俺みたいな天才はバカといる方が丁度いい   作:Re:Yuu

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9話

「ふあぁ……」

Dクラス戦の次の日、夜中までネトゲをしていたせいか寝坊をしてしまった。間に合わないこともないから欠伸をしながら歩いている。いつもは優子と秀吉が起こしてくれるのだが、いないってことはちゃんと一人で起きろっていう説教みたいなもんなのだろう。俺が悪いのだから文句もないので何度も欠伸をしながら学校へと向かう。

「一分前か……明久?あいつも遅刻か?」

時計を確認すると、なんとかギリギリ間に合ったようで少し安心する。

さっき 明久が元気そうに扉を開けていたが、あいつも寝坊だろうか。

「はよー」

適当に挨拶をしながら扉を開ける。扉の先で目の前に写ったのは島田が明久のマウントを取っている姿だった。明久はさっき元気に扉開けてたんだけど……。みんなの反応を見る限りいつもの事なのだろうが、何があったのだろうか。

「おかげで彼女にしたくない女子ランキングが上がっちゃったじゃない!」

アレでまだ上がる余地があったのはとても意外だが、本当に何があったのか。

「なあ、何かあったのか?」

「おお、蓮。おはようなのじゃ。寝坊はいかんぞ。姉上が怒っておったからな」

思わぬ所でとても重要な情報をゲットしてしてしまった。これは後で謝りに行こう。

「それであれじゃが、昨日の件でな。明久が島田を見捨てたり、消化器のいたずらと窓を割った犯人を島田に仕立てあげたようでな……」

見捨てたのは知ってるが、消化器でいたずらしたり窓割ったりもしたのかアイツ。……あ、思い当たる節あるわっていうか霧島のスカートの中邪魔したのアイツか!?

それが分かった俺は明久に飛び掛って行った。

「え!?蓮は何!?」

「明久、霧島のスカ……男のロマンの邪魔をした真犯人がお前だったとは、残念だ」

まさか親友をこの手でかけてしまうことになるとは……。せめて苦しませずに一瞬で息の根を止めてやろう。

「ええ!?あれ信じてたの!?」

……火あぶりにしようか、水攻めにしようか、紐なしバンジーにしようか。

「畠山、離してあげて。もう十分に罰は与えられてるようだから」

「うん。さっきから体の節々が痛いし、鼻血が止まらないんだ」

このクズにはもっと制裁が必要ではないのか。島田はこの程度で許せるほど善人だったか。そんな疑問を持ったので俺は明久の上に乗っかったまま島田の方を見る。

「いや、そうじゃなくてね」

「ん?それじゃ何?」

島田はとびきりの笑顔で、本当に心の底から愉しそうに告げる。

「一時間目の数学のテストだけど、監督の先生、船越先生だって」

明久はそれを聞いた瞬間、俺を勢いよく退かして、扉を開けて廊下を疾駆した。

 

 

 

 

