色々不安である……
拠点にて……
ミライ達が人間界に来て一週間、時間帯にして朝に朝食を食べ終えた文達は拠点のリビングに集まって勉強をしていた。人間界に任務に来ているが、人間界についての知識が乏しい為、任務開始までの一ヶ月間で様々な事を頭にたたき込まなければならないのだ
「……ねぇ」
「どうしたんですか?にとりさん」
文達がリビングに集まり、机や床に様々な資料の山で溢れながら勉強していたが、始まってから二時間程で、にとりがふと呟く
「なんでこんなに量があるのかな!?文と椛はボードゲームで遊んでるし、真面目に勉強してるの私だけじゃん!!」
にとりは椛と文の方を見ながら怒鳴り始める。にとりが山のようにある資料と格闘している間、椛と文は床に資料を置き机代わりにしてあるボードゲームを置き、二人はあぐらをかいて遊んでいた
「落ち着いてください、にとりさん。これも悪魔についての勉強ですよ」
「悪魔が
文達はボードゲームの駒を動かしながら話す。それに対しにとりは不満そうに頬を膨らませるが、興味があるかのように資料を机に置いて二人がしているボードゲームを覗き込む
「それ、面白いの?」
「ルールは将棋と似ているのでやり方はすぐ覚えましたね。でも、将棋と違って取った駒が使えないので少々やり難いです」
椛はどのようにすれば勝てるか考えながら遊んでいた。文は椛が打った手をどう返すか考え、にとりは興味心身にゲームの流れを見て、にとりは不満そうに話し始める
「なんでそのゲームをしているのは分かったけど、椛と文は勉強しなくていいの?まだ人間界に来て一週間だよ?色々知識を学ばないと……ミライはどっか行っちゃったし……」
「私はそこにある知識は全て覚えましたから。覚える事に関しては得意ですからね」
「ミライさんなら朝早くに偵察に行きましたよ?何でも学園とこの街を見て回るのだとか、数日は戻らないそうです」
「え、そうなの?でも一人だけで大丈夫かな?」
「そこは、ミライさんですから。敵と判断したら容赦無く斬りますから心配無いと思います」
「……それ聞いたら納得出来るって何故だろう?」
にとりがそう言うと、二人は微笑む。もし他の人に「一人で行動して大丈夫か?」と聞かれたら、答えは皆「大丈夫」と答えるだろう。つまりそれだけ火影や文達がミライの実力を買っているという事である。基本的にミライの任務は単独行動が多い、つまり一人で切り抜けるだけの力を持っているという事だ。にとり達が会った時もミライは一人で行動していた。通常、忍はフォーマンセルで行動するが、ミライは何故か一人で行動出来る。これは皆の信頼が無ければ出来ない行動であり、実力があるから出来る事なのである
「それにしても、ミライさんって本当に人なんですかね?妖怪以上のチャクラ、異常とも言える成長速度。あれは本気の殺し合いで向き合ったら妖怪でも逃げ出しますよ?」
「確かにね、何がミライをあんな実力者にしたんだろ?」
「……やっぱりあの事件がきっかけだと思います」
文が駒を動かす手を止め、ふと疑問に思った事を言うと、椛がその疑問の答えを言い出す。椛の言うあの事件とは『父親の死』である。ミライが下忍になり立ての頃、ミライの父親と下忍達と共に任務を遂行していた時に突然妖怪達が奇襲仕掛けてきたのだ。突然の奇襲だった為、皆対応が遅れてしまい、いきなり下忍が一人殺されてしまったのだ。その後、ミライ達は反撃をし妖怪達を何とか退却させたが、もう一人の下忍も死亡、ミライの父親も瀕死の重症を負ってしまい、負傷したミライの目の前で息を引き取った。それがきっかけでミライは写輪眼を開眼した。
以来ミライは強くなる為に他の上忍に弟子入りしたり、人間を襲う妖怪、人外に対して人並み以上の憎悪を湧かせる様になり、見つけると容赦無く斬り殺す忍へと変化していたのだ。
「あまり過去を掘り返すのも良くないと思います。悲しい過去。それに、私達が慰めるような事を言ってもしょうがないですよ。私達は妖怪ですから…」
「それでも、私達は妖怪社会と人間社会のどちらも経験してます。妖怪の世界しか知らない妖怪と人間の社会を知っている妖怪は違いますから……違う筈です……」
椛を慰める文だったが、慰める内に文も不安なっていっていた。いつの間にか文達が居る空間は冷たく重い空間になり、文達もしばらくの間は口を開く事は無かった。
