これからは最低一週間に一話を投稿するつもりで書きますのでよろしくお願いします……
「ぎゃあああああ!!!」
「止めてくれ!!俺の、俺の秘宝達がぁぁ!!」
「あんまりだぁぁぁ!!」
時刻は夕方。今日も特に問題も無く学園生活を終えたミライは廊下の壁に寄りかかりながら、学園内にある旧校舎を眺めていた。そんな時に、グラウンドの方からなにやら悲鳴が聞こえてくる。何事かと見てみると校庭で何かを燃やしている女生徒数名と変態三人組が男達によって取り押さえられている光景だった
「……またか、相変わらず醜いものだな」
数日前文が一枚の新聞を学園中に配布してから学園の空気がガラリと変わったのはミライはすぐに分かった。
『変態三人組から脅迫され、嫌々防護する生徒会達』
そんな見出しからそれを読んだ生徒達はすぐに顔を歪めていた。三人組に対する嫌悪、生徒会メンバーに対する同情。様々な感情が渦巻く中その新聞に書かれた事件の加害者と被害者を知ると学園中の生徒達は明らかに豹変した。
まず被害者となっている生徒会メンバー、支取蒼那を筆頭に彼女達に様々な支援をするようになった。生徒会が普段している奉仕活動を手伝ったり等である。こちらは特に問題も無く、むしろ学園の風紀等が良くなると生徒会側としてはいい方向へと進んでいる。しかし、問題は加害者側。生徒会メンバーを脅迫したとされる三人の風当たりが明らかに強くなっていた。前は三人の行動に嫌悪し、裏で陰口を叩くだけだったが、今となってはそれは過激化している。陰口を叩くのを止め、すぐさま彼らの行動を抑制するようになった。変態行動をしようものならすぐに三人を監視している生徒達に取り押さえられ、エロい物を出そうものならすぐさま没収、持ち物検査が行われ、発見されれば三人の目の前で即焼却処分と三人に対する制裁と呼べるものが日常的に行われていた
この生徒達の行動を見かねて生徒会が文が書いた新聞の事を否定したが、誰も耳を傾けようとはしない。逆にそこまで貶めていたのかと生徒に油を注ぐ結果になっていた。これが文が狙っていた事である。生徒会の言う通りこれは事実無根。新聞に書かれていた事等一切起きてはいなかった。文がしようとした事はあの三人の追放。それを成し遂げるには文一人だけでは到底無理な話だ。だからこそ、自分の取り柄とも呼べる情報で支配したのだ。
情報による刷り込み、これは一種の洗脳だ。高位の地位に居る者、輝かしい栄光がある者等注目されている者に必ず効くものがある。それが自分の立場が不利になる物だ。文の場合は汚職や不祥事等の裏の情報を使う。普段注目され、位が上だと感じる者にはあくまでその表側しか見ていない。だから裏を知ると誰でもその者の意識が変わる。信じていた者が汚職をしていたと知ると人間は簡単にその者の意識と態度を変える。それらの心理を利用したのだ。天から地に落とす。それが文のやり方だ。とてもじゃないが文が言う清く正しいと到底言える物では無い。
「あ、やっと見つけましたよ!」
「ああ、ホラ吹き文か。どうした?」
色々と騒ぎの事を考えながら外でのある意味悲惨な光景を眺めていると、今回の騒ぎの元凶である文が歩み寄ってくる。あれだけの騒ぎだというのに、文は何かとスッキリしたかのような表情であった
「あのですねぇ、毎回私が
「事実だろ?そんなに否定しなくても、
「そう言われましても、これが私のやり方ですよ。そんな事よりも!ミライさんは今日も友達やクラスメイトと仲良くせずに一人でひっそりと帰るんじゃないかと思いましてね。たまには仲良く私や椛と帰るのもいいんじゃないですか?」
文が無理矢理話題を変えるとミライが露骨に顔を歪める。ミライ自身人と話すのは特に苦手と言うわけでも無く普通に仲良く会話が出来るのだが、本人が仲良くするという事を嫌がるのだ。弟であるライキや母親とは柔らかい表情で楽しそうに話すのだが、文達とは何故か仕事の話等で固い表情で話したりするので文達が柔らかくしようとするのだが、中々そうはいかないようなのだ
「別に人間関係に困っている訳じゃない。別に俺は一人でも大丈夫だ。それに態々他の奴と帰る理由は無いだろ?」
「まあまあ、そう言わずに。ちょっと
それを聞くと自然とミライの表情が固くなる。文がお話と言うのは大抵仕事や任務関係の話だ。文が言うネタは重要情報の事であり、信頼する者としか話したがらない。世間話なら普段の会話でも出来るので、文と仕事や任務の事を話す時にはこの隠語が使われる
「なるほど、帰りながらにでも聞こうか」
ミライはそう言うと、文と共に学園の外へと出る。拠点への帰路を歩き、周りに人が居なくなり、物静かになったのを見計らって小声で歩きながら文が話し出す
「……鴉からの連絡です。又旅さんの言う通り、悪魔以外の人外がこの街に潜り込んでいます。人外の数は少ないですが、それを補うかのように人間の部下達が多く居るようですね」
「悪魔達の動きは?」
