この静かに暮らしたい殺人鬼に平穏を! 作:究極生命体になりかけた男
誠に勝手ながらこの度題名を「この吉良吉影に平穏を!」から「この平穏に暮らしたい殺人鬼に平穏を!」に変更させて頂きました。
理由としては作者自身、題名がしっくりこないなあと思っていたからです。
このすば5巻目まで読破。
次に読者は「いつの間に」と言う(感想を書く際に)
5巻目の最後、カズマさん惚れてまうやろおおお(うろポル並感)
追記
てめー 頭脳がまぬけか?アクアをまたアークウィザードって…表記してるぜ!
こういうミスする癖ってどうにか直せませんかね。
もういっそのことこの作品のアクアはアークウィザードにしちゃおっかな(冗談)
何度もすみません
「クルセイダー…。凄いじゃないですか!断る理由なんてありませんよ!」
「そうよカズマ、クルセイダーっていったら上級職よ、防御面においちゃあトップクラスのエキスパート。上級職ばかりのパーティなんてそんじゃそこら探しても見つかるもんじゃないわ」
俺達はギルドの酒場のテーブル席に座って話していた。
クリスとダクネスは吉良に自己紹介を済ませめぐみんとアクアダクネスについて話題で盛り上がっている。
一方吉良は退屈そうに座っている。
早く帰りたいとでも考えているのだろう。
上級職クルセイダーがパーティ入りしてくれるのはこちらとしても大歓迎だがダクネスの場合は例外だ。
嫌な予感しかない。
これ以上俺のパーティを悪くするわけいかない。
とりあえず諦めてもらう為にこの手でいくか。
「実は俺達、魔王を討伐しようとしているんだ」
魔王…それはこの世界を蹂躙する最強の存在。
万人から恐れられ幾多の冒険者が目指す終着点。
おそらくチート転生者じゃない限り魔王を打ち負かすのは至難の業だろう。
アクアは魔王を倒す気満々で転生者吉良吉影を雇っているが現状からして俺はぶっちゃけ無理だと思っている。
魔王の名を聞くだけで恐怖のあまり震え上がる人だっている。
世界最強の魔王に喧嘩を売ろうしているなんて言えばダクネスも諦めてくれるだろう。
後ついでにめぐみんにも俺のパーティメンバーになるのは諦めてもらう。
「魔王…?フランツ・シューベルト作曲の魔王は聞いた事はあるがそんなおっかなそうな奴がいるのかね?」
予想に反して先に反応したのは吉良。
めぐみん達は何とも言えなそうな表情で吉良を見る。
忘れていた…吉良は魔王について何も知らないんだった……。
昨日の事だが俺はこの世界についてアクアと説明に奮闘していた。
この世界はゲームと同じような世界だなんて説明したら「私を馬鹿にしているのか?」と不機嫌そうに言われた。
まず吉良はゲーム経験が全く無くマリオやドラクエといった古典的な王道ゲームですら社会現象になったから名前だけ知っている程度だった。
引きこもりだった俺と違ってあのカメユーの会社員だったわけだしゲームについて詳しくないのも頷けるがいくらなんでも知識が無さすぎる。
そんな事もあってこの世界についての説明は骨が折れた。
吉良を転生させたという女神に多少の話を聞いていたようだが俺とアクアが説明するまでそれを完全には信用していなかったようだ。
…てか何でアクアは魔王を倒す気満々だってのに説明してねえんだ?
