ロアナプラから来た男   作:天膳桜

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評価とお気に入りが跳ね上がりスギィ!


バスジャック

男子寮、キンジの部屋。

そこにアリア、キンジ、レキ、そして俺が集まっていた。

 

「まぁ、結論から言えば俺とアリアはパートナーにはなれねえな」

 

「はぁ? お前、アリアに真正面から勝ってたじゃねーか」

 

キンジは自分の代わりに俺をアリアのパートナーにしようとしていたから焦るのは無理もない。

 

「アリアの技術はまさに正道。血の滲む鍛錬と才能、精神の高潔さがあるからこその強さだ。対して俺は邪道。セオリーから外れるのは当たり前、相手を貶め、蹴り落とす技術。これじゃ、どちらかが相手に合わせなけりゃならん。それで共倒れか? そりゃジーザスも呆れ果てる結末だろうよ」

 

「確かに、極限状態でその齟齬は致命的な失態を及ぼすわね」

 

オーケイ、アリアは納得した様だな。

 

「それならリクが俺とパーティ組んでやれてた理由がわからん」

 

「そりゃ、簡単だ。お前が中間で柔軟なんだよ。正道にも邪道にも傾いて戦うオールラウンダーだからな」

 

ここでさらにキンジに嫌がらせをしておくか。

 

「なんたって俺とレキを華麗に纏めて一年間、戦い抜いたんだぜ? リーダー様よ。お前以上に他人に合わせ、他人の力を引き出せる奴なんていないね。なぁ、レキ」

 

「はい、キンジさんは素晴らしい素質を秘めています」

 

そう、ここで俺とレキがキンジを評価しまくればオーケー。

 

「キンジ、あんたやっぱり凄かったのね!」

 

アリアを打倒した俺。

レキもアリアからかなり評価されている。

 

「え? は? いや、ちょっと待て。リク、お前まさか!」

 

「やっぱりキンジはフロントバックがいいかしら? それとも・・・?」

 

こんな二人の推薦だから間違いないだろうと言う印象をアリアに与える事ができる。

特にレキは嘘はつかねえからな。

 

「さぁ、レキよ。後は若い奴らに任せようぜ。未来のパートナー二人にな。ついでにカロリーメイトをダースで買ってやるぜ。お姫様から報酬も受け取ったしな」

 

「はい、リク」

 

「待て、待ってくれ! リーダー命令だ!」

 

おいおい、キンジ何言ってんだ。

 

「チームの解散を言い出したのはお前だぜ、キンジ。たまには自力で解決しろ。俺はお前のケツ拭き係じゃねーんだからな」

 

絶望したキンジの顔に大爆笑しながらドアを閉め、レキを引き連れて足早に男子寮から抜け出した。

 

「リク、よかったのですか?」

 

「何がだよ、ポンコツ感情ウーマン」

 

「キンジさんです。何故アリアさんと組ませる様にしたんですか」

 

流石にわかってるか。

ま、一年間同じチームでやって来たんだ分かるよな。

 

「はっ。キンジは、お前以外の女を怖がっているよな。その悪癖を修正しないといずれ苦労する。そんな時、丁度よくアリアと言う女が現れた。なら利用するに限るだろ? アリアはキンジと言う有能なパートナーが手に入る訳だしな。誰も損はしねえ」

 

しばらくレキは俺を見上げた後、また前を向いた。

ほんの少しだけレキは笑っている様な気が。

 

正面から顔をまじまじと眺めるが変化は無い。

気のせいか?

 

「? 早く、カロリーメイトを買いに行きましょう」

 

「あいよ」

 

無表情。

レキが感情を手に入れる日はくるのかねえ。

 

 

アリアと模擬戦をした次の日。

俺は装備科の一室を訪れていた。

 

「アヤはいるかー?」

 

「いますのだー!」

 

走って来るのはアリアと同じくらい背が低い、女の子。

 

「リクくんなのだー! 今日のご用件はなんですのだ?」

 

平賀文。

同じクラスの女の子であり、装備科の天才児。

しかし、違法改造や料金の嵩マシによりランクはAと言う残念な奴だ。

 

しかし、腕はピカイチ。

面白いから、相当贔屓にしている。

 

「東洋のエジソン様、カトラスの調整と弾丸補充してくれ。あとは面白い商品入ってたら買うぜ」

 

