(約一名の境遇をどうするか思考中……)
駒王町にて…
移し身の鏡に吸い込まれたミライ達はある場所へ転送される。ミライ達が目を開けると、目の前には人間界の建物が見えてきた。ミライ達は町の隅にある林に転送され、周りには車や電柱等、ミライ達からしたら見慣れない物ばかりであった。しかし、昼頃であった忍妖界とは違い、人間界の時間帯は深夜であり、雲に隠れながらも月の光が街に降り注いでいた
「ここが人間界か…」
(見慣れない物や服装だな……まあ、裏の俺達のこの格好じゃ、表の人間からしたら不自然かもな)
「お〜!!見たことない物ばかりですね~!」
ミライは林の前に見えてくる街や人間の服装を見て、自分や文達の服装を見て考えていた。文達は初めて来る人間界に少し興奮しつつキョロキョロと周りを見ていた
「とりあえず、人間界のやつに合わせるか」
ミライはそう言うと印を結び始め、最初に目に入った人間の服装に変化する。それを見た文達は奇怪な目をしてミライを見る
「なんですか、その格好……」
「人間界の人間って、こんな鮮やかな服を着るんですね」
「見事なまでに似合わないね。ミライは忍服の方が似合うよ」
文達はミライの服装を見て奇怪な目で見ながら口々に感想を言い始める。それを聞いたミライはため息を吐いて話し出す
「そんな事知るかよ、服装については………隠れてないで出てこいよ。この感じ、表の忍だろ?」
ミライは文達と話していると、すぐ近くに違和感を感じ、近くの草むらの方へ向き、刀に手を添えながら言う。そして、草むらから仮面を付け、刀を背負った人間界に居る忍らしきが出てくる。そしてミライ達に近づきながら喋り出す
「流石は裏では実力者として有名な忍、『凶刃』。これ位の気配はすぐ分かるみたいだな」
「……何処で知ったかは知らないがその二つ名を口にするな。凶刃と呼ばれるようになってから、周りの視線やら対応が一気に変わったんだ。全くもって迷惑な二つ名だ。……で、表の忍がここに居るって事は、お前が人間界の案内役と捉えていいのか?」
ミライは暗部の人間が言った事が気に入らないのか、表の人間を睨みながら言う。それに対して、平然としながらその忍は懐から一つの封と書かれた紙が付いた巻物を出し、ミライに差し出しながら話す
「私はこれを渡しに来ただけだ。残念だが、案内は出来ない。お前達は自力でこの世界の事を学習し、この任務に当たってくれ。私は他にも任務があるからな」
ミライは巻物を受け取り、巻き付けられている鍵を外して巻物を開くと、そこには地図が書かれていた。そして地図には赤、青、緑の点が付けられていた
「……地図にあるこの点は?」
「その点は、ある場所の位置を示している。赤が敵陣、青がお前達に与えられる拠点、緑はこの神社の位置を示している。巻物に付いている鍵は拠点の鍵だ。拠点内に、我々が集めた情報全てがある。犠牲者を出して集めた、冥界、悪魔等についての様々な情報がな」
「……待て」
ミライがそれを聞くと、咄嗟に椛に巻物を渡し、刀に手をかける。そして忍が去ろうとしていたところをミライが呼び止め、忍は歩みを止める
「二人の悪魔の写真といい、拠点にあるという集めた情報といい、お前達はどうやって情報を集めている?例えそっちの忍が優秀といえど、暗部の忍も人間だ。異世界にいる生物の情報を、そう簡単には集められないと思うんだが……これを一体どう説明する?」
「………転生された人間の中に、我々表の忍も混ざいたのだ。悪魔に転生させられた後、こっちに秘密裏で情報を流してくれていた。何人か忍び込んでいたが、数日前に連絡が途絶えた」
暗部の人間がそう言うと、消えるように去って行った。そして、神妙な顔立ちをしていた文が口を開いて話し出す
「あの感じからして、殺されたか捕らえられたかのどちらかですね。おまけに情報を流している事が発覚して、悪魔側にこの国の裏勢力が動いているのもバレてしまっているでしょうね」
「そう考えて動いた方がよさそうだな。……とりあえず、拠点に向かうか。ここじゃ誰かに聞かれてしまうかもしれないしな」
「そうですね。拠点の場所は、この神社から十分程度で着くと思います。時間も遅いですし、早めに移動した方がいいと思いますが……」
「今日は疲れたしね~~早く行こうよ!」
文達がそう言うと、ミライを先頭に地図を頼りに道を歩いて拠点に向かって歩き出して行った。
拠点にて……
