☆TURN02(皐月)
「私のターンです、ドロー」
(……トポロジック・ボマー・ドラゴンにオルフェゴール・ロンギルス、ですか)
トポロジック・ボマー・ドラゴンは自身のリンクマーカーが向いている先にモンスターが出されることで、メインモンスターゾーンのモンスターを全て破壊する効果を持っている。この効果にターン内の発動制限はなく、モンスターが何度でも発動可能だ。この効果とのコンボが危惧された結果《フェニキシアン・クラスター・アマリリス》が禁止カードに指定されたほどのものである。この効果の強力さはデュエリストならば誰もが知っていた。
(オルフェゴール・バベルが存在することで花沢先輩は私のターンでもオルフェゴールモンスターの効果を発動できる。ディヴェルやスケルツォンといったオルフェゴールモンスターの効果でメインモンスターゾーンにオルフェゴールを特殊召喚するだけでトポロジック・ボマー・ドラゴンの起爆スイッチになる。そしてオルフェゴール・ロンギルスはリンク状態の時に効果で破壊されません……)
もちろんトポロジック・ボマー・ドラゴンの破壊効果は皐月の【ヴァレット】にはメリットになり得るだろう。しかし、オルフェゴール・ロンギルスは除外されているモンスター2体をデッキに戻すことで自身のリンク先に存在するモンスター1体を墓地に送る効果を持っている。
オルフェゴール・ロンギルスのリンクマーカーは空いているもうEXゾーンに向いており、皐月がもう片方のEXゾーンにエクストラデッキからモンスターを召喚すれば、ロンギルスの効果で除去に動くだろう。しかもこれは対象に取らない効果のため“モンスター効果の対象にならない”ヴァレルロード・ドラゴンであっても対処できないのが現状だ。
(……まずはトポロジック・ボマー・ドラゴンを処理します。反撃はそれからでも遅くはありません)
今までの皐月であれば半ば諦めていたであろう制圧盤面。しかし、遊希たちと日々を過ごすことで成長した彼女は逆境においてもある程度ではあるが、冷静でいることができた。それこそ、コスプレをせずともデュエルで全力を出すようになれるまでには。
「メインフェイズ1、私はモンスターをセットします」
「そしてカードを2枚セットしてターンエンドです」
「ではそのエンドフェイズに墓地のディヴェルの効果を発動させてもらうわ。自身を除外し、デッキから2体目のスケルツォンをトポロジックのリンク先に特殊召喚。そして自身のリンク先にモンスターが現れたことでトポロジックの効果を発動。メインモンスターゾーンのモンスターを全て破壊するわ。“フルオーバーラップ”」
けたたましい咆哮と共に放たれたトポロジックのエネルギー波によって、メインモンスターゾーンのモンスターが破壊される。破壊されたのは皐月のセットしたアネスヴァレット・ドラゴンと奏のスケルツォンの2体。
「破壊されたアネスヴァレット・ドラゴンの効果を発動します」
「あら……貴女のデッキはヴァレットだったのね。少々迂闊だったかしら?」
「デッキからマグナヴァレット・ドラゴンを守備表示で特殊召喚します! これで本当にターンエンドですね」
奏 LP8000 手札2枚
デッキ:30 メインモンスターゾーン:1(オルフェゴール・ロンギルス)EXゾーン:1(トポロジック・ボマー・ドラゴン)魔法・罠:1(オルフェゴール・バベル)墓地:3 Pゾーン:青/赤 除外:4 エクストラデッキ:11(0)
皐月 LP8000 手札2枚
デッキ:33 メインモンスターゾーン:1(マグナヴァレット・ドラゴン)EXゾーン:0 魔法・罠:2 墓地:1 Pゾーン:青/赤 除外:1 エクストラデッキ:15(0)
奏
□□□□□
□□ギ□□バ
ボ □
□□□マ□□
□伏伏□□
皐月
☆TURN03(奏)
「私のターン、ドローよ」
「ではこのドローフェイズにセットされていた速攻魔法、クイック・リボルブを発動します!」
(クイック・リボルブはデッキからヴァレットモンスターを特殊召喚する速攻魔法。でも私のターンで発動してどうするつもりなのかしら)
「そしてそのクイック・リボルブにチェーンしてもう1枚のセットカードを発動します。永続罠《破壊輪廻》です!」
《破壊輪廻》
永続罠
(1):このカードは魔法&罠ゾーンに存在する限り、カード名を「破壊輪」として扱う。
(2):1ターンに1度、フィールドのモンスターが効果で破壊された場合、フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを破壊し、お互いに500ダメージを受ける。
チェーン2(皐月):破壊輪廻
チェーン1(皐月):クイック・リボルブ
「破壊輪廻……なるほど、そういうことね」
「チェーン1のクイック・リボルブの効果でデッキからヴァレットモンスター1体を特殊召喚します! 特殊召喚するのはレベル3のオートヴァレット・ドラゴンです! 特殊召喚するのはトポロジック・ボマー・ドラゴンの正面のメインモンスターゾーンです!」
