・この作品は、星のカービィの二次創作作品です。
・pixivに投稿したものを修正して投稿しています。
・オリジナル設定、パロディ要素を多く含みます。
・ゲーム、アニメ、文庫版の世界観がごちゃ混ぜになる場合があります。
・戦闘シーンや冒険はほとんどありません。
あらかじめご了承のうえ、お楽しみください!
ここは、とても綺麗な海が目の前に広がる白い砂浜。カービィたちは楽しく泳いだり甲羅干しをしたり・・・していなかった。というのも、実はここ、リゾート地ではないのである。
事は前日の朝にさかのぼる。
カービィたちは、ワドルディの招待でプププシティ外れの港に来ていた。先日のグランプリレースの賞金でポップスターの南に浮かぶリゾート地、ポポポアイランズに向かうことになったのだ。
アカービィ「うぉーー!」
カービィ「・・・でっかい!クジラよりでっかい!」
カービィは初めて目の前で見る豪華客船に圧倒されている。
アドレーヌ「こんなすてきな船に乗れるなんて夢みたい。」
リボン「感激ですーー!」
アオービィ(こんなすてきな船でカービィと旅行できるなんて・・・。)
当然みんなのテンションも高い。みんなが乗る船が、完成したばかりで今回が初めての航海となる豪華客船、プププダイナミック号だからだ。
ワドルディ「せっかくの賞金だから、みんなで旅行に行こうと思って。そしたら、この船の団体格安チケットが手に入ったんだ。」
キービィ「いやー、ワドルディ!招待してくれてありがとう!」
シノビィ「でも、パービィさんも来れば良かったのに・・・。」
アドレーヌ「そんなガラじゃないでしょ。」
パービィは、「強い直射日光は苦手だ。ついでにオレサマにゃ会社の会議があるから。」と言って、旅行には参加していない。
シービィ「・・・さて、各自客室に荷物を置くぞ。貴重品は俺に預けるように。」
シービィに続いてカービィたちも乗船。客室はホテルの部屋のようで、カービィはふかふかのベッドに大喜びだ。
しばらくして、プププダイナミック号は華々しく最初の航海に出航した。
船内には、劇場やプールなどさまざまな設備があり、みんな思い思いに楽しんでいた。
昼下がり頃、船内アナウンスが流れた。
アナウンス「ご乗船のお客さまに連絡します。これより、劇場にてカラオケ大会を開催いたします。参加をご希望の方は、劇場へお越しください。」
カラオケ大会が開催される。せっかくのイベントだから観覧に行こうということで、カービィたちも劇場に集合。
リボン「カラオケ大会ですかー。楽しみですね。」
アオービィ「アイドルとして活躍してるリボンちゃんなら、優勝間違いなしね!」
キービィ「僕だって、優勝をねらうぞ!」
シノビィ「そう言えば、アカービィさんがいませんね?」
シービィ「まだスポーツジムにいるんだろう?」
アドレーヌ「それに、アカービィに歌わせたらコピー能力なしでも恐ろしいわ。」
カービィ「アカービィが歌い出したら死んじゃうよー。」
そんなやり取りの後、エントリーが終了し、カラオケ大会が始まった。
司会「さあ、始まりましたカラオケ大会!トップバッターはこの人だあ!」
紹介され出てきたのは、かっこいいコスチュームに身を包んだ少年。カービィたちと同い年くらいだ。
カービィ「かっこいい衣装だね。」
アドレーヌ「・・・?どこかでみたような?」
ワドルディ「・・・ねえ、ボクなんだか嫌な予感が。」
キービィ「・・・右に同じく。」
ワドルディの嫌な予感は見事に的中した。
少年「一番、アカービィ歌います!」
シービィ「やばい!ふせろ!」
アカービィ「「「かぁーあびぃぃい!!!ゆぅめぇのたぁぁぁんばりぃぃぃいん!ならぁぁしはぁじめよぅおお、いぃますぅぅぅうぐぅぅぅぅー!!!」」」
曲が始まったとたん、みんな苦しみはじめた。それだけならまだよかったかもしれない。船がズンズンと揺れ、ビシビシッという音が響いた。
しばらくして、船長とみられる男が駆け込んできた。
船長「大変です!船体にヒビが入りました!水がどんどん入ってきて、この船はまもなく沈みます!」
カービィ「えぇーーっ!?」
アカービィの歌声で船体にヒビが入ったのだ。
