奥沢美咲は、超能力者である   作:親指ゴリラ

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世界を笑顔に 1

「あのー、えっと…………こころさん?」

 

「美咲、どうかしたの?」

 

「どうかしたっていうか、なんか、どうしたの? って感じなんだけど…………」

 

「…………?」

 

 何が言いたいのか分からない。そんな顔をしながら…………彼女は首だけを動かして、下から私の顔を見上げている。

 

 彼女────弦巻こころの家は、それはもう広くて華美な造りをしていて。お金がかかっていますと、視覚から訴えかけてきた。

 

 廊下というか、通路というか。部屋に案内されるまでに、いったいどれだけの調度品を目にしてきた事だろうか。高そうな壺とか、立派な像とか、動物の剥製だとか。ここが美術館だと言われても納得してしまいそうなほど、色々なものが置かれていた。

 

 中には子供が描いたような…………というか、こころが描いたんだろう絵も飾られていたけれど。その絵を入れている額縁がこれまた立派なものだったから。弦巻家…………ほんと、なんなんだろうって思わざるを得なかった。

 

 案内された部屋の中も、これまた見事なものだった。デザインの統一された絨毯、カーテン、机と椅子。壁に取り付けられた鏡に、天井からつりさがるシャンデリア。

 

 シャンデリアを使う家なんて、本当にあるんだ。なんて、一部の人に失礼な事かもしれないけど…………そんな風に考えてしまうくらいには、呆気にとられた。

 

 

 紆余曲折あって。

 

 ようやく、私たちが話をする時がやってきた。ほんと、ここまで長かった。

 

 黒服の人たちが言っていたことは未だに納得できないけれど、一理あるとは思うから。今は忘れることにする。

 

 

 それよりも、だ。

 

 大事件と呼ぶにふさわしい出来事が、私の元にやってきてしまった。いや、それはちょっと大袈裟なのかもしれないけど…………でも、なんていうか、その。

 

 まるで、そうする事が自然であるかのように。自分のやっていることに、一つも疑問を持っていないって顔をして。

 

 部屋は広くて、他にも椅子は沢山あるというのに…………こころは、椅子に座った私の膝の上に腰を下ろしていた。

 

 

「…………?」

 

 黄金の瞳が私のことを覗き込んでくる。不自然に口を止めた私のことを、不思議に思っているのだろうか。首を傾げて、無垢な表情を見せつけて。

 

 ズルイじゃないか。そんな風に振舞われてしまえば、私は何も言えなくなってしまう。

 

 なんでもない、とか。そのままでもいい、とか。この行為を認めるようなことを口にするのは、恥ずかしくて。

 

 三方向から注がれている好奇の視線を努めて無視しつつ、彼女の頭に手を当てた。そのまま優しく前を向かせて、ついでに撫でる。

 

 視線が強くなったのを肌で感じ取りながら、此方を振り返ろうとするこころの頭を、無理やり前へと固定する。無理やりといっても、力任せではないけれど。

 

 きっと今の私は、人に見せられないような顔をしていると思うから。

 

 もう一緒にお風呂に入ったり、寝たりしているのに。こんな事で恥ずかしがるのはどうかも思わなくもないけど…………それでも、人に見られているという事実は、思いのほか私の羞恥心を刺激してくるのだ。いや、ほんと、知らなかったよ。こんなに恥ずかしいものなんだ。

 

 今の私を、こころに見てほしくない。それは別に、彼女に隠したいとかじゃなくて。彼女の瞳に映る自分の姿を見てしまえば、もう言い逃れもできずに…………自分がどんな表情をしているのか、自覚させられてしまう。

 

 

「ほら、みんなこっちを見てこころの言葉を待ってるよ。作戦会議、するんでしょ?」

 

「それもそうね!」

 

 気まずい雰囲気になってしまう前に、話を切り出す。正直なところ、もう手遅れかもしれないけれど。こころは私に体を預けながら、ガサゴソと自身の懐を弄る。

 

 いい感じに話を進める事ができたんじゃないだろうか。やたら神経を使ったような気がするけど、それなりに達成感もある。

 

 ホッとため息をついて、背もたれに体重をかけるように身をまかせる。いい椅子なんだろう、座っていて負担を感じない。

 

 ふと横へと視線を向ければ、此方へと顔を向けている花音さんと目があった。それはもう、ガッツリと。

 

 なんとも言えないものを見る目をしていた。というか…………どことなく、気まずそうですらあった。そりゃ、まぁ…………こんな状況だし。私も他人が同じようなことをしていたら、同じような視線を向けている自信があるけど。

 