「ふぅー。疲れたー」

四時限目が終了し、昼休みとなった。

やはりテストは疲れる。伸びをしたら背中がバキバキと鳴った。

「うむ、疲れたのう。それで、テストはどうじゃった?」

「今回は時間もあったからな。結構できたよ」

得意の数学と化学は400点いったのではないだろうか。

秀吉と話していると、明久が倒れるように机に突っ伏した。ただでさえバカだからテストは疲れる上に、今日は船越先生と一悶着あったから余計に疲れているんだろう。

「お疲れ明久。船越先生とはどうだった?」

「お疲れ蓮。船越先生には近所のお兄さんを紹介しておいたよ」

「いい逃げ方だけどお前たまに鬼畜だよな」

後でお兄さんの住所聞いて何か送っておこう。

名も知らないお兄さんに心の中で同情と敬礼を贈っていると、雄二が意気揚々と立ち上がる。

「よし、昼飯食いに行くぞ!今日はラーメンとカツ丼とカレーと炒飯にすっかな!」

雄二からはテストの疲れが感じられないが、食べるものも含めてやはり身体の構造がおかしいのだろうか。

「ん?吉井達は食堂に行くの?だったら一緒していい?」

「ああ、島田か。別に構わないぞ」

「それじゃ、混ぜさせてもらうわね」

「………(コクコク)」

やっと待ち望んだ昼休みだ。次に備えて美味いもんでも食べて英気を養おう。今日の弁当には唐揚げと卵焼きは入っているだろうか。

「じゃ、僕も今日は贅沢にソルトウォーターあたりを……」

果たしてそれは贅沢と言えるのだろうか。

「あ、あの。皆さん……」

立ち上がり食堂へ向かおうとすると、姫路から声をかけられた。

「うん?あ、姫路さん。一緒に学食行く?」

「あ、いえ。え、えっと……。お昼なんですけど、その、昨日の約束の……」

昨日の約束?ああ、弁当のことだろうか。

「もしかして、弁当か?」

「は、はいっ。迷惑じゃなかったらどうぞっ」

そう言って身体の後ろに隠していたバッグを出してくる。

本当に作ってくるとは、なんて律儀なんだ。

「迷惑なもんか!ね、雄二!」

「ああ、そうだな。ありがたい」

「そうですか?良かったぁ~」

姫路は嬉しそうに笑う。まあ好きな人に手作り弁当を渡すのだから、緊張するし嬉しいだろう。明久は鈍いから気づかないだろうが。

「むー……っ。瑞希は意外と積極的なのね……」

明久を親の敵のよう睨む島田。

なら暴力を振るわず、もっと素直になればいいのに。明久が鈍感とか以前の問題だ。まあ、口に出したら蹴られるのが目に見えてるから何も言わんが。

「それでは、せっかくのご馳走じゃし、こんな教室ではなくて屋上でも行くかのう」

「そうだな。天気もいいし」

こんな教室じゃ美味いもんも不味くなる。気持ちの良い場所で食べるのが一番だ。

「そうか。それならお前らは先に行っててくれ」

「ん?雄二はどこか行くの?」

「昨日の礼も兼ねて飲み物でも買ってくる」

「あ、それならウチも行く!一人じゃ持ち切れないでしょ?」

「悪いなそれじゃ頼む」

そのまま、雄二と島田は財布を持って出ていった。

「じゃあ僕らも行こうか」

「そうですね」

姫路のバッグを受け取っているあたり、流石明久は紳士だ。

「ん、いい天気だ。風邪も気持ちいい」

屋上へ着くと、青空が広がっていて、吹く風も心地よかった。絶好のお弁当日和だ。

「あ、シートもあるんですよ」

姫路はビニールシートを広げる。準備が良い。

明久達がワイワイと準備をしている横で俺は優子の弁当を開ける。唐揚げと卵焼きは入っていた。これで今日も頑張れる。

「あの、あんまり自信ないんですけど」

謙遜しながら姫路は重箱を開ける。

『おおっ!』

これには思わず歓声を上げてしまう。唐揚げやエビフライにおにぎりやアスパラ巻きなど、定番のメニューが重箱に詰まっている。優子にも負けない美味そうな弁当だ。

「それじゃ、雄二には悪いけど先に────」

「………(ヒョイ)」

「あ、ずるいぞムッツリーニ」

誰よりも素早くエビフライをつまみ取った康太はそれを流れるように口に運び────

「………(パク)」

 

バタン ガタガタガタガタ

 

豪快に顔から倒れ込み、小刻みに震えだした。

「…………」

「…………」

「…………」

明久と秀吉と顔を見合わせる。

「わわっ、土屋くん!?」

姫路は慌てて、配ろうとした割り箸を落としながら声をかける。

「………(ムクリ)」

康太が起き上がった。

「………(グッ)」

姫路に向けて親指を立てる。多分美味しかったと伝えたいのだろう。

「あ、お口に合いましたか?良かったです」

康太の言いたいことが伝わったようで、姫路は嬉しそうに声を上げる。

おいおい康太、なんで美味いのに未だに足がガクガクと震えてるんだ?

