これまではフィールド魔法を魔法・罠の数をひとまとめにし、Pゾーンが独立していましたが、フィールド魔法は魔法・罠カードと別に表記し、Pゾーンを魔法・罠に加える形で表記しました。
○変更前
デュエリスト名 残ライフポイント 手札
デッキ残枚数 メインモンスターゾーン EXゾーン 魔法・罠 墓地 Pゾーン 除外 EXデッキ枚数(EXデッキの表側表示のカードの枚数)
○変更後
デュエリスト名 残ライフポイント 手札
デッキ残枚数 メインモンスターゾーン EXゾーン 魔法・罠(Pゾーン) フィールド魔法 墓地 除外 EXデッキ枚数(EXデッキの表側表示のカードの枚数)
急遽行うことになったこのデュエルの目的は、エヴァがスカーライトと交信できるようにするというものである。しかし、遊希にとっては以前のデュエルの借りを返す、という目的もあった。
過去の自分を超えると共に自分がこれまでどの程度成長したかということも彼女は自分で理解したかったのだ。そしてデュエルの直前に遊希はエヴァに一つだけ申し出る。それは「全力で倒しに来てほしい」というものであった。スカーライトを倒すだけなら手抜きのデュエルでもできるだろう。
しかし、そんなデュエルで心を開いてくれるほど精霊は生易しいものではない。互い全力でデュエルを行い、精霊同士が牙を交える。そんなデュエルこそ精霊が望むものであると言えるのだ。
「だからエヴァ、すぐにスカーライトを出そうだなんて思っちゃダメよ?」
「ああ。その時々に応じてモンスターを出せと言うのだな」
「そう。だからスカーライトを出さずに終わってしまう可能性もある。本末転倒かもしれないけど、それが真剣勝負」
「真剣勝負……か。ならばスカーライトを召喚しつつお前を倒してみせるぞ!」
デュエルディスクのコンピューターによって先攻後攻の決定権を得たのはエヴァだった。前回のデュエルでは遊希がその権利を得たため、今回はその時と真逆になる。エヴァは先攻を宣言した。エヴァのデッキは先攻でも後攻でも変わらぬ展開力を持つが、やはり先攻で展開できるに越したことは無かった。
「行かせてもらうぞ、遊希!」
「こちらこそ、胸を借りるつもりで行かせてもらうわ」
「「デュエル!!」」
先攻:エヴァ
後攻:遊希
エヴァ LP8000 手札5枚
デッキ:35 メインモンスターゾーン:0 EXゾーン:0 魔法・罠(Pゾーン:青/赤):0 フィールド:0 墓地:0 除外:0 EX:15(0)
遊希 LP8000 手札5枚
デッキ:35 メインモンスターゾーン:0 EXゾーン:0 魔法・罠(Pゾーン:青/赤):0 フィールド:0 墓地:0 除外:0 EX:15(0)
☆TURN01(エヴァ)
「私のターン。私は手札から魔法カード、闇の誘惑を発動。デッキからカードを2枚ドローし、その後手札の闇属性モンスター1体をゲームから除外する。私が除外するのはレベル4のBF-精鋭のゼピュロスだ」
ゼピュロスは墓地に存在する場合、一度だけフィールドに表側表示で存在するカード1枚を手札に戻すことで特殊召喚できるモンスターだ。そのためBFの中ではデッキを選ばず採用できるカードの1枚であるのだが、墓地において真価を発揮するモンスターをエヴァは除外した。
(ゼピュロスを除外したってことは……)
―――あのカードが手札にあると見ていいだろうな。
「私は手札より永続魔法、黒い旋風を発動。そしてチューナーモンスター、BF-南風のアウステルを召喚。召喚に成功したアウステルの効果、そして永続魔法である黒い旋風の効果が発動する!」
チェーン2(エヴァ):黒い旋風
チェーン1(エヴァ):BF-南風のアウステル
「チェーン2の黒い旋風の効果で私はデッキよりアウステルより攻撃力の低いBF1体を手札に加える。私が手札に加えるのは攻撃力1100のBF-そよ風のブリーズ。そしてチェーン1のアウステルの効果で私は除外されているBF1体をフィールドに特殊召喚する! 帰還せよ、ゼピュロス! そしてカードの効果で手札に加わったブリーズは特殊召喚できる!」
「相変わらずの展開力ね……」