・・・後の調査で、プププダイナミック号の船体は手抜きされて鉄板が脆くなっており、そこにアカービィの歌声で船体にヒビが入ったことがわかるのだが、カービィたちの知るよしはなかった。
さて、船が沈むとあって乗客も大騒ぎ。一斉に甲板に走り出した。
カービィたちも苦しみながらどうにかアカービィを止め、荷物を取って甲板へ向かったのだが、彼を止めるのに時間をとられてしまい、備え付けられていた救命ボートは全て満員になってしまった。
キービィ「どうしよう!僕たち助からないの?」
アオービィ「そんな!まだカービィとやりたいことがまだまだたくさんあるのに!」
アカービィ「おい、何だって船が沈んでんだ!?おい!」
アドレーヌ「あんたのせいでしょーが!!」
そうこうしていると、ついに船体が傾き始めた。
シノビィ「どうにか助かる方法は・・・。」
アオービィ「いやだぁぁ!カービィ助けてぇー!」
シービィ「・・・!そうだ!」
シービィは貴重品袋からコピーキャンディーを取り出した。
シービィ「カービィ!海に飛び込め!」
カービィ「えっ!?わ、わかった!」
カービィは海に飛び込み、水面に浮かび上がった。
シービィ「よし!口を開けろ!こいつを吸い込むんだ!」
シービィが投げたのは、風船の模様が描かれたキャンディー。コピー能力『バルーン』のキャンディーだ。
吸い込んだカービィは、たちまち何倍もの大きさに膨らんだ。
シービィ「みんな、カービィの口の中に飛び込め!」
カービィ「そっか!ぼくが救命ボートの代わりになるんだね!」
アドレーヌ「えいっ!」
シノビィ「はっ!」
キービィ「くっ!」
全員意を決してカービィの口の中に飛び込んだ。
アドレーヌ「ふう・・・。シービィ、荷物もみんなも無事よ。でも、これからどうするの?」
シービィ「カービィ、島は見えるか?」
カービィ「えーっと・・・ダメだ。みえない。それに、波が強くてこの体勢じゃあとても泳げそうにないよ!」
シービィ「・・・そうか。仕方がない。落ち着くまで口に邪魔させてもらうぞ。」
アカービィ「食うんじゃねえぞ!」
こうしてカービィたちは大海原をさまよい、次の日の朝、無人島に漂着したのだ。漂着したバルーンカービィの口の中から、みんなが這い出てきた。
アドレーヌ「うぅ・・・みんな、大丈夫?」
アカービィ「まだ身体がフラフラするぜ。」
リボン「喉が乾きましたぁ。」
カービィ「まだ波に揺られてるみたい~。目が回る・・・。」
全員を口の中に乗せて一晩中漂流したカービィ。流石にフラフラである。みんなが這い出た時にバルーンの能力も切れ、地面に突っ伏したままだ。
シービィ「・・・携帯通信機が生きてるが、どうやらここは無人島らしい・・・。電話が繋がるかどうか・・・。」
ワドルディ「・・・とにかく、まずはここを拠点に食料を確保しよう。アドレーヌはリボンちゃん、シノビィと森に食料を探しに行って。ボクは火を起こすよ。」
キービィ「コピーキャンディーのファイアをつかえばどうだ?」
アオービィ「それが、脱出のどさくさでキャンディーが海に落ちたみたいなの。」
アドレーヌ「それは厄介ね・・・。」
ワドルディ「キービィとアカービィは魚を捕まえて。アオービィとカービィは飲み水を探して。」
シービィ「俺は何をすればいい?」
ワドルディ「もし通話が繋がったら、メタナイト卿に連絡して助けをよんで。あとは、拠点に残って指示を出してくれると助かるな。」
シービィ「了解した。」
ワドルディ「みんな、くれぐれも一人で行動しないでね!何が潜んでるか分からないから!」
的確に指示を出すワドルディ。デデデ大王の命令でサバイバル訓練をうけたことがあり、サバイバルの知識がある程度あるのだ。
みんなは早速、それぞれの役割に向かった。シービィも携帯通信機で連絡を試みる。
パービィ開発の通信システムを使っているため、無人島でも繋がるはずなのだが・・・。
シービィ「頼む、繋がってくれよ・・・。」
メタナイト『こちらメタナイト。どうしたのだシービィ中佐。君から私に連絡とは珍しい。』
シービィ「良かった、繋がったか!・・・プププダイナミック号が沈没して、カービィたちと無人島に漂着してしまったんだ。すまないが救援を要請する。」
メタナイト『なるほど、了解だ。通信機の電源を可能な限りいれておいてくれ。座標を割り出して救助に向かう。』
