ロベルト(偽)がオラリオに。   作:ゴゴゴゴマダレ

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第三話 ミノタウロス

 

 

 どうしてこうなったんだろう。

 

 ロキ・ファミリアの一員と胸を張って言えるようになる。という決意をしてから数日後。僕はダンジョン内で、巨大な図体を持つ『ミノタウロス 』と対峙していた。エイナさんからミノタウロスのことは聞いているし、出現する層も伝えられていたため、まだ自分にはあまり関係のないことだと思っていた。

 

 ミノタウロス。出現層は15階層から。

 そのはずなのに、何故このミノタウロスは5層に(・・)いるのだろう。

 

「あ、あの」

 

 ミノタウロスを唖然と見ていると、後ろから声をかけられる。声をかけた人物はそのまま僕の横に並び、ミノタウロスを見ながら剣を構えた。

 

「僕も一緒に戦います」

 

 少年は体の震えを隠さず、それでも僕を見てそう言った。

 

 なんて決意に溢れた目をしてるんだ。

 

 少年は深紅の瞳を爛々と輝かせていた。

 僕と同じく恐怖という感情も孕みながらも、その瞳はしっかりとミノタウロスを捉えていた。

 

「えぇ。一緒に戦いましょう」

「…ッ、はいッ!」

 

 同じLv1のこの子がミノタウロスと戦うというなら、強くなると誓った自分は余計に戦うべきだ。ミノタウロスなんかに負けている様子じゃ、ロキ・ファミリアの足手まといだ。

 

 普段目にしてこなかった圧倒的な格上との対峙に、昨日固く決意したはずのモノが崩れさろうとしていたが、この少年のおかげでそれを崩さずにいられた。

 

 剣を構える。

 少しでもいい。奴に傷を。

 

『ブモオオオオオオオ!!!』

 

 そしてミノタウロスの咆哮が戦闘開始の合図になったその時、

 僕はエイナさんの言葉が脳裏によぎっていた。

 

 

 ***

 

 ロベルトと同じくロキ・ファミリアに所属している冒険者である、アイズ・ヴァレンシュタインは自らたちが取り逃がし、上層へと逃げていったミノタウロスたちを追いかけていた。

 ミノタウロスの指定Lvは2だ。それを駆け出しの冒険者たちがいる上層で放っておけば、悲惨な結果になることが予想できる。

 

「……っ」

 

 アイズは最悪な状況を考えた。自分たちのせいで、大勢の冒険者たちが死ぬ最悪な状況を。

 

 アイズはそれを頭に浮かべた途端、十分に早かったスピードをもう一段階上げる。出来るだけ被害を抑えなきゃ。アイズはその一心で走り続けていた。

 

 

 ミノタウロスは5層の4層へと上がる階段の近くにいた。アイズはミノタウロスと、それを何とか倒そうと戦っている二人組みを遠くから見つけ急ぎ、二人の元へ向かった。

 

 二人の元へついたアイズは、助けようと腰に携えていたサーベルを抜きながらミノタウロスを倒そうとしたが、既のところでその手を止めた。それはなぜか。

 

 駆け出し冒険者の、Lv1の人達がミノタウロス相手に苦戦しながらも渡り合えていたからだ。

 

 善戦、とまでは行かないが押されているのはミノタウロスではないかと思うほど、彼らはミノタウロスと渡り合えていたのだ。

 

「あの子達…Lv1だよね…」

 

 その光景を信じられなかったアイズは思わず思っていたことをそのまま吐き出していた。それもそうだろう。元よりLv1とLv2とでは、まるで差が違うのだ。本来ならば、苦戦する間もなく瞬殺されるのが普通なのに、彼らはヒット&アウェイを繰り返し少しずつミノタウロスへ傷を負わせていた。

 

 そのままミノタウロスは彼らが倒してしまうのではないか、アイズはそう思ってサーベルを収めようとするが、やはり二人は駆け出しの冒険者、何とか渡り合えていたのが体力の消耗のせいか徐々にミノタウロスの方が善戦になっていく。

 

 アイズは凄い、と心の中で二人の冒険者を賛辞しながらサーベルをゆらりと構えた。

 

「【目覚めよ(テンペスト)】」

 

 アイズはその魔法を唱えると、身体に風を纏った。

 そしてミノタウロスへと一気に近づこうとする。

 

 

「ダメだッ!」

 

 が、それはミノタウロスたちと戦っていた少年の一人に止められてしまう。止めた方はロベルトだった。もう一人の白髪の少年の方も声は上げずとも同じ気持ちなのかミノタウロスから一時も目を離さず、睨み続けている。

 

「こいつは僕らがやる」

 

 その強い視線にアイズは何も言えないまま、風を解いた。アイズは、強くなりたいという少年たちの思いを肌で感じていた。

 溢れ出る闘気、流れ出る血、痛みで立ってるのもやっとの身体で少年たちは尚も諦めず、ミノタウロス相手に勝とうとしていた。

 