「良かったらどんどん食べてくださいね。畠山君も、遠慮せずに食べていいですからね」

姫路は笑顔で勧めてくる。しかし、目を虚ろにして身体を震わす康太が頭から離れない。

「あ、ああ。これ食って足りなかったら貰うよ」

ので、少し離れて優子の弁当をいただくことにした。

適当につまんで食べていると、明久がこちらに近づいてくる。

「わ、わあっ。木下さんのお弁当も美味しそうだね!」

『おいこら明久。なんでこっちきてんだよ。愛しの人の弁当だぞさっさと食えよ!』

『黙れ!この状況で一人安全でいられると思うなよ……!』

明久がガン垂れながら目で話しかけてきたので俺も睨みながら目で返事をする。いつも一緒にいる俺達だからこそできる芸当だ。ちなみに雄二もできる。というか、ここで違う女子の弁当に興味を向けたらいかんだろう。

「ムッ……。確かに美味しそうですね。じゃあ明久君。どっちが美味しいか食べ比べてみてください」

当然こうなる。明久は面白いくらいに青ざめていた。

「そ、そう?じゃあ木下さんのからいただこうかな」

明久は卵焼きをつまみ、口に入れる。コイツ、ウチのエースを取りやがった。

「あ、美味しい」

明久はそう言葉を零す。当たり前だ。優子の作った弁当だからな。美味いに決まってる。

「そ、そうですか。では、私のも食べてください」

明久に弁当を差し出す姫路。明久は笑顔で誤魔化しながら小声で俺達に話しかけてくる。

(ねぇ!ど、どうしよう!どうすればいい!?)

(知るか。食べろって言われたんだからさっさと食べろよ)

(い、いやでも、あれ演技じゃないでしょ?)

明久は横目で未だ震えている康太を見る。

(どう考えても演技には見えん)

(おいおい。あれ演技じゃ無いって相当やばいだろ。何?あの弁当は殺人兵器と書いて弁当って読むの?)

(だよね。ヤバいよね)

(お前なんも食ってないんだから不味くてもいけるだろ?)

(むしろ何も食べてないから胃袋退化してるかも……)

退化までするとか本当にやばいのじゃないだろうか。でも、明久が食べないと終わらないので食べてもらおう。

(……ならば、ここはワシに任せてもらおう)

覚悟を決めた、勇気のある言葉を秀吉が囁く。

(やめろ!何考えてるんだ!)

(そうだよ、危ないよ!)

(大丈夫じゃ。ワシは存外頑丈な胃袋をしていてな。ジャガイモの芽程度ならビクともせんのじゃ)

ジャガイモの芽って毒なんだけど。どんだけタフなんだよ……。

(秀吉……。でも……)

(安心せい。ワシの鉄の胃袋を信じて───)

その見た目に反して誰よりも男らしい言葉を言おうとしたその時、雄二が現れた。

「おう、待たせたな!へー、こりゃ旨そうじゃないか。どれどれ?」

「あ、雄二」

明久が止めようとしたが、雄二は卵焼きを口に放り込み、

 

パク バタン────ガシャガシャン、ガタガタガタガタ

 