トポロジック・ボマー・ドラゴンの効果は強制効果。モンスターが自身のリンク先に特殊召喚される度に発動するのだ。トポロジック・ボマー・ドラゴンの効果・フルオーバーラップによって、皐月のフィールドの2体のヴァレットモンスターが破壊される。だが、それが破壊輪廻の起爆スイッチとなった。
「フィールドのモンスターが効果で破壊されたことにより、破壊輪廻の効果が発動します! フィールドのモンスター1体を破壊し、互いに500のダメージを受けます! 破壊するのはもちろんトポロジック・ボマー・ドラゴンです!」
∞の形状の周りに手榴弾のようなものがついたリングがトポロジック・ボマー・ドラゴンの身体に巻きつけられる。トポロジック・ボマー・ドラゴンはそれを外そうと身体をくねらせるが、それより先に破壊輪廻に付けられた爆弾が発動。トポロジック・ボマー・ドラゴンの身体はその爆発に巻き込まれて爆発四散した。
皐月 LP8000→7500
奏 LP8000→7500
「トポロジック・ボマー・ドラゴンは攻撃的なモンスターではあるけど、防御態勢は持ち合わせていないのよね……でも今はまだ私のターンよ。ヴァレットモンスターの弱点は動きの遅さ。1体のモンスターを倒すのにフィールドをがら空きにしてしまうようではまだまだね」
「……それに関しては花沢先輩の仰る通りです」
「あら、素直なのね。でもそんな子は嫌いじゃないわ。メインフェイズ1、私は墓地のスケルツォンの効果を発動。このカードをゲームから除外して墓地のオルフェゴールモンスター1体を特殊召喚するわ。特殊召喚するのはリンクモンスターのオルフェゴール・ガラテアよ。そしてバトルフェイズに移らせてもらうわ。ガラテアでダイレクトアタックよ」
オルフェゴール・ガラテア ATK1800
皐月 LP7500→5700
「そしてロンギルスで追撃」
オルフェゴール・ロンギルス ATK2500
皐月 LP5700→3200
「バトルフェイズを終了し、メインフェイズ2に移るわ。ガラテアの効果を発動。除外されているスケルツォン1体をデッキに戻し、デッキからオルフェゴール魔法・罠カード1枚を私のフィールドにセットする。セットするのは通常魔法の《オルフェゴール・プライム》よ。そしてセットされたプライムを発動」
《オルフェゴール・プライム》
通常魔法
このカード名の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):手札及び自分フィールドの表側表示モンスターの中から、「オルフェゴール」モンスターまたは「星遺物」モンスター1体を墓地へ送って発動できる。自分はデッキから2枚ドローする。
「フィールドのガラテアを墓地に送って2枚ドローするわ。私は手札からスケルツォンを召喚。そしてリンク3のロンギルスとスケルツォンをリンクマーカーにセット。召喚条件はオルフェゴールモンスターを含む効果モンスター2体。サーキットコンバイン。さあ、奏でなさい。哀愁の楽団の最終舞台。リンク4《オルフェゴール・オーケストリオン》」
《オルフェゴール・オーケストリオン》
リンク・効果モンスター
リンク4/闇属性/機械族/攻3000
【リンクマーカー:上/右上/左下/下】
「オルフェゴール」モンスターを含む効果モンスター2体以上
このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):リンク状態のこのカードは戦闘・効果では破壊されない。
(2):除外されている自分の機械族モンスター3体を対象として発動できる。そのモンスターをデッキに戻す。相手フィールドにリンク状態の表側表示モンスターが存在する場合、それらのモンスターは、攻撃力・守備力が0になり、効果は無効化される。
「私はカードを1枚セット。これでターンエンドよ」
「ではターン終了時にこのターン破壊されたマグナヴァレットとオートヴァレットの効果を発動します。デッキからメタルヴァレット・ドラゴンと2体目のマグナヴァレット・ドラゴンの2体を特殊召喚します!」
奏 LP7500 手札3枚
デッキ:26 メインモンスターゾーン:0 EXゾーン:1(オルフェゴール・オーケストリオン)魔法・罠:2(オルフェゴール・バベル)墓地:6 Pゾーン:青/赤 除外:4 エクストラデッキ:10(0)
皐月 LP3200 手札2枚
デッキ:30 メインモンスターゾーン:2(メタルヴァレット・ドラゴン、シェルヴァレット・ドラゴン)EXゾーン:0 魔法・罠:1(破壊輪廻)墓地:4 Pゾーン:青/赤 除外:1 エクストラデッキ:15(0)
奏
□□伏□□
□□□□□バ
オ □
□□メ□マ□
□□輪□□
皐月
○凡例
オ・・・オルフェゴール・オーケストリオン
輪・・・破壊輪廻
☆TURN04(皐月)
「私のターンです、ドロー!……私は手札からマスマティシャンを召喚します!」
「あら、あなたもそのカードを入れているのね。まあ汎用性の高いモンスターだししょうがないといえばしょうがないのかしら」
「マスマティシャンの効果で私は《ダンディライオン》を墓地に送ります。そして墓地に送られたダンディライオンの効果を発動します」
《ダンディライオン》
効果モンスター(制限カード)
星3/地属性/植物族/攻300/守300
