インフィニット・ストラトス 神を喰らう者   作:ヒイラギ1028

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引越しの最中なのに何やってんだ俺……


入学

「――命令は三つだ。死ぬな、死にそうになったら逃げろ。

そんで隠れろ。運がよければ不意をついてぶっ殺せ。

……あ、これじゃ四つか。ま、とりあえず死ぬな。それさえ守れば

万事どうにでもなる」

 

「わかってるって。兄さんこそ、腕が鈍ってんだから注意してよ。

……それと、煙草。任務始まってんだからさ、吸うなとは言わないけど

任務中はやめてよ」

 

煙草を吸っていた男性を、青年が注意した。

男性はすまんすまんと言いながら煙草を口から離した。

 

「さてと、今回の討伐目標は?」

 

「オウガテイルが三体。今月で一番多いね」

 

身の丈もある大剣を背負いながら、青年は男性の問いに答えた。

 

「だな。ま、ハンニバルとやりあったお前なら楽勝だろ」

 

「まったく……そういう油断が命取りになるって姉さんも言ってたよ」

 

「……似てきたな」

 

「誰のせいだと思ってんの……ほら、行くよ」

 

その発言と共に、二人は大きな段差――小さな崖とも言える――を飛び降りた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「無事、任務はすんだようだな」

 

僕達が家につくと、姉さんが出迎えてくれた。

いつも怖いけど、心配してくれているのかもしれない。

 

「おう。肩慣らしにはちっと簡単すぎたかな……」

 

兄さんがそういいながら、靴を脱いでリビングへと歩いて行った。

 

「……よく言うよ」

 

僕はそう呟きながら、二人の後を追っていった。

もう晩御飯の準備はできていたらしく、僕達は椅子に座った。

今日はカレーみたいだ。

 

「兄さんってば、射線上に僕がいるのにお構いなしにぶっぱなすんだ……」

 

「……ほう?」

 

「……いや、ほら。俺ってまだ銃扱い慣れてなくてだな……」

 

兄さんは目を泳がせながら、か細く呟いた。

扱い慣れてないという理由で誤射されたらたまったもんじゃない。

 

「カノンさんといい勝負なんじゃないかな」

 

「……補修だな」

 

「げっ!?」

 

姉さんが無表情で言い放った言葉に、兄さんは死にそうな顔になった。

ちょっと面白い。助けを求めるように兄さんがこちらを向くが、僕は目を逸した。

 

「そ、そうだ。姉上殿? どうだったんだ?」

 

「あぁ、優の配属が決まった」

 

三人同時に、スプーンを動かす手が止まった。

 

「……ブラッド、だ」

 

「え?」

 

兄さんと僕の声が重なった。

僕は今まで第一部隊で行動していたけれど、異動?

 

「第二部隊とか第三部隊とかじゃ……?」

 

「ないな。残念だが、な」

 

 

ブラッドって……新しい部隊?

兄さんも首をかしげてることから、知らないんだろう。

 

「それと、優。お前の受験についてだが……」

 

「うん。問題ないと思うよ? 勉強もしっかりしたから」

 

兄さんや姉さん達のおかげで、僕は普通に学校を通わせてもらっている。

高校にも行けると言われたし、しっかり頑張りたい。

というか突然話が変わったなぁ。どうしたんだろう。

 

「いや、その、だな……」

 

「歯切れ悪いな……どうしたんだ?」

 

スプーンを咥えながら、兄さんが先を促した。

 

「……お前の高校先、変わりそうだ」

 

「………………え?」

 

カランカランと、スプーンが皿の上に落ちる音が響き渡った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なんていう話があったのが数週間前。

僕が通うようになった高校は、『IS学園』と呼ばれる場所だった。

何でも、神機適合者でなくても神機が扱えるらしい。

神機は人体に触れなければ侵食される事はないから、機械をまとえば

扱えるとのことらしい。

僕はISを扱う事はできないが、アラガミが出現しても対処できるように

生徒として入学するらしい。

神機使いとしてバレてはいけないとの事を伝えられた。

IS学園では、ISの適性がなくても男に教えるという目的で

試験的に僕が選ばれた、という設定にするとの事だった。

 

「…………はぁ」

 

机に突っ伏しながら、ため息をついてしまった。

僕は平凡に高校生活を満喫したかった。

後ろの席にも男が一人いるらしいが、僕の苗字の始まりは『あ』

もう一人の男は『お』らしい。隣にでもなればこんな女の子ばかりの

学校に少しは愚痴を言い合えたかもしれないのに。

 

見世物にでもなった気持ちだ。視線が集まってるような気がする。

これを二人で分けてもこんな居心地が悪いのだから、もう一人いて助かった。

 

「皆さん入学おめでとうございます! 私は、副担任の山田真耶と言います」

 

なんてことを考えていると、このクラスの先生が来たみたいだ。

欠伸を噛み殺し、先生へと視線を向ける。

……生徒の反応がないせいか、先生は戸惑っているみたいだった。

 

