デスボールがムーツを呑み込み、この星を破壊するまで最早秒読み段階となっていた。
「そろそろ限界のようですねぇ、私をここまで追い詰めたのは貴方が初めてです。その誇りを胸に死になさい!」
「わ、私は…」
その時、この戦場から最も近い村の若者がムーツの元に駆け付けた。
「我々を使え!ムーツ」
「なっ、よせ!お前らは避難するんだ!死ぬのは私だけでいい!」
「なぁに、今のナメック星にこの星を逃げる宇宙船は存在しない。それならここで子供達の為に無くなっても構わないさ!」
一人、二人とムーツに融合していく。
「お前達…この恩、この気持ちを俺の体の中で感じてくれ!」
デスボールが押し返され始めた。まだ呑み込まれる危険が無くなった程度に過ぎないが確実に押し返した。
「私も行くぞ!」
「私もだ!」
続々と集まるナメック星人の若者達、皆ムーツの背中に手をかざし
「ど、どういうことですか!わ、私のデスボールが…押し返されていく!?」
「お前にはわかるまい!自らの人生を引き換えに嫌われ者の私に力を託してくれたナメック星人の魂が!」
「あんな雑魚共の力で…わたくしに勝てるというのですか!」
「今見せてやる!我々ナメック星人の怒りをぉぉ!」
デスボールはフリーザの元に押し戻されて行った。グングンと速度を増してフリーザに接近するデスボール、今のムーツの力は完全にフリーザを上回っていた。
「畜生!こんなことがあっていいわけありません!このわたくしが敗れるなどとぉぉ!」
それが、フリーザの最後の言葉だった。デスボールに呑み込まれたフリーザは跡形もなく消えた。
戦いは終わり、ムーツは今生きているナメック星人が全員集まった村に、孫悟空等と共に移動した。
「ムーツ、この星を救ってくれてありがとう。お主は間違いなく親を越した伝説の英雄だ」
周りをナメック星人と異星人が囲むなか、ムーツは初めて人に感謝された。今まで孤独と共に生きてきた人生の中で、初めて人を笑顔にすることごできたのだった。
ムーリが他のナメック星人を代表してムーツに感謝の言葉を言った。
その言葉のあと、皆からの拍手を受けたムーツは
「いいえ、私こそ皆の力がなければとうに死んでいました。こちらこそ感謝します」
そう言い残し恥ずかしくなったのか、また一人で何処かへと飛んで行った。
「“私”か、…ところで孫悟飯君でしたかな?」
宇宙船と共にこちらに移動してきた孫悟空等のことをムーツ達はまだあまり知らない。ブルマは既に宇宙船の中で帰る準備をしている。
「またいつか来てください。貴殿方にもまた今度改めてお礼がしたいので」
「いえ、僕達はそんな…」
「遠慮なさらずに、確かクリリンさんを生き返らせるにはうちのドラゴンボールが必要なのでしたね?」
「はい、でももうドラゴンボールは…」
「最長老はわたくしムーリが引き継ぎました。ドラゴンボールもそのうち復活させますので、その時に来てください」
「わぁ!本当ですか!」
「本当だとも、さあお連れの方がお待ちのようですしもう行きなさい」
「はい、さよならムーリさん!デンデ、また今度ね!」
「はい!悟飯さんもお元気で!」
こうして、ナメック星に、平和が訪れた。
その後孫悟空達がどうなったかはわからないが、クリリンを生き返らせるために一度立ち寄ったことは確かだった。
「こぉぉの俺を忘れるなぁぁぁ!」
話の場外で叫んでいるのはベジータである。ムーツに殴られたあと治療用カプセルで回復していたベジータだったのだが、自分の治療が終わった頃には全てが終わっていたのだった。
帰る場所もないベジータは、孫悟空を追いかけフリーザの宇宙船の近くにあったギニュー特戦隊のポッドに乗って行ったと聞く…