 そそくさと視線を前へ戻せば。こころはちょうど、何かが書かれた紙を取り出しているところだった。

 

 

「まず、今まであたしが考えてきた楽しいことリストを紹介するわね! これで『バンド』をやろうと思うの!」

 

 彼女はそう言いながら、数枚の紙を机の上に広げた。少しだけ見覚えがある…………授業中に何書いてるんだろうって思ってたけど、こんなものを用意していたのか。

 

 全く、仕方ないな。なんて、赤みも引いてきた顔に苦笑いを浮かべながら。こころの横から手を伸ばして、一番近いところにあった「楽しいことリスト」とやらを手に取る。

 

 はぐみや瀬田さんも、それぞれ一枚ずつ手にとっていた。その場で読み上げている。

 

 

「なになに? 海の砂浜でお城を作る、シロツメクサでかんむりをつくる、流れ星を探しに山に登る…………うん、これ…………」

 

「洗い立てのシーツの匂いを嗅ぐ、お腹いっぱいお菓子を食べる…………ふふ、これは…………」

 

 

 すごくいい!! と。二人揃って叫んでいるのを、頭の片隅で認識しながら。「バンド、関係ないじゃん」ってツッコミそうになる気持ちを押しのけて。

 

 私は再び顔を赤くしながら、目の前の紙に視線を奪われていた。色々な感情が揺さぶられて、紙を持つ手が震えそうになる。

 

 こころの考えた色々な楽しいことの中に混じった、たった一文に。私は心を大きく動かされて、平静を失いかけていた。

 

 

 

 ────美咲と一緒に、星空を見る。

 

 

 

 

 あの夏の日の思い出が、私の脳内を駆け巡る。

 

 

『ねぇ、こころ(・・・)

 

『なに、美咲?』

 

『私さ、来年この街に引っ越してくるつもりなんだ…………友達を、探すために』

 

『引っ越し! 素敵ねっ! あたし引っ越しってしたことないのよ。一度はやってみたいわね』

 

『だからさ、その、私が高校に受かって、えっと、またこの街にこれたらさ』

 

 

 

『その時は、またこうして一緒に星を見てくれませんか?』

 

『ええ、勿論よ! 一緒に、沢山、楽しいことをしましょうっ!』

 

 

 ああ、こころ。私との約束を、覚えていてくれたんだ。

 

 一瞬でも彼女に捨てられると思ってしまった昨日の私のことを、全力でぶん殴ってやりたい気分だ。そんなこと、あるはずがないだろう、って。助走をつけて、大きく叫びながら。

 

 だって、そうだろう。

 

 私は彼女からこんなにも求められていたというのに、それに気づくことが出来なかったのだから。

 

 いや、もしかしたら…………だけど。私は彼女の気持ちを知ることを、無意識のうちに避けてすらいたのかもしれない。

 

 人の感情っていうものは、本来は言葉や行動にしないと分からないものだから。それを無視して一方的に覗き込める私は、恐れていたんだと思う。信じたくても、理解していても。いざ目の前にある箱の中身を確認しようとして、躊躇っていたんだ。

 

 だって、その中にあるものが…………私が本当に望んでいるものとは限らないから。見てしまったものが自分の理想と食い違って、その差で苦しむことを、私は恐れていたんだ。

 

 どうでもいい事で、なんて言い方はしない。同じような理由で苦しんでいる人なんて、それこそ星の数ほどいると思うから。私には、それを確認できる力があるというだけの話で。

 

 認めたくないけど、必要な事だったんだと思う。私という存在が、人の気持ちを…………好意を、素直に受け止められるようになるためには。悩んで、苦しんで、その上で答えを見つける必要があったんだ。

 

 一人では辿り着けなかったかもしれない。こころが居てくれなかったら、潰れていたのかもしれない。

 

 それでも、私はこうしてここで笑えている。こころと、彼女が集めてきた新しい「繋がり」を目の前にして。彼女が与えてくれた光景を、晴れやかな気持ちで受け入れられている。

 

 このお人形のように可愛らしい一人の少女のことを、抱きしめたくて仕方がない。

 

 彼女がいてくれて、本当に良かったと思う。今日だけで何度そう思ったか分からないし、数え切れないほど感謝しているけれど。それでも、こうして何度でも気持ちを伝えたいと思う。

 

 私の様子がおかしいことに気がついたのだろう。先ほどのように振り返ってくる彼女の瞳へと、視線を合わせる。

 

 言葉で伝えるのは恥ずかしいから。

 

 少しだけ、卑怯かもしれないけど。いつものように、力を使って気持ちを伝える。

 

 

【ありがとう、こころ】

 