ミライ達が歩き出して十分、ミライ達は表側が用意した拠点に着いていた。建物な一戸建て、内部は一階部分に広めのリビングに家電一式、二階部分には部屋が三つある拠点であった。
「さて、今日のところはもう休むか」
「あれから二時間、よく起きていられますね」
ミライはリビングにある机にあった巻物をソファに座って読んでいた。そして、文はその光景を見ながら呆れた表情をしながらお茶を飲んでいた
「向こうは昼辺りだったんだぞ。それなのにこっちでは夜だ。すぐに眠れという方が無理な話だ。大体、文だって余裕な顔をして起きてるじゃないか。椛とにとりは部屋に行って寝てるってのに」
(にしても凄い拠点だ。家具は一式はあるし、拠点の周りには感知結界まで張られていて、結界内に不審な奴が入ったら中に居る忍はすぐに感知出来るようになってるとはな)
ミライは巻物を閉じ、荷物を整理しながら言う。文はお茶を飲み、荷物の中から干し肉を出し、食べながら見ていた。ミライ達は拠点に着いて様々な確認後、すぐに部屋決めをしたのだ。部屋は三つであったが、ミライとにとりで一人部屋で、文と椛は同じ部屋で過ごす事になったのだ。そして部屋決めをして、すぐに椛とにとりは部屋に行って休み、ミライと文はリビングであの忍から渡された情報の確認をしていた
「情報は時には武力よりも強力な武器になりますからね、早めに知っておいて損は無いです。それに、個人的にあの悪魔達が少し気になっていたんです」
「あの悪魔の二人をか?」
「はい、何故悪魔達が人間界に降りてきたのか。それが気になってたんです」
ミライは文から干し肉を貰って食べながら考えていた。文は机になる資料と二人の悪魔の写真を眺めていた
ミ「情報によると『冥界』と呼ばれる世界にいる『四大魔王』という権力者の内二人、『サーゼクス・ルシファー』『セラフォルー・レヴィアタン』。この二人の魔王の妹達がこの街を統治している。権力者、実力者の親族、確かに早々に解決出来る問題じゃないな。表が討伐に動けないのも分かる」
「この国の各地に散らばっている表の忍から、不可解な現象が何十件と発生していると連絡があるみたいですね。おまけにこの世界に溶け込んでいる忍や妖怪達を炙り出して虐殺まがいな行為までしているとの報告もある。明らかに冥界の勢力が介入した事による影響ですよね」
「種族を増やす為に人間を殺す。まるで種族繁栄の道具の様な扱いを受けてるな。人間界の技術は忍妖界では重宝されてるし、この国と勢力が無くなったらこっちに矛先が向くからという理由で対策を始めたんだ。冥界の奴らのせいで俺達がここに予防線を張る。致し方ない事だな」
ミライ達は神妙な顔立ちをしながら話す。忍妖界の技術は、半分近くは人間界の物に頼っている。忍妖界の技術改良は主に河童の一族に頼っていると言ってもいい。河童はどこからか人間界から技術を見つけたら、それを完全にコピーし、その上で性能を良くした物を国や里に提供してくれる為、人間界は技術面で重要な場所であり、各国で河童は重宝される種族なのである。また、河童の一族が人間界の技術をどうやって手に入れてるかは河童のみが知る事である
「
「あの禁術とは大きく異なるぞ。あれは生きた人間を元に死者を蘇らせる術で、こっちは人間を元に悪魔へと変化させる道具だ。どちらにせよ、世に出してはいけない代物だがな」
「確かに、言われてみればそうですね。
「技術的に、色々得られる物もあるかもしれないしな。それはそうと、そろそろもう休んだ方がいいんじゃないか?明るくなったら忙しくなるからな」
「それはミライさんもですよ。貴方程の人が過労で倒れられたらこっちが困りますから。それでは、私はもう休みますね。おやすみなさい、ミライさん」
「ああ、おやすみ」
文はそう言うと、荷物を持って階段を上がって行き、自分の部屋へと向かって行った。そして一人残ったミライはソファに横たわり、横目で巻物を見ながら考えていた
(もし情報通りなら、悪魔達による影響が予想以上に深刻化してるな。調査、監視なんて任務じゃない……討伐任務に移行される場合もある……予想以上にきつい任務だな、最悪の場合、俺達の中から死者が……いや、止めておこうか)
ミライは任務内容を深く考え、最悪の事態を予測しながらソファで眠りに入る。そして、ミライの想像通り、任務開始から悪魔等と戦いに明け暮れる日々を過ごす事になる事を、この場に居る者はそう深くは考えていなかった
次に続く……