この静かに暮らしたい殺人鬼に平穏を! 作:究極生命体になりかけた男
前話でアクアをアークウィザードだなんて表記した奴はどこのどいつだ?
俺はこのすばファンにとってのモンキーなんだよジョジョォォォォーーーーッ!!
このすばファンの方々ならばにアクシズ教徒の皆さん申し訳ございません。
誤認識でそう書いたのではなくただの凡ミスでそう書いたことをご理解して頂けると幸いです。
誠に申し訳ございませんでした。
「はぁ………」
逃げ場の無いため息が苦しそうに出る。
駆け出し冒険者こと俺、佐藤和真は憂鬱に思っていた。
その原因は自分のパーティにあった。
パーティの采配に恵まれすぎないのだ。
俺のパーティのメンバーはというと、回復魔法しか取り柄のない駄女神アクアと一日一回体力をフルに消費する爆裂魔法しか使えないロリっ子めぐみん、スタンドなるものを操る謎の転生者吉良吉影。
もうこの時点で嫌な予感しかしない。
アクアは回復魔法が使えるとはいえ戦力にならないしめぐみんも一回爆裂魔法を使えばそこで終わり…、吉良についてはまだよく分からん。
それに加えて何かヤバそうな雰囲気のダクネスという女騎士がパーティ加入の申し込みにきた。
彼女の場合はやんわりと断っておいたから問題無いはずだ。
おっとこれはフラグじゃないからな、絶対。
常識やステータスに欠陥ばかりあるメンバーだが、実のところ吉良吉影が一番ヤバい奴だと睨んでいる。
吉良は何というか、第一印象としてはプライドが高そうでどことなく気品漂う雰囲気をしていてアクア達みたいに軽くあしらえない、そんな感じの男。
俺が嫌いというか特に苦手なタイプの人間だ。
ダクネスとの会話には滅茶苦茶緊張したが、これもヒキニート生活をしていたが為の弊害か…。
だいぶ偏見が入り混じっているが、俺の危機感知センサーがビンビンしているから一概にその偏見が間違っているとも言えない。
めぐみんと同様にまだ出会ってそんなに経ってはいないから分からない。
吉良がパーティに加入するのは反対、というのが本音だ。
だが、あの駄女神ときたら「ヨシカゲはチート転生者よ」なんて嬉しそうにしながら勧誘しやがって。
まずチート転生者って喜ぶ前に疑うことを知れ。
ゲロ以下のにおいがプンプンしやがる…っていうのは言い過ぎか、それ以前にめっちゃ失礼だな。
とりあえずヤバい感じがする。
そう思いながら一日を終えた。
俺とアクアはいつも通りに馬小屋で寝たわけだが、吉良は冒険者の登録手続きの後に俺が分け合ったジャイアントトードの報酬の金で宿屋に泊まったそうな。
前の世界での生活水準いかに高かったかががうかがえる。
この世界じゃ金を稼ぐのは容易な事ではない、まさに命懸けなんだから後先考えてもらいたいものだ。
俺のパーティの収益はまだ安定しているとは言えないし。
家も無い馬小屋生活、言ってしまえばホームレス生活に等しい。
そして、また新しい朝が来て胃痛を抱えながら一日を過ごしていく訳だ。
ジャイアントトードと吉良吉影の件の翌日。
俺はこの日妙な疲労の為に昼近くまで寝てしまっていた。
半ば時間帯的にもう昼食となりかけている朝食をめぐみんと取っていた。
とある不安を抱えながら…。
「めぐみん、スキルってどんな風に覚えるんだ?」
「それはですね…」
食事をしながらひよっこ冒険者の俺は、めぐみんにスキルの習得方法を教えてもらっている訳だが、ここでも壁にブチ当たっていた。
吉良がギルド内にいないのだ。
昨日吉良と分かれる際に明日の昼くらいにギルドに待っててもらうよう頼んでいたのだが、ギルド内に吉良の姿は影も形も無かった。
凄く嫌な予感がして仕方がない。
俺があまりに遅いので怒ってどこかに行ってしまったのではないか。
次会った時にはどんな目に遭わされるかなんて想像もしたくない。