 そこまで明確な言葉にしたわけじゃない。ぼかして、抽象化して。聞き手によっては、気のせいと思うかもしれない。その程度の、本当に微弱なテレパシー。

 

 それでも、私の感謝の気持ちは伝わってくれていると思う。彼女の返事を待たずに、心を読まずに、一方的に押し付けたものだけれど。その中に含まれている親愛の情は、確かなものだから。

 

 最近知ったことだけど、人の愛情っていうものは…………本当に、心地のよいものなんだ。超能力なんてものがなくても、誰もが知っているとは思うけど。

 

 それを私は、より明確に感じ取ることができる。暖かくて、全身を包み込むような。そんな…………優しい感覚を。見て、聞いて、触れて…………五感で知ることができる。

 

 その分、苦悩することもあるかもしれないけど。人に見えないものを見てしまうことに、罪悪感を抱くこともあるけど。それでも私は、この力があって良かったと思う。

 

 

 だって、私の気持ちを受け取った彼女の表情は…………こんなにも美しい笑顔なんだから。

 

 この笑顔を見られるだけで、とても幸せに感じるってのは。ちょっと入れ込み過ぎかな? …………でも、こういう気持ちも悪くない。そんなふうに思えるくらいには、彼女という存在に頭の先まで夢中になってるんだ。

 

 また、一緒に星を観に行こう。でも、今度は…………みんなも一緒に。

 

 

☆ ☆ ☆

 

 

 少し、物思いに浸り過ぎたかもしれない。

 

 

 隣から私の紙を覗き込もうとしていた花音さんに気づけたのは、偶然だった。

 

 ほとんど反射的に紙を畳んで、あの一文を隠すことが出来たのも、奇跡だといっていいだろう。それくらい、今の私は惚けていて…………隙だらけだったと思う。

 

 我ながら、実に俊敏な動きだった。目を白黒させている花音さんには悪いけれど、これを見られるのは流石に恥ずかしい。いや、恥ずかしがることなんてないのかもしれないけど…………なんとなく、これは二人の秘密にしておきたかったら。

 

 

 わざとらしく咳払いをして、話を元に戻す。はぐみと瀬田さんはそれぞれ盛り上がってるし、こころはこころで楽しそうだけど。

 

 流石にバンド全然関係ないし、花音さんはあからさまに困ってる…………よね? まだ私の顔を見ているから、何を思っているのかよく分からない。いや、知ろうと思えばできるけど…………でも、あんまり気乗りしない。なんだろう、前に会ったことがあるか聞いてきたのが関係しているんだろうか。

 

 

「こころ、バンドは音楽をしないと。楽しいことをしたいって気持ちはわかるけど…………楽器を弾いて、歌をうたって、曲を演奏しないとバンドってことにはならないよ。そうですよね、花音さん?」

 

「えっ!? っと、うん…………美咲ちゃんの言う通りで、バンドっていうのは、音楽をするためのもので…………」

 

 この中で唯一の経験者らしい花音さんには話を振れば、多少どもりながらだけど、しっかりと合わせてくれた。やっぱり、この人は安心できる。常識がある方の人だ。

 

「そうなの? どうしても音楽をしなきゃいけないの?」

 

「あっ、そうだった。バンドって音楽をするんだよ! おんがく…………おと、たのしい…………うーん? なんかよくわかんなくなってきちゃった!」

 

 うん、やっぱり花音さんがいてくれてよかったわ。きっとこの二人の相手を私一人でやってたら、いつまでたっても話が進まなかったと思う。

 

 流石にこの時点で話が逸れまくるとは思ってなかったけど、想定してしかるべきだった。だって、こころが集めてきた相手だもの。むしろ、花音さんみたいな人が一人でもいただけ喜ぶべきだと思う。

 

 二人のとんちんかんな返答に、花音さんはタジタジになっていた。だって、えっと、だから…………なんて言って、どうやって説き伏せればいいのか分からないんだろう。彼女の口から出てくる言葉は要領を得ないものばかりで、ただでさえ気弱そうな雰囲気が更に落ち込んでしまっている。

 

 

「そうよ!! それだわ!! バンドで、音を楽しむのよ!! はぐみ、あなた…………天才ね!!」

 

「えっ、本当? はぐみ、バンドの才能あるかな? やったーー!!」

 

「なるほど…………では、みんなでめくるめく音を楽しむ旅に出るとしよう…………」

 

 聞いているだけで頭が痛くなってきそうだった。はぐみ…………バンドの才能があるかは分からないけど、こころと会話する才能は間違いなくあると思うよ。

 

 そして薫さん、あんたはどっち側の人間なんだ。

 