エヴァのフィールドには早くもチューナーモンスター2体を含むモンスター3体が現れる。黒い旋風の効果によるサーチ力の強さが売りのBFであるが、特殊召喚効果を持つBFも無しに1回の召喚権で3体のモンスターを並べるのはエヴァのタクティクスがあってのことと言っていいだろう。
「まだだ。私はゼピュロスとブリーズをリンクマーカーにセット。サーキットコンバイン! 現れよ! 水晶機巧-ハリファイバー! リンク召喚に成功したハリファイバーの効果で私はデッキからレベル3以下のチューナーモンスター1体を特殊召喚する。特殊召喚するのはレベル3の《BF-隠れ蓑のスチーム》だ!」
《BF-隠れ蓑のスチーム》
チューナー・効果モンスター(制限カード)
星3/闇属性/鳥獣族/攻800/守1200
「BF-隠れ蓑のスチーム」の(2)の効果はデュエル中に1度しか使用できない。
(1):表側表示のこのカードがフィールドから離れた場合に発動する。自分フィールドに「スチーム・トークン」(水族・風・星1・攻/守100)1体を特殊召喚する。
(2):このカードが墓地に存在する場合、自分フィールドのモンスター1体をリリースして発動できる。このカードを墓地から特殊召喚する。この効果で特殊召喚したこのカードをS素材とする場合、他のS素材モンスターは全て「BF」モンスターでなければならない。
「そして墓地のゼピュロスの効果を発動! 黒い旋風を手札に戻し、墓地からゼピュロスを特殊召喚! そして私は400のダメージを受ける」
エヴァ LP8000→7600
「私のフィールドにBFモンスターが存在する場合、このカードは手札から特殊召喚できる。現れよ、BF-残夜のクリス、BF-砂塵のハルマッタン! 特殊召喚に成功したハルマッタンの効果を発動! このカードのレベルをゼピュロスのレベル分アップさせる!」
BF-砂塵のハルマッタン 星2→星6
「私はレベル4のゼピュロスにレベル3のチューナーモンスター、隠れ蓑のスチームをチューニング!“黒き疾風よ。光の速さで極光輝く世界を駆け抜けろ!”シンクロ召喚! スタートだ!《F.A.ライトニングマスター》!」
《F.A.ライトニングマスター》
シンクロ・効果モンスター
星7/光属性/機械族/攻0/守2000
チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上
(1):このカードの攻撃力はこのカードのレベル×300アップする。
(2):このカードが守備表示モンスターを攻撃した場合、その守備力を攻撃力が超えた分だけ戦闘ダメージを与える。
(3):「F.A.」魔法・罠カードの効果が発動した場合に発動できる(ダメージステップでも発動可能)。このカードのレベルを1つ上げる。
(4):1ターンに1度、相手が魔法・罠カードの効果を発動した時に発動できる。このカードのレベルを2つ下げ、その発動を無効にし破壊する。
「ライトニングマスターを守備表示でS召喚。ライトニングマスターの攻撃力はレベル×300の数値になる」
F.A.ライトニングマスター ATK0→ATK2100
「そしてS素材となったスチームの効果で私はスチームトークン1体を守備表示で特殊召喚。そしてレベル6となったハルマッタンに、レベル4のBFチューナー、アウステルをチューニング!“黒き疾風よ。極光煌めく空を究極の力を以て制圧せよ!”シンクロ召喚! 舞い上がれ! BF-フルアーマード・ウィング!!」
「ハリファイバーにフルアーマード・ウィング、そしてライトニングマスター……か」
エヴァのフィールドには強力なモンスターが3体並ぶ。いずれも一筋縄で攻略できるモンスターとは言い難い3体であった。
―――フルアーマード・ウィングは効果に対する完全耐性、ライトニングマスターは自身のレベルを2つ下げることで魔法・罠の発動を無効にして破壊する効果を持っているな。
(そしてハリファイバーの効果は言わずもがな……真剣勝負とは言ったけど、ここまで真剣になられるとは思わなかったわ)
―――言っておくが、自分で蒔いた種だからな?