そう言ってメタナイトは通信を切断した。これで救助が来るのは確実となった。あとは救助まで生き延びるだけだ。
アドレーヌ「シノちゃん。この木の実は食べられるかしら?」
シノビィ「はい!それは焼いて食べると美味しいんですよ。」
リボン「シノビィさん。この山芋のようなのはどうですか?」
シノビィ「あ、それはだめです!『くわずいも』と言って、毒がある危ないものなんです。」
リボン「ひえっ!危うく収穫してしまうところでした・・・。」
森では、シノビィが食べられるものを選びながら着実に食料が集まっていた。
砂浜では、キービィが流れ着いた流木を使って釣竿と釣り針を作り、アカービィと魚の確保をしようとしていた。
アカービィ「どっちがたくさん釣れるか勝負だ!」
キービィ「よし!負けないぞ!」
・・・協力というより勝負になってしまっているが、この調子なら食料には困らないだろう。
火起こしも、すんなり火がついた。ワドルディが薪をつぎたしながら火の管理をしている。
時間がかかったのは水の確保だ。アオービィとカービィは、地面に穴を掘り、荷物に入っていたビニール袋と紙コップを使った仕掛けや火を使い、海水を水に変えようとしているのだが、全員分となると仕掛けが大量に必要な上、真水になるのに時間がかかるのだ。
カービィ「アオービィ大丈夫?ずっと作業してるし、日陰でやすんだら?」
アオービィ「大丈夫だよ。カービィがいてくれるから。」
カービィ「・・・ぼくが?」
アオービィ「うん。カービィがそばにいるだけで元気がでてくるの。それにあたし、いつもカービィに助けられてるから、あたしも頑張らないと。」
カービィ「ふーん。無理はしないでね?」
そして夕方。みんながそれぞれ成果を持って拠点に集まった。
シノビィ「見てください!美味しそうな果物がたくさん採れました!」
森の食料班は、リュックから溢れそうなほどの果物を見つけていた。
アカービィ「オレ達も大漁だぜ!」
キービィ「ちぇっ、一匹負けた・・・。」
アカービィとキービィは、海遊び用に持って来ていたバケツにたくさんの魚を釣っていた。早速串に刺して火で焼いていく。
カービィ「水もたっぷりだよー!」
カービィたちは、一夜を乗り切るには充分過ぎる量の水の確保に成功していた。
そして、無人島でのディナータイムの始まりだ。
メニューは焼き魚と焼き木の実。調味料は一切なしの料理だが、必死で集めた食料は、とても美味しかった。
カービィ「はぁー。・・・美味しかったー!」
アカービィ「満腹だぜ!」
シービィ「・・・さあ、確保した薪をどんどんくべろ。一晩は火を燃やし続けるんだ。」
アドレーヌ「それにしても、大変なことになっちゃったね・・・。」
リボン「ほんとなら、今頃船のベッドでぐっすり寝ていたんですよね・・・。」
ワドルディ「ポポポアイランズ、楽しみだなぁって、みんなで語りあっていたんだろうね・・・。」
みんな「「「はぁー・・・・・・。」」」
辺りを静寂が包んだ。波の音と、炎のパチパチという音だけが聞こえる。
そして静寂の中、カービィたちはいつの間にやら夢の世界へと誘われていった。
・・・どのくらい眠っただろうか。波とも炎の燃える音とも違うゴォォォッという音が聞こえてきた。カービィたちが目を覚ますと、朝日が昇ってきていた。上空を見ると、巨大なウィングに沢山の大砲がついた巨大な戦艦が浮かんでいた。それはゆっくりと高度を下げ、島の少し沖に着水した。独特の仮面を模した装飾。間違いない。メタナイトの戦艦、ハルバードだ。すぐにボートが出され、メタナイトと部下のソードとブレイドがやってきた。
ソード「ご無事で!?」
カービィ「メタナイト!ソードにブレイドも!」
アドレーヌ「た、助かったぁ・・・。」
メタナイト「遅くなってすまない。位置情報の解析に思いの外時間がかかってしまってな。」
ブレイド「さあ、乗ってください。プププランドに帰りましょう!」
こうしてカービィたちはハルバードに乗り込み、無事プププランドに帰りついた。リゾート地には行けなかったけど、今回の経験は彼らをすこし成長させることになっただろう。
その証拠にカービィたちは、普段の生活がどれほど幸せかを実感することができたと、この出来事を振り返るのだった。
おしまい