「グレモリー、シトリー共にこれと言った動きはありません。討伐はおろか調査にも乗り出してないみたいです」
「妙だな。自称でも領主を名乗っているのだから領土を荒らす奴らをみすみす野放しにしておくとは思えないが……」
ミライの忍猫では流石に街一つの索敵、監視は賄えないので、文の口寄せ動物である鴉を街に放っている。それによって索敵範囲が増え、共に耳に入ってくる情報も増えて何があっても備えられる状況が作られている。
「人外の正体は掴めたか?」
「私と似たような黒い翼と妙な力をを持つ四人組だと報告を受けています。情報から照らし合わせて、三大勢力の一つ。おそらくは堕天使ですかね。それと、これも巡り合わせなんですかね?」
「何の事だ?」
ミライがそう聞くと、文が懐から一枚の写真を渡してくる。そこには今学園を騒がせている三人組の一人と一人の少女が仲良く写っている写真だった。
「これがどうしたんだ?」
「その写真の傍らに居る少女。今言った四人組の一人かと」
「……確かなのか?」
「詳しくはまだ分かりませんが、おそらくは。悪魔とは違う力を感じたので、念のために撮っておいたんです。学園を避けている様子だったので取るのはちょっと大変でした」
「面倒だな。態々こんな人間に関わるなんて。こいつに何か特別な物でもあるのか?」
「そこまでは。信じられませんか?」
「まさか、お前の情報は確かだからな。こいつらの潜入場所は分かるか?」
ミライがそう聞くと、おもむろに手帳を取り出して微笑むと、手帳をミライに手渡す。そしてそこに書かれている事にミライは衝撃を受ける。それと同時に舌打ちをしさっきまで居た駒王学園を睨みつけるかのように振り向く
「驚きました?何と、これまた三大勢力の一つ。街外れの森の中にある天界、天使勢力の拠点です。この街に三大勢力全てが関わりがあるなんて、最初はびっくりしましたよ」
「ここは呪われた地だな。悪魔、天使、堕天使の人外セットが街一つに集合か。……堕天使側については俺とにとりと偵察に行ってくる。お前らは悪魔達を頼む」
「警戒を厳に、分かりましたよ。にとりさんが
文がそう言うとミライとは別の方向へと歩いていく。ミライは懐から忍用の無線を取り出してにとりにこの事を話す。事情を話終えると文の手帳を頼りに堕天使達が居るという拠点に向かって行った。
時は既に夜。今夜は新月のおかげか空からの明かり無く真っ暗な空間が出来上がっていた。ミライは文の手帳を頼りに既に敵拠点近くまで来ており、途中街に放っていた忍猫一匹と合流し素早く忍装束に着換え離れた木の上から携帯望遠鏡を使い拠点周りを眺めていた。周りには黒ずくめの服装をした人間が二人歩いていた
「監視は二人、石造りの建物。壁などが崩れているから、既に廃墟になっているのか?」
「建物の隙間からこっそり中に入ってみたけど、中は瓦礫とか長い椅子とかがあるだけで特に何も無かったよ」
「なるほどな。この感じだと、地下に何かがあると考えるのが自然だな」
そう話していると、ミライ達に何が近付いてくる何かを感じたので、振り向いてみると、そこには大きなリュックを背負って焦った表情で走って来るにとりの姿があった。にとりが木の枝を足場にミライに近付いて来る
「遅いぞ。何してた?」
「ごめんごめん!ちょっと開発に集中してて、気が付いたらこんな時間に……」
「はあ。何を作ってるかは知らないが、程々にしておけよ?」
「はいはい。で、状況はどうなの?」
「監視が二人。目の前の建物は廃墟だ。おそらく、あの廃墟の地下に何かがあるな」
「……またいつものやり方?」
「それ以外に案があるか?」
「………いいや、無いよ」
にとりがそう言った瞬間ミライは刀を抜き監視に向かって無音で飛び出す。監視の人間に近づくと持っていた刀を振りその首を跳ね飛ばす。それに気付いたもう一人の監視が刀身のない剣の柄を取り出すが、ミライが写輪眼の幻術をかけもう一人の監視を無力化する。それを確認したにとりは無力化した監視に近付き、それを背負うと殺した監視の持ち物を漁っているミライに声をかける
「相変わらず速いね。見事な手際だよ」
「そんな事言っている場合か……ん?」
ミライが持ち物の漁っていると、懐から手の平サイズの金属の塊が出て来る。何なのかと隅々まで見ていると、にとりがそれを見るなり目を輝かせてそれをミライから奪い取る。ミライはそれが何なのか分からなかったが、にとりは珍しい物を見るかのようにキラキラした目でそれを見ていた
「にとり、それが何か知ってるのか?」
「何って銃だよ、銃!人間界にある射撃武器の一つだよ!こんなに早く手に入るなんて。これ欲しかったんだよね〜〜」
「そ、そうなのか。取り敢えず。拠点に戻るか?」
「そうだね、早く帰ろう!」
にとりがそう言うと、一目散に拠点へと駆け抜けていった。ミライはその光景にため息を吐くが、にとりを追うためにミライも拠点へと走って行った
次に続く…