☆TURN01(桜)
「それでは私の先攻で始めさせていただきますわ。見せて差し上げます、真の実力者による真のデュエルを」
そう言って何処か得意気な笑みを浮かべる桜。鈴からしてみれば、彼女のこの言葉には竜司の功績によって【青眼】デッキを使うことが許されている鈴を揶揄する意味合いが含まれているように思えてならなかった。桜が使うデッキは鈴同様に父親である雄一郎が使うデッキと同じカードを使ったデッキである。しかし、親と同じデッキを使う者同士であったとしても、自分は鈴とは違う、ということを強調したかったのかもしれない。
「……御託はいいからさっさとデュエルを進めてくれませんか?」
デュエルにおいて、対戦相手に対する過度な暴言はご法度である。しかし、少々の煽り言葉であれば許されるし、それは相手を動揺させる手段としては当たり前のように用いられている。ここで大事なのは、その言葉に乗らないこと。そう言った意味では鈴もまだまだ年頃の少女であった。
「あら、口が悪いですわね。貴女のような品のないデュエリストなど私のデッキで焼き尽くしてあげますわ。私は手札より魔法カード《レッドアイズ・インサイト》を発動しますわ」
《レッドアイズ・インサイト》
通常魔法
「レッドアイズ・インサイト」は1ターンに1枚しか発動できない。
(1):手札・デッキから「レッドアイズ」モンスター1体を墓地へ送って発動できる。デッキから「レッドアイズ・インサイト」以外の「レッドアイズ」魔法・罠カード1枚を手札に加える。
(やっぱり……デッキは【真紅眼】のままね)
桜の父・雄一郎は【真紅眼】デッキを愛用しており、青眼を愛用している竜司とは日本人同士で同い年とまさにライバルと言っていい間柄だった。最も竜司がセントラル校の校長に就任するにあたってプロを引退しているため、そのライバル同士のデュエルをプロの舞台で見れる機会はまず訪れないのであるが。
「デッキよりレッドアイズ・ダークネスメタルドラゴンを墓地に送り、デッキから《真紅眼融合》を手札に加えますわ。そして今手札に加えた真紅眼融合を発動します!」
《真紅眼融合(レッドアイズ・フュージョン)》
通常魔法
このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できず、このカードを発動するターン、自分はこのカードの効果以外ではモンスターを召喚・特殊召喚できない。
(1):自分の手札・デッキ・フィールドから、融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを墓地へ送り、「レッドアイズ」モンスターを融合素材とするその融合モンスター1体をEXデッキから融合召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターのカード名は「真紅眼の黒竜」として扱う。
真紅眼融合はレッドアイズを融合素材に指定する融合モンスター1体を融合召喚する専用の融合カードである。通常融合モンスターの融合素材は手札・フィールドから賄うのが一般的だが、このカード擁する真紅眼は発動条件無しにデッキのモンスターを融合素材にできるのだ。手札・フィールドの消費が激しい融合において、それらのリソースを一切失わずに融合モンスター1体を融合召喚できるというのは間違いなくこのデッキの強みである。
(真紅眼融合で融合召喚できるモンスターは5体。効果を持たない《メテオ・ブラック・ドラゴン》と《ブラック・デーモンズ・ドラゴン》の2体は除くとして融合召喚できるのは3種類のモンスター。このうちどのモンスターを融合召喚するかでデッキの方向性がわかるはず……)
「私は《真紅眼の黒竜》と戦士族モンスター《バスター・ブレイダー》をデッキより墓地に送り、融合!“紅き眼を持つ黒竜よ。竜を斬る戦士よ。今一つとなりて全てを切り裂く漆黒の刃となりなさい!”融合召喚! 現れるのですわ!《真紅眼の黒刃竜》!!」
現れたのは全身を漆黒の鎧で覆った竜。力で青眼に劣る真紅眼が持つ可能性の一つがこの姿であった。
《真紅眼の黒刃竜(レッドアイズ・スラッシュドラゴン)》
融合・効果モンスター
星7/闇属性/ドラゴン族/攻2800/守2400
「真紅眼の黒竜」+戦士族モンスター
