「狩られる準備……?」
「ええ、そうよ。これから私は1ターンであなたのライフを0にする」
「……俺のフィールドにはジズキエルがいる。攻撃力は3300だ。仮にこいつを倒してもメインモンスターゾーンが空くから閃刀魔法カードの発動条件を満たす! そうなれば……」
「そうなれば、ね。まずは魔法カード《フォトン・サンクチュアリ》を発動するわ」
天宮 遊希が世界でただ一人だけ持つカードの一つがこの【フォトン】と名のついたカードである。「フォトン」とは素粒子の一種であり、光を含む電磁波を量子として取り扱う場合の総称である。その由来から、光属性で統一されたこのテーマはやや扱い辛いモンスターが多いものの、遊希はそれをまるで自分の手足のように使いこなしていた。
《フォトン・サンクチュアリ》
通常魔法
このカードを発動するターン、自分は光属性モンスターしか召喚・反転召喚・特殊召喚できない。
(1):自分フィールドに「フォトントークン」(雷族・光・星4・攻2000/守0)2体を守備表示で特殊召喚する。このトークンは攻撃できず、S素材にもできない。
「フォトントークン2体を守備表示で特殊召喚。本当なら《トレード・イン》の対象になる《怒炎壊獣ドゴラン》か《海亀壊獣ガメシエル》を使いたいところだけど、フォトン・サンクチュアリとは噛み合わないのよね。そしてフォトントークン1体を対象に手札の《フォトン・オービタル》の効果を発動」
《フォトン・オービタル》
効果モンスター
星4/光属性/機械族/攻500/守2000
このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):自分メインフェイズに自分フィールドの「フォトン」モンスターまたは「ギャラクシー」モンスター1体を対象として発動できる。自分の手札・フィールドからこのモンスターを攻撃力500アップの装備カード扱いとしてその自分のモンスターに装備する。装備モンスターは戦闘では破壊されない。
(2):装備されているこのカードを墓地へ送って発動できる。デッキから「フォトン・オービタル」以外の「フォトン」モンスターまたは「ギャラクシー」モンスター1体を手札に加える。
「このカードを攻撃力500アップの装備カード扱いとしてモンスターに装備する」
フォトントークン ATK2000→2500
「そしてフォトン・オービタルの2つ目の効果を発動。このカードを墓地に送ることでデッキからフォトンもしくはギャラクシーと名のついたモンスター1体を手札に加える。私が手札に加えるのは《銀河戦士》。そして手札の銀河戦士の効果を発動。光属性モンスター1体を墓地に送り、このカードを手札から表側守備表示で特殊召喚する」
《銀河戦士》(ギャラクシー・ソルジャー)
効果モンスター
星5/光属性/機械族/攻2000/守0
「銀河戦士」の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカード以外の手札の光属性モンスター1体を墓地へ送って発動できる。このカードを手札から守備表示で特殊召喚する。
(2):このカードが特殊召喚に成功した時に発動できる。デッキから「ギャラクシー」モンスター1体を手札に加える。
「銀河戦士の特殊召喚に成功した時、2つ目の効果が発動。デッキからギャラクシーと名のついたモンスター1体を手札に加える。手札に加えるのは《銀河騎士》よ」
そして遊希が【フォトン】と共に使いこなすのが【ギャラクシー】と名のついたカードである。「銀河」をその名に冠するこのカードもフォトン同様に癖の強いカードが多いカテゴリーであることは否めない。最も遊希はフォトンとギャラクシーというこの2つのカード群を上手く調和させることで、絶妙なバランスでデッキを組みあげているのだ。
「そして銀河騎士は自分フィールドにフォトン・ギャラクシーモンスターが存在する場合、リリースなしで召喚できる」
《銀河騎士》(ギャラクシー・ナイト)
