プロローグ
ここは『忍妖界』
理から外れた人間と妖怪が存在するこの世界では、人間と妖怪が協力し合い、数百年の間共存し続けている
かつて忍妖界に起こった、第一忍妖大戦。数百年前に起こったこの戦争では、忍術と呼ばれる特殊な術を使う人間と人の理から外れ、化け物となった妖怪と呼ばれる存在がそれぞれの思念を持って、数十年に渡り忍妖界で争い続けた
人間と妖怪、どちらも一歩も退かず、各地で争い続けた。戦場となった場所は荒れ、人間と妖怪の死体が溢れ、人と妖怪は次第に気力を失っていった。そんな中、一人の忍と妖怪を指揮していた大妖怪が戦争を早期に終結しようと、忍妖界の中心地にある湖、忍妖湖でお互いが決闘を申し込んだ。二人の決闘は湖を枯らし、周辺の山は削れ、遂には草木一本無くなり、地図から一部を消してしまう程、戦場を変えてしまった
二人の決闘の決着はつかず、二人はボロボロになるまで戦った。そして、一人の忍が大妖怪に言った。「人と妖怪、両者とも相容れない存在であるが、これからはお互いが助け合い、共存の道を進む事も出来るのではないかと」と。そして大妖怪はその一人の忍の言葉を聞き入れ、両者の説得で、何十年と続いた戦争は終結した。しかし、戦争直後はお互いに結果は無惨であった。何万という人間と妖怪が死に、各地は荒れ果て、食料等も枯渇している状態だった。両者はこの状況を打破しようと協力し合い、人間と妖怪は共存への道を進み始めた
そんな戦争を止めた一人の忍と妖怪の名は…
忍『千手柱間』
鬼神『大嶽丸』
『火の国 木の葉隠れの里』
戦争終結後、人は五つ国の大国と幾つかの小国を作り、長を立て、忍の隠れの里を作り、長に国の名と影を合わせた名を付けた。その影の名を受け継ぐのは、人々から信頼が厚く、実力や実績を積んだ忍だけがなる事が出来る。そして、大国の一つ、火の国にある木の葉隠れの里に戦争を治めた千手柱間と共に木の葉を作った忍の一族、うちは一族の血を引く忍『うちはミライ』が居た
「それで?お前はあんな事をしたんだ?ライキ」
木の葉隠れにあるうちは一族専用の区間、その区間の中の一軒の縁側に、一人の忍と子供が居た。忍の名はうちはミライ。木の葉の里の中でも屈指の実力者であり、16という歳ゆえにまだ中忍にあたる忍であるが、与えられる任務の内容は上忍クラスの内容の物が多い。そして、ミライと一緒に居たのは、三歳年下のミライの弟である『うちはライキ』ミライは、庭で弟のやった事に怒っていた
「えっと…その……」
ライキは庭に正座させられ、ミライは縁側に座りながらライキを睨んでいた
「茶を濁してないでさっさと言え。なんでやった?」
「その…印の練習をしてて、試しにやってみたら、いきなり出てびっくりして…」
それを聞いたミライは庭の壁を見る。庭の壁には微かにひびがあり、ひびの周りには何かが焦げた後のような跡が残っていた
「はあ……豪火球の術の練習は演習場でやれって言っただろ…まあ、その歳で豪火球の術が完成しかけてるのは、いい事だかな」
火遁〔豪火球の術〕
遁術と呼ばれる忍術には、火・風・雷・土・水の性質がある。その中の一つである火の性質をうちは一族は持ち、一族は火遁を得意とする。そして、うちはの基本忍術。火遁、豪火球の術ができれば、一族の中では一人前と言われるようになるのである
「でも兄ちゃんは、10歳でこの術完成させたじゃん!僕なんて13になっても出来ないし…」
「アカデミーから卒業すらしてないのに、火遁を扱おうとする方が難しいんだよ。なんでそんなに豪火球の術を習得したがる?」
ミライがそう言うと、ライキは体をぷるぷると震えさせ涙目になりながら言う
「だって…うちはの凶刃って言われてる兄ちゃんと違って、お前は火遁すら使えないのかって同じクラスの奴に馬鹿にされて…」
「その二つ名を言うな。……はあ…ライキ、変化と分身の術をやれ」
ライキに呆れたのか、ミライはため息を吐きながら言う
うちはの凶刃。ミライが二年前にある任務中に、他里の忍二十五人を火遁と刀を使いミライ一人で殲滅したのだ。その戦いぶりや非情さから、ミライは凶刃と呼ばれるようになったのだ
「え?でも…「いいからやれ!」う、うん!」
ライキは立ち上がり、印を結び始める。そしてミライそっくりに変化し、その後ライキの姿と同じ分身が現れる
「それ出来るなら、アカデミーの卒業試験は楽に合格出来るな。ライキ、その調子なら、お前もすぐに火遁もすぐに出来るようになるさ」
「そ、そうかな?…僕、頑張るね!」
(色々不安な所はあるが、ライキも成長したな……いつか、俺を超える日が来るといいがな)
ライキの分身が消え、笑顔でそう言い縁側に座り込む。その光景を見てミライが和んでいると、他の家の屋根を飛び越えて、和服を着た一人の少女がやって来る
「ミライさん、火影様から召集がかかってます!」
少女の名は『犬走椛』木の葉の里から数十キロ離れた妖怪の山に住んでいた白狼天狗である。彼女は四年前に木の葉隠れの里の入り口に血まみれの状態で倒れており、たまたま通りかかったミライが助けたのだ。それ以来、ミライに修行をつけてもらったり、ミライの任務についてきたり等、ミライに恩を返そうと毎日を過ごしている
「休みすら無しか。少し待ってろ」
ミライはそう言うと、部屋に向かい、部屋にあった忍び道具と木の葉の額当てとベストを身につける。そして部屋に置いてあった刀に手を伸ばす
(なんだか嫌な予感がするな……気を引き締めていかないとな)
ミライはそう考えつつ、腰に刀を添えて、部屋にあった父の写真に手を合わせて祈り、玄関に向かい始める。そして玄関先で和服を着た女性に会う
「あら、また任務かしら?忙しいわね」
『うちはひなの』木の葉隠れ所属の上忍であり、ミライとライキの母親でもある。出産と育児の為に忍稼業から一時は手を引いていたが、今は忍達を育成するアカデミーの先生をしている。
「ああ、また長く家を空けるかな。それじゃあ、行ってくる」
「そう……ミライ、気をつけてね」
ミライは玄関先でそう言い、素早く靴を履いて外に出ていった。母は心配そうな顔をしながらミライを見送る。そしてミライは玄関を出てすぐに道路で椛に会って言う。
「急ぎなのか?」
「はい、すぐに火影室に集まるようにと……」
「そうか、なら急ぐぞ」
ミライがそう言うと、高くジャンプして他の家の屋根を足場にして飛び、椛もそれに続いて火影室に向かい始めた
次に続く……
こんな感じで書いていきます
不定期更新です