下手をすれば吉良のスタンド【キラークイーン】とやらで吹き飛ばされてしまうのか。
なんて事を現在進行形で不安に思っている。
「どうしたらいいんだ」
俺は小さく呟く。
俺の気持ちを分かってくれる奴なんていやしねえ。
アクアは論外、めぐみんはどうも思ってなさそうだ。
こんな『下痢腹抱えて公衆トイレ捜しているほうがズッと幸せ』って思いをしているのは俺くらいだろう。
他の転生者はチート特典を受け取って妄想膨らむハーレムライフを送っていることだろう。
いくら勢いだったとはいえ、何であんな駄女神を転生特典に選んでしまったのだろうか。
はあ…なんていうか他の転生者が羨ましく思える。
「あのカズマ、人の話をちゃんと聞いているんですか?」
「ああ、もちろんちゃんと聞いてるよ。誰かにスキル教えてもらってそれにポイントを振り当てるんだろ」
どうやらめぐみんには俺の目が虚ろに映っていたらしい。
でもやっぱり不安なものは不安なのだ。
こっちは身の安全がかかっている、かもしれないのだ。
今の所は偏見だが、吉良みたいなタイプの人間を怒らせたらただじゃすまないに決まってる。
ヤバそうな雰囲気だけはビンビンしている。
「…少し時間を頂いても良いだろうか?」
誰も俺に安泰の時間を与えてくれないらしい。
俺の話しかけてきたのは金髪の女騎士。
そう俺の危機感知センサーが警鐘を鳴らしていたダクネスだ。
「昨日は酒に酔っていたせいで話が曖昧に終わってしまったからな。昨日の話の続きをしよう。私をあなたのパーティに入れてもらえないだろうか?」
おい、今なんつった?
昨日の話の続きだと…?
やんわりと断っていたはずだが何も分かってねええええ!!
これで説明はフラグっていうのが証明された。
フラグは否定したところで意味がない。
説明した時点で因果は定まってしまうのだ。
嫌な教訓になっちまった。
ここははっきり断っておこう。
「お断りします」
少し罪悪感を感じるが仕方がない。
欠陥と不安だらけのパーティをこれ以上酷くしてはいけない。
「…っ!」
ダクネスは頬を赤くしてブルッと身を震わせた。
え…?喜んでいる…?
やっべぇ…この人危険だ。
あまりのヤバさに自分自身の表情が酷く歪んでしまっているのが分かる。
勘弁してくれよ、ただでさえ今吉良の怒りを買ってしまっているかもしれない不安に駆られているのによ…。
だが神は俺を見放してはいなかった。
言わずもがな、あの駄女神の事じゃないぞ。
「ダクネス、こんなに強引に迫っちゃあ相手を困らせちゃうでしょ」
ダクネスの肩をポンポンと軽く叩いて話しかけてきたのは右頬にある傷が特徴的な白髪の少女だ。
良かった、こっちの人はまともそうだ。
「私の名前はクリス、見ての通り盗賊よ。ダクネスとは友達って感じかな」
盗賊でダクネスの友達か。
結構可愛いし俺のパーティメンバーとは大違いだ。
アクアやめぐみんは可愛い部類には入るとは思うがそれを除けばはっきり言ってただのポンコツレベル。
吉良に限っては常識こそあれど男、しかもよく分からない転生者ときた。
別にハーレムパーティを築き上げたい訳じゃないが、これではパーティの利便性が悪すぎる。
「ねえ君、何かスキルを覚えたいんだって?それなら盗賊のスキルなんてどうかな?」
どこから俺とめぐみんの会話を聞いていたのかは知らないが、答えはもちろんイエスだ。
クリスの希望で授業料の代わりにクリムゾンビアというお酒を彼女の為に注文した。
これだけでスキルを教えてもらえるなんておいしい話だ。
俺とクリスとダクネスはギルドの外に出た。
どこにいるかさっぱり分からない吉良への不安からそっと目を逸らしながら。
♦︎
カズマがギルドに来る少し前の事。
あの小僧、大人を待たせるとはどんな神経をしているのだ?