「ベルッ!」

 

 ロベルトが声を上げる。

 それに、ベルと呼ばれた白髪の少年の方が答えた。

 

「ハァッ!」

 

 ベルが力強く吼えながら、ミノタウロスの腕へ斬りかかる。

 だが、ベルは駆け出し冒険者。武器だって一級品のものなんかじゃなく、安値で買える物。ミノタウロスの腕を斬り落とすまでには行かなかった。

 

 ミノタウロスは斬られた腕じゃない方をベルへと振るった。巨大な身体から猛烈な速度で繰り出されるその一撃はベルを簡単に葬りさる威力がある。

 ベルはミノタウロスの腕が自分へ近づいてくる様子を、ただ呆然と見ていた。

 

「ベル!そのまま少し右にずれろ!」

 

 ロベルト叫ぶような声でハッとするベル。ベルはロベルトの指示に従い、身体を無理やり捻り右へずらした。

 

「行くぞ」

 

 ロベルトは空振ったミノタウロスの腕を睨みながら、腕に向かって手をかざす。

 

「【一ツ星神器】」

 

 強大な魔力。Lv1が魔法自体使えることが難しいのに、ロベルトはLv2程の魔力を出していた。魔力を限界まで使い、一発で倒すつもりなのか。

 アイズは何もせず、ただただロベルトを見ていた。

 

 

「【———(くろがね)ッ!】」

 

 そして放たれる、巨大な弾。

 黒く巨大な弾はダンジョンの地面を剥がし、ミノタウロスの元へ向かっていく。

 

『ブモオオオオオ!!』

 

 ミノタウロスも逃げるという選択肢を放り棄て、その弾を受け止める。

 

『ブモオオオッ!?』

 

 ミノタウロスは受けた弾を見て、驚愕したように見えた。

 

 そしてそのミノタウロスの表情を見たのが最後、弾は爆発し、ミノタウロスはその爆発により受け止めた右腕を消し飛ばしていた。

 

 

 

 ミノタウロスは自分の状況を確認したのか、怒りながらロベルトへと突進しようとしていた。

 だが、それを見ていたアイズはサーベルを素早く抜き、ミノタウロス を一気に斬り刻む。

 

「ぁ…」

 

 小さく声を出したのはどちらだったのだろう。

 

「凄かった…」

 

 アイズは小さく笑みを浮かべながら、二人へと近づいた。

 

 

 

 ***

 

「あの、ありがとうございました!」

「助かりました」

 

 ベルが興奮した様子でお礼を言ったのに習い、僕もお礼をする。本当にこの人が助けてくれなかったらミノタウロスから殺されていた。本当に助かった。

 

「あの、名前は?」

「アイズ。アイズ・ヴァレンシュタイン」

「アイズさんですね!」

 

 キラキラと音が鳴りそうなほど目を輝かせてベルがアイズを見つめる。

 

「うん、二人とも凄かった」

 

 アイズさんは素直に褒めてくれているだろうが、僕にとってはあまり嬉しい言葉ではなかった。ベルは、その言葉に大層喜んでいるが、僕は自分の力の無さを痛感してしまった。

 

 あの時、もしアイズさんが来ていなかったら?

 答えは十中八九、ミノタウロスから二人とも殺されていただろう。

 

「遠いなぁ…」

 

 一級冒険者の強さを見せつけられ、その遠さに思わず声に出してしまう。

 

「ん、何か言った…?」

「あ、いや何でもないですよ。それより、本当助けてくださりありがとうございました」

「ううん、元々あのミノタウロスは私達が取り逃した魔物だから…お礼を言う必要はない…」

「それでもです」

 

 アイズさんは困ったように笑った。

 ベルはそんなアイズさんを見て、更に頬を赤くしているようだ。どっちが女か分からないな。

 

「おいアイズー!?」

 

 アイズさんの後ろの方向からアイズさんを呼ぶ声がした。

 アイズさんの仲間も来たことだし、僕もこの辺で帰ろうかな。

 

「じゃあ、僕は帰りますね。ミノタウロスとの戦闘でかなり疲れましたし、ベルもありがとうね」

「ううん!僕の方こそありがとう!ロベルトがいなかったら多分死んでたと思うし」

「アイズさんも、何回も言いますが、本当にありがとうございました」

「うん…気をつけてね…」

 

 

 

 その日、ファミリアのホームでまたアイズさんたちと会い、ファミリアが同じだと言うことに驚くのは、その後のことだ。

 

 

 




ベル君が強化された。
ロベルト君満身創痍。
アイズたん可愛い。

そういえば(唐突)
小説書くのほんと大変ですね。大した地の文も、語彙力もないこの話を書くだけで一時間近くかかりました。
小説書いてる人、みんな凄いなぁ、としみじみ思ってます。
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