

 

 光子竜の言う通り、エヴァが全て手札を使い切っていることは唯一の光明であるだろう。最も手札誘発が刺さらないデッキなど存在するのだろうか、と遊希は首を傾げるのだが。

 

(まあいい、反撃開始よ。私は負けるわけにはいかないんだから!)

 

 

☆TURN02(遊希)

 

「私のターン、ドロー。スタンバイフェイズを経てメインフェイズ1に移るわ」

「ではそのメインフェイズ1にハリファイバーの効果を発動する! このカードをゲームから除外し、私のEXデッキからSモンスターのチューナー1体をS召喚扱いで特殊召喚する! 特殊召喚するのはレベル2の《フォーミュラ・シンクロン》だ!」

 

《フォーミュラ・シンクロン》

シンクロ・チューナー・効果モンスター

星2/光属性/機械族/攻200/守1500

チューナー+チューナー以外のモンスター1体

(1):このカードがS召喚に成功した時に発動できる。自分はデッキから1枚ドローする。

(2):相手メインフェイズに発動できる。このカードを含む自分フィールドのモンスターをS素材としてS召喚する。

 

「S召喚に成功したフォーミュラ・シンクロンの効果を発動。デッキから1枚ドローする」

「手札を補充してきたか……私は手札から魔法カード《アクセル・ライト》を発動!」

 

《アクセル・ライト》

通常魔法

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できず、このカードを発動するターン、自分は通常召喚できない。

(1):自分フィールドにモンスターが存在しない場合に発動できる。デッキからレベル4以下の、「フォトン」モンスターまたは「ギャラクシー」モンスター1体を特殊召喚する。

 

「自分フィールドにモンスターが存在しない場合、通常召喚権を放棄する代わりにデッキからレベル4以下のギャラクシーモンスター1体を特殊召喚するわ」

「ではその効果にチェーンして2つ目のフォーミュラ・シンクロンの効果を発動する!」

 

チェーン2(エヴァ):フォーミュラ・シンクロン

チェーン1(遊希):アクセル・ライト

 

「チェーン2のフォーミュラ・シンクロンの効果を発動! このカードを含む自分フィールドのモンスター1体をS素材としてS召喚を行う! 私はレベル6の星影のノートゥングにレベル2のシンクロチューナー、フォーミュラ・シンクロンをチューニング!“数多なる次元を行き交う王よ。異能なる力を発揮し全てを己が意志として操れ!”シンクロ召喚! 現れよ!《PSYフレームロード・Ω》!」

 

《PSYフレームロード・Ω》

シンクロ・効果モンスター(制限カード)

星8/光属性/サイキック族/攻2800/守2200

チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上

(1):1ターンに1度、自分・相手のメインフェイズに発動できる。相手の手札をランダムに1枚選び、そのカードと表側表示のこのカードを次の自分スタンバイフェイズまで表側表示で除外する。

(2):相手スタンバイフェイズに、除外されている自分または相手のカード1枚を対象として発動できる。そのカードを墓地に戻す。

(3):このカードが墓地に存在する場合、このカード以外の自分または相手の墓地のカード1枚を対象として発動できる。そのカードと墓地のこのカードをデッキに戻す。

 

「チェーン1のアクセル・ライトの効果で私は銀河の魔導師を特殊召喚する! そして銀河の魔導師に手札のフォトン・オービタルを装備するわ!」

 

銀河の魔導師(+フォトン・オービタル) ATK0→ATK500

 

(……PSYフレームロード・Ω? 同じ条件ではより制圧力の高い《クリスタルウィング・シンクロ・ドラゴン》を出せたのにどうしてかしら?)

「銀河の魔導師に装備されたフォトン・オービタルの効果を発動する。このカードを墓地に送り、デッキからフォトンもしくはギャラクシーと名のついたモンスター1体を手札に加えるわ!」

「ではその効果にチェーンしてPSYフレームロード・Ωの1つ目の効果を発動する! 相手の手札1枚をランダムに選び、そのカードとフィールドのこのカードを次の私のスタンバイフェイズまで表側表示でゲームから除外する!」

 

チェーン2(エヴァ):PSYフレームロード・Ω

チェーン1(遊希):フォトン・オービタル

 

 チェーン2で発動されたPSYフレームロード・Ωの効果でΩ自身と遊希の手札の1枚、銀河剣聖がゲームから除外される。この時、遊希は何故エヴァがPSYフレームロード・ΩをS召喚したのかを理解した。PSYフレームロード・Ωは自身の効果で自在にフィールドから離れることができる。SモンスターであるPSYフレームロード・ΩはエクストラデッキからS召喚された場合はEXゾーンに特殊召喚しなければいけないが、一度フィールドを離れることにより、その制約が切れる。そのためエヴァは空いたEXゾーンにさらにエクストラデッキからモンスターを出すことができるのだ。