「はいはいー、それならコレがおススメなのだ! 煙幕弾!」

 

アヤが手に持っているのは普通の弾丸とほぼ変わらない。

 

「殺傷性はないけど、これを撃つとこの部屋一面くらいに煙幕を貼れるスグレモノですのだ!」

 

煙幕手榴弾みたいなもんか。

 

「作ったのか。煙幕の種類は?」

 

「赤リンで煙幕を作ってるから熱系の映像機器もシャットできるようになっていますだ!」

 

発煙手榴弾よりコンパクト。

銃で使えるし、何より面白い。

これは買いだな。

 

「オーケイ、買った。あるだけ貰おう」

 

「わーい、リクくんありがとうなのだ! 作ったはいいけど煙幕手榴弾でいいって跳ね除けられたから全然売れてなかったですのだ!」

 

アヤは小躍りしながら、注文の品を集め始めた。

 

アヤから商品と特に異常は無かったカトラスを受け取り男子寮に戻ると巫女服の女がしずしずと歩いている。

 

「白雪。またキンジの部屋か?」

 

「あ、岡島くん。そうだよ」

 

星伽白雪。

キンジの幼馴染であり巫女。

学園の生徒会長もしているらしい。

所属はSSR(超能力捜査研究科)と言う学科だった筈。

 

SSRは読んで字の如く、超能力(ステルス)を捜査に役立てる学科。

 

まぁ、ロアナプラにもどんな戦場に出ようと銃を一発も撃たずに生還する魔術師がいるからな。

 

アレも超能力だろうよ。

 

「白雪は美人なのに、キンジが振り向かない理由がわからない」

 

「そ、そう? キンちゃん様にそう伝えてくれたの?」

 

こいつは恋愛の猛獣だ。

完全にキンジに対して病んでいる部分がある。

 

一度、レキとキンジの関係を勘違いしてマシンガンで特攻してきた事もあった。

 

ランボーだって、まだ紳士的だぞ。

 

「あー、伝えておくよ。じゃあな」

 

「あ、岡島くん。私の占に出てたんだけど今日はお酒飲まない方がいいって」

 

白雪の占いは的中率九割を超える化け物。

キンジとパーティを組んでからしばらくして白雪は俺とレキの占いもキンジの序でにしてくれる事があった。

 

「おう、ありがとよ」

 

この占いを軽視したキンジがどれだけ痛い目を見てきたか俺は覚えている。

 

白雪の忠告に従い酒は飲まずに寝床に入った。

 

 

『リク! あんた今どこにいるの!』

 

けたたましく鳴り響く、アラートに目を覚まして出れば血相を変えたアリアの声。

 

「どうした、キンジがゾンビにでもなったのか?」

 

軽口を叩く間も防弾制服とカトラス、ナイフを装備して行く。

 

『バカ! 縁起でもないわ! 事件よ!

アンタも協力しなさい!依頼料はしっかりと支払うから!』

 

なるほど。

白雪め、流石だな。

こりゃ、飲んでなくて正解。

 

「オーケイ、こいつは繋いだままにしておく状況説明頼むぜ」

 

 

バスジャック。

人工音声と爆弾による遠隔。

しかも、スピードを落とす事が出来ない。

 

一連の情報から『武偵殺し』の犯行が濃厚と。

 

「武藤の奴がバスに乗ってるんなら最高だな。ヘリはお前らに任せるぜ」

 

俺は駐車場に向かい、ちょいと借りる事にしよう。

 

「キーは無いがそんなもん技術で補えるんだ。日本人はどうにも防犯意識が低いぜ」

 

俺も前世と今世半分は日本人だが。

 

武藤が所持しているバイク。

BMW・K1200R。

 

「アイツは乗り物に関してはイカした趣味してるぜ」

 

その大型バイクに嵌められていた錠をカトラスで破壊し、キーの部分に軽く細工をしてやれば・・・。

 

世界最強のエンジンを搭載したモンスターマシンは息を吐き出した。

 

「アリア、こっちは陸路で向かう。キンジの時みたく陸から機関銃が来るかもしれねえしな」

 

『了解したわ! こっちも今から行くわよ! 』

 

バスの現在地は学園島を一周した後、青海南橋を渡るらしい。

 

