この静かに暮らしたい殺人鬼に平穏を!   作:究極生命体になりかけた男

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ペッシ ペッシ ペッシ ペッシ よォ〜〜〜〜
二週間前の話だけど暗殺チームのアニオリ凄かったなァ
ホルマジオが食事してるおっさんの横を通った瞬間、あ…(察し)ってなりましたw
リゾットの声がめちゃくちゃ想像通り過ぎてビビった
生ハム兄貴はかっこよかったです(小並感)

…後ジョジョのラストサバイバーはやめとけやめとけ!
私には不安しかないのだが…。


吉良吉影は転生者が嫌い

「なあアクア、いい加減機嫌直してオリの中から出てきてくれよ…」

 

アクアはどん底まで気分が落ち込み、オリの中で長い事体操座りをしている。

湖の浄化を開始して約五時間経って、ようやく湖の浄化が完了した。

しかし、アクアにとって今回の出来事が深刻なトラウマになってしまった様だ。

ブルータルアリゲーターの群れに襲われ、尚且つ【シアハートアタック】による連続の爆発を超至近距離で目撃したのだから無理もない。

ま、そんな事は俺にとってどうでもいい事だが。

ブルータルアリゲーターは【シアハートアタック】の爆破を連続して受け、浄化が完了する前に早々と湖の奥へと逃げ去っていった。

そのおかげで作業は多少楽になったのかもしれないが、その分アクアのトラウマが深くなった気がする。

恐るべし、【シアーハートアタック】。

 

「嫌。オリの中だけが私の聖域よ。外の世界なんて怖くて出ていけないわ………」

 

もうすでに街の中まで戻ってきているというのに、オリの中に引き篭もって(かたく)なにオリの外に出る事を拒むアクア。

街中を馬車でオリに入れた状態のアクアを運んでいる訳なのだが、これを見られたら間違いなく悪い方向に勘違いされる。

現に町の人々の視線が集まっているのが分かる。

誤解を招かないためにも、早くオリの中から出てきて欲しいものだ。

 

「いつまで経ってもオリの外に出る気が無いんなら、いっその事オリの中に【シアハートアタック】放り込んでしまうか?」

 

「それは良い考えですね」

 

「それはやめといてください」

 

「………本気でそんな事をする訳ないじゃあないか」

 

「えぇ…やらないのか?」

 

吉良の言う事は少しも冗談に聞こえない。

完全に本気じゃなくて半ば本気で言っているだろ、これ。

俺の言葉に対して間を置いてから返事をするあたり、余計本気に聞こえる。

吉良も中々に鬼畜だが、それに賛同するめぐみんもかなり鬼畜だ。

ダクネスは「えぇ…」と残念そうにしているが、ただ自分が爆発を受けたいだけだろ。

…と、まあ今回はアクアに新たなトラウマが芽生えてしまっただけで、それ以外大した被害は無かったので良かったと妥協するか。

 

「あ、あなたは女神様じゃないですか!こんな所で何をされているんですか!」

 

突然、アクアが中に引き篭もっているオリの鉄格子を掴む謎の男。

ルックスはイケメンで後ろには二人の美少女を連れている。

男はオリの鉄格子を掴むや否や、いとも簡単に捻じ曲げてしまった。

【シアハートアタック】の爆破で多少ボロボロになっているとはいえ、ブルータルアリゲーターの強靭な顎をもってしても破壊できなかった、この鋼鉄製のオリの鉄格子を軽々と捻じ曲げるとは物凄い馬鹿力だ。

 

「は!?」

 

俺達はその様子を唖然として見ていた。

男は俺達に構うことなく、オリの中のアクアに手を差し伸べようとする。

 

「君、一体何者かね?いきなりこんな真似をしてくれるとは、どういう神経をしているか分かりかねる。誰がこのオリを弁償すると思っているのだ…?」

 

「そうだ。まず見ず知らずの人間が私の仲間に馴れ馴れしく触れてくれるな」

 

吉良とダクネスはいきなり現れた男を静止し嫌悪感を示す。

吉良はただ不快に思っているだけの様だが、ダクネスはクルセイダーとしての仲間想いから行いの様に見える。

ん?そういえばあの男、アクアを女神と言っていたが…。

 

「おいアクア。あの男、お前の事を女神と呼んでいたが知り合いか何かじゃないのか?それならどうにかしてくれよ」

 

「………………女神!そうよ、私は水の女神アクア!しょうがないわね!この女神アクアがどうにかしてあげるわ!」

 