 そしてエヴァのフィールドにはレベル5以上の鳥獣族モンスターを蘇生できるホーク・ジョーが存在している。次のターンにホーク・ジョーの効果で墓地のノートゥングを蘇生して遊希のライフを削り、更にハリファイバーの効果で特殊召喚したゾンビキャリアを自身の効果で特殊召喚すれば更にレベル8のSモンスターを展開することができる。

 

(強力な耐性を持つフルアーマード・ウィングに蘇生効果のホーク・ジョー、そしてPSYフレームロード・Ωで私の手を削る。次のターンにはノートゥングとゾンビキャリアでクリスタルウィング……これを決められれば私に勝ちは無い。でも……今の私ならできる)

 

 一見すればほぼ完璧に近いエヴァの布陣。しかし、それを切り崩すだけの力が遊希にはある。そしてその力をいつでも使えるのもプロの世界で鎬を削ったデュエリストならではのことであった。

 

「私はチェーン1のフォトン・オービタルの効果でデッキからフォトン・バニッシャーを手札に加えるわ! そして自分フィールドにギャラクシーモンスターが存在することでフォトン・バニッシャーを守備表示で特殊召喚! 特殊召喚成功時の効果でデッキから銀河眼の光子竜1体を手札に加える!」

「モンスターが効果を発動したことで、フルアーマード・ウィングの効果も発動する。そのモンスターに楔カウンターを乗せる」

 

フォトン・バニッシャー 楔カウンター:1

 

「銀河眼の光子竜……お前のエースモンスターを早々に手札に加えてきたか。だが、召喚権を失っている今光子竜のアドバンス召喚は不可能だ!」

「私は手札から魔法カード、フォトン・サンクチュアリを発動。フィールドに攻撃力2000のフォトン・トークン2体を守備表示で特殊召喚。そしてこの攻撃力2000のフォトン・トークン2体をリリースしてこのモンスターを手札から特殊召喚する!」

 

 遊希の手には真紅の十字架が握られる。そして彼女は全身をバネにしてそれを天高く放り投げた。回転しながら飛んでいく十字架はやがて周囲の光を集め、その光は一体のドラゴンを形成し始める。エヴァはずっとこの光景をテレビやインターネットで見続けており、遊希と入れ違いでプロになった彼女はもう生でこの光景を見ることは叶わないのだろう、と諦めかけてもいた。そんな一人の少女の願いがこういった場面で叶えられるのだから、つくづく人と人との縁とは奇妙なものである。

 

「闇に輝く銀河よ。希望の光となりてこの世界へ現れろ! 旋風渦巻く戦場に舞い降りよ、光の化身! 銀河眼の光子竜!!」

 

 咆哮と共に、銀河の瞳を持つ光り輝く竜が現れる。光子竜は自分フィールドの攻撃力2000以上のモンスター2体をリリースすることで特殊召喚ができる。アクセル・ライトの効果で通常召喚権を放棄してもフィールドに出すことが可能なのだ。

 

「これが銀河眼の光子竜……だが、光子竜の効果はフルアーマード・ウィングには通用しない!」

「そうね。攻撃力も同じで相討ちにはなれるけど、それだとホーク・ジョーで蘇生させられるだけ。だから私はこのターンでフルアーマード・ウィングとホーク・ジョーの2体を撃破する!」

「この2体を1ターンでだと?」

「私は銀河の魔導師の1つ目の効果を発動。このカードのレベルを8にする」

 

銀河の魔導師 星4→8

 

「効果を発動した銀河の魔導師に楔カウンターを乗せる」

 

銀河の魔導師 楔カウンター:1

 

(フルアーマード・ウィングには楔カウンターが乗ったモンスターのコントロールを奪う効果と、楔カウンターが乗ったモンスターを破壊する効果がある。でも、無意味よ)

「私はレベル8の銀河眼の光子竜とレベル8となった銀河の魔導師でオーバーレイ! 2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築。エクシーズ召喚! 我が心中に燃える強き意志よ。希望をその身に宿し、光子の竜の真の力を解放せよ! 現れなさい! No.62 銀河眼の光子竜皇!!」

「銀河眼の光子竜皇……攻撃力4000だと!?」

「フルアーマード・ウィングは確かにあらゆる効果を受け付けない。しかし、戦闘破壊耐性は持たない以上、バトルで自身より高い攻撃力のモンスターを出されてはどうしようもない。バトルよ! 銀河眼の光子竜皇でフルアーマード・ウィングを攻撃!」

 

