あの時から、思うことがある。
俺はなんのために生まれたのだろうか。
生物的に言えば自分の命を次の世代に繋げることなのだろう。だが、それだけなら管理社会のアンドロイドみたいに決められたことをするだけでいい。
では、なぜここは何もかもが決められた世界ではないのか。
結論、俺はアンドロイドでもないし、ここは管理社会でもない。
息をしてても怒られる訳でもなければ、夢をもっていても到底辿り着く気がしない。
全く訳が分からない。
そう考えると頭が痛くなり、いつも今一生懸命頑張ってることがどうでもよくなる。だが、そんなことを考えてる先に、どう足掻いても俺はこの考えに辿り着く。
ここは本当に、普通の世界なのだろうか?
当然、普通という概念は人によって違うものだ。
だがここでの普通はアニメや特撮のような魔法や不思議がある世界で、自分はその騒動へ巻き込まれている、
ということが起こるはずもなく、ただ、何も知らずに自分が知っていることを常識と決めつけて生きていることだ。
それなら誰もが口を合わせていうだろう。『この世界は普通だ。』ってな。
だがそうなると一つ矛盾が生まれるのをご存知だろうか。
この世界では数々の伝説が残っているということ。
アダムやイブにキリストの伝説、三種の神器に平将門や菅原道真のハイパー呪いパワー等々。それらはつまり普通じゃない出来事が起きた証拠である。
昔の人の想像の話だよって現実主義者がそう言えば確かにそうなるのだが、ところがどっこい、現代にはUMAって奴が存在する。
それでも作り物だって言えば又々現実主義者達の生き甲斐になるのだろうか、それでも割とマジで宇宙人を探したがる学者やツチノコやカッパを有力な存在と叫ぶ学者いるし、かつて沖縄の幻の生物だったヤマピカリャーだって名前こそ違うが現に発見されているし、クラーケンだってとあるGPSでの目撃情報と大王イカの存在からして、ほぼ確定してこの世いるとみていいだろう。
これらの見解から俺は、この世界は普通じゃない世界だと断定している。
まぁ、周囲の人は俺がその話をしても非日常を受け入れたくないからなのか必ず否定するが。
だが、何がどうあろうと、これだけは言える。
俺は完全無欠、全くもって普通の世界がなんなのか知っている。
何故なら俺はその普通すぎる異世界・五次元に日帰りで転移したことがあるからだ。
そう、最初に言ったあの時だ。
あれは突然だったな。確か今から6年前くらい、かな?まだ魔法や超能力を信じるガキだった頃だな。今でも昨日ように鮮明に覚えている。(まぁ昨日の記憶の半分以上は脳が勝手に処理してるらしいが。)あの時、俺はGWかなんかの休みで家族と共に祖母の家に行った時だった。祖母の家に着き荷物をひと段落まとめたので久しぶりに家の周りをちょいと散歩しながら近くの店で買った飴を舐めていた。時刻は夕方くらいだったな。この田舎は相変わらず変わってないものだなぁ懐かしくと思って家に戻ろうと考えた次の瞬間、マジでくたばる程激しいノイズの音が身体中に響いた。いや、後から知ったことだがあれは正確には音ではないらしいな。何故って?俺は文系だ、知るもんか。次に俺はこれまで感じていた懐かしい田舎の臭いが麻痺した。ここで終わってくれれば本当に嬉しかったのだが、神様は慈悲を知らなかったようだ。今度は舐めていた飴の味がしなくなった。まるでガチガチに凍った味の抜けたトマトみたいだった。丁度この頃五感というものを習っていたので次に何が起こるかは想像がついていたが、身に持って五感がいかに大切なのかよぉく分かったよ。目が見えなくなって肌触りが消えた。今でもあれはガチのトラウマもんだよ。まるで死んだような感じだった。
気が付いたら俺はそれこそどこにでもあるような街の商店街の中で立っていた。どこなんだ、ここ。とりあえず分かることは都会のようだが俺の知ってる東京ではない。てか、あの死んだ時のような感覚からどのくらい経ったんだ。付近にはそれなりの人々がいて、みんな普通に店でなんか買っている。しばらくあたりを見回して、俺は今の段階から現状を整理した。ここがどこなのか最も有力な可能性はここが夢だということ、もしくは逆に俺が今まで夢を見ていたこと。しかし、一応どちらの可能性の確証を得る為の実験を行なったが、どちらもハズレだった。まぁ後者ではなくて本当に良かったよ。ではなんなんだろうね、ここは。じゃあ他に何があり得る。未来って感じの雰囲気じゃないし、大昔みたいな時代にも見えないし、昭和のような感じな繁華街ではない。こう一人で考えてても何も分からん、とりあえず近くの人に聞いてみよう。えぇと話しやすそうなの人は…おっ、自分と同い年で紫髪のショートの女子が1人で歩いている。この人なら話しやすそうだな。ん?紫?
「あのぉー。ちょっといいかな?」