 演技掛かった言動や、やたら大げさな振る舞いにはこの際目を瞑っておこう。でも…………そもそも会話が少ないこともあってか、よく分からない人だ。

 

 全部考えて行動しているようにも見えるし、何も考えてないようにも見える。正直、扱いにくいというか…………なんだろう、やっぱり分からない。

 

 分からないから、面白い。そうだ、これが本来の…………普通の人間同士の、やりとりなんだ。

 

 知らないから、知りたいと思う。理解できないから、理解しようと思う。そんな気持ちが、人と人を結んでいくんだろう。

 

 私の第六感(インスピレーション)が、この人は色物枠だって教えてくれるけど。それはこのさい無視しておく。だってほら、あんまり印象だけで決めつけるのもアレだし。

 

 

 とりあえず、私は私に出来ることをしよう。

 

 話についていけてない花音さんの耳元に顔を寄せて、他の三人には聞こえないように囁く。

 

 

「話が逸れたら私が軌道修正するので、花音さんは専門的な話の方をお願いします。私はバンドについてはからっきしなんで、色々教えてくれると助かります」

 

「えっ、うん…………でも、私もそんなに詳しいわけじゃ、えっと…………バンドは組んだことがなくて、ドラムも、その、挫折してて、辞めようと…………」

 

「えっ、辞めちゃうんですか? あんなに堂々と演奏していたのに…………」

 

「いや、その、あれはこころちゃんが…………私、こんなんだから、自分を変えたくて、だから、勇気をあげるって、私を必要だって…………でも、あまり役に立てなさそうだから」

 

「あー、なるほど。そういう…………」

 

 

 自分のことを話すのは恥ずかしいのか。私に話しかけられた花音さんは、耳を赤く染めながらも少しずつ言葉を重ねている。その中に隠しきれない熱が篭っているのは、気のせいじゃないんだろう。

 

 やっぱり、この人もこの人で何かしらを抱えてこの場に立っているんだろう。言葉では消極的だけど、態度は明らかに前を向いている。私には分かる…………だって、私も似たようなものだったから。

 

 前に進みたいのに、その勇気が持てない。その苦しみは、痛いほど知っているのだから。

 

 でも、私とは違って…………ある意味では、同じなんだろうけど。

 

 この人はもう、一歩目を踏み出そうとしている。自分の手で、機会を掴もうとしている。

 

 そうさせたのは、こころの言葉なのか。きっと、そうなんだろう。この子はいつだって…………相手が望んでいる言葉を、口にしてくれるんだから。恥ずかしがることもなく、どこまでも前向きに。

 

 ああ、本当にバカみたいだな。こんな風に変わろうとしている人を応援するどころか、妬んでいたなんて。

 

 

 世界はみんなが、誰かのヒーロー…………だっけ。まったく、あの人はどこまで考えてそんなことを口にしたのか。

 

 期待してしまうじゃないか。

 

 こんな私でも…………横道に逸れてばっかなりな自分でも、誰かの助けになれるかもしれない…………そんなふうに、思ってしまうじゃないか。

 

 

 この人の背中を、押してあげたい。それは必要ない事かもしれない。私が何かしてなくても、もう一人でも大丈夫なのかもしれない。そう考えられるくらいには、この人の気持ちは前へと向いているのだから。

 

 だから、これはちょっとした手助けだ。それこそ、おまじない程度の…………ちょっとした助言。

 

 

 胸の前で落ち着きなく動かしている彼女の手をとって、私の方へと寄せる。

 

 

「えっ、なに、美咲ちゃん…………?」

 

「大丈夫ですよ」

 

 私は口が上手い方じゃないから、大したことは言えない。だから、言葉に気持ちを乗せて…………私の中を駆け巡る、彼女への尊敬の念を込めて、口を開いた。

 

 

「花音さんは、こんなにも頑張ってきたじゃないですか。自分に自信が持てないなら、信じられないなら。自分の手を…………練習に打ち込んだ、過去のあなたを、認めてあげてください」

 

 彼女の手は一見すると、マメもなく綺麗なものだ。少しだけ普通より弾力があるけど、それだけ。色も白くて、女性らしいといえるだろう。

 

 私には分かる。この手のひらに、一体どれだけの経験が積まれているのか。

 

 サイコメトリーというものがある。対象が経験した過去の光景を、そのものの視点で眺めることが出来る力。普段から使う機会は滅多になくて、使いこなしているとはいえない超能力の一つ。

 

 彼女は口ではあんなことを言っていたけれど、行動は全く伴っていない。

 

 私のサイコメトリーは現在を始点にして、巻き戻すように過去へと向かっていく。だからこそ、遠い過去の光景を見るためにはそれなりの時間がかかってしまう。

 

