銀河の竜を駆る少女   作:Garbage

74 / 164
逆転の一手

 

 

 

 

 

 

(エクストラ・リンクを決められたことで私はEXデッキからモンスターを特殊召喚できない。でも、私のデッキはEXデッキに頼らなくても戦うことはできる)

 

 遊希のエースである銀河眼の光子竜はそのステータスもさることながら、効果によって戦闘には強く、また特殊召喚の手段も豊富だ。そのため無理にXモンスターやリンクモンスターに頼らずとも十分戦うことはできる。

 

―――だが、問題はそこではないな。

(ええ。問題は……鈴のフィールドのモンスターたち)

 

 しかし、エクストラ・リンクを構築しているモンスターたちが遊希の悩みの種になっていた。リンクリボーは相手のバトルフェイズ時に自身をリリースすることで攻撃モンスター1体の攻撃力を0にすることができる。アンダークロックテイカーはリンク先のモンスターの攻撃力だけ相手モンスターの攻撃力を下げるため、遊希のモンスターの攻撃力はアンダークロックテイカーのリンク先に存在するトロイメア・ケルベロスの攻撃力分だけ下げられてしまうのだ。

 そしてエクストラ・リンクを構成するために作られたと言っても過言ではない【トロイメア】たちの効果は更に厄介だ。トロイメア・ケルベロスは相互リンク状態のモンスターの効果破壊を防ぎ、トロイメア・ユニコーンは通常ドローの枚数を相互リンク状態のトロイメアモンスターの種類の数にするため、次のターンの鈴のドローは3枚となる。そしてトロイメア・グリフォンが存在する限り、特殊召喚されたモンスターはリンク状態でない限り効果を発動することができない。当然リンクマーカーは遊希のフィールドに向いていないため、遊希のモンスターは通常召喚されたモンスターを除いて効果を発動することができないのである。

 

(そして一番面倒なのがフィールド魔法がある限り毎ターン蘇るドーハスーラ……)

―――アンデットワールドとのシナジーが恐ろしいな。彼奴も退けなければならない。絶望的だな。

(うん。でも……絶望過ぎる状態でも、その中に一縷の希望を見出す。そうだよね?)

―――ああ。希望を見出せるかどうかはお前次第だが、私がその手助けをしてやるぞ。

(光子竜……お願いね)

 

 

☆TURN02(遊希)

 

「私のターン、ドロー。エクストラ・リンクかぁ……1ターンで決めてくるとは驚いたわ。本当に強くなったのね、鈴」

「それはどうも。でもあんたのその態度……なんか不穏なんだよね。この布陣を恐れていない、というか」

「あら? 恐れていないと言えば嘘になるわ。手札やデッキ次第では何もできないわけだし。でも、生憎“あんたのデッキがいつもと違う”ってことで解決策を見出すことができた」

 

 普段の鈴のデッキであれば、エクストラ・リンクなどまずお目にかかれない。そもそも儀式召喚メインであればEXゾーンなど関係ないのだから。ただ、鈴のデッキがいつもの【儀式青眼】ではなく、どのようなデッキかわからないということは遊希に「どのようなデッキを使われても、対策できる手段を講じておくべき」という考えを抱くように至らせた。

 

「エクストラ・リンクは確かに強力。でも、対抗手段が無い訳じゃない。それを見せてあげる。まずは魔法カード、トレード・インを発動。手札のレベル8モンスター、銀河眼の光子竜をコストに2枚ドロー。そしてライフを1000支払い、速攻魔法《コズミック・サイクロン》を発動」

 

《コズミック・サイクロン》

速攻魔法

(1):1000LPを払い、フィールドの魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。そのカードを除外する。

 

遊希 LP8000→LP7000

 

「コズミック・サイクロンにチェーンしてリバースカードを発動! 速攻魔法、異次元からの埋葬! 除外されているモンスターを3体まで選んで墓地へ戻すわ」

 

チェーン2(鈴):異次元からの埋葬

チェーン1(遊希):コズミック・サイクロン

 

「チェーン2の異次元からの埋葬で除外されている馬頭鬼3体を墓地へ戻す」

「チェーン1のコズミック・サイクロンの効果でアンデットワールドを除外する。これでフィールドのモンスターは元々の種族に戻るわ」

 