(1):「レッドアイズ」モンスターの攻撃宣言時に自分の墓地の戦士族モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを攻撃力200アップの装備カード扱いとしてこのカードに装備する。
(2):自分フィールドのカードを対象とするカードの効果が発動した時、自分フィールドの装備カード1枚を墓地へ送って発動できる。その発動を無効にし破壊する。
(3):このカードが戦闘・効果で破壊された場合に発動できる。このカードに装備されていたモンスターを自分の墓地から可能な限り特殊召喚する。
「黒刃竜はレッドアイズモンスターの攻撃宣言時に自分の墓地の戦士族モンスター1体をこのカードに攻撃力200アップの装備カード扱いとして装備することができますわ。そしてこのカードが破壊された場合にこのカードに装備されていたモンスターを墓地から特殊召喚できます」
「でも装備できるタイミングは攻撃宣言時。先攻1ターン目ではあまり意味はないですよね?」
「ええ。なので攻撃力は2800のまま……なのでこのカードで補いますわ。手札の《黒鋼竜》の効果を発動」
《黒鋼竜(ブラックメタルドラゴン)》
効果モンスター
星1/闇属性/ドラゴン族/攻600/守600
(1):自分メインフェイズに自分フィールドの「レッドアイズ」モンスター1体を対象として発動できる。自分の手札・フィールドからこのモンスターを攻撃力600アップの装備カード扱いとしてその自分のモンスターに装備する。
(2):このカードがフィールドから墓地へ送られた場合に発動できる。デッキから「レッドアイズ」カード1枚を手札に加える。
「このカードを装備カード扱いとして黒刃竜に装備。黒刃竜の攻撃力は600ポイントアップしますわ」
真紅眼の黒刃竜(+黒鋼竜)ATK2800→ATK3400
「そしてカードを1枚セット。ターンエンドですわ」
桜 LP8000 手札1枚
デッキ:31 メインモンスターゾーン:0 EXゾーン:1(真紅眼の黒刃竜)魔法・罠:2(黒鋼竜)墓地:5 Pゾーン:青/赤 除外:0 エクストラデッキ:14(0)
鈴 LP8000 手札5枚
デッキ:35 メインモンスターゾーン:0 EXゾーン:0 魔法・罠:0 墓地:0 Pゾーン:青/赤 除外:0 エクストラデッキ:15(0)
桜
□□鋼伏□
□□□□□□
刃 □
□□□□□□
□□□□□
鈴
○凡例
刃・・・真紅眼の黒刃竜
鋼・・・黒鋼竜
☆TURN02(鈴)
「あたしのターン、ドロー! あたしはマンジュ・ゴッドを召喚。召喚に成功したマンジュ・ゴッドの効果を発動! デッキから儀式モンスターか儀式魔法カード1枚を手札に加える! あたしはデッキから儀式魔法、高等儀式術を手札に加える。そしてその高等儀式術を発動! あたしはデッキの通常モンスター、青眼の白龍を墓地に送って儀式の生贄に捧げる。儀式召喚! 降臨せよ!《青眼の混沌龍》!」
《青眼の混沌龍(ブルーアイズ・カオス・ドラゴン)》
儀式・効果モンスター
星8/闇属性/ドラゴン族/攻3000/守0
「カオス・フォーム」により降臨。このカードは儀式召喚でしか特殊召喚できない。
(1):このカードは相手の効果の対象にならず、相手の効果では破壊されない。
(2):「青眼の白龍」を使用して儀式召喚したこのカードの攻撃宣言時に発動できる。相手フィールドの全てのモンスターの表示形式を変更する。この効果で表示形式を変更したモンスターの攻撃力・守備力は0になる。このターン、このカードが守備表示モンスターを攻撃した場合、その守備力を攻撃力が超えた分だけ戦闘ダメージを与える。
「カオス・MAX・ドラゴンではなく混沌龍ですか……全く、悪運が強いですわね」
カオス・MAX・ドラゴンに比べて混沌龍は攻撃力が1000下で耐性も同じとカオス・MAX・ドラゴンと役割が被ることが多い。しかし、混沌龍はカオス・MAX・ドラゴンにはない攻撃宣言時の強制表示変更効果を持っており、貫通ダメージ倍化はないものの、相手の攻撃力・守備力を0にする効果で確実に3000のダメージを通すことができるようになるのだ。
