俺みたいな天才はバカといる方が丁度いい   作:Re:Yuu

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7話

「工藤慎也、戦死!」

「西村雄一郎、総合残り40点です!」

「森川が戻ってこない!やられたか!?」

明久の犠牲で盛り上がった士気がが下がることなく戦うが、戦力の影響が現れ始め悪い報告が聞こえてくる。これで明久隊の人数は十八人から八人となってしまった。一応みんなを守ってはいるがやはり厳しい。

「明久、あとすこし持ちこたえろ!蓮、少しなら暴れてもいいぞ!」

突如そんな激が飛んできた。見渡すと、遥か後方に雄二達が見える。援軍が来たらしい。しかもやっと許可がでた。

「援軍だ!合流される前に吉井たちを全滅させろ!面倒なことになるぞ!」

Dクラス前線部隊指揮官の塚本の指示と共にDクラスが攻め込んでくる。俺は先程とは打って変わったスピードで間合いを詰め、Dクラス三人を戦死させる。

『な!?』

「やっと……やっと暴れられるぜオラァ!!」

そんな叫びとともにDクラスに突っ込んでいく。流石に全員という訳にはいかないが、半数以上を相手にする。薙ぎ払いをしゃがんで避け、相手の腹に拳をいれ怯ました後、首を斬って戦死させる。振り下ろされた斧を右に避け、相手の横顔に蹴りをいれて倒してからナイフでトドメをさす。といった感じで二人を戦死させ、次の敵に突っ込もうとした時だった。

「ああっ!霧島さんのスカートが捲れているっ!」

『なにぃっ!?』

振り返っても見当たらない。どこだ!どこにいるんだ!

DクラスとFクラスの男子だけでなく、女子まで振り返っている。流石は学年首席で才色兼備の霧島翔子だ。

必死に霧島のスカートの中を探していると、

ガシャァァンと破壊音が聞こえる。

『な、なんだ!なにごとだ!?』

突然のことに全員が視線を彷徨わせる。

「うわっ!島田さん!そんなものをどうする気だよ!」

次に明久の悲鳴が聞こえた。アイツ明久の仕返しにきやがったのか!?そんなことしてる暇ないってのにあのバカが!!

プシャァァァッ!

そんな音がしたかと思えば、途端に目の前が白くなる。これは……消化器の粉?

「島田さん、君はなんてことを!」

明久の叫びに犯人が島田だと分かった周りの連中が、ギリッと歯ぎしりをする。

「Fクラスの島田め!なんて卑怯なんだ!」

「許せねぇ!彼女にしたくない女子ランキングに載せてやるからな!」

「そうだ!在学中には彼氏のできない状況にしてやる!」

「………でも、男らしくてステキ……。お姉様……」

結構ひどい仕打ちのような気もするが、致し方ない。アイツのせいで霧島さんのアレを見られなくなってしまったのだ。絶対に呪ってやろう。てか、今一人おかしい人いなかった?気のせいかな……。悲しみに涙を流していると、天上でなにか音がした。

シュワァァァ────

かと思えばスプリンクラーが作動したのだろうか、水がかかると同時に周りの粉を落とし始める。

「待たせたな吉井!五十嵐先生!Fクラス、近藤吉宗が行きます!」

近藤……確か雄二率いる本体の一人だったろうか、そいつが再びクリアーになった視界で勝負を申し込む。

Dクラス 中野健太

化学 43点

VS

Fクラス 近藤吉宗

化学 91点

「くっ!ここは退くぞ!全員遅れるな!」

敵部隊長の塚本が撤退命令をだす。

「深追いはするな。俺達も明久の部隊を回収したら一旦戻るぞ」

雄二にしてはらしくない命令だ。逃げる相手を高笑いで追いかけるような男なのに。まあ大方本隊が出てくるのを嫌がったんだろう。

「さて、無事なようだな、明久」

「うん、まあね」

「んで、蓮。お前ちょっとやりすぎだ」

雄二が明久を安否を確認した後、俺に注意をしてきたので、俺は少しムッとする。

「試験もうちょっと時間使って本気でやらせてくれたらもっと楽に勝てたと思うんだけど?」

「相手がDクラスだからな。お前や姫路の力をあまり借りずに勝つにはこんなもんなんだ。あと操作性も高めたかったんだよ。次は本気でやっていいから」

俺の愚痴に雄二は窘めるように言ってくる。まあ納得はしたし、次は本気でやってもいいって約束もした。だから問題ない。そうして俺たちは戦場を後にした。

 

 

 

 

明久達がそれぞれ各教科のテストを受け直した後、

「明久、よくやった」

またもや総大将である雄二から、らしくない言葉が聞こえた。明久を素直に褒めるなんてこいつがするはずが無い。そう思い、雄二の顔を見ると、もう、なんだ。怪しいとかそんなものじゃない。こんなにもあからさまに晴れやかな笑顔は見たことがない。明久もそう感じたのか、訝しむように雄二の顔を見る。

「校内放送聞こえてた?」

「ああ。バッチリな」

なるほど理解した。雄二は明久の不幸が大好きなのだ。あんなに美味しいのは早々ないだろう。すごい楽しんでる。明久は今にも飛びかかりたいのだろうが、他に殺らなきゃいけない奴がいるらしくそいつを探し始める。

「雄二、須川君どこにいるか知らない?」

あの放送を流した須川を、今の明久なら地の果てまで探し出してでも逢いたいのだろう。

「もうすぐ戻ってくるんじゃないか?」

現に雄二の拍子抜けした返事にとても目を輝かせ、不気味な笑みを浮かべている。

「やれる、僕なら殺れる……!」

「殺っちゃダメだろ」

目を輝かしているどころか超血走っている。今の明久には俺の言葉は届かないようだ。そんな明久に雄二はふと口を開く。

「ちなみに、だが───あの放送の指示したのは俺だ」

「シャァァアッ!」

明久は鋭く踏み込み、隠し持っていた包丁をコンパクトに突き出す。狙いと振り下ろす位置が的確なのはなぜなのだろうか。暗殺でもやってたの?