 異次元からの埋葬によって墓地のアンデットを蘇生できる馬頭鬼を一気に3体墓地に戻した鈴。アンデットワールドをコズミック・サイクロンで除外されたことで拘束力こそ下がったものの未だに展開のための鍵は残っていると言えた。

 

「……ドーハスーラの適応範囲が一気に狭められたか。でもドーハスーラ1体を弱体化させたところで何になるっていうの?」

「これは逆転のための一手に過ぎないわ。本命はこっちよ! 手札を1枚捨てて速攻魔法を発動。この発動に対してカードの効果をチェーンすることはできない」

「そのテキスト……まさか」

「そのまさかよ! 速攻魔法、超融合を発動!」

 

 相手フィールドのモンスターを融合素材にできる融合魔法は今でこそ増えているが、その元祖ともいえるこのカードの力は未だに衰えを知らない。

 

「私はあんたのモンスターゾーンのリンクリボー、アンダークロックテイカー、トロイメア・グリフォンの3体を融合!!“闇に囚われし守護竜よ。積み上げられた想いによって邪を打ち払い、星守る竜として蘇れ!”融合召喚! 現れなさい!《星杯の守護竜アルマドゥーク》!!」

 

《星杯の守護竜アルマドゥーク》

融合・効果モンスター

星9/風属性/ドラゴン族/攻3000/守2600

リンクモンスター×3

このカードは融合召喚及び以下の方法でのみEXデッキから特殊召喚できる。

●自分フィールドの上記カードをリリースした場合にEXデッキから特殊召喚できる(「融合」は必要としない)。

(1):このカードは相手モンスター全てに1回ずつ攻撃できる。

(2):このカードが相手のリンクモンスターと戦闘を行う攻撃宣言時、その相手モンスターとリンクマーカーの数が同じリンクモンスターを自分のフィールド・墓地から1体除外して発動できる。その相手モンスターを破壊し、その元々の攻撃力分のダメージを相手に与える。

 

「……まさかそんなカードを仕込んでくるなんて」

「次はこれ。手札から魔法カード、死者蘇生を発動。あんたの墓地のトロイメア・フェニックスを特殊召喚。そして手札の光属性モンスター、銀河眼の雲篭を墓地へ送り、手札から銀河戦士を守備表示で特殊召喚! 特殊召喚に成功した銀河戦士の効果! デッキからギャラクシーモンスター1体を手札に加える。手札に加えるのは銀河騎士」

 

 このターン、遊希はトレード・インのコストで光子竜を既に墓地へ送っている。片方のEXゾーンにアルマドゥークが存在しているため、普通ならばEXデッキからモンスターを特殊召喚することはできないが、ここで死者蘇生で鈴の墓地から蘇らせたトロイメア・フェニックスが活きてくる。トロイメア・フェニックスのリンクマーカーは上と右に向いているため、遊希には1体だけEXデッキからモンスターを特殊召喚できるのだ。

 

「そして私のフィールドにギャラクシーモンスターが存在することで銀河騎士はリリースなしで召喚できる。自身の効果で召喚に成功した銀河騎士の効果を発動! ターン終了時までこのカードの攻撃力を1000下げることで、墓地の銀河眼の光子竜1体を守備表示で特殊召喚!」

 

銀河騎士 ATK2800→ATK1800

 

「そしてレベル8の銀河眼の光子竜と銀河騎士でオーバーレイ! 2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築! エクシーズ召喚!“大いなる翼を持ちし竜は希望の銀河を往く。光輝く未来に続く道筋の魁となれ!” 目覚めなさい!《No.38 希望魁竜タイタニック・ギャラクシー》!!」

 

《No.38 希望魁竜タイタニック・ギャラクシー》

エクシーズ・効果モンスター

ランク8/光属性/ドラゴン族/攻3000/守2500

レベル8モンスター×2

(1):1ターンに1度、魔法カードの効果がフィールドで発動した時に発動できる。その効果を無効にし、そのカードをこのカードの下に重ねてX素材とする。

(2):相手モンスターの攻撃宣言時、このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。攻撃対象をこのカードに移し替えてダメージ計算を行う。

(3):自分フィールドのXモンスターが戦闘・効果で破壊された場合、自分フィールドのXモンスター1体を対象として発動できる。対象のモンスターの攻撃力は、破壊されたそのモンスター1体の元々の攻撃力分アップする。

 