「バトルよ! 青眼の混沌龍で真紅眼の黒刃竜を攻撃! そしてこの攻撃宣言時に混沌龍の効果を発動! 相手フィールドに存在するモンスターの表示形式を変更する。そしてこの効果で表示形式を変更したモンスターの攻撃力・守備力を0にするわ!“カオス・バースト・ストリーム”!」
真紅眼の黒刃竜 ATK/3400/DEF2400→ATK0/DEF0
青眼の混沌龍 ATK3000 VS 真紅眼の黒刃竜 DEF0
桜 LP8000→5000
「っ……まあいいですわ。私は上級生なのですから、このくらいのハンデは差し上げてあげないと!」
(うわー……こんな時でもお嬢様っぷりは崩さないんだ)
「フィールドから墓地に送られた黒鋼竜と破壊されて墓地に送られた黒刃竜の効果を発動しますわ!」
チェーン2(桜):黒鋼竜
チェーン1(鈴):真紅眼の黒刃竜
「チェーン2の黒鋼竜の効果でデッキからレッドアイズカード1枚を手札に加えますわ。手札に加えるのは《真紅眼の凱旋》。そしてチェーン1の黒刃竜の効果で黒刃竜に装備されていた黒鋼竜を攻撃表示で特殊召喚しますわ!」
鈴のフィールドに存在するマンジュ・ゴッドの攻撃力は1400。対する蘇生された黒鋼竜の攻撃力は600。このまま攻撃すれば800のダメージを相手に与えることはできる。しかし、そのまま突っ込んでいいものか、という考えが鈴の中に浮かぶ。攻撃力で劣ることはわかっているはずなのに攻撃表示で特殊召喚。これはまず攻撃を誘っていると見ていいだろう。
(攻撃表示か、マンジュ・ゴッドで戦闘破壊できるけど黒鋼竜の効果にターン内の発動制限はない。ダメージは与えられるけどそれだとまたサーチ効果を使われる……)
「あたしはバトルフェイズを終了してメインフェイズ2に移るわ」
「あら、撒き餌にはかかりませんか」
桜はやや残念そうに「ふふん」と笑った。その態度からはやはりそれとなく見下した様子が伝わってきた。
「……あたしのこと攻撃力だけのバカと思わないで下さいね、セ・ン・パ・イ?」
「まあ……なんと可愛げのない先輩呼びでしょう。これだから庶民の出は」
「いやパパやママの育ちとか関係ないっしょ別に……メインフェイズ2。あたしはカードを2枚セットしてターンエンド」
「ではエンドフェイズにリバースカードを発動しますわ。罠カード《レッドアイズ・スピリッツ》ですわ」
《レッドアイズ・スピリッツ》
通常罠
(1):自分の墓地の「レッドアイズ」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。
「墓地のレッドアイズ・ダークネスメタルドラゴンを特殊召喚します」
「……っ」
桜 LP5000 手札2枚
デッキ:30 メインモンスターゾーン:2(レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン、黒鋼竜)EXゾーン:0 魔法・罠:0 墓地:6 Pゾーン:青/赤 除外:0 エクストラデッキ:14(0)
鈴 LP8000 手札2枚
デッキ:32 メインモンスターゾーン:2(青眼の混沌龍、マンジュ・ゴッド)EXゾーン:0 魔法・罠:1 墓地:2 Pゾーン:青/赤 除外:0 エクストラデッキ:15(0)
桜
□□□□□
□□鋼ダ□□
□ □
□□□混マ□
□□伏伏□
鈴
○凡例
ダ・・・レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン
混・・・青眼の混沌龍
マ・・・マンジュ・ゴッド
☆TURN03(桜)
「私のターン、ドローですわ。ではレッドアイズ・ダークネスメタルドラゴンの効果を発動します。墓地のドラゴン族モンスター、真紅眼の黒刃竜を特殊召喚します。一度正規の方法で融合召喚に成功しているため、墓地から特殊召喚できますわ。さて、先ほどのダメージのお返しをして差し上げますわ。レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴンを対象に黒鋼竜の効果を発動。このカードの装備効果はフィールドからでも発動できますの」
レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン(+黒鋼竜)ATK2800→ATK3400