ジュースの缶をぶちまけて倒れた。

……ヤバい。本当に、殺人兵器だった……。

康太同様激しく震える雄二を見る。

雄二は俺達に目で訴えかけてきた。

『毒を盛ったな?』

『毒じゃないよ、姫路さんの実力だよ』

『残念だが、明久の言ってることは本当だ』

「坂本!?ちょっと、どうしたの!?」

遅れてやって来た島田が雄二に駆け寄る。

「足が……攣ってな……」

「まったく。ダッシュで階段を昇り降りするからそうなるんだ」

「うむ。そうじゃな」

「そうなの?坂本ってこれ以上ないくらい鍛えられてると思うけど」

何も知らない島田が不思議そうにこちらを見る。不味いな。余計なことを言う前に退場させるべきか。

「ところで島田さん。その手をついてるあたりにさ」

明久はビニールシートに腰を下ろしている島田の手を指差す。

「ん?何?」

「さっきまで虫の死骸があったよ」

とっさの明久の嘘に反応して、島田は慌てて手をよける。

「ええ!?早く言ってよ!」

「ごめんごめん。とにかく手を洗ってきた方がいいよ」

「そうね。ちょっと行ってくる」

島田は席を立つ。ナイス明久。これで被害拡大は防げた。

「島田はなかなか食事にありつけずにおるのう」

「おいおい明久。分かってたなら早く言ってやればよかったのに」

「そうだね。島田さんには悪いことをしちゃったね」

はっはっは、と俺たちは笑い合う。

(明久、今度はお前がいけ!)

(む、無理だよ!僕だったらきっと死んじゃう!)

(ワ流石にワシもさっきの姿を見れば決意が鈍る……)

(というか、食べてって言われた明久が食べるべきだろ。ほら、姫路も食べてほしそうだぞ?)

(そんなことないよ!乙女心を分かってないね!姫路さんは雄二に食べてもらいたいはずだよ!)

(いや、わかってないのはどちらかと言うとお前の事だと────)

「あの、明久くん。食べないんですか?」

首を傾げながら姫路はこちらを見る。その目には少し涙が溜まっていた。まあ、こんなに待たせたらそうなるだろう。

「い、いや食べるよ。どれも美味しそうだから迷っちゃっててね。ごめんね姫路さん」

そんな顔をされたら食べないわけにもいかないので、明久は割り箸を取る。

「いえ、大丈夫です。……その、唐揚げなんてオススメですよ?」

「そ、そう?じゃあそれから食べようかな……」

明久は唐揚げをつまみ上げる。きっと明久の目にはどす黒い何かにしか見えてないだろう。

「それじゃあ、いただきます」

明久は唐揚げを口元まで持っていって、

「あっ!姫路さん、アレは何だ!」

突然明後日の方向を指して声を上げる。

「え?なんですか?」

姫路は釣られ、明久が指した方向を見る。

(おらぁっ!)

(もごぁぁっ!?)

その隙に明久は雄二の口に弁当を押し込んだ。そして、目を白黒させている雄二の顎を掴んで咀嚼させた。

「ふぅ、これでよし」

「何がよかったのか説明して欲しいんだけど……」

「……お主、存外鬼畜じゃな」

何もなかったかのように姫路と話す明久。いや、現実を見ろ。雄二が更に激しく震えてるから。

「あ、早いですね。もう食べちゃったんですか?」

「うん。すごく美味しくてついかきこんじゃったよ」

「ワシにももっと食べさせてくれてもよかったじゃろ」

雄二のおかげで弁当が始末されたからか、明久達の表情はすごい晴れやかだった。

「それは雄二に言ってよ。『美味しい美味しい』ってすごい勢いで食べちゃうんだから」

雄二の方を見ると、力なく首を振っていた。

「そうですかー。嬉しいです」

「いやいや、こちらこそありがとう。ね、雄二?」

「う……うぅ……。あ、ありがとな、姫路……」

傷つけないためのセリフなんだろうけどヤバいんだけど、目が虚ろなんだけど。

「あ、そういえば駅前に美味しいって評判の新しい喫茶店が────」

姫路がまた作ってきますなどとぬかさないために話題をそらす明久。ここは便乗しておこう。

「へぇー。そんなのあるのか」

「ああ、確かにあの店は評判じゃな」

このままやり過ごして平和な時間すぎる。俺達はそう安心した。

「あ、そうでした」

突如姫路が何かを思い出したように手をポンと打つ。

「実はですね、デザートがあるんです」

「ああっ!姫路さんアレはなんだ!?」

「やめろ明久!流石に雄二が死ぬ!」

明久がまた雄二を犠牲にしようとしたので慌てて止める。いくら裕二が頑丈でも流石に危ないだろう。本人の雄二も体を震わせながらも必死に明久を止めていた。

(止めないでよ蓮!こんな任務は雄二にしか頼めないんだ!ここは任せたぜっ)

(馬鹿言うな!そんな少年漫画みたいな笑顔で言われてもできんものはできん!)