「魔王ってのはですね、この世界を牛耳るとっても強いヤツの事で俺達はソイツを倒そうとしているわけですよ」
「そういえば白髪の小娘が魔王と言っていたのを思い出したよ。とはいえそういった目的は先に話しておくっていうのが正しい順序じゃあないのかね?」
あの駄女神、魔王の事どころか魔王を倒すつもりでいる事さえ話していないのかよ。
魔王を倒して天界とやらに帰りたいなら話しておけよ。
吉良も吉良でかなり面倒臭そうなんだが…。
「フン、まあ良いだろう。その過程で元の世界に戻る方法を探せるからな。とりあえずお互いに目的としては一致しているというところかな」
「魔王を倒せば元の世界に戻れますよ」
「何ッ!?どういう事だ……!」
俺の言葉に驚愕する吉良。
自分でも何故かよく分からないが反射的に口走ってしまった。
吉良は疑心暗鬼ながらも俺の言った事に興味を示している。
俺は魔王討伐なんて無理だと思っているので吉良にはやる気になってもらいたくない。
「そうよヨシカゲ!魔王を討伐した暁には天界の者が何でも願いを叶えてくれるの!あなたの元の世界に帰りたいって願いもきっと叶えてもらえるわ!」
アクアは俺の言った事に燃料を投下する。
いくら自分がまいた種とはいえかなりのしくじりだ。
やる気なられては困る。
「………そうか。期待はしておこう」
テンション高めのアクアに対して吉良はどうでも良さそうな態度を取る。
胡散臭く感じたのだろう。
俺が言った事を吉良は信じているのか信じていないのかは分からなかったがアクアの事をただの痛い子として見ているのは確かなようだ。
憐れ、自称水の女神アクア。
「さっきから何を話しているか分からないのだが…」
ダクネスは不思議そうな表情をして言った。
俺と吉良の話に置いてけぼりにされていためぐみん、ダクネス、クリス。
転生者と自称なんとかにしか分からない話だからあまり気にしないでもらいたい。
何かもう色々と面倒だ…。
「いや、何でもない、話を続けてくれたまえ」
一応吉良は納得してくれたみたいだな。
気を取り直してダクネスとめぐみんに話の続きをするとしよう。
「ダクネス、聞いてくれ。さっき吉良さんに言ったように俺達はガチで魔王を倒そうとしているんだ」
うんうんとアクアは頷く。
魔王を倒すという事はそれだけ冒険の旅路も過酷になるというもの。
これで二人も諦めてくれるだろうと安心するしきっていた。
だがそんな俺の考えは甘かった。
「フム、そうか」
男勝りな態度でダクネスは答える。
全く怖がっていないようだ。
何とも心強そうな返答だが俺のパーティに入らせる訳にはいかない。
「女騎士のお前なんて魔王にナニをされるかは分からない、きっと酷い目に遭わされる役所だぞ」
「ああそうだな、確かに女騎士である私はそれはもうエロい目に遭わされる役所だろう。それだけでも行く価値はある!」
ダクネスは目を輝かせる。
…ってあれ?喜んでる……?
ダクネスの予想外の反応に吉良もギロリとこちらを見る。
結構落ち着いた様子の吉良も流石にドン引きしているようだ。
何とも言えなそうな表情をしていた。
くっ…、ダクネスは後回しだ。
「めぐみんも聞いてくれ。分かっているだろうが俺達が倒そうとしている魔王は世界最強の存在。そんなパーティにわざわざ残る必要なんて無いんだぜ?」
「我が名はめぐみん!紅魔族随一の…『しばっ!』ぐふっ!?」
マントを翻して椅子の上に立ち足を机の上に置こうとしていためぐみんを突然吉良吉影の【キラークイーン】が現れ無理矢理に座らせた。
突然の事すぎて心臓に悪い。