長い沈黙を置いて、アクアは先程までの落ち込みぶりから嘘みたいに立ち直り、篭城と化していたオリの中から悠々とと出ていく。

さっきの反応の仕方からして、今まで自分が女神である事を忘れてたんじゃないだろうな。

 

「彼女に任せてしまっても大丈夫なのかね?」

 

「多分大丈夫だと思います。知り合いみたいですし…」

 

「彼女の知り合いだと言うのなら、尚更心配だ」

 

「た、確かに…」

 

吉良はいつもの様に気怠そうにため息を吐く。

吉良の気持ちも分からなくはない。

というか、むしろ痛いくらい理解できる。

 

「…あんた誰?」

 

大丈夫じゃなかった。

 

「誰って、あなたから魔剣グラムを頂いた御剣響夜(ミツルギキョウヤ)ですよ!」

 

吉良が目つきをデュラハンと戦っていた時の様にギロリと鋭くする。

アクアはピンときていない様だが、吉良は男が何者であるかを理解したらしい。

男が口にした日本人っぽい名前からして察したのは男が日本人、つまり転生者だという事だ。

っていうかそれくらい女神なら気づけ。

 

「そ、そういえばそんな人もいたようないなかったような…」

 

アクアは自信なさげに男、もといミツルギキョウヤに返答する。

あやふやなアクアの返答にミツルギは苦笑いした。

なんて頼りない女神なんだ…。

 

「と、ところで、君たち!女神様をこんなオリの中に入れておいて何をしているんだ!?失礼だとは思わないのか!礼儀知らずにも程があるぞ!」

 

「それはだな…」

 

俺はミツルギに自分と吉良が転生者であり、俺が転生特典の代わりにアクアをこの世界に連れてきた事、そして、アクアをオリの中に入れるに至った経緯まで洗いざらい話した。

吉良は俺が自分達の事を話しているのを不満そうに見ていた。

 

(ベラベラと見ず知らずの小僧に自ら私たちの素性を明かして、何を考えているのだ…!同じ転生者だっていうんなら敵スタンド使いかもしれないって事じゃあないかッ!これだから余計なトラブルに巻き込まれるのだ…!)

 

「転生者二人してなんて事をしているんだ!転生特典で女神様を連れてくるだけでなく、オリの中に閉じ込めて湖に放置するだって!?失礼極まりない!」

 

「だからさっき…」

 

こちらの事情も知らないで、自分勝手に怒るミツルギが俺の胸ぐらを掴みかかろうとする。

 

「何をしているのかね?」

 

しかし、意外にも吉良が【キラークイーン】でミツルギの腕を掴み、それを引き止めた。

いつも「私はただの雇われの身だ」などと言っている吉良が俺を庇うとは、世の中何があるか分からない。

いや、でも庇ったというのはちょっと違う気がする。

俺を庇ったのではなく、ミツルギを警戒すべき敵として認識し警戒心を抱いている、そんな風に俺には見えた。

そうでなければ、ミツルギをわざわざ【キラークイーン】を出してまで制止する理由が無い。

 

「な、何だ!?この亜人は!」

 

「質問を質問で返すなと言いたいところだが、今はそんな事に興味は無い。コイツは【キラークイーン】。私のスタンドだ」

 

「君が召喚したモンスターかい?」

 

「厳密に言えば違うがそういう認識でも問題は無い。えェ〜〜っと、ミツルギ君だったか?君は今さっき『失礼極まりない』と言っていたが、それは実に大切な事だ。人が会話する上で『礼を重んじる』、つまり『敬意を表する(・・・・・・)』っていう事は必要な事だ」

(だが、最も重要な事は他にある(・・・・・・・・・・・)。それは、この男がスタンド使い(・・・・・・・・・・)、つまるところ空条承太郎の仲間である可能性がある(・・・・・・・・・・・・・・・・・)という事だ)

 

吉良はミツルギを疑心暗鬼の目で見る。

言っている事は本心を話している様だが、それは真意ではない。

ミツルギに対して何か気になる事かあるみたいだ。

だが、それが何なのかさっぱり見当もつかないし、首を突っ込みたいとも思わない。

 

「しかし、今の君は『礼儀正しい』とは言えないな。私たちと君との間にある認識にズレがあるとはいえ、君はいきなり私の仲間に手を出そうとした。それこそ『失礼』というものじゃあないのかね?」

 

「………こちらにも非があることは認めよう。だが、女神様に対する扱いが余りにも不当だとは思わないのか?」

 