昨日もそうだった。
どうせ寝坊でもこいているのだろう。
この吉良吉影、この世界に来てからストレスの連続だ。
昨日はゆっくりと寝られなかった。
普段だったら赤ん坊のようにすっかり熟睡していたはずだったのに。
巨大なカエルに襲われるわ、私がスタンド使いである事が他人に知られるはで安心なんてとてもできやしない。
赤っ恥のこきっ恥をかき公衆の面前で注目を浴びるという私が最も『嫌う』目に遭った。
何とも不幸な一日だった。
そのせいか爪が良くない伸び方をしている。
今のところ『平穏』のへの字も見えてこないが、『運命』は私に味方してくれている…はずだ。
忘れてはならないのは味方する『運命』に忠実であろうとする事。
そうすればこの世界でも『平穏』に暮らしていけるはずだ。
駆け出し冒険者の街アクセル、ここが異世界だという事を除けば住み心地は悪いはないだろう。
私は昨日襲われたジャイアントトードとやらの討伐クエストを受けていた。
何でも街の近くにまた新しい個体が現れたとの事。
小遣い稼ぎの傍らこの世界の社会の仕組みを軽く知る為に私はクエストを受ける事にした。
カズマを待つ間の暇つぶしの為にもな。
【キラークイーン】のスタンド能力があれば簡単に終わらせられるから問題無い。
だが、何事も経験が物を言う。
スタンドがあるにしろこの世界での生活にいち早く馴染まければならない。
川尻浩作に成り代わって川尻家に溶け込んだ時のように。
私は受け付けカウンターでクエストを引き受けると、いつものようにネクタイを締めた。
制服の方が安心するが服装を変えるべきか…?
「お一人で大丈夫でしょうか?」
「一人であろうと問題は無いさ。それに私は大勢でいるより一人でいる方が好きなのだ」
「そ…そうですか。もしもの時は無理をせずに安全な所に避難してくださいね」
ギルドの受け付けの女性とそんな会話を交わしたが余計なお世話だ。
私の冒険者としてレベルはまだ一らしい。
冒険者カードにそう書いてある。
随分と舐められたものだ。
クエストとは冒険者の仕事のようなもの、一連の流れは早い内に慣れておきたい。
この吉良吉影に不可能は無い。
『運命』は他ならぬこの私味方してくれているのだから。
私は街の外に出てジャイアントトードの討伐に向かった。
♢
街の外に出てしばらく歩いていると少し遠くの方にいくつか巨大な影が見えてきた。
ジャイアントトードだ。
相変わらずカエルらしくピョンピョンと飛び跳ねている。
巨大とはいっても所詮カエルはカエル、心配する必要は無い。
今回引き受けたクエストのノルマはジャイアントトード五匹の討伐。
私が視線を向けたその先には五匹ものジャイアントトードが集まっている。
カエルとはいえ人を喰らうような化け物が集まっている所に猪突猛進に突っ込んでいくのは、非常にリスキーな事だし馬鹿のやる事だ。
この状況においては【キラークイーン】『第二の爆弾』無敵の自動操縦【シアーハートアタック】こそヤツらを始末するにふさわしい。
私の『平穏な生活』への第一歩として始末させてもらう。
「【シアーハートアタック】ッ!」
『コッチヲ見ロッ!』
【キラークイーン】を側に出現させさらにその左手の甲から【シアーハートアタック】を射出する。
【シアーハートアタック】はキュルキュルと重厚な車輪の音を鳴らしながらジャイアントトード目掛けて凄まじい勢いで走り出す。
髑髏が付いた爆弾戦車が巨大なカエルに突っ込んでいく様子は中々絵になる。
だが、こんな光景は私の求める『平穏』じゃあない。
【シアーハートアタック】は【キラークイーン】のような近距離パワー型のスタンドと違って、自分の意識通りには動かす事はできないが射程距離に関係無くパワーを存分に発揮できる遠隔自動操縦型のスタンドだ。
温度の高い物を優先的に狙い人の体温に近い温度に達した瞬間爆発を起こす。
一匹のジャイアントトードは迫り来る【シアーハートアタック】に気づいたようで捕食体制に入ろうとする。
ま、【シアーハートアタック】を食らったところで無駄な事だが。
飲み込んだ瞬間、ボン!だ。
『コッチヲ見ロッ!』
【シアーハートアタック】が目と鼻の先まで近づいてくると、ジャイアントトードは反射的に長い舌を伸ばして【シアーハートアタック】を飲み込んだ。
空条承太郎の【スタープラチナ】を相手取っても壊れないほどの硬度を誇る【シアーハートアタック】を飲み込むなんて何を考えているのか。
案の定、【シアーハートアタック】を飲み込んだジャイアントトードは爆裂し辺りにはその肉片が散らばる。
「こんなものか…」
【シアーハートアタック】は牛よりも一回りも巨大な体躯のカエルを一発で吹き飛ばせた。
『ウニャン』
聞き覚えのあるような鳴き声がした気がする。
まさかな……、この世界に来て気が動転するような事態ばかりだったとはいえ幻聴まで聞こえてくるとは…。
『ウニャン』
こ、これは、幻聴………なんかじゃあないぞ!