先回りする形で台場に向かうとヘリとその先を行くバスが見えてきた。

 

「反対車線か、度胸と技術で何とかならァ!」

 

中央分離帯にウィリーしながら突っ込み、エンジンの馬力に任せて反対車線へと飛び出した。

 

バスの後ろから海側の横につけて並走するが、相当人数が乗ってるのが見える。

 

「おい、リクじゃねーか!」

 

窓から顔を出した不細工は武藤だな。

 

「よう、 ハッピーか? パーティチケットはあるかい?」

 

「うるせえ、轢いてやるぞ! しかも、お前そのバイク俺のじゃねえか! いくらしたと思ったんだ!?」

 

極度の緊張といつ死ぬかわからない恐怖に半ばパニックになっている様だな。

 

「人命優先、非常事態だ! 後、武藤おいでなすったぜ? 急いで全員に頭下げさせな!」

 

「お、おう!」

 

ミラーには人の乗っていない赤のスポーツカーが近づいて来てやがる。

 

ダン!ダン!

 

ハンドルから手を放し、ブリッジの様な体勢でカトラスから弾を放つ。

 

タイヤを撃ち抜いたが止まる気配が無い。

それどころかスピードは増している。

 

「防弾繊維タイヤかよ、面倒くせえ!」

 

他の部分も防弾だろうな。

 

俺が放った弾丸に呼応するかの様に後部座席から機関銃、UZIが迫り上がる。

 

「やっべ」

 

カトラスを納め、ハンドルを握る。

急いで体重を傾け、バスから離れると数秒も立たずに俺が居た空間を弾丸が蜂の巣にして行く。

 

「武藤! バイクは買い直してやるから諦めろ!」

 

「おい、何するつもりだお前!?」

 

武藤に形だけの謝罪をしてからエンジンを最大で方向転換をする。

 

向かうはスポーツカーだ。

 

コロンビア式メイド筋力でバイクから振り下ろされない様にするが途方も無いGが掛かる。

 

酒飲んでたら吐いてるぞ、くそったれ。

 

「さぁ、一騎打ちだぜ!」

 

目の前から迫って来るはスポーツカー。

 

その後部座席から襲い来る弾丸はバイク、俺の体に降り注ぐ。

 

顔面に飛んでくる弾は切る。

 

「シャア!」

 

左手で抜いたナイフを弾の軌道に入れ斜めに差し込む。

 

刹那、しっかりとナイフに感覚が伝わる。

 

弾は真っ二つに割れ、破片が頬をかすめて行く。

 

だが、修羅場は乗り越えた。

 

バイクはボンネットを踏み台にし、飛び上がる。

 

「オラァ!」

 

機関銃を銃座もろともにひしゃげさせて武藤のバイクは海へと落下した。

 

バイクを手放した俺は後部座席に叩きつけられる。

 

「気分はゴーストライダーだ、クソったれ」

 

俺は潰れた機関銃の横に深く腰かけて速度が落ちてきた、スポーツカーからキンジ達がバスに降り立つのを見ていた。

 

頬から流れる血をぬぐい、斬鉄と銃弾切りを教えてくれた銀二さんに今度聞いてみるか。

 

「チャカとか言う小物を殺した時以来久々にしたが及第点ですよね・・・」

 

ついでに思い返すのは唐突に怖い話大会を始めたり漫才したりする、組長なんだが。

 

 

しばらく車に揺られて居ると携帯にアリアからの連絡が来る。

 

「よう、こっちは最高にエキサイティングだったぜ。そっちはバスが月まで吹っ飛んで無いか?」

 

『なにそれ? こっちは何の妨害もなく、クリアしたわ。リクお疲れ様』

 

「あいよ、じゃあ、現在地まで迎え寄越してくれ」

 

完全にスポーツカーは動きが止まりエンジンから煙が吹き上がる。

 

「こいつにも爆弾が仕掛けられてなくて良かった、イテテ」

 

身体を機関銃でマッサージされちまったからな。

 

動けない訳では無いが少しだるい。

 

 

「迎えが来るまでタバコの一つでも吸いたい所だ」

 

口寂しい思いをしながらアリア達の迎えを待つのであった。

 

 

 




こう、いずれキャラクターの主人公への評価とか書くのも面白そうです。
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