「バトル! アルマドゥークは相手フィールドの全てのモンスターに1度ずつ攻撃できる。アルマドゥークでドーハスーラを攻撃!“カリス・オブ・ドラグーン”!」

 

星杯の守護竜アルマドゥーク ATK3000 VS 死霊王 ドーハスーラ ATK2800

 

鈴 LP8000→LP7800

 

「次の攻撃対象はトロイメア・ユニコーン。粉砕しなさい!」

 

星杯の守護竜アルマドゥーク ATK3000 VS トロイメア・グリフォン ATK2300

 

鈴 LP7800→LP7100

 

「そして最後の攻撃対象はトロイメア・ケルベロス。だけどここでアルマドゥークの更なる効果を発動するわ! トロイメア・ケルベロスと同じリンクで私のフィールドに存在するトロイメア・フェニックスをゲームから除外し、トロイメア・ケルベロスを破壊! そしてその攻撃力分のダメージを与えるわ!」

 

鈴 LP7100→LP5500

 

「っ……!?」

「これであんたを守るモンスターは存在しない。タイタニック・ギャラクシーでダイレクトアタック!“破滅のタイタニック・バースト”!」

 

No.38 希望魁竜タイタニック・ギャラクシー ATK3000

 

鈴 LP5500→LP2500

 

「きゃああっ!!」

「形勢逆転。エクストラ・リンクを決めてドヤ顔していたのが嘘のようね。バトルフェイズを終了し、メインフェイズ2に移るわ。私はアルマドゥークと銀河戦士をリンクマーカーにセット! サーキットコンバイン! 召喚条件は攻撃力2000以上のモンスターを含むモンスター2体。リンク召喚! 銀河眼の煌星竜をリンク召喚。リンク召喚に成功した煌星竜の効果で墓地のフォトン・オービタルを手札に戻す。そして煌星竜にオービタルを装備」

 

銀河眼の煌星竜 ATK2000→ATK2500

 

「オービタルを装備したモンスターの攻撃力は500ポイントアップし、戦闘では破壊されない。私はこれでターンエンドよ」

 

 

鈴 LP2500 手札4枚

デッキ:37 メインモンスターゾーン:0 EXゾーン:0 魔法・罠(Pゾーン:青/赤):0 フィールド:0 墓地:19 除外:6 EXデッキ:8(0)

遊希 LP7000 手札0枚

デッキ:36 メインモンスターゾーン:1(No.38 希望魁竜タイタニック・ギャラクシー ORU:2)EXゾーン:1(銀河眼の煌星竜)魔法・罠(Pゾーン:青/赤):1(フォトン・オービタル)フィールド:0 墓地:11 除外:0 EXデッキ:12(0)

 

 

 □□□□□

□□□□□□

  煌 □

 □□□魁□□

 □□オ□□

遊希

 

 

○凡例

魁・・・No.38 希望魁竜タイタニック・ギャラクシー

 

 

 

☆TURN03(鈴)

 

「っ、よくもやってくれたわね! 遊希!!」

「……悪い奴の手先になってもそうやって顔真っ赤にして威嚇できるのね。鈴はどこまで行っても鈴なのね」

 

 自我のない千春や皐月に比べればまだマシな扱いなのかもしれないが、それだけにこんな形でのデュエルなど当然遊希の望むところではなかった。

 

「悪いけど今の鈴に付き合ってあげる義理はない。次で終わらせるから」

「いいわ、だったらあたしはこのデュエルを次のターンでなんて終わらせてあげない! あたしのターン、ドローよ!」

「言っておくけど、タイタニック・ギャラクシーには1ターンに1度、魔法カードの発動を無効にして自身のオーバーレイユニットにする効果がある。ブラック・ホールとかじゃ解決策にはならないから」

「ご説明どうも。でも今のあたしにはブラック・ホールなんかよりもっといい策があるわ。今からそれを見せてあげる。このデッキの真の切り札をね。あたしは紋章獣レオを召喚! そして墓地の馬頭鬼の効果を発動! このカードをゲームから除外し、アンデット族のモンスター1体を特殊召喚する。あたしは馬頭鬼2体を除外し、牛頭鬼とゾンビ・マスターを特殊召喚!」

 

 これで鈴のフィールドにはレベル4のモンスターが3体。先ほどまで見せたデュエルであれば、ここから牛頭鬼の効果で墓地を肥やしたり、ゾンビ・マスターの効果で更に展開するといった動きがあるはずだ。しかし、鈴はそのいずれの戦法も取らなかった。