鳴き声する場所、自身の足元を見下ろす。
そこにはまるで不気味な見た目の植物が生えていた。
私の足元に生えてこの植物、見え覚えがある。
いや私ははっきりよく知っている。
植物とは思えぬ猫のような見た目をしたそれは【
足元にいるのに少したりとも気付かなかったとは…。
いやそんな事はどうでもいい、何故【
『スタンド使いは引かれ合う』ってヤツか…。
全く見当が付かないが私と同じように死んでしまったのか?
「戻れ【シアーハートアタック】!そして【
『ウニャ、フガアアア―――ッ!!』
【シアーハートアタック】は【キラークイーン】の左手に戻り【
【キラークイーン】で『空気弾』に触れ『爆弾』に変えた。
射出された『空気弾』はジャイアントトードにゆっくりと近づく。
手で距離を計ってしっかりと距離を掴まなくっちゃあな。
ある程度の空気の歪みで位置は分かるが、『空気弾』は透明だから一度見失ったらどこで爆発させれば良いか分からなくなってしまう。
そうなってしまっては爆発は必殺にならない。
ジャイアントトードは『空気弾』に気付くことなくのんびりと飛び跳ねている。
群れの一匹が木っ端微塵に吹き飛んだというのに生物として危機管理能力が欠けているんじゃあないか?
まあ警戒されて群れが分散されるよりもこうしてカエルらしくケロっとしてもらっている方が都合が良いがね。
【シアーハートアタック】は遠隔自動操縦型でもパワフルに自動追尾出来るという利点があるが空気弾は離れた敵を『狙って』の爆撃が可能だ。
ジャイアントトードまで後三メートル、二メートル、残り四匹を一気に吹っ飛ばす。
よしこの位置だ、この位置なら四匹同時に吹っ飛ばせる。
「『着弾点火弾』、『点火』ッ!」
【キラークイーン】のスイッチを押す。
四匹のジャイアントトードは『着弾点火弾』によって爆裂した。
『爆発』と『空気』…これほどに相性の良いものは無い。
何の縁があってか【
後は街に戻ってクエスト完了の報告を済ませるだけだな。
報酬はえっと…五万エリスか、この世界の金銭感覚は大体日本とそう変わらない感じみたいだし一回でこの報酬はおいしいかもしれない。
いや、これは私にスタンドがあるからの話か。
どちらにせよ冒険者という職業は私の『平穏な生活』とはかけ離れている。
生活の基盤も全く出来上がっていないし多少の無理をしてでも安定した寝床が欲しい。
宿屋暮らしじゃあいつまでも持たん。
ああそうだ、そろそろカズマもギルドに来ているんだろうな…?