効果モンスター
星8/光属性/戦士族/攻2800/守2600
(1):自分フィールドに「フォトン」モンスターまたは「ギャラクシー」モンスターが存在する場合、このカードはリリースなしで召喚できる。
(2):このカードの(1)の方法で召喚に成功した場合、自分の墓地の「銀河眼の光子竜」1体を対象として発動する。このカードの攻撃力はターン終了時まで1000ダウンし、対象のモンスターを守備表示で特殊召喚する。
「レベル8のモンスターをリリースなしで通常召喚!?」
「銀河騎士が妥協召喚に成功した場合、発動できる効果があるわ。自身の攻撃力をターン終了時まで1000下げることで、墓地のとあるモンスターを守備表示で特殊召喚する」
「とあるモンスター……? まさか……」
「その様子だとあなたは知っているようね。私のデッキに眠る“精霊”を。幸運ね、その姿を今見せてあげるわ!!」
銀河騎士が手にした剣を天に掲げるのと同じように、遊希もまた左手を天高く掲げる。そしてその手には赤い十字架を象った物体が現れた。かつてプロデュエリストとして活躍していた頃の遊希は“精霊”の力が宿ったそのモンスターをデュエルで使用する際、その物体を天空へと放り投げていた。そのポーズは同年代の少年少女たちの間で流行になったほどである。もう二度と見ることのないそのポーズを見れることに対戦相手である男子生徒も喜びの色を隠せないようだった。
―――闇に輝く銀河よ。希望の光となりてこの世界に顕現せよ!―――
―――舞い降りよ。光の化身!!―――
―――《銀河眼の光子竜》!!―――
天に放られたその物体を中心に周囲の粒子エネルギーが取り込まれていき、それはやがて1体の巨大な竜の姿を象る。青い光をその身に宿し、全てを照らす大いなる竜。これが遊希の持つ“精霊”と呼ばれる特別なモンスター―――《銀河眼の光子竜》だった。
《銀河眼の光子竜》(ギャラクシーアイズ・フォトン・ドラゴン)
効果モンスター
星8/光属性/ドラゴン族/攻3000/守2500
(1):このカードは自分フィールドの攻撃力2000以上のモンスター2体をリリースして手札から特殊召喚できる。
(2):このカードが相手モンスターと戦闘を行うバトルステップに、その相手モンスター1体を対象として発動できる。その相手モンスターとフィールドのこのカードを除外する。この効果で除外したモンスターはバトルフェイズ終了時にフィールドに戻り、この効果でXモンスターを除外した場合、このカードの攻撃力は、そのXモンスターを除外した時のX素材の数×500アップする。
―――……久しぶりのデュエルかと思えば、こんな形での登場になるとはな。
先ほどから遊希の脳内で響いていた若い男性の声の主、銀河眼の光子竜が愚痴をこぼす。普通モンスターが動くのは戦闘時のみなのだが、光子竜はまるで生きているかのように首や翼を動かしている。
それこそがカードに描かれているだけの普通のモンスターと精霊とされているカードの最大の違いであり、その様は対戦相手の男子生徒や審判のミハエル、そしてカメラを通してデュエルを見ている鈴ら他の受験生たちにも理解できた。最も遊希と光子竜のように脳内で意思疎通が取れる、ということは遊希当人以外は知らないことではあったが。
(はいはい、文句だったら後で好きなだけ聞いてあげるから)
―――まあいい、今は目の前のデュエルに集中しろ。お前は勝ちを確信しているようだが、油断は大敵だぞ?
銀河騎士 ATK2800→1800
「メインモンスターゾーンを全て埋め尽くした……」
「確かEXデッキから特殊召喚されるモンスターは皆EXゾーンに置かなくてはいけないののよね。つまりリンクモンスターを絡めないとEXデッキからモンスターは1体しか出すことができない」
(全くI2社は余計なルール改訂を……)
―――そういう規則なら従わざるを得ないだろうが。それにお前のデッキはそのルールに対応するだけの手段を持っているだろう?