「え、えっと……出席番号が一番の人から順番に自己紹介を

お願いしますね」

 

まぁ、無難だなぁ。なんてことを考えながら、一人一人の自己紹介を

聞き飛ばしながら僕はぼーっとしていた。

なんてしてたら、あっという間に僕の番が来てしまった。

 

「えっと、雨宮優と言います。

適性はありませんが、試験的に入学することになりました。

よろしくお願いします」

 

『お前に用はない』っていう視線がとても多い。

まぁ、ここは男嫌いな人多いし……適性がない男なんて眼中にないんだろう。

拍手が一切されなかったのが少し悲しかった。

落ち込みながら僕は席についた。

 

……あれ? 僕の自己紹介は終わったよ?

次の子、早くしてくれよ……。

この空気を耐えることは僕にはできないよ……。

 

「織斑君? 織斑君……?」

 

「はいっ!?」

 

び、びっくりした……すぐ後ろから大きな声が聞こえた……。

にしても織斑君って……すぐ後ろだったんだ。全然気づかなかった。

まわりを見る余裕が僕にはまったくなかったよ……。

織斑君が立ち上がる音が聞こえた。どんな自己紹介をするんだろう。

彼が世界で唯一の男性適正者だっけ?

神機使いの倍率より高いなぁ。

神機使いの証の腕輪は小さく凝縮されて、服が着れるようになった。

これで不自由なく服を選べれるようになったのは凄く嬉しい。

 

「えーっと……織斑一夏です。よろしくお願いします……」

 

……え? それだけ?

凄く振り向きたい。どんな感じなのか見てみたい。

あ、すぅーって息を吸うのが聞こえた。

一体何を――

 

「――以上です!」

 

ガタン! という大きな音と共に過半数の女生徒が椅子から転げ落ちた。

僕は転げ落ちなかったけれど、机に頭を打ち付けそうになった。

 

「お前は自己紹介もまともにできないのか」

 

「いってぇ!?」

 

バコン、という音と共に織斑君が崩れ落ちた。

 

……なん、だと?

アラガミとの激戦や死闘を繰り広げてきたこの僕でさえ

気配すら感じなかっただと……?

 

「あれ? 織斑先生、会議は終わられたんですか?

というかいつの間に……?」

 

「あぁ。山田先生、クラスへの挨拶を押し付けてすいませんでした」

 

「あ、いえ。副担任としてはこのくらいのことはしないと……」

 

……姉さん?

なんというか、雰囲気が姉さんに似てる。

間違って呼んでしまいそうなほど雰囲気が似てる。

 

「さて、諸君。私が担任の織斑千冬だ。

これから一年間でお前達を使い物にするのが私の仕事だ。

だから私の言うことはよく聞き、よく理解しろ。

別に逆らっても構わんが私のいうことだけは聞け。いいな?

わからなくても返事をしろ」

 

姉さんが言いそうな台詞だなぁ。というか似たような事を言ってた気がする。

神機使いでも、さっさと初陣に出たりしてたからな。

嫌でも覚えないと行けないことはたくさんあったな。

なんてことを考えてたら鼓膜が機能しなくなるような音が響き渡った。

 

「千冬様! 本物の千冬様よ!!」

 

「私、ずっとファンでした!」

 

「私お姉様に憧れてこの学園に入学したんです!」

 

「お姉様! 結婚してください!」

 

「私、お姉様のためなら死ねます!」

 

……なんというか。凄い人気だなぁ。

 

「――よくもまぁ、こんな馬鹿者共が集まるものだ。

毎年私のクラスにだけ集中させているのか?」

 

どのクラスでもそうだと思いますよ先生。

織斑先生じゃない担任にがっかりしてる人とかいるんじゃないだろうか。

 

「――ち、千冬姉!? 何でここに……!?」

 

復活した織斑君は、即座に織斑先生の出席簿で撃沈した。

これはもはやリンクエイドが必要なレベル。

 

「織斑先生と呼べ。馬鹿者が」

 

「は、はい……」

 

そんなことがありながら、クラスメイトの自己紹介は続いていった。

そんなこんなで今は休み時間だった。

 

「えっと、雨宮……だよな?」

 

僕の席に織斑君が近寄ってきた。

 

「織斑一夏君だよね。これからよろしくね」

 

「君付けなんてしなくていいよ。同い年なんだしな。

名前で読んでも構わないぜ?」

 

「……そう? じゃあ、一夏も僕のこと名前で呼んでくれると嬉しいかな」

 

正直、君、さん付けは癖みたいなものなんだけどな……。

君付けはいいって言ってるし、別にいいか。

 

「優、だよな」

 

「うん」

 

「改めて、よろしくな。優」

 

「こちらこそ。よろしくね? 一夏」

 

……やっぱり、君付けしないのって落ち着かない。




誤字脱字あるかもしれません。
設定も変かもしれません。
駄作でゴメンなさい。









というか放置作品多すぎだろ……。
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