(わかってるわよ。そんなこと)
後攻1ターン目から早くもこの3体の対応手段を求められることとなった遊希。遊希が自ら望んだ結果とはいえ、次の自分のターン次第ではワンショットキルを食らいかねない盤面であるため、何もできずに負けてしまえばエヴァのためにもならない。
(何かを考えこんでいる? まさか、精霊と話してでもいるのだろうか)
一方のエヴァも考え込む遊希を見て、彼女が自分にないものを持っているということを改めて思い知らされる。デュエルとはタッグデュエルなど特別なルールを除いては基本的に一人で行うものであり、味方は存在しないと言っていい。
しかし、精霊をその身に宿す遊希はルール違反に問われるアドバイス等は受けていないにしても、常に精霊が共にいる。同じ精霊をその身に宿す者として、こうしてコミュニケーションを取ることができるということは精霊をコントロールできないエヴァにとってはとても羨ましいことであった。
(……スカーライト。お前は私を認めてくれるだろうか)
「私はこれでターンエンドだ! お前の力を見せてみろ、天宮 遊希よ!」
エヴァ LP8000 手札2枚
デッキ:31 メインモンスターゾーン:4(BF-フルアーマード・ウィング、F.A.ライトニングマスター、BF-残夜のクリス、スチームトークン)EXゾーン:1(水晶機巧-ハリファイバー)魔法・罠(Pゾーン:青/赤):0 フィールド:0 墓地:6 除外:0 EX:12(0)
遊希 LP8000 手札5枚
デッキ:35 メインモンスターゾーン:0 EXゾーン:0 魔法・罠(Pゾーン:青/赤):0 フィールド:0 墓地:0 除外:0 EX:15(0)
エヴァ
□□□□□
F□フス残□
水 □
□□□□□□
□□□□□
遊希
○凡例
F・・・F.A.ライトニングマスター
残・・・BF-残夜のクリス
ス・・・スチームトークン
☆TURN02(遊希)
「私のターン、ドロー! 私は手札から魔法カード、増援を発動! デッキからレベル4以下の戦士族モンスター1体を手札に加えるわ」
「増援か……では止めさせてもらう! 増援にチェーンして私はF.A.ライトニングマスターの効果を発動!」
チェーン2(エヴァ):F.A.ライトニングマスター
チェーン1(遊希):増援
「ライトニングマスターのレベルを2つ下げることで、魔法カードである増援の発動を無効にして破壊する!」
F.A.ライトニングマスター 星7→星5 ATK2100→ATK1500
「チェーン1の増援は無効。でもこれでこっちは心置きなく魔法カードを使うことができるわ」
「やはり増援は囮だったか」
「囮にするにしても、ターン1の効果を止めるためにこっちは制限カードを使わされるんだからたまったものではないんだけど。手札から魔法カード、フォトン・サンクチュアリを発動。自分フィールドにフォトントークン2体を守備表示で特殊召喚。このカードを発動したターン、私は光属性モンスターしか特殊召喚できなくなる」
しかし、遊希のメインデッキのモンスターは大半が光属性で構築されているため、フォトン・サンクチュアリのデメリットはデメリットたり得ない。むしろこのフォトン・サンクチュアリこそ止めるべきだったのではないか、とエヴァは自身の判断を悔いた。最も今更悔いたところでどうにかなるというものでもないのだが。
「私のフィールドにはフォトンモンスターであるフォトン・トークンが存在する。よってフォトン・バニッシャーを手札から特殊召喚。特殊召喚に成功したバニッシャーの効果でデッキから銀河眼の光子竜を手札に加える」
「フルアーマード・ウィングの効果を発動。フォトン・バニッシャーに楔カウンターを乗せる!」
フォトン・バニッシャー 楔カウンター:1
「サーチした光子竜をコストにトレード・インを発動。デッキからカードを2枚ドロー」
―――流れは悪くないな。トレード・インのコストで墓地に送られるのにも慣れてきたぞ。
(使っておいてなんだけど、それって慣れていいのかしら)
それでデュエルに勝てるならば大丈夫だ、問題ない―――とどこかで聞いたような返しを光子竜がしてくるため、遊希は彼の言葉に甘えて特に気にしないことにした。エヴァは精霊とコミュニケーションができる遊希のことを羨ましがっていたが、精霊と自由にコミュニケーションできる遊希が真剣なデュエルの時にこんなふざけたやり取りをしていたと知ったらエヴァはどう思うのだろうか。
(いかんいかん、集中集中)