ミツルギは自分の発言がブーメランになっている事を認めはしたが、あくまでも自分の主張の正当性は曲げる気は無い様だ。

変える気のないミツルギの態度に、吉良の顔色に微かに苛立ちが見え始める。

 

「彼女をどんな扱いにするにしろ、神様扱いするには無理があるというものだ、というのが答えだな」

 

「ちょっとヨシカゲえええ!あんたねえ!」

 

「【シアーハート…」

 

「あははは、何でもないわ…」

 

吉良の発言にアクアが抗議の声を上げるが、吉良はそれを黙らせた。

大体女神として見られたいなら、女神らしい事を一つだけでもやってからにしろ。

 

「君は今の自分の立場を理解した上でその質問をしているのかね?理解しているのなら続けても構わないが」

 

『自分の今の立場』とは想像したくはないが、おそらく【キラークイーン】で触れた事を言っているのだろう。

ミツルギの場合、腕を掴まれた際に触られている。

【キラークイーン】の特殊能力は『触る』というのがトリガーとなって初めて発動する。

触られたら最後、爆弾な変えられてしまうのだ。

それがどんなものであろうとも(・・・・・・・・・・・)

こんなの究極の脅しだ。

もっとも【キラークイーン】の能力を知っていればの話ではあるが(・・・・・・・・・・・・・)

 

「何の事だ?」

 

「………違うな。私の思っていた者ではないらしい」

 

吉良はミツルギの腕を掴んでいる【キラークイーン】の手を離し、冷めた様に言い捨てる。

それと同時に吉良の警戒心漂う雰囲気が振り解けた様に見えた。

吉良は一体何を考えていたのか。

果たして何がどう『違う』と判断したのか。

俺にはさっぱり分からない。

 

お前はバカ丸出しだッ!あの世でおまえが来るのを楽しみに待っててやるぞッ!

 

『いい時計だな。だが時間が見れないようにたたっこわしてやるぜ…………。きさまの顔面の方をな…………

 

てめー今確かに(・・・・・・・)吉良吉影(・・・・)っつったよなあ(・・・・・・・)ぁ〜!!

 

(…どうやら心配し過ぎていたようだ。ちょいとカマをかけてみたが、この小僧は私を『追う者』ではない。【キラークイーン】のスタンド能力をまるで知らないようだし、何より『追う者』の目をしていない。そう…、この吉良吉影が最も苦手とする私を追い詰めた東方仗助たちのような、精神を持った男のする目ではない)

 

「一応聞いておくが君、スタンドを知ってるかね?」

 

「スタンドとは何なんだい?」

 

「…質問を質問で返すなと言ったはずだが?少しは人の話を聞く努力をしたまえ。とりあえずスタンドを知らないのならいいんだ」

 

「待て。君は何か解決したみたいだが女神様の事は…」

 

「君が言っている件については私は関係ない事だし、後は好きにやってくれたまえ」

 

「は…?すごい釈然としないのだが」

 

「…さっきカズマが説明したように私もいわゆる転生者の訳だが、あくまでカズマのパーティーに雇われているってだけなのでね。カズマが決めた方針に従っただけで、それでも大丈夫であるか確認もした」

 

「え、だから…どういう事……」

 

「私は関係ないという事を説明したのだよ」

 

吉良は物分かりの悪い子供をしつける様に話すが、ミツルギは納得いかない様子だ。

二人の話が噛み合わないまま終わってしまった。

そして、全ての責任が俺に押し付けられた。

元々は俺の行動が招いた状況ではあるが、この仕打ちはあんまりだ。

 

「しゃ、釈然しないがまあいい。君がさっき話した話では、こんなに綺麗な彼女たちを馬小屋で寝泊りさせているそうだね!」

 

何様かは知らないがミツルギは俺に説教を始める。

パーティーメンバーを差し置いて一名、宿屋暮らしの冒険者がいるんですが、それは…。

吉良はバツが悪そうにそっぽ向く。

 

「それだけじゃなく、優秀そうなパーティーメンバーを連れているっていうのに君は最弱職の冒険者そうじゃないか!」

 

おいおい、さっきから随分と好き勝手に言ってくれるじゃないか。

俺も好きで馬小屋暮らししてる訳じゃないし、冒険者という最弱職についている訳じゃない。

できる事なら俺だって家が欲しいし、ソードマスターやらアークウィザードやらの上級職の冒険者なりたい。

そもそも滅多な事じゃない限り、一般の冒険者には馬小屋から抜け出せる様な資金なんて無い。

特に俺達の様なパーティーは。

 

「何で馬小屋で寝泊まりしているだけで、こんなに文句を言われなくっちゃあいけないんだ?当たり前の事だろ」

 

「あのミツルギって奴、きっと私が転生特典として渡した魔剣グラムがあったおかげで、今まで何の苦労も無く生活してきたのよ」

 

俺が小声で文句を言うと、それにアクアが答えた。

なるほど、納得。

転生特典で何も苦労してないとか、無性に腹が立ってきた。

この世界に来て俺がどれだけ苦労したきたことか。

きさまには俺の心は永遠に分かるまいッ!

