腰の低いマスターと愉快なサーヴァント達   作:70-90

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<注意>
・独自設定あり
・独自解釈あり
・出てくる鯖は大体手持ち
・真名バレあり


プロローグ

 暗い大部屋。1人が入った瞬間、電気でパッと明転する。

 1人の少年、藤丸立香は1箱のダンボールを抱えていた。その中にあるのは、ボール大の石。虹色に輝く金平糖のようなもの。

 

「ついにこの時が来た…」

 

 藤丸は小声でひとりごちる。その表情はまるで、戦場を目の当たりにしたために緊張しているかのようだった。

 この石の名は聖晶石。サーヴァントを召喚する上で必要とする、カルデアが独自に開発した触媒。サーヴァントを使役するのはマスター、藤丸こそがマスター本人である。

 

***

 

 人理継続保障機関フィニス・カルデア――人理、すなわち人類の未来を保障するために結成された組織。主に著名な魔術師達が関わっており、本来ならば彼らが行うべき役割であった。

 というのも、藤丸は魔術のマも知らないごく一般人。他にもほぼ同世代の魔術師が47人も集まっており、藤丸はただの数合わせでしかない。マスター候補でも最下位に位置しており、マスターになれる可能性は皆無。ところが、仕掛けられた爆発事故で瀕死の重傷を負い、残ったのは藤丸。突如、彼は世界を救う役目を与えられたのだ。

 当然不安でしかない。何せ突然の出来事だから。しかし、藤丸は覚悟を決めた。残っているマスターは自分しかいない、やるしかないのだと。

 

 それからというものの、藤丸は様々なサーヴァントと出会い、そして数多に存在する特異点を修復していった。

 しかし、藤丸は言う。挫折、歓喜、絶望、感動、様々な感情を覚えてきた彼は言う。俺じゃない、カルデアの人達やサーヴァントの方達がいたからやれたのだと。

 一方でサーヴァント達はいう。こんなマスターに出逢ったのは初めてだと。

 

――何より『腰が低すぎる』と。

 

***

 

 召喚装置――サーヴァントを召喚する上で必要不可欠な装置。電源をつけ、スタッフに教えられた方法で調整。必要となる聖晶石を注ぎ込み、口上を唱える。

 この日は1月1日――日本時間でいう元旦である。この時期になるとどういうわけか、強力なサーヴァントの気配を感知することが多いためだ。

 

「これは…!!」

 

 1つの取り出し口から、バチバチと火花が唸るカードが排出される。金色に輝くそれの裏にはクラスの象徴を示す絵が描かれているが、この時の彼には初見の模様であった。空から降臨する使者のような。

 召喚器から、1人の影が露わになる。立香よりも一回り小さい少女で、ブロンドの長い髪を靡かせている。自身のマスターを見つけると笑顔になり、駆けつけてきた。

 

「こんにちは! 私、アビゲイル――アビゲイル・ウィリアムズ。私がフォー…リナー…で、あなたがマスターなのかしら?」

 

 純粋無垢な少女は、アビゲイルと名乗った。フォーリナーという、新たに発見されたクラスの1人。

 アビゲイル・ウィリアムズ――亜種特異点の1つ、セイレムにて出会ったサーヴァント。

 

「アビーって呼んでくださいな! すぐお友達になれると思うわ!」

「よろしくですアビーさん。それと、明けましておめでとうございます」

 

 藤丸は一例して挨拶した。

 だが後者の挨拶は彼女の首をキョトンと傾げさせた。地域の文化とは何ら関わりがなかったからだろう。

 

「明けまして…? どういうことかしら?」

「今日、ちょうど新年に入ったところなんですよ。今のは僕の国でのご挨拶です」

「まあ! それはおめでたいわ、マスター!」

 

 新年を迎えたと知ると、アビゲイルはパッと笑顔になった。新たな年を迎え、そして祝うのは万国共通なのだろう。

 

「アメリカ…、っていうと当時は違うから…。でもとりあえず、2人で言いましょうか」

「そうね! まずはご挨拶だわ!」

「はい。では、せーの――」

 

――A HAPPY NEW YEAR!!

 

 これは、そんな藤丸とサーヴァント達の交流を描いたものである。




ちなみに同じ月で、後にジャンヌオルタさんやセミラミスさんを迎えることになるが、それはまた別の話。
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