「手札のフォトン・オービタルをバニッシャーに装備。そしてオービタルを墓地に送り、デッキから同名カード以外のフォトンもしくはギャラクシーモンスター1体を手札に加える。手札に加えるのは銀河騎士。そして銀河騎士をリリースなしで召喚。この方法で召喚に成功した銀河騎士の効果を発動。自身の攻撃力をターン終了時まで1000ダウンさせ、墓地の銀河眼の光子竜を守備表示で特殊召喚するわ」
「ではその効果にチェーンして私はハリファイバーの効果を発動する」
チェーン2(エヴァ):水晶機巧-ハリファイバー
チェーン1(遊希):銀河騎士
「チェーン2のハリファイバーの効果。EXゾーンのハリファイバーをゲームから除外し、EXデッキからSモンスターのチューナー1体をシンクロ召喚扱いで特殊召喚する! 私が特殊召喚するのはレベル7のSチューナー《シューティング・ライザー・ドラゴン》だ!」
《シューティング・ライザー・ドラゴン》
シンクロ・チューナー・効果モンスター
星7/光属性/ドラゴン族/攻2100/守1700
チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上
このカード名の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードがS召喚に成功した場合に発動できる。フィールドのこのカードより低いレベルを持つモンスター1体をデッキから墓地へ送り、そのモンスターのレベル分だけこのカードのレベルを下げる。このターン、自分は墓地へ送ったそのモンスター及びその同名モンスターのモンスター効果を発動できない。
(2):相手メインフェイズに発動できる。このカードを含む自分フィールドのモンスターをS素材としてS召喚する。
「シューティング・ライザー・ドラゴンか……チェーン1の銀河騎士の効果で墓地の銀河眼の光子竜を守備表示で特殊召喚するわ」
銀河騎士 ATK2800→ATK1800
「S召喚に成功したシューティング・ライザー・ドラゴンの効果を発動! デッキからレベル2のゾンビキャリアを墓地に送り、シューティング・ライザー・ドラゴンのレベルを墓地に送ったモンスターのレベル分下げる」
シューティング・ライザー・ドラゴン 星7→星5
(……レベル操作効果か。フィールドにはレベル4のクリスとレベル1のスチームトークンがいる、ということは……)
「私はフォトン・トークン2体をリンクマーカーにセット。サーキットコンバイン! リンク2の銀河眼の煌星竜をリンク召喚。リンク召喚に成功した煌星竜の効果で墓地のフォトン・オービタルを手札に加える」
「もちろんそのモンスターにも楔を打ち込むぞ!」
銀河眼の煌星竜 楔カウンター:1
「面倒ね、色々と……レベル8の銀河眼の光子竜と銀河騎士でオーバーレイ! 2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築。エクシーズ召喚!“遥かなる銀河に漂う声なき光。その力は一つとなり、皇たる光の竜を呼び覚ます! 限界を超えし力を以て暗黒を貫け!”No.62 銀河眼の光子竜皇!」
「いきなり銀河眼の光子竜皇か……」
「あなたがフルアーマード・ウィングで来るならこっちもそれ相応の力で対峙させてもらう。それだけよ。手札のフォトン・オービタルを銀河眼の煌星竜に装備。煌星竜の攻撃力は500ポイントアップする」
銀河眼の煌星竜(+フォトン・オービタル)ATK2000→ATK2500
「そしてメインフェイズ1を終えてバトルフェイズに移るわ」
「ではそのメインフェイズ1の終了時に私はシューティング・ライザー・ドラゴンの効果を発動! 相手メインフェイズ中にこのカードを素材にしてS召喚を行う!」
「やっぱりSチューナーだけあって相手ターンでのS召喚が可能ってことね」
「私はレベル4の残夜のクリスとレベル1のスチームトークンに、レベル5のSチューナー、シューティング・ライザー・ドラゴンをチューニング!“星の力を分け与えられし大地の獣よ。光と闇の勇士の思いを受け継ぎ咆哮せよ! シンクロ召喚! 立ち上がれ!《神樹の守護獣-牙王》!」
《神樹の守護獣-牙王》
シンクロ・効果モンスター
星10/地属性/獣族/攻3100/守1900
チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上
このカードは、自分のメインフェイズ2以外では相手のカードの効果の対象にならない。
「……やっぱり牙王か」
真剣勝負、と銘打つだけあってやはりそう一筋縄ではいかないようだった。最も一筋縄では行かないからこそ、真剣勝負は面白いのである。