「君達、マナーがどうこう以前に常識が無さすぎるじゃあないのかね?私は目立つことが嫌いだ。だから今みたいに目立つような行為は慎みたまえ」
ここで【キラークイーン】を出したい方が目立つだろうがとツッコミを入れようとしたが誰も注目していないみたいなので安心した。
やり方には問題があるが正論なので黙っておこう。
「す、すみません……」
めぐみんが若干涙目になっている。
吉良に怯えているというより突然現れた【キラークイーン】に怯えているようだ。
不意にあんなのが目の前に現れたのだから無理もない。
そんなめぐみんを横目にダクネスは初めて見る【キラークイーン】を目を再び輝かせながら見ている。
だがそれもすぐに消えダクネスは少しだけしょんぼりとする。
「では改めて言わせてもらいましょう……。我が名はめぐみん、紅魔族随一の魔法の使い手にして爆裂魔法を操る者…。魔王など我が爆裂魔法で討ち滅ぼしてくれる………」
などと威勢の良い事を言ってはいるが震えた小声である。
折角の練りに練ったであろう厨二病的な台詞が台無しだ。
まあどうせ元からただ痛いだけの台詞だが。
しかしどうしたものか…。
魔王の名を出すことでパーティを諦めてもらおうとしたが寧ろ逆にいたい子二人はやる気になってしまった。
「緊急クエスト!緊急クエスト!冒険者各員は至急、正門まで集まってください!」
俺が頭を抱えていると突然ギルド内に必死そうな声のアナウンスがなった。
そのアナウンスを聞いた冒険者達はざわめきだす。
一瞬で事の深刻さだけは理解できた。
「もうあの季節が来ちまったか…!」
「嘘だろ!聞いてねえよ!」
「急いで女、子供を避難させろ!!」
緊急クエスト…?あの季節…?
いやいやいや、ここに来てそこそこ経つがそんなもん聞いたことねえぞ!
「何だね?その緊急クエストというのは。ギルド内がやけに騒がしいが」
俺が知る訳ねえだろ。
俺の方が教えてもらいたいくらいだ。
「俺にも分かりません。おいアクア、緊急クエストって何だよ!?こんな駆け出し冒険者の街にモンスターが襲撃にでも来たのか!?」
「とうとうやって来ましたね…、あの季節が…!!」
「ええそうね。私の力を見せてあげるわ!」
何事か分からないがアクア達は随分やる気のようだ。
アクア達がやる気だなんてまたまた嫌な予感しかしない。
っていうかこんなところでスルースキルを発揮するな。
もっとマシなところで使えよ。
「ほら!ボサッとしてないで行くわよカズマ!!」
アクア達はやる気満々で他の冒険者とギルドを飛び出した。
おい、あいつ、最後まで人の話を聞かないでいるつもりか。
よし、後で嫌がらせをしてやろう。
「だから何だって言ったんだよアクア!ったく…とりあえず行ってみましょう吉良さん」
「この吉良吉影、植物の心のような平穏な生活を目指しているというのに何故こんな訳の分からんいざこざにまきこまれねばならん……」
吉良は大きなため息をつく。
【キラークイーン】というチート持ちの転生者なのにこういったイベント事に首を突っ込もうとしないのかが不思議でならないが単に護身用に身に付けたチート能力なのかもしれない。
異世界の事について女神の話を信用していなかったというのにあんなチート転生特典を受け取っているのに少々矛盾を感じられるが元の世界に戻りたいという願望や今の平穏な生活を目指しているという発言、その落ち着いた態度からしてこの世界に来て間もない頃の俺のように異世界万歳なんて吉良はちっと思っていないらしい。
俺と吉良は状況が飲み込めないままギルドを飛び出し街の外まで駆け出した。