これでもしギルドに来ていなかったら社会の常識ってヤツをたっぷりと教えなくっちゃあいけん。
事あるごとに今みたいに待たされるのは日々のストレスとなってしまうからな。
♦︎
俺はダクネスの友達の盗賊クリスに相手が身に付けている物をランダムで奪い取る魔法【スティール】を教えてもらった。
この時のクリスとのやり取りは心に熱いものを感じたし自分が冒険者なのだと自覚させられた。
冒険者としての常識や魔法も習得出来たし満足している。
そしてギルドへと戻った。
ギルドに戻ってからの出来事はそれはもう酷かった。
俺はクリスに【スティール】を教えてもらう際に駆け引きをして【スティール】で彼女のぱんつを奪い取って人質ならぬぱんつ質を取ったのだがその事を公衆の面前で暴露された。
暴露された内容は間違い無いのだがその説明の仕方がストレートかつあらぬ誤解までかけられそうなものだった。
無論ギルド内の女性からの視線は冷ややかなものになり俺の評判がだだ下がり。
これだけなら良かったのだが…って断じて良くはないな。
丁度、アクアとめぐみんと合流していたのでちゃんとスキルを習得したのを証明しようとめぐみんに【スティール】を使ったのだがまたぱんつを奪い取ってしまったのだ。
結果、俺の評判はこの数秒でさらに下がる事になった。
だが俺への不幸はまだ終わっていなかった。
「サトウカズマ、随分と遅かったじゃあないか。まさかとは思うがそこの女の子と呑気に遊んでいたのかね?」
この声は…や、やべえ…すっかり忘れていた……。
クエストの受け付けカウンターから何やら謎の植物が植えられた植木を持って歩いてきたのは吉良だった。
吉良の声は明らかに不機嫌そうだった。
「じ、実はですね…」
「突然で申し訳ないがあなたは誰だろうか?」
半ば絶望している中ダクネスの声によって俺の声がかき消される。
吉良の注意は俺からダクネスへと移る。
不幸中の幸いというべきか不安要素であるダクネスに助けられる事になるとは。
世の中何があるか分からないものだ。
命が救われたような思いをした。
「おっとカズマの知り合いか…自己紹介しなくっちゃあな。私の名前は吉良吉影、カズマのパーティに雇われている冒険者だ。つい昨日カズマのパーティに雇われたばかりのまだまだひよっこの駆け出し冒険者さ。三十三歳で結婚はしていない。煙草は吸わない、酒はたしなむ程度で夜十一時に寝る…」
そこまで聞いていないのにやたら長ったらしい自己紹介が延々と続く。
あんたの生活習慣なんて知ったことじゃねえよ。
というか誰かツッコミを入れろよ。
そういえば一番最初自己紹介を聞いた時話を省略しているように見えたが今と同じような事を話そうとしていたのかもしれない。
まさか毎回こんな風に自己紹介をしているのか…?
何となく吉良吉影という男の素性が分かりかけてきたかもしれない。
「キラヨシカゲっていったらスタンド使いっていうあのキラヨシカゲか?」
ダクネスが興味津々な様子。
スタンド使い、かぁ…そんなんじゃなけりゃあ今の俺みたいに警戒する必要が無いんだが。
当の本人もかなり不本意そうだ。
「見ず知らずの人間にまで知られているとはたった一日で随分と有名になったものだ……」
「冒険者はこの話で盛り上がっていたからな」
(噂になってしまうのは多少覚悟していたがここまでとは……。もう少し考えてから話すべきだった…。この吉良吉影が最も嫌う事、それは目立つ事………)
吉良はかなり苦しそうな顔をしている。
あの人もあの人なりに苦労しているのか?
同情はするが、まだ信用できる人間か否かの話は別だ。
「ところでヨシカゲが持ってるその植木に生えた物は何かしら?動物のようにも見えるけど…」
とアクア。
気持ち的に余裕が無かったから全然気づかなかった。
吉良が持っていたのは、何かの動物のようにも見える不気味な植物だった。
あんな几帳面で真面目そうな人がでも珍しそうな物に興味を寄せるもんなんだな。
俺だったら不気味だからその植物を欲しいとは思わないが。
何でこんな物を持ってきた?
「コイツは【猫草】、【ストレイキャット】だ」
【
今にもニャーっと鳴きだしそうだ。
『ウニャン』
おいこの植物、マジで鳴いたぞ。
いきなりの事でビビった。
やっぱ異世界の植物っていうのは変わっているな。
「これってモンスターなんじゃないんですか?」
めぐみんは当然の質問を投げかける。
モンスターと言われればモンスターに見えなくもないこの植物。
この手のものは大体ロクなものでない事が多い。
この世界に来てからの経験で何となく分かる。
いや、流石にそれは考えすぎか…。
「そう見えるかもしれないがそれは違う。コイツはれっきとした猫だ。ただし半分植物ではあるがね。一応植物でもあるが匂いを嗅いだりボールを転がして遊んだり普通の猫と何ら変わりは無い」
植物だと思っていたそれは猫だった。
ちょっぴり衝撃的な事実だ。
半身植物の猫とか聞いたことない。
よく都市伝説であるような秘密結社が遺伝子操作で作り上げた動物かよ。
そんな考えもあって猫は可愛らしいイメージがあるが【
てか何でこんな植物を持ち帰ろうとしているのかが分からん。
「半分植物ってところが何かちょっと怖いですが可愛いじゃないですか」
「確かにそうね。他の猫と違って個性が出て可愛らしいじゃない」
猫草について感想を述べるめぐみんとそれに共感を示すアクア。
ダクネスやクリスもまんざらでもない様子。
俺の感覚がおかしいだけなのか?