 

「転生の特典、ねぇ……。他人から受け取った、言わば借り物の力でここまで得意なれるとは…。恥ずかしいとは思わんのかな…。こんなちっぽけな小僧が私のような苦労を知らずに能天気に生活していると思うとムカッ腹が立つ………」

 

俺とアクアのコソコソ話が聞こえていたのか、吉良は愚痴を吐露する。

吉良も俺も同じ事を思っているらしい。

って、あんたは最初からチート持ちみたいなもんだろ。

苦労してるっていう点では何の変わりもないかもしれないが…。

 

「そうだ君たち、ソードマスターの僕と一緒に来ないかい?そうすれば生活は保障するし高級な装備品を買い揃えてあげよう。僕の仲間に加えてクルセイダー、アークウィザード、そしてアクア様。僕冒険者レベルは今や30を超える。こんな超一流パーティーは他には無い!」

 

こいつ、本気でそんな事言ってんのか?

俺は今まで感じたことのない様な寒気を感じるのとともに妙な鳥肌が立った。

ラノベの主人公でもこんな臭いセリフは言わねえ。

 

「自己評価と気取った態度だけは超一流(・・・)のプロフェッショナルだ。こんな小僧を警戒していた自分が馬鹿馬鹿しく思えてくる…」

 

俺もそうだが、サラっと自分が抜かされていた事がどうやら気に食わなかったらしい。

いつも『静かに暮らしたい』とか言っている割には、意外と自己顕示欲が強く見える。

【シアーハートアタック】が『コッチヲ見ロッ!』と言っているのは、隠しきれない自己顕示欲の高さの表れなのかもしれない。

 

「さあどうする?」

 

自己中心的なミツルギの提案ではあるが、俺のパーティーよりも待遇が良いのは事実。

 

「アメリカ方式。フランス方式。日本方式。イタリアナポリ方式。異世界のフィンガー『くたばりやがれ』よ」

 

「スカしたエリート顔だな。だがもう顔を拝めないように爆裂魔法を撃ち込んでやるぜ…………。あいつの顔面の方にな…………

 

キレッキレにテレビだとモザイクがかかる指芸…じゃなく指のポーズを平然とやってのけるアクア。

別にそこにシビれないし、あこがれない。

女神が何て事してんだよ。

 

「わ…わたしがあなたのパーティーに入れば…わたしが加入すれば…ほ……ほんとに…わたしに『高級な装備品』…を…買い揃えてくれるのか?」

 

「ああ約束するよ。君たちの『メンバー』と引き換えのギブ アンド テイクだ。おいで…早くおいで!」

 

だが断る

 

ナニッ!!

 

思いの外、ミツルギが不評だったが何だかどうでもいい。

あんなナルシスト性格をしていれば、そうなるのも当然の事だし。

 

「って訳で、俺の仲間はあなたの仲間にはなりたくはないみたいなので、そろそろ行かせてもらいますね」

 

とんだ道草を食わされた訳だが、俺たちも暇ではない。

俺達はさっさクエスト達成の報告を冒険者ギルドに済ませねばならないのだ。

ミツルギをスルーし馬車でオリを引いて、そのままギルドに向かおうとした。

 

「…どいてくれます?」

 

しかし、俺達の前をミツルギが立ち塞がり行く手を阻んだ。

 

「悪いがそれはできない。君がアクア様をこの世界に連れてきた様だが、アクア様をこんな境遇に置いたままにしてはおけないからね。そこで一つ提案がある」

 

『よく見て!!』

『予知するのだッ!』

『数秒ほど後の…ミツルギの『提案』を!!』

 

言っておくが、俺は別に二重人格って訳じゃない。

 

「決闘か?」

 

「察しが良くて助かるよ。勝った方がアクア様を連れていく。これで異論は無いかい?」

 

「異論無しだ。それじゃあ行くぜ!!」

 

有無を言わさず先手必勝さ!