「体力の衰えを感じたよ………。ぶどうヶ丘にやっと出来たっていうジムに行く事を真剣に考えはしたが結局行ってなかったからな…」
吉良は崩れた自分の服装を整える。
街の大きな入り口となる門には屈強な男から華麗な女の冒険者が大勢集まっていた。
剣術に長けたソードマンから魔法を操るウィザードまで粒揃いだ。
かなり物騒な感じだがこれが緊急クエストの緊張感というものなんだろう。
流石駆け出しの冒険者が集まる街というだけある。
しかし未だに何故多くの冒険者達がここに収集されたかが分からない。
「み、見ろよあそこを!」
「遂に来やがったか!」
「今年は荒れるぞ…」
多くの冒険者達のざわめきは止む事なくなお大きくなり続けていた。
ただ事ではないこの雰囲気。
嵐の前の静けさというべきか。
本当に何が起こるっつうんだ…。
「おーいアクア!今から何があるんだよ!!いい加減に教えろよなー!!」
「あれ?言ってなかったかしら?大体この季節になるとキャベツが飛んでくるのよ。この世界のキャベツは飛ぶの。ほら!見て!あそこに大量のキャベツが飛んで来てるわ!」
アクアは険しい表情で遠くを指差す。
は?キャベツだと?あいつ、何を言って……。
街の向こう側から何やら竜巻のように群れを成す緑色の謎の物体が空を飛んで来ていた。
じっと目を凝らしてそれらを見ているとそれらは何と文字通り空飛ぶキャベツだった。
「一応聞くが俺達はそのキャベツをどうすれば良いんだ?」
「どうもこうも収穫するに決まってんじゃない!」
「冒険者の皆さん!今年もキャベツ収穫の時期がやって参りました!今年のキャベツは出来が良く一玉の収穫につき一万エリスとなります!じゃんじゃん納めてくださいね!」
とても楽しそうに響くギルド職員によるアナウンス。
これって緊急クエストなんだよな…?
一般人には避難指示出していたし。
もう帰って寝ても良いかな?
「チッ、くだらん。私はご遠慮願おう」
向かい来るキャベツに果敢に立ち向かう冒険者達とは反対に吉良は街へと戻ろうとする。
俺も一緒に帰ろうかな。
はっきり言って俺も吉良と同じ気持ちだ。
何が悲しくて物凄い勢いで飛んでくるキャベツを収穫しないといけないのだ。
ぶつかったら死ぬくらいの勢いがあるぞ…。
わざわざ死の危険まで犯してキャベツ狩りなんて本当にごめんだ。
「カズマ、丁度良い機会だ。私のクルセイダーとしての戦いを見てもらおうか」
街に戻ろうと俺に対してダクネスは言った。
俺をこの場に引き止めようとしないでくれ。
頼むから俺を街に帰らせてください。
「ちょっ!吉良さん、待ってください!」
吉良は帰れなさそうなシチュエーションに陥った俺に構わず街へと帰っていく。
いくら俺が危険視している吉良でも帰らせる訳にはいかねえ。
相手が誰だろうと仲間なんだ。
仲間なんだから痛み分けの一つや二つをして当然だろう。
男カズマ、たとえ誰が相手であろうと省みない。
やる時はやる男なんだ!
「私はこの緊急クエストとやらごめんだ、宿の方に戻らせてもらう。……でもよく考えてみたら一応同じパーティのメンバーなんだからこのまま帰るのはちょいと冷淡すぎるかな?せめて君に【
「は?【
思わず何とも間抜けな声が出てしまう。
嘘だろこの人、自分のか弱そうなペットにこの場面を任せるつもりなのか。
結構な常識人だと思っていたけどそうじゃなかったのか。
「何を不思議そうな顔をしているんだ?あ、そういえば説明していなかったなあ。【
は?今何つった?この猫がスタンド使いだと…!?