自分で自分を疑ってしまった。
「しかし駆け出し冒険者ばかりのこの街でこんな猫でよく見つけられたね」
(つくづく私もそう思う。何たってコイツはこの世界の産物じゃあないんだからな)
クリスがごもっともな意見を言う。
確かに俺みたいな駆け出し冒険者達ばかりが集まる街でこんな珍しそうな猫を見つけられるようには思えない。
何か裏があるとまでは言わないが何かあったに違いない。
「私はそこのカズマが待ち合わせ場所のここに来るのがあまりにも遅いもので退屈していたのだ」
吉良の視線が再び俺へと移る。
【キラークイーン】を出した時みたいにゴゴゴ…と不穏な雰囲気が漂う。
助かったと思ったがそんな事を思っていた俺が柄にもなく甘かった。
「ここに来るまではヒキニートだったし二人の女の子のぱんつを剥ぎ取った上に人を待たせるなんて最低ね」
吉良の言葉を聞いてアクアを調子づいたようにおれを罵倒する。
色々とお前には言われたくねえ。
いつもならそう言ってやるところだが不機嫌そうな吉良の前では言えるわけがない。
何も言い返さない俺の様子を見てアクアはニヤリと笑う。
俺の弱みを見つけられたらしい。
これは未曾有の大ピンチかもしれない。
幸いこれ以上は追撃してこないようだが。
「勘違いしないでくれ。私は怒っているわけじゃあない………。決して怒っているわけじゃあないのだよ…」
いやいやいやめっちゃ怒ってるだろこれ。
声が全然穏やかじゃねえ。
辛うじてキレてはいないみたいだがここは大人しく話を聞いておこう。
「それでだ、私はその暇つぶしと冒険者としての常識を身に着ける為にクエストを受けてみた。昨日と同じジャイアントトードの討伐に行ったのだ」
「駆け出しの冒険者が一人でか!?」
「そうだが何か問題でも?」
「別にそういうわけじゃないが」
驚愕するダクネス。
本来なら俺もこうやってスペックの高さで驚かれるはず(予定)だったのだろうが俺は駄女神を転生特典に指定してしまったのだから仕方がない。
スタンドを使って楽々クエストを済ませたのだろう。
というか一人でクエストに行っていたのかよ。
「その時たまたま足元にコイツが生えているのを見つけてね、ここまで持ってきたという訳だ。守衛の人間にコイツがモンスターだと勘違いされたものだからその釈明をするのには骨が折れたものだ」
吉良はやれやれと【
「で、私の自己紹介とかさせてもらった訳だがそういう君達は誰なんだい?」
吉良はダクネスとクリスを見る。
ん?気のせいか…?この人、二人の手を見てないか?
顔を見るっていうなら分かるが手を見るって…。
何か危なげな感じがしているがこれと関係しているんじゃないか?
心のどこかにとどめておくとしよう。
「そういえばこの人って確か私達がお風呂に入っている間に面接に来たっていう人?」
「この方、クルセイダーではないですか」
アクアとめぐみんも気になっているようだ。
この二人には絶対に会わせたくなかった。
「立ったまま話すのもあれだから酒場のテーブル席で話をしようか」
さてどうしたものか…。
ため息ばかり出てくる異世界生活。
勇者と賞賛されたりパーティメンバーと恋が芽生えるような俺が望んでいた異世界生活はどこへやら。
正直この先不安でしかない。
またキャベツのとこまで書けなかった…
それはそうと満を持したわけじゃないけどシアーハートアタックが本文デビュー!!猫草もいるけど
まだこのすばキャラと吉良吉影との絡みが少ないのは許してください。
次話まで、次話までお待ち下さい!
次話になればきっとこのすばキャラと吉良吉影とのが絡みか書けるはずです!
もうしばらくお時間を…
シアーハートアタックに蝕まれつつある小ネタをどうぞ。
シアハ「コッチヲミロ」
ダクネス「何だこれはこっちに向かってくるぞ」
カズマ「避けろダクネス!」
シアハ「コッチヲ見ロッテ言ッテルンダゼ」
ボオン!!
ダクネス「激しい自己主張に加え高威力の爆発!!何て大胆なアプローチなんだ!!」
カズマ「全然違っげえええ!!」