「ま、リンク召喚で戦術の幅が広まったのは面白いわね。だったら私もそれを活用させてもらうわ! 私はフォトントークン2体をリンクマーカーにセット!!」
「リンク召喚!?」
二つの光に変わったフォトントークンが天空に現れた周囲八方向に矢印のついた正方形のリングに吸い込まれていき、リングの左下と右下の部分に付けられた矢印が光り輝く。
「アローヘッド確認。召喚条件は攻撃力2000以上のモンスターを含む光属性モンスター2体。リンク召喚! 降臨せよ! 全てを照らす光の竜! リンク2《銀河眼の煌星竜》!!」
《銀河眼の煌星竜》(ギャラクシーアイズ・ソルフレア・ドラゴン)
リンク・効果モンスター
リンク2/光属性/ドラゴン族/攻2000
【リンクマーカー:左下/右下】
攻撃力2000以上のモンスターを含む光属性モンスター2体
このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードがリンク召喚に成功した場合、自分の墓地の「フォトン」モンスターまたは「ギャラクシー」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを手札に加える。
(2):相手メインフェイズに、「フォトン」カードと「ギャラクシー」カードの2枚、または「銀河眼の光子竜」1体を手札から捨て、相手フィールドの特殊召喚されたモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを破壊する。
「銀河眼のリンクモンスター……そんなモンスターが存在しているなんて……」
「曲がりなりにも私は精霊に選ばれたデュエリストよ。カードをゼロから創造するくらいわけないわ」
―――最も、このカードがデュエルに使用できるのはI2社や海馬コーポレーションの旧知の社員に働きかけたからだがな。
(それを言わないで頂戴。ムードもへったくれも無くなるから)
「リンク召喚に成功した銀河眼の煌星竜の効果を発動。墓地の「フォトン」または「ギャラクシー」モンスターを手札に加える。私が手札に加えるのはフォトン・オービタル。そして手札から魔法カード《銀河遠征》を発動」
《銀河遠征》(ギャラクシー・エクスペディション)
通常魔法
「銀河遠征」は1ターンに1枚しか発動できない。
(1):自分フィールドにレベル5以上の、「フォトン」モンスターまたは「ギャラクシー」モンスターが存在する場合に発動できる。デッキからレベル5以上の、「フォトン」モンスターまたは「ギャラクシー」モンスター1体を守備表示で特殊召喚する。
「デッキからレベル5の銀河戦士を守備表示で特殊召喚する。さあ、これで準備完了よ。まずはレベル5の銀河戦士2体でオーバーレイ! 2体の機械族モンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築。エクシーズ召喚!“機光の竜は時を経て新たな進化を遂げる。仲間の命をもってその力を解放せよ!” ランク5《サイバー・ドラゴン・ノヴァ》!」
《サイバー・ドラゴン・ノヴァ》
エクシーズ・効果モンスター
ランク5/光属性/機械族/攻2100/守1600
機械族レベル5モンスター×2
1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除いて発動できる。自分の墓地の「サイバー・ドラゴン」1体を選択して特殊召喚する。
また、1ターンに1度、自分の手札・フィールド上の「サイバー・ドラゴン」1体を除外して発動できる。このカードの攻撃力はエンドフェイズ時まで、2100ポイントアップする。この効果は相手ターンでも発動できる。
このカードが相手の効果によって墓地へ送られた場合、機械族の融合モンスター1体をエクストラデッキから特殊召喚できる。
「そしてサイバー・ドラゴン・ノヴァをエクシーズチェンジ! 1体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを再構築。エクシーズ・チェンジ!“機光竜の進化は留まらない。無限の命と力を得て飛翔せよ!”ランク6《サイバー・ドラゴン・インフィニティ》!!」
《サイバー・ドラゴン・インフィニティ》
エクシーズ・効果モンスター
ランク6/光属性/機械族/攻2100/守1600
機械族・光属性レベル6モンスター×3
「サイバー・ドラゴン・インフィニティ」は1ターンに1度、自分フィールドの「サイバー・ドラゴン・ノヴァ」の上に重ねてX召喚する事もできる。
(1):このカードの攻撃力は、このカードのX素材の数×200アップする。
(2):1ターンに1度、フィールドの表側攻撃表示モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターをこのカードの下に重ねてX素材とする。
(3):1ターンに1度、カードの効果が発動した時、このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。その発動を無効にし破壊する。
「サイバー・ドラゴン・インフィニティは1ターンに1度、カードの効果が発動した時、このカードのX素材を1つ取り除くことでその発動を無効にして破壊することができる。果たしてそのセットカードで私たちの攻撃を止めることができるかしら?」
―――遊希、まさか……
「そしてこれが私のとっておき! 私はレベル8の銀河眼の光子竜と銀河騎士でオーバーレイ! 2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築! エクシーズ召喚!!」
遊希の手には古代文字のような刻印が刻まれた剣が現れる。銀河眼の光子竜を召喚する時に十字架のようなものを天空に投げる姿はよく見受けられたが、この剣のようなものを振るう姿を見た者は当の遊希以外は見たことがなかった。だが、それも当然のことである。何故ならプロデュエリストを引退し、デュエルから距離を置いていた時であっても遊希に宿る銀河眼の光子竜の力は増大を続けており、この力はその時に宿ったものなのだから。
―――“我が心中に燃える強き意志よ。希望をその身に宿し、光子の竜の真の力を解放せよ!!”―――
―――《No.62 銀河眼の光子竜皇》!!―――