俺には確かにそう聞こえた、そうとしか聞こえなかった。
いや、この人、確実に【
まず吉良がこんな見え見えの嘘をつくようには見えない。
「ちょっとその辺詳しく話してもらっていいですか?」
「君になら話して良いだろう。コイツは私がまだ一度
「今の言い方だと日本にいた時からスタンド使いだったみたいに聞こえるんですが。そもそもスタンドっていう転生特典なんてありましたっけ?」
俺は吉良の言った事を冗談だと思った。
本来なら今明かされる衝撃の真実となるところなんだろうが。
ハハハ…吉良も意外と冗談を言うもんだな。
ただ堅苦しいだけの人だと思っていたけどそうでもなかったみたいだ。
人は見かけによらずって言うし見た目や雰囲気だけじゃ判断するべきじゃなかった。
まず吉良とは出会ってまだ一日なんだし彼がどんな性格でどんな人柄であるかだなんて分かるはずがないんだ。
「転生特典…?君もあの女神のように私を馬鹿にしているのかね?」
前言撤回。
吉良は冗談などではなく本気で言っていたようだ。
「昨日も言ったろう?スタンドは『才能』だと。スタンドとは
低めの声で真面目な表情、やはり吉良は本気だ。
俺は吉良が言っている事をただの冗談だと思っていたので決まりが悪そうな顔をする。
吉良の謎に説得力のある言葉の前に俺は吉良の発言を信用せざるを得なかった。
日本にいた時からスタンドを持っていたというのは怪しいところではあるが。
「まずあの女神を自称する小娘も転生特典がどうだとか言っていたがそんな都合良く良い話がある訳ないじゃあないか。もちろん話は蹴ったさ。…………あるのか?」
多くの冒険者がキャベツの収穫に勤しむ中、俺と吉良との間に沈黙が流れる。
何とも言えないような微妙すぎる間だ。
その場に流れた空気も相まって吉良は戸惑った表情をしている。
「女神が言っていた事は本当です。ちなみに俺の転生特典はあそこにいるアクアです。ちっとも役に立ちませんが。それと吉良さんが会われたであろう人物は本当の女神で間違いありません」
俺は冷静に吉良の質問に答える。
異世界の事とかについて半信半疑の様子の吉良にとっては衝撃の真実だろう。
「どうやら嘘は言っていないようだね。異世界に転生してしまったっていう時点で信用すべき事柄だったんだろうがただの痛ましい妄言だと思っていたよ。何せこの世界に来たのもスタンド攻撃によるものだと思っていた節があるからな。これじゃあスタンド攻撃よりも質が悪いじゃあないか」
俺の真面目な表情を見て吉良はようやく昨日俺とアクアが言った事を信用したらしい。
というか今の今まで転生特典とかについて全く信用していなかったって頭が固すぎるだろ。
「私には【キラークイーン】がある事だし転生特典なんて無くとも何も問題じゃあない。それに借り物の力などただ情けないだけだ」
ちょっと待てよ…、吉良は転生特典について信用していなかったんだよな?
それじゃあ本当に吉良は転生特典を受け取っていない事になる。
つまり吉良はマジで日本にいた時からスタンドを持っていたのか…?
そういえば人類は忘れただけで魔法は使えていたってアクアが言っていた気が…。
その理論に当てはめるんなら元の世界にもスタンドという力があってもおかしくはない。
………だからといって日本にいた時からチート持ちとかセコすぎだろおおおお!!
「おいカズマ!ちゃんと見ているのか!」
「我が名はめぐみん!紅魔族随一の魔法の使い手にして爆裂魔法を操りし者!!」
戦いながら俺に話しかけるダクネスの声がする。
その反対側ではめぐみんが自分の名前を高らかに宣言している。
吉良との話に夢中になってすっかり忘れていた。
ダクネスは俺にアピールがしたいんだろうがそんな事知るか。
絶対にパーティに入れたくない。
「カズマ、彼女を見てきた方がいいんじゃないのかね?」
はぁ……結局俺も参加しなきゃいけない流れかあ…。
とうとう俺もこのキャベツ狩りに参加することを決心した。
ああもう日本に帰りたい。
そして俺も吉良みたいにスタンド使いになりたい。