決闘というベタというかテンプレ(・・・・・・・・・・)の展開。

予想通り過ぎる結果だったので、俺は先制攻撃を取る事に成功する。

と、本当だったらなるはずだった。

 

「【スティー…」

 

「【キラークイーン】ッ!!」

 

「えっ!?」

 

俺とミツルギとの間に【キラークイーン】という思わぬ乱入者が割って入る。

予想に反する展開に俺の繰り出そうとした【スティール】が不発に終わってしまう。

俺が魔剣持ちのチーターに正面から真っ向勝負を挑んでも勝てる訳がないからこそ、ミツルギの魔剣グラムを奪い取った上で一気にカタをつけてやろうかと思っていたのに…。

千載一遇と言っても過言ではないチャンスをみすみす逃してしまった。

なんてことしてくれたんだ吉良のおっさんよおおおお!!

 

「悪いがその勝負、待ってもらおうか」

 

「ど、どうされたんですか?」

 

せっかくのチャンスを水の泡にしてくれた吉良をグーパンしてやりたい気持ちは山々だが、どうせ【キラークイーン】で返り討ちにされるのは目に見えている。

どうしようもないので、ここは俺も大人になって怒りで声を震わせ引きつらせながら吉良に質問を投げかけた。

 

「カズマ、この勝負を私にやらせてくれないか?」

 

「か、構いませんよ」

 

「それは良かった。それでは遠慮無しにやらせてもらおうか」

 

またもや予想外の展開。

『チート特典』持ち転生者と『ただのチート』持ち転生者の対決。

まさに超展開である。

好戦的でもなければ喧嘩っ早い性格ではないはずの吉良が何故…。

とりあえずどうせなら、ここは吉良のスタンドが他のチート転生者とどれだけ引けを取っていないのかを見せてもらう事にしよう。

 

「この世界には決闘罪がある訳じゃあないから心置き無く叩きのめせるって訳だ。そう、正々堂々とね………!

 

「面白い冗談だ。でも何も君一人で僕と戦う必要は無い。転生者同士、仲良く二人で掛かってきても構わないが?」

 

「大した自信だな。…それも魔剣グラムってヤツのおかげか?せっかくハンデだが私には必要ないな。私は戦ったとしても誰にも負けないし、この場合大切なのは対等な立場に立った上で叩きのめす(・・・・・・・・・・・・・・・)って事だからな」

 

「ほう?」

 

「仮に私がカズマと組んで君に勝ったとしたら、君は『二対一だったから負けた』と言い訳できてしまう訳だろ?だが、私が一人で挑み勝ったというのなら話は別だ。君は実力の差で負けたと敗北の屈辱を味わざる終えなくなる」

 

「そうかもしれないね。だけどそれは君が勝ったらの話だ」

 

「では、そのお高くとまった鼻先をへし折ってやろうじゃあないか。………でないと、コケにされた私の気が治らんッ!!」

 

想像できてはいたが、吉良は相当ミツルギの態度が気に食わなかったらしい。

だから吉良はミツルギに挑む事にしたのだろう。

ただ単純な動機だった。

余程ミツルギの事が気に食わないのか、話をしている最中にも吉良の瞼がピクピクと動いていた。

 

「【キラークイーン】…」

 

【キラークイーン】が両拳を握りしめ、ファイティングポーズを取る。

構図的にはミツルギが正義の味方で吉良の【キラークイーン】が悪の怪人っぽくに見えるが、吉良に勝ってもらわなくては困る。

 

「あの二人、大丈夫なんでしょうか」

 

「ヨシカゲはデュラハンとまともに戦える程の実力があるから問題ないはずだ。それにめぐみんとアクアの魔法を同時に受けても気絶だけで済んだからな」

 

「「う、ダクネス……それは………」」

 

「二人ともまだ謝ってないのなら後でヨシカゲに謝っておいた方が良いんじゃないか?」

 

「そうですね…」

 

「と、とにかく!ミツルギっていう勘違い野郎には悪いけど、私の女神人生のためにもヨシカゲには勝ってもらって、さっさとギルドにクエスト完了を報告しに行きましょう!ちゃっちゃっとやっちゃいなさいヨシカゲ!」

 

「そうですよ!早く終わらせてカズマの奢りで一緒にご飯でも食べましょう!」

 

「魅力としては少々欠けるが、まあ良いだろう…」

 

「決まりね!」

 

「おい!勝手に俺が飯を奢る前提で話を進めるな!」

 

外野がうるさい。

真剣になっているのは俺だけか?

 

「さあ抜いてみせるんだ……その腰に付いた魔剣とやらを………!