(この意気地無し!)

(そこまで言うならお前にやらせてやる!)

そう言うなり雄二は拳を握り腰を低くする。

(なっ!その構えは何!?僕をどうする気!?)

(拳をキサマの鳩尾に詰め込んだ後で詰め込んでくれる!歯を食いしばれ!)

(いやぁー!殺人鬼!)

明久と雄二の肉弾戦になりそうな所で一人の男が立ち上がった。

(……ワシが行こう)

(秀吉!?無茶だよ、死んじゃうよ!)

(俺のことは率先して犠牲にしたよな!)

(バカはやめろ秀吉!考え直せ!)

あの劇物を見た目美少女の秀吉に食わせる訳には行かない。傍から見たら俺達が最低な野郎じゃねえか!

(大丈夫じゃ。ワシの胃袋はかなりの強度を誇る。せいぜい消化不良程度じゃ!)

確かに毒を食べても平気な胃袋なら大丈夫かもしれない。でも────

「どうかしまたしたか?」

「あ、いや!なんでもない!」

「あ、もしかして……」

姫路が顔を曇らせる。

しまった!嫌がってるのバレたか!?

「ごめんなさいっ。スプーンを教室に忘れちゃいましたっ」

デザートはヨーグルトと果物のミックス(のように見えるもの)だ。箸で食べるのは難しいだろう。

「取ってきますね」

教室へ向かい、階下へと消える姫路。今がチャンスだ。

「では、この間に頂いておくとするかの」

「……すまん。恩に着る」

「ごめん。ありがとう」

申し訳なさそうに俯く俺達に秀吉はフッと軽く笑いかける。

「別に死ぬわけでもあるまいそう気にするでない」

その表情は既に覚悟が決まった表情で。俺の胸に残るある感情を激しく刺激させた。

本当にこれでいいのだろうか。

そんな感情が溢れてくる。いつかの未来に、義弟になるであろう秀吉にこんな重荷を背負わせて、本当にいいのだろうか。

「まあ、任せておけ。頂きます」

容器を傾ける。ヨーグルトとが秀吉の口の中へと入ろうとしている。これを食べたらきっと秀吉は────。

本当にいいのだろうか。秀吉にこんな重荷を背負わせて。ああ、そんなこと、いいはずがない!

「蓮っ!?」

俺は秀吉から容器を奪い取る。

「何をする気じゃ!やめるのじゃ蓮!」

「心配すんな秀吉。俺に任せろ」

秀吉を安心させるように笑みを浮かべる。

「俺はお兄ちゃんだからな」

俺の、お兄ちゃんの役目は秀吉を守ることだから。だからそんなに不安そうな顔を浮かべないでいい。なに、任せろ。

「妹を守るお兄ちゃんは、強いんだぜ」

そうして俺はヨーグルトを一気にかきこむ。

「んお?なんだ思ったより普通ゴばぁっ!」

「蓮ーーっ!!」

「しっかりしろ蓮!」

明久達が駆け寄ってくる。けれど意識が遠のく感覚が消えていくことは無い。きっと俺はもう助からない。守りたいものは守れたのだから、悔いはない。ただ、一つだけいいのことしたことが。

俺は最後の力を振り絞り、ある場所へと指さす。

「お前ら、優子の弁当残してある。極上の物だ。お前達でしっかりと味わって……くれ……」

これで明久達の昼食が最高のものになるのなら嬉しい限りだ。

力が完全に入らなくなり、腕が重力に従って地面へと落ちる。意識はもう保てない。涙を流す明久達の顔を見て、最後に俺は笑いかけて、暗い闇へと意識を手放した。

 

 

 

 

 

 

 

 

「なあ、今コヤツ、ワシのこと妹と言わんかったか?」

もっと他にあっただろ秀吉ィ!!!!


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