駒王学園周辺にて……
文達が自分の過去を話していって暗くなってる等露知らず、ミライは潜入先である駒王学園の近くに来ていた。正体はバレないように変化の術でこの世界の人間に変化していた。先に学園の周辺の街並みを見て回っていた為か、時刻は既に夕方に差し掛かるところであり、空は橙色に染まっていた
(やはりあっちとは全然違うな。見慣れない物も多いし、ただの住宅街でもこっちの方が発展しているのがよく分かるな)
ミライは朝早くにから出かけているからか人間界での人の生活を見て見る事が出来ていた。里とは全く違う建築物、人々の会話、服装、見慣れない動く金属の塊、そして争いの有無。里では妖怪や人間同士の争いは日常的にある物だが、人間界ではそれが無い。少しの時間居るだけで此処が平和である事は一目瞭然であった。
「さてと、此処が目的の駒王学園か」
(アカデミーとは全然違うな。学び舎でも、やはり大きく違うのか)
ミライが街並みを見ながら歩いていると、目的地である駒王学園が見えてくる。高い煉瓦の壁、巨大な西洋風の校舎、広大な敷地、門の近くには学園の生徒らしき人が何人か話しながら歩いていた。ミライはこの光景を一目見て木の葉のアカデミーと比べて見ていた
(なるほど。確かに、忍のチャクラでも、妖怪とは違う禍々しい力を感じるな。数は……感じ取れるだけで十近くってところか)
「すみません、ちょっといいですか?」
「ん?」
ミライが学園の門から校舎を見ていると、後ろから声をかけられる。後ろを振り向いてみると、そこには白髪の小柄な少女が立っていた。少女はミライに対し疑わしい人を見るような表情をしてミライを見ていた。ミライはそんな少女の表情を気にする様子も無く話しかける
「俺に何か用か?」
「………忍が何故この学園に来たんですか?」
(!……この感じ……なるほどな)
一時の沈黙の後、少女はミライに対して質問をする。ミライもまさかいきなり正体を見破られるとは思わず動揺するが、少女から妖怪と別のもう一つの力を感じ彼女が人間出ない事、そして悪魔に関与しているのを理解する。そしてミライは少女に対し、蔑みを含めた言葉を発する
「妖怪を辞めたお前なら、すぐに分かると思うが?」
「!?」
ミライがそう言うと、少女は疑いから驚愕へと表情が変わる。すると少女はいきなりミライの腕を掴んで人が居ない小道へと移動する。ミライも突然の事で驚いたが素直に少女に連れて行かれた。小道へと移動すると、少女がミライへと振り向いて敵意剥き出しで話し出す
「ここ最近、この国で妖怪等による悪魔への攻撃活動が見られると『部長』が言っていましたが、まさかこの学園に忍が現れるとは思いませんでした」
「その『ぶちょう』やらに伝えておけ。それはお前ら悪魔がこちら側に危害を加えているからだとな。元妖怪」
お互い一歩も引くことも無く敵意を剥き出しにして話す。傍から見たら高校生ぐらいの男が小学生の少女に対し脅しをかけているように見えるが、実際は特殊な力を持った人間と半妖半魔の睨み合い。いつ戦闘が始まるかわからない状況であった
「……今ならまだ間に合います。部長達にバレる前に、大人しく引いてください」
「悪いがそれは出来ないな。こっちも任務だ。それにお前みたいな小柄でかつ半端な奴に負ける程、俺は弱くない」
ミライがそう言うと、少女はミライに向かって殴りかかってくる。ミライは慌てる様子も無くこれをひらりと躱し、袖に隠し持っていたクナイを少女の首筋に突き付ける
「っ!……」
「感情に任せて攻撃すると、隙が大きくなる。だからこうやって簡単に動きを封じられる」
ミライにクナイを突き付けられ、少女は動きを止める。少女には僅かだが慌てているのが見て取れた。顔には冷や汗が流れ、目はあからさまに泳いでいた。そして一時の間を挟んで少女は質問をする
「………一つ聞きます。私達をどうするんですか?」
「それはお前達次第だ。安心しろ、俺はこのままお前の首を切り裂く事はない。今はな」
「!……!?」
ミライが正体の首筋からクナイを離した瞬間を狙い、少女はすかさず殴打を繰り出すが、攻撃は空振りに終わり、そこにミライの姿は無かった。小道には少女一人だけが取り残されていた
次に続く……