 

吉良のミツルギの腰あたりに付いた鞘に収まったままの魔剣グラムを指差すと、ミツルギは転生特典である魔剣グラムを鞘からそっと抜く。

鞘から抜かれた剣は、禍々しいようで神聖な雰囲気を感じさせる、まさしく魔剣と呼ぶに相応しい代物だった。

チート転生特典、つまり神器はやはり他のアイテムよりも一線を画する程の力が秘められている様だ。

逆に吉良の【キラークイーン】はというと、神が授かった転生特典ではないが故に、神聖な雰囲気こそは感じられないものの魔剣グラムとは比較にならない程の狂気を放っていた。

 

「ちょっと嫌な感じがするんだが…」

 

――緊張の一瞬。

西部劇のガンマン風に言うと…『ぬきな!どっちが素早いか試してみようぜ』というやつだ………。

 

「【キラークイーン】ッ!!」

 

『しばッ!しばばばばばばば!!』

 

ミツルギの魔剣よりも先に【キラークイーン】の拳の突き(ラッシュ)が雨あられの如く降り注ぐ。

チート転生者相手に小細工なしに先制攻撃を仕掛けるとは、魔王軍幹部と張り合いを見せただけの実力はある。

残像が見える程の突き(ラッシュ)の勢いの激しさからして、吉良の情け容赦のなさが伺える。

 

「うおっ!?うぐっ!!」

 

「パワーとスピードにはそこそこ自信のある【キラークイーン】の動きに付いてくるとは、魔剣を操るって事だけはあるようだ」

 

「当然の事さ」

 

「所詮魔剣の力でしかないんだろうがね…」

 

耳に鋭く響く金属音。

【キラークイーン】の拳とミツルギの魔剣が熾烈にぶつかり合い火花が散る。

流石はチート特典持ち転生者、一筋縄ではいかない。

といっても、魔剣グラムが強いだけなんだろうが。

魔剣による能力補正を受けているからこそ軽く人間離れした動きができるのだろう。

どうして自分の力じゃないのにこんなに得意になれるかが俺には到底理解できない。

 

「もっとも私の【キラークイーン】の相手ではないがね……」

 

吉良の表情には依然変わりなく余裕が見える。

俺たちよりもレベルが一回りも二回りも高そうなミツルギ相手に防戦を強いるとは吉良も大したものだ。

レベル差とは一体…。

だが、ミツルギはこちらに手の内を明かしてはいない。

その点でいえば、吉良にも同じ事が言えるが安心はできない。

 

「言うじゃないか。これではどうかな?」

 

「何ッ!」

 

ミツルギは突然動きを変え、魔剣を大きく振るう。

【キラークイーン】の突き(ラッシュ)は大きく弾き返される。

そして、急な反撃によって足が一歩後ずさる。

戦闘経験についてはまだまだ浅いが、不意を突かれるのは非常に危険なのは確かである事は分かる。

 

「もらった!!」

 

この魔剣グラムの一撃が【キラークイーン】に入ったら一貫の終わりだ。

ボディから顎にかけてがら空きになった【キラークイーン】は、身ぐるみを剥がされたノーガード状態。

【キラークイーン】が無ければもう吉良には戦う手段は無い。

 

「ヨシカゲぇ!!」

 

「つくづく思うのだが『思い込む』って事を実に『恐ろしい』事だ……。特に自分の力を優れたモノだと過信している時はさらに始末が悪い。君の場合、そこが『弱点』なんだ。君自身ではなく、魔剣そのものが強い(・・・・・・・・・)っていうのがね………!」

 

吉良は魔剣が襲おうとしている絶体絶命の危機にも拘らず、不敵な笑みを浮かべる。

その笑みは勝利を確信した笑みだった。

【キラークイーン】が手を空高くかざし奇妙なポーズを取ると…。

 

「スイッチを押せっ!」

 

「えっ!?」

 

突如魔剣が爆発。

ミツルギは豆鉄砲を食った鳩の様に驚き戸惑う。

 

「当て身」

 

吉良にミツルギの攻撃が命中するかと思いきや、それよりも先に魔剣は木っ端微塵に吹き飛んでしまい跡形も無く消滅してしまった。

そして、呆気に取られたミツルギは吉良に直接首に手刀を浴び、気絶しそのままその場に倒れた。

事の幕切れは実にあっけないものであった。

 

「【キラークイーン】の特殊能力………『触れた物何でも爆弾に変えられる』」

 

勝負はかなり危うい様に見えたが、【キラークイーン】の突き(ラッシュ)攻撃を魔剣で防いでしまった時点で、吉良の勝負は確定していたのだ。

むやみやたらと【キラークイーン】で殴りつけていたのはただの舐めプだったのか…?