 

「あたしはレベル4のレオ、牛頭鬼、ゾンビ・マスターでオーバーレイ!!」

「牛頭鬼とゾンビ・マスターの効果を……発動しない?」

「ええ、だって発動する必要がないからよ。このモンスターがあんたに天罰を下すんだからね! 3体のレベル4モンスターでオーバーレイネットワークを構築! エクシーズ召喚!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――“神の名を持ちし者よ。今我らに歯向かう愚か者に天罰を! そして解放しろ、その愚行に対する怒りを!”―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「青眼の白龍でダイレクトアタック!“滅びの爆裂疾風弾”!!」

 

 遊希と鈴が激戦を繰り広げていた頃、屋上へと続く道では竜司たち三人が押し寄せる生徒たちとデュエルに明け暮れていた。元プロデュエリストが二人もいるだけあって、発展途上の学生デュエリストたちは三人の前に次々と膝を屈していく。しかし、波のように押し寄せる生徒たちの前にその身体に疲労が貯まっていく。こればかりは彼らの年齢ということを考慮してももうどうしようもないことなのだが。

 

「っ、キリがないわね……」

「だが、ここで我々が倒れるわけにはいかない。早く行かなければ遊希くんが……」

 

 そうこうしている間にも、奥に控えていた生徒たちがデュエルディスクを展開して押し寄せてくる。このままでは、と三人が感じた瞬間である。「ズドン!」という音が周囲に響き、操られた生徒たちの前で爆発が起きる。何事か、と思った竜司が振り返るとそこには頭部が銃口を模した機械のモンスターが機械的かつ生物的な咆哮を上げていた。

 

 

「みんなー!! アカデミアのアイドル、友乃ちゃんのライブ、はっじまるよーっ!!」

 

 

 状況に見合わぬフリフリの衣装を纏った女子生徒がマイクを片手に笑顔を見せていた。

 

「き、君は2年生の……!」

「はい! アイドル研究会唯一の部員! 前島 友乃ちゃんです!」

 

 ガトリング・ドラゴンを駆ってその場に現れたのは遊希と予選でデュエルをした友乃だった。彼女は幸運にも黒幕に洗脳されなかった生徒の一人である。

 

「学生たちには待機を言い渡していたはずだ! 何故君がここにいる!!」

「1年生の遊希ちゃんやエヴァちゃんが傷つきながら戦っているのに、上級生の私たちが黙って見ている……そんなのアイドルとして、人として、デュエリストとして失格です! だから私たちも戦います! そうだよね、みんな!」

「私たち……?」

 

 友乃の後ろからは無事だった生徒たちが続々と現れる。ミハエルによって無事だった生徒は皆自室での待機を言い渡されていたのだが、それを破って駆けつけたのである。

 

「僕のカード占いで出たのは《魔導書廊エトワール》の正位置。意味するのは“希望”。つまり僕たちが動くことで希望への道筋が開かれるんです。さあ行こうか、Dragoon D-END!」

「今こそ槍を奮う時よ《宵星の機神 ディンギルス》。 まあ占いの結果どうこうで私たちの決意は揺らがないわよ? セントラル校の生徒たちは仲間を大事にするの。もちろんオカマの私の仲間を思う気持ちは本物よ?」

「校長先生、娘さんは……星乃 鈴は屋上にいらっしゃるんですわね。お父様を救って頂いた恩返し、今こそ果たす時ですわ! ここは私たちに任せて行ってください!! 真紅眼の黒竜!“黒炎弾”で全てを焼き尽くしなさい!」

「藤堂くん……すまない。君たち、くれぐれも無茶だけはしてはいけないよ」

 

 友乃をはじめ、ジェラルド、奏、桜たち駆けつけた生徒たちにこの場を任せ、竜司たちは先へと進んだ。屋上で一人戦う遊希の下へ駆けつけるため。そして行方知れずだった娘を救うため。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「遊希くん! 遅れてすまな―――!!」

 

 ようやく屋上に辿り着いた竜司たちが見たもの。それは天空に浮かび上がった紋章からゆっくりと降りてくる異様な外見のモンスターであった。

 

 

 

 

 

 

―――現れろ!《No.69 紋章神コート・オブ・アームズ》!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。