「そしてバトルフェイズに移りますわ。真紅眼の黒刃竜で青眼の混沌龍を攻撃です! そしてレッドアイズモンスターの攻撃宣言時に黒刃竜の効果を発動! 墓地の戦士族モンスター1体を攻撃力200アップの装備カード扱いにして装備しますわ! 装備するのはバスター・ブレイダーですわ!」
真紅眼の黒刃竜(+バスター・ブレイダー)ATK2800→ATK3000
「でも攻撃力は混沌龍と同じ3000……まさか」
「構いませんわ!“ダーク・メガ・スラッシュ”!」
「っ、混沌のカオス・バースト!」
真紅眼の黒刃竜(+バスター・ブレイダー)ATK3000 VS 青眼の混沌龍 ATK3000
黒刃竜の放った斬撃と混沌龍の放った闇の波動が相殺し合い、二体のドラゴンを巻き込んで大爆発を起こす。同じ攻撃力であるため、双方相討ちとなるのだが、このバトルはただの相討ちで終わらない。
「戦闘で破壊されて墓地に送られた真紅眼の黒刃竜の効果を発動しますわ! このカードに装備されていたモンスターを可能な限り特殊召喚しますわ! 装備されていたバスター・ブレイダーを特殊召喚します!」
《バスター・ブレイダー》
効果モンスター
星7/地属性/戦士族/攻2600/守2300
(1):このカードの攻撃力は、相手のフィールド・墓地のドラゴン族モンスターの数×500アップする。
「バスター・ブレイダーの攻撃力は相手のフィールド・墓地のドラゴン族モンスターの数×500ポイントアップします。貴女の墓地には2体のドラゴン族モンスターが存在するのでバスター・ブレイダーの攻撃力は1000ポイントアップしますわ!」
バスター・ブレイダー ATK2600→ATK3600
「攻撃力3600……!」
「まだバトルフェイズは終わっていませんわ。レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴンでマンジュ・ゴッドを攻撃!“ダークネス・メタル・フレア”!」
レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン(+黒鋼竜)ATK3400 VS マンジュ・ゴッド ATK1400
鈴 LP8000→6000
「まだですわ! バスター・ブレイダーでダイレクトアタック!“破壊剣・一閃”!」
バスター・ブレイダー ATK3600
「それは通させない! リバースカードオープン!速攻魔法《銀龍の轟咆》を発動!」
《銀龍の轟咆》
速攻魔法
「銀龍の轟咆」は1ターンに1枚しか発動できない。
(1):自分の墓地のドラゴン族の通常モンスター1体を対象として発動できる。そのドラゴン族の通常モンスターを特殊召喚する。
「墓地の通常モンスター、青眼の白龍を守備表示で特殊召喚!」
「……間一髪でしたわね。まあいいでしょう。青眼と言えどバスター・ブレイダーの敵ではありませんわ!」
バスター・ブレイダー ATK3600 VS 青眼の白龍 DEF2500
竜を狩る剣士の一振りは白き龍の身体を真っ二つに切り裂く。融合素材に戦士族を指定している黒刃竜を入れていることや、真紅眼の黒竜とバスター・ブレイダーの元々のレベルを考えても真紅眼と【バスター・ブレイダー】の相性は決して悪くはない。
(真紅眼だけなら青眼には攻撃力で勝てない。でもバスター・ブレイダーを入れることでその差を補っている。そしてバスター・ブレイダーがいるってことはまず間違いなく“あのモンスター”も入れられていると見るべき)
「メインフェイズ2。私はカードを1枚セットしてターンエンドですわ」
(あのモンスターを出されたらドラゴン族主体のあたしのデッキだと正攻法では勝ち目はない。だったらその前に潰す、それだけだよね……遊希?)
桜 LP5000 手札2枚
デッキ:29 メインモンスターゾーン:2(バスター・ブレイダー、レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン)EXゾーン:0 魔法・罠:2(黒鋼竜)墓地:5 Pゾーン:青/赤 除外:0 エクストラデッキ:14(0)
鈴 LP6000 手札2枚
デッキ:32 メインモンスターゾーン:0 EXゾーン:0 魔法・罠:1 墓地:5 Pゾーン:青/赤 除外:0 エクストラデッキ:15(0)
桜
□伏鋼□□
□□バダ□□
□ □
□□□□□□
□□□伏□
鈴
○凡例
バ・・・バスター・ブレイダー