 

「借り物の力にしか頼ってこなかった怠惰さが君の敗因だ。…と説明したところで気絶しているのだから聞こえはせんだろうが」

 

余裕の勝利を味わう様に敗因を丁寧に説明する吉良。

チート転生者相手にこんな冷淡な振る舞い方をする吉良を見て謎の貫禄を感じた。

この世界に転生する前に住んでいた所にも自分と同じスタンド使いが存在していたというが、やはりマジの事らしい。

 

「君はこの魔剣のおかげで何の苦労も無くこの世界で暮らしてきたようだが、これでもう魔剣の力に頼る事ができなくなった。精々自分の力だけでどうにかしたまえ。後は……」

 

吉良はそう言うとズボンのポケットに手を突っ込んで、倒れているミツルギの顔を【キラークイーン】で踏みつけた。

そのままミツルギの顔をまるで煙草の火を消す時の様に、グリグリと踏みにじり続けたまま、吉良は静かな態度から一変して怒りの炎をプッツンと点火した。

 

私を見習うんだよォーーーッ!!私がここでの生活にどれだけ苦労をしてきたか分かるかッ!私を見習って同じ苦しみに耐えたまえッ!!このちっぽけな小僧がッ!」

 

何というオーバーキル。

理不尽な暴力がミツルギを襲う。

決着はもう既についてしまったというのに、それでもなお吉良はミツルギに対し容赦する気なしだ。

徹底的に、完膚なきまでに叩き潰そうとしている。

養豚場の豚を見る様な目…とまではいかないが吉良はミツルギの事を見下す様に見ている。

吉良はアクアたちとは違って普通な人間だと思っていたが、結構異常なタイプの人間かもしれない。

 

「ヨシカゲ!それはやり過ぎだぞ!!決着はもうついたんだ!!」

 

「もうやめて!吉良さん!とっくにミツルギのライフはゼロよ!もう勝負はついたのよ!」

 

言わば死体蹴りとなった状況に俺とダクネスは吉良を止めに入る。

ミツルギがいくら気に食わないからといっても、これは流石にやり過ぎだ。

鼻に付く性格をしているミツルギではあったが、ダクネスもクルセイダーとしてそんな奴でも見過ごす事が出来なかったのだろう。

 

「苛つきが治らなくてね…。普段の感情の起伏が浅い分、苛つきが沸点に達したら抑制が効かなくなってしまう。災いを招く悪い癖だ」

(癖というよりは精神衛生の保守のために行っている心がけだな…)

 

吉良はミツルギの頭を踏みつけるのをやめ、【キラークイーン】を引っ込めた。

穏やかな表情に戻ったが、何処か異常な感じが抜けない。

チートに加え、几帳面でプライドが高いがあまり目立つ行為は好まない性格。

『平穏』な生活のためなら何でもしてしまう。

吉良吉影という男はますます掴み所の無い男だ。

 

「いくら癖だとしてもこれはやり過ぎだ」

 

「やり過ぎだと言われてもねえ…、決闘を申し込むのならこれくらい『覚悟』するのが筋ってもんじゃあないのかね?私はクルセイダーである君みたいに騎士道とか心得てはいないが、『覚悟』も無いのに決闘を挑むんじゃあ相手に払うべき敬意が足りないと思うのだよ。私だって『覚悟』したんだ…。文句は言われる覚えは無い」

(もっとも私が敗北する事などありえないから、『覚悟』なんて無かったがね。こんな小僧に払う敬意など無いということだ)

 

「確かにヨシカゲの言い分は一理ある。だが、ここまでやる必要は無かったはずだ」

 

「だからさっきから謝ってるじゃあないか。反省もしている」

 

「どんな理由があってもあそこまでやってはいけない。だけどストレスが溜まるのも分かる。…だ、だから気分がどうしても落ち着かない時は、是非とも代わりに私にあたってくれ!」

 

「前に言った覚えがあるのだがダクネス、君何か勘違いしてるんじゃあないのかね?」

 

珍しく騎士らしい事を言ったダクネスだったが、やっぱりただのドMだった。

冒険者としての礼儀を重んじるクルセイダーの鏡だと思っていたのは幻想に過ぎなかった。

お前に感心していた俺の気持ちを返せ。

 

「…で君たち、何をジロジロと見ているんだ?見世物じゃあないんだ。用が無いんならさっさと、ここに白目向いて倒れている憐れなソードマスター君を連れて去ってくれ。君たちの仲間なんだろ?」

 