(1):このカードが墓地へ送られた場合に発動する。自分フィールドに「綿毛トークン」(植物族・風・星1・攻/守0)2体を守備表示で特殊召喚する。このトークンは特殊召喚されたターン、アドバンス召喚のためにはリリースできない。
「自分フィールドに綿毛トークン2体を守備表示で特殊召喚します」
「ではその効果にチェーンして私は墓地のスケルツォンの効果を発動するわ」
チェーン2(奏):オルフェゴール・スケルツォン
チェーン1(皐月):ダンディライオン
「墓地のスケルツォンを除外し、墓地のロンギルスを特殊召喚させてもらうわね」
「……ダンディライオンの効果で私のフィールドに綿毛トークン2体を特殊召喚します。そしてこの綿毛トークン2体をリンクマーカーにセット! サーキットコンバイン! リンク召喚!《アロマセラフィ-ジャスミン》!」
《アロマセラフィ-ジャスミン》
リンク・効果モンスター
リンク2/光属性/植物族/攻1800
【リンクマーカー:左下/右下】
植物族モンスター2体
このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):自分のLPが相手より多い場合、このカード及びこのカードのリンク先の植物族モンスターは戦闘では破壊されない。
(2):このカードのリンク先の自分のモンスター1体をリリースして発動できる。デッキから植物族モンスター1体を守備表示で特殊召喚する。
(3):1ターンに1度、自分のLPが回復した場合に発動する。デッキから植物族モンスター1体を手札に加える。
「アロマセラフィ-ジャスミンの効果を発動! このカードのリンク先に存在する自分のモンスター1体をリリースし、デッキから植物族モンスター1体を守備表示で特殊召喚します! マスマティシャンをリリース!」
「更なる展開に繋げるのが狙いのようだけど、それを見過ごせるほど私は甘くないの。その効果にチェーンしてオルフェゴール・ロンギルスの効果を発動するわ!」
チェーン2(奏):オルフェゴール・ロンギルス
チェーン1(皐月):アロマセラフィ-ジャスミン
「チェーン2のロンギルスの効果。除外されているスケルツォンとディヴェルの2体をデッキに戻すことでリンク状態の相手モンスター1体を墓地に送る。墓地に送るのはアロマセラフィ-ジャスミンよ」
ロンギルスの手に持つ槍から放たれた負のオーラがジャスミンを飲み込んでは消えていく。この効果は対象を取らない効果であるため、ロンギルスの左上のリンクマーカーの先、つまり空いている方のEXゾーンに存在するモンスターの大半をこの効果で処理することができるのだ。
「ですがフィールドを離れているとはいえ、無効にされたわけではありません。ジャスミンの効果で私はデッキから《ローンファイア・ブロッサム》を特殊召喚します!」
《ローンファイア・ブロッサム》
効果モンスター(制限カード)
星3/炎属性/植物族/攻500/守1400
(1):1ターンに1度、自分フィールドの表側表示の植物族モンスター1体をリリースして発動できる。デッキから植物族モンスター1体を特殊召喚する。
「そしてローンファイア・ブロッサムをリリースし、デッキから植物族モンスター1体を特殊召喚します。特殊召喚するのは《捕食植物オフリス・スコーピオ》です!」
《捕食植物オフリス・スコーピオ》
効果モンスター(制限カード)
星3/闇属性/植物族/攻1200/守800
「捕食植物オフリス・スコーピオ」の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合、手札からモンスター1体を墓地へ送って発動できる。デッキから「捕食植物オフリス・スコーピオ」以外の「捕食植物」モンスター1体を特殊召喚する。
「特殊召喚に成功したオフリス・スコーピオの効果を発動。手札のモンスター1体をコストにデッキから同名カード以外の捕食植物1体を特殊召喚します。特殊召喚するのは《捕食植物ダーリング・コブラ》です!」
《捕食植物ダーリング・コブラ》
効果モンスター
星3/闇属性/植物族/攻1000/守1500
「捕食植物ダーリング・コブラ」の効果はデュエル中に1度しか使用できない。
(1):このカードが「捕食植物」モンスターの効果で特殊召喚に成功した場合に発動できる。デッキから「融合」魔法カードまたは「フュージョン」魔法カード1枚を手札に加える。
「特殊召喚に成功したダーリング・コブラの効果を発動します! デッキから融合魔法カードもしくはフュージョン魔法カード1枚を手札に加えます! 手札に加えるのは《ブリリアント・フュージョン》です!」
(【ヴァレット】は動きの遅さが弱点と言えるデッキだけど……それを補うために【植物リンク】のギミックを取り入れたということかしら。これはひょっとするとひょっとするかもしれないわね……)
奏は予感していた。自分で言うのはとてもおこがましいことではあるのだが、このセントラル校の学生デュエリストとして自分は百戦錬磨であるということを。そしてそんな百戦錬磨の自分だからこそわかることもある。彼のその直感が告げている。皐月の心の奥に秘められた、反撃の一発の存在を。