 だから、今の一瞬で見えてしまうくらいには。具体的には、昨日の夜から今日の朝にかけての時間帯で。

 

 私の瞳には、ドラムの練習に打ち込む彼女の姿が。それはもう、しっかりと見えていた。

 

 なんだ。もう全然…………辞めるつもりなんてないじゃん、って。誰かの言葉なんてなくても、前に進めてるじゃないかって。

 

 そのことを、認めてほしいから。

 

 だからこそ、この気持ちを伝えたい。

 

 

【あなたはもう、諦める必要なんてない】

 

 

 

☆ ☆ ☆

 

 

「美咲ちゃんって、結構情熱的な子なんだね」

 

「どうなんでしょう…………自分では、結構冷静な方だと思ってるんですけどね」

 

「ううん、そういうことじゃなくて…………なんていうか、もっと達観していて、その、気を悪くしないでほしいんだけど…………」

 

「人に冷たいと思ってました?」

 

「ううん…………こころちゃんを、ずっと優しい目で見てたから。でも、こんなことを言うタイプじゃないって思ってた」

 

「多分ですけど、それで合ってると思いますよ。昨日までの私だったら、特に何も言わなかったと思います」

 

「じゃあ、どうして?」

 

「…………なんていうか、影響されたんだと思います。諦めの早い私のままでいるには、こころと長く触れすぎました」

 

「そうなんだ…………じゃあ、ありがとうって言わないとね」

 

「ドラム、続ける気になってくれました? こころはしつこいですからね…………きっと、離れたくても手放してくれませんよ」

 

 

 吹っ切れたように笑う彼女の顔を見て、私は心の底から安心した。きっと、私がいなくても彼女は決断していたと思うけれど…………そこに至るまでの苦悩を、少しでも減らしてあげたい。そう思うのは、傲慢なのだろうか。

 

 傲慢なくらいが、ちょうどいい。手を繋いで、無理やり引っ張るくらいでいいんだ。かつて私がしてもらったことを、私もしてあげたいから。

 

 彼女の紫色の瞳に映る私の表情は、まるでこころのような笑顔になっていて。

 

 一歩だけ、彼女に近づけたと。心の底から、そう思う。

 

 こんな私でも、誰かのヒーローに────。

 

 

 

 

「あーーーっ! 美咲ちゃんが花音先輩と仲よさそうに話してる! はぐみも! はぐみもお話しする!」

 

 

 はぐみの言葉に反応して、花音さんは私が握っていた手を離すと、何事もなかったかのように前を向いた。

 

 私もはぐみの方へ顔を向けて、口を開く。横から送られてくる強い視線には、気がつかないフリをして…………そんなに恥ずかしがることなんてないのに。

 

 私は部屋全体を見回して、全員がこちらに注目していることを確認してから、口を開いた。

 

 

「じゃあ、これからの話を始めようか」




 Q:昨日はどうして(ry

 A:徹夜ラウンドワンが響いて泥のように寝てた。


 最近字数が伸びすぎてついに1話8,000字くらいになっててびっくりしてます。遅れを取り戻すために文量を伸ばす、賢い。

 昨日は更新できなくてごめんね。ガルパカフェと徹夜が楽しすぎて翌日から睡魔に抗えなかった。初めて活動報告で更新詐欺をしてしまって心が痛い。そのかわり二日分の力を込めて気合い入れて執筆したので、楽しんでもらえてたら嬉しいです。

 モカちゃんの誕生日アクキー、予約した前の時間帯で売り切れちゃって悲しかったです。ガルパライフでテンションが盛り上がってたから尚更…………あっ、パンケーキが美味しかったよ。ミッシェルは油が重くて…………うん、重い女だった!!

 そういえばカフェ立ち絵のアクキー買ったんですけど、三つ買って美咲つぐみが両方出たのに運命感じちゃいましたね。ほら、その日の昼に1話前の番外編を更新したから。ご利益があったのかも。缶バッジも二つ買ったら両方こころで、こころ推しの友達にお土産ができましたし。

 うーん、語りたいことが多すぎる。本編に関係なくて恐縮なんですけどね。ガルパピコも蘭モカがやばくて悶絶してたし…………グリグリのCDとか、あとピコに生徒会長が出てた嬉しさとか…………このコンテンツ、本当に沼すぎでは? ツイッターでもかなり呟いてるんですけど、それでも熱意が全く冷めない。

 あっ、本編はそろそろ話を進めていく予定なんで期待しててください。やりたいシーンが沢山…………各メンバーとの絡みとか…………作曲とか…………あと新キャラとか、ね?
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