「何でただのキャベツの野菜炒めがこんなにもうまいんだ。納得いかねえ…」
キャベツとの死闘を終え俺達はギルドの酒場で食事をしていた。
酒場内は宴会ムードだ。
多くの冒険者が収穫したキャベツをふんだんに使った料理を堪能しながら盛り上がっている。
資金集めの為にも嫌々ながらキャベツ狩りに参加はしたが多額の報酬を受け取ったので良しとしよう。
「凄かったわダクネス!あなたの鉄壁の守りにはキャベツも攻めあぐねていたわ!流石はクルセイダーね!」
「いやそんな事はない。私はただ硬いだけの女だ。攻撃だってまともに当たっていなかったし…。その点、めぐみんの爆裂魔法は凄かった!あのキャベツ達が一瞬で吹っ飛ばされていたぞ!」
「当然です!我が爆裂魔法の前には何者であろうと無力!」
アクアとめぐみんはまだパーティに入っていないダクネスを交え会話に花を咲かせていた。
とても良い感じの雰囲気だ。
もう雰囲気的にこの後の展開に察しがつく。
「カズマの盗賊スキルも凄かったぞ!颯爽とキャベツを収穫していく姿に素晴らしいものを感じた!」
「何でその程度の事でえらく褒められるんだよ……」
キャベツを収穫しただけでこんなに褒められるのは複雑な気分だが少し照れくさくはあった。
キャベツ如きでこんなに称賛されることなんて日本ではまず無いだろう。
「しかし【
机の上に置かれた【
【
アクアを肯定するなんて心が広いんだな。
ウニャンと喉を鳴らしている。
「ああ、ちょむろう、可愛いですね」
「おいめぐみん、『ちょむろう』って【
「ええそうですが何か問題でも?」
「おおありだわ!まずコイツは吉良さんのペットなんだぞ!人様のペットに勝手に付ける奴がいるか!それにコイツにはお前が付けたの違って【
「【
超くだらない事でめぐみんと口論になる。
絶望的なネーミングセンスに加え人のペットに勝手に名前を付けるという始末。
紅魔族っていうのは知能が高いと聞くがその片鱗は影も形も見えない。
他の紅魔族もめぐみんと同じ感じなのか?
めぐみんの親の名前もとても人前では言い出せないような名前だったし。
「二人ともそんなくだらない事で喧嘩なんてせずに飲みましょうよ。あ、そういえばヨシカゲが見当たらないわね。キャベツの時もあまり見かけなかったし何処に行っちゃったのかしら?」
「吉良さんならもう宿屋に戻ってるぜ」
かなり面倒臭そうにしていた吉良は結局のところキャベツ狩りには参加していた。
あまり目立たないように隅らへんで戦っていたが。
平穏な生活が目標だというのはどうやらマジらしい。
勢いで異世界転生してしまったのは気の毒に思う。
「この場にヨシカゲがいないのは残念だが改めて自己紹介させていただこう。私はクルセイダーのダクネス。私は攻撃を全く当てることが出来ないので囮や盾代わりに使ってくれ。よろしく頼むぞ」
何だか嬉しそうに震えだすダクネス。
コイツ、ただのドMだ。
アクアとめぐみんがダクネスと意気投合した結果、仲間がまた一人増えてしまった。
普通のメンバーなら何も文句は無いのだがこれまた欠陥のありそうメンバーだからどうしようもない。
こうして俺のパーティメンバーは五人になった。
知力が極めて低く何の役にも立たないアークプリーストに、一日一回しか魔法が使えないウィザードと元からチート持ちの元会社員、そして攻撃が全く当たらないドMのクルセイダーという顔触れ。
「カズマ、あなたって幸運ね。パーティメンバーの半数以上が上級職のパーティなんてなかなかいないわ。おまけに規格外のスタンド使いときたわ。感謝なさいな」
満足そうに笑みを浮かべるアクア。
何が幸運じゃボケ。
パーティメンバーの半数以上が駄目すぎる欠陥だらけのパーティの間違いだろうが。
ああもう不安に胸がいっぱいだ。
アクア「あれ、これ何かしら?」
シアハ「…」
アクア「どうせカズマのガラクタでしょ。道具屋で売っぱらてやりましょう」
シアハ「コッチヲ見ロォ」
アクア「え!何よこれえええええ!!」
ボオン!!
カズマ「毎回爆発オチなんて最低だな」