雄二は迫る明久の両手を掴み抑える。俺は明久に近づいていき、雄二と同じように口を開いた。

「アレを提案したのは実は俺だったりして」

「お前もかァァァッ!」

須川なら絶対にまず雄二に報告するだろうから、戦争中に雄二にメールを送っておいたのだ。やはり正解だった。明久は両手を振り払い、狙いを俺に変えてくる。どう対応しようかと考えていると、

「あ、船越先生」

そんな雄二の嘘にまんまと騙された明久は、掃除用具入れに飛び込んだ。

「さて、馬鹿は放っておいて、そろそろ決着つけるか」

雄二の言葉に皆が賛同し、教室を出て行く。渡り廊下に向かおうとすると、雄二が扉に手をかけたまま、立ち止まる。

「あー明久。船越先生が来たっていうのは嘘だ」

そう言った後、雄二は走り去る。やっべ、俺も逃げなきゃ!

「逃がすか、雄二ぃっ!蓮っ!」

教室からそんな叫び声が聞こえる。捕まらないように走りながら渡り廊下へ向かうと、下校中の生徒に混ざって戦闘が行われていた。

現文や英語、世界史、数学など様々な教科で行われている。

「蓮だ!こいつは危険だ、囲んで倒せ!!」

いつの間に来たのか、俺の周りに召喚獣が四体現れる。こんなことしてる場合じゃないんだよこっちは!

「チッ!試獣召喚」

Fクラス 畠山蓮

現文 206点

VS

Dクラス×4

現文 105点 87点 98点 110点

『な……!?』

予想外だったのか、俺の点数にDクラスの生徒は驚愕する。

……ねえ、なんでそんなに驚くの?危険だって言ってたじゃん。もしかして俺のこと知らない?これでも一年の時は学年三位で有名でしたけど!?振り分け試験学年次席候補でしたけど!?

愚痴を吐いている時間もないので、目の前の敵に集中する。Dクラス四人は合計点数が高いから、四人一気にいけば勝てると思ったのだろう。前後左右から迫ってくる。四体の召喚獣が武器を振りかぶる。俺は召喚獣の力を抜いて脱力させ、右側から薙刀を振り下ろそうとする召喚獣との距離を一瞬で詰め、ナイフを喉に刺して戦死させる。仲間の死に隙ができた残りの召喚獣を一瞬で戦死させた。

『Dクラス塚本、討ち取ったり!』

一際大きな声があがる。先程苦戦させられた塚本を誰かが討ち取ったようだ。これで少し楽になるだろう。

「って、こんなことしてる場合じゃないな」

いずれ来るであろうヤツに見つかるわけにもいかない。身を隠そうと暫く走り回ると、雄二が見えた。そして、その少し遠くに親の敵のように雄二を睨む明久も居た。ここから離れたら大丈夫だろうと判断して、少し遠ざかる。

「Fクラスが居たぞ!討ち取れ!!」

どうやらまたDクラスに見つかったらしい。しかも十人という大人数でだ。

「Dクラス華山惣次。Fクラス畠山蓮に英語で勝負します!試獣召喚!」

『試獣召喚!!』

周りに十体の召喚獣が現れる。これは骨が折れるな。かなりヤバい。

「試獣召喚!」

対抗するように、俺も召喚獣を出す。今回の英語のテストは簡単だったのだろうか。時間の割には結構取れた。

Fクラス 畠山蓮

英語 292点

VS

Dクラス 華山惣次他九人

英語 平均95点

『な、何ィィッ!?』

「アイツFクラスだろ!?」

「なんでこんな点数を……!」

圧倒的な点差にDクラスは驚き、たじろぐ。

「……なんで知らねえんだよゴラァァァッ!!」

涙がでた。

 

 

 

 

召喚獣十体相手にそれなりに善戦していたが、流石に人数が人数なのでどんどん押され始めてきた。ダメージを受け始め、徐々に点数が減っていく。これはさすがに死ぬ。そう覚悟した時に、愛しの秀吉が助けに入ってくれた。

「全く、無茶をしよるの。蓮」

「ナイス秀吉!あとで頭撫でてあげる!」

「別に要らん」

秀吉は呆れたように言いながら、相手の召喚獣一体を戦死させる。

あんなに俺のこと大好きだった秀吉が俺の頭ナデナデを断るなんて……これが反抗期か……。

秀吉の変わりように少し絶望していると、集中しろと注意されたので、気持ちを切り替える。秀吉と連携を取りながら残った召喚獣を倒していく。結果、少し危なかったが、なんとか倒し切ることが出来た。

「さて、残りのDクラスを倒しに行くとするかの」

「ああ、そうだな………いや、その必要もないみたいだ」

秀吉は首をかしげながら俺の見ている方向に視線を向け、納得する。そこには、Dクラス代表である平賀源二に、申し訳なさそうに召喚獣を召喚している姫路が居た。背丈の倍はある大きな剣を構え、謝りながら素早い動きで、未だよく分かっていない平賀を下す。こうして今回の試召戦争の決着が着いた。

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