No.62 銀河眼の光子竜皇 ORU:2 ATK4000 VS BF-フルアーマード・ウィング ATK3000

 

「このダメージ計算時に光子竜皇のX素材を1つ取り除いて効果を発動。フィールドのXモンスターのランクの数×200ポイントこのカードの攻撃力を上昇させる!」

 

No.62 銀河眼の光子竜皇 ORU:2→1 ATK4000→ATK5600 楔カウンター:1

 

「フルアーマード・ウィングを消し去りなさい!! エタニティ・フォトン・ストリーム!」

 

No.62 銀河眼の光子竜皇 ORU:1 ATK5600 VS BF-フルアーマード・ウィング ATK3000

 

エヴァ LP8000→5400

 

「ぐっ……!!」

「自身の効果で特殊召喚に成功したフォトン・バニッシャーはこのターン攻撃できない。そもそも守備表示だけど。バトルフェイズを終了し、メインフェイズ2に移るわ。私は光子竜皇1体でオーバーレイ! 1体のモンスターでオーバーレイネットワークを再構築。エクシーズ・チェンジ! 現れなさい、ギャラクシーアイズ FA・フォトン・ドラゴン。そしてギャラクシーアイズ FA・フォトン・ドラゴンの効果! X素材を1つ取り除き、相手フィールドの表側表示カード1枚を破壊する。破壊するのはもちろんホーク・ジョーよ!」

「な、なんということだ……」

 

 流れるような遊希と銀河眼のコンボで2体のBFは瞬く間に破壊されてしまった。場持ちのいいPSYフレームロード・Ωが残っているとはいえ、こうもあっさり自分を守るモンスターが打ち倒されることにエヴァは驚きを隠せないようだった。

 

(天宮 遊希がプロを引退して5年は経つ。それなりにブランクはあったはずだが……まさかここまでとは)

「……これで十分、と言いたいところだけど、その黒い旋風は見過ごせないわ。私はギャラクシーアイズ FA・フォトン・ドラゴンでさらにオーバーレイ! 1体のモンスターでオーバーレイネットワークを再構築! ランクアップ・エクシーズ・チェンジ!“その刃は触れたもの全てを裂く。破壊の力を宿し竜よ、全てを断ち切れ!”怒り狂え!《銀河眼の光波刃竜》!」

 

《銀河眼の光波刃竜(ギャラクシーアイズ・サイファー・ブレード・ドラゴン》)

エクシーズ・効果モンスター

ランク9/光属性/ドラゴン族/攻3200/守2800

レベル9モンスター×3

このカードは自分フィールドのランク8の「ギャラクシーアイズ」Xモンスターの上に重ねてX召喚する事もできる。このカードはX召喚の素材にできない。

(1):1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除き、フィールドのカード1枚を対象として発動できる。そのカードを破壊する。

(2):X召喚したこのカードが相手モンスターの攻撃または相手の効果で破壊され墓地へ送られた場合、自分の墓地の「銀河眼の光波竜」1体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。

 

「FA・フォトン・ドラゴンを更にエクシーズ・チェンジさせるだと!?」

「光波刃竜もFA・フォトンと同じようにX素材を1つ取り除くことでフィールドのカード1枚を破壊することができる。破壊するのは当然黒い旋風。さて、現役の力を見せてもらおうかしら? 私はこれでターンエンドよ」

 

 

エヴァ LP5400 手札1枚

デッキ:30 メインモンスターゾーン:0 EXゾーン:0 魔法・罠:0 墓地:13 Pゾーン:青/赤 除外:2 エクストラデッキ:9(0)

遊希 LP7200 手札1枚

デッキ:31 メインモンスターゾーン:1(フォトン・バニッシャー)EXゾーン:1(銀河眼の光波刃竜 ORU:1)魔法・罠:0 墓地:5 Pゾーン:青/赤 除外:1 エクストラデッキ:12(0)

 

エヴァ

 □□□□□

 □□□□□□

  刃 □

□□バ□□□

 □□□□□

遊希

 

○凡例

 

刃・・・銀河眼の光波刃竜

バ・・・フォトン・バニッシャー

 

 

☆TURN03(エヴァ)

 

「私のターン、ドロー!……なるほど、これが天宮 遊希のデュエルというものか」

「……私はいつものデュエルをしているだけ。そんな大仰なものじゃないわ」

「なるほど、その控えめなところも含めてお前のデュエルということなのだな? 素直に言ってしまえば、私は今凄く昂っている。ずっとこう相対してみたい相手と実際にデュエルをしているのだから無理もない。それでいてその強さに正直震えている」

「……怖いの?」

「ああ、怖い。だが、それ以上に楽しい。故にこの楽しいデュエルに勝ちたい! 心の底から私はそう思っている!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。