空気と化していたミツルギの連れの美少女二人に吉良は話し掛ける。

苛ついた気分が沈静化して比較的穏やかな雰囲気に戻った吉良ではあるが、やっぱり冷淡で静かな雰囲気の抜けてなさがシリアスな恐怖感をもたらす。

 

「う、うるさいわね!どんな卑怯な手を使ったか知らないけど、正々堂々と戦えばキョウヤは負けないんだから!」

 

「そうよ!キョウヤがこんなに易々と負けるはずなんてないんだから!こんな勝負認めない!」

 

ミツルギは連れの美少女達からの信頼は厚いらしい。

少女たちは反抗的な目で吉良を睨みつける。

 

ナアナアナアナアナアナア!君たち、目ン玉は飾りなのかァ~~~~?

 

動じるどころか、グイグイとミツルギの連れの美少女に詰め寄る吉良。

ちょっと顔が近過ぎる。

少女達と吉良の年齢差も相まって、側からみたら事案が発生している様にしか見えない。

 

「私は正面から決闘に臨んだし、実力だけで勝負したんだ。それが見えなかったとでも言うのかね?」

 

「どうせキョウヤに勝てないからって小細工してたんでしょ!」

 

「そうよ!」

 

「ここまでくると見苦しい言い訳にしか聞こえないな…。私の【キラークイーン】の特殊能力を知らないからと言って、それを小細工扱いするっていうのはお門違いだ」

 

「「何ですって!?」」

 

「それに、私たちの身体能力とか魔法とかは、全てレベルに支配されている。勿論私もそれを実感している」

 

「何が言いたいのよ!」

 

「言いたい事があるなら、はっきり言ったらどうなの?」

 

「ソードマスター君のレベルは30程度だそうだね。それに対して私たちのレベルは10程度だ」

 

「だから何が言いたいのよ!」

 

「まだ分からないかね?卑怯っていうのは、歴然としたレベル差がありながら、私たちに決闘を挑んだソードマスター君の方じゃあないかと言っているのだよ!あァ〜〜〜〜?」

 

吉良は自分が卑怯者だと言われ、かなりムキになっている様だ。

レベル差があったのは確実なんだろうが、これはこれでやってる事が大人気ない気がするのは俺だけだろうか。

転生特典の魔剣をぶっ壊したりとか。

 

「まあまあ吉良さん、落ち着いてください。そんな事より早くギルドにクエスト完了の報告を済ませに行きましょうよ」

 

「……そうだなカズマ。こんなくだらん負け惜しみに付き合うべきではないな。無駄なストレスを溜めるのは良くない事だ」

 

すんなりと吉良が引き下がってくれた。

さっきみたいにまたブチ切れられたら面倒と思っていただけに安心した。

もうブチ切れてんじゃんというツッコミはしてはいけない。

 

「覚えてなさい!次は負けないんだから!」

 

「か、覚悟しておくことね!」

 

美少女二人はミツルギの代わりに捨て台詞を吐くと、気絶したミツルギを連れて去っていった。

吉良はその様子をつまらなさそうに見ていた。

 

「よーし!一件落着した事だし早くクエスト完了の報告を済ませるわよ!」

 

「そして、カズマの奢りでご飯を食べましょう!」

 

「次のクエストに向けて英気を養わなくてはな!」

 

「おい、誰が奢るって言った?」

 

「君が言ったじゃあないか。ま、私にはその必要は無いがね」

 

「言ってないです」

 

アクアに深いトラウマができてしまったり、転生者に絡まれたり、吉良がブチ切れたりと散々な一日だった。

吉良の【キラークイーン】の能力で唯一の転生特典である魔剣グラムを破壊されたミツルギは本当に気の毒だが、内心はざまあみやがれって感じだ。

こうして波乱万丈な一日がまた終わる…はずだった。

あいつ(・・・)がまたやってきた(・・・・・・・・・・・)のだ。




怒涛のジョジョネタラッシュ!!
「だが断る」をこの回を書く前に使ってしまったのは痛感のミスだったわ…。

ミツルギ君については気の毒としか言いようがない()
ドン底から這い上がって新たな力に目覚めるというのは別のお話(があるとは言ってない)
あれ?神器壊すとかさりげなくヤバい事やってね?


吉良めぐみんその②

めぐみん「アクア、ダクネス…、美しい手をした女だ」

カズマ アクア ダクネス「「「衛兵さん、コイツです」」」

めぐみん「フフフ…なんというか…その…ぼっ…」

カズマ「やめろおおおお!お前が言うと色々ヤバい!!」
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