Aqoursの日常   作:そらよう

2 / 2
お久しぶりです!!渡辺曜生誕祭ということで急ぎで書いた駄作です。それでは……


もう1人の私

千歌「ねえ、よーちゃん聞いてる?」

 

曜「えっと、千歌ちゃんが夢の中で宇宙人に襲われたって話だったっけ?」

 

千歌「違うよ〜、それは今の話の前にしてた話だよ!!」

 

何の話してたんだっけ?

ある春の日、私渡辺曜は千歌ちゃんの話を聞きながら、居眠りしていたようだった。

高3の春。私達は静真高校に編入した。

なんとまた、千歌ちゃんと同じクラス!!

神様に感謝したいなって本気で思っちゃう。

隣のクラスには梨子ちゃんも月ちゃんもいるからよく4人でお昼ご飯を食べることが多いんだ。今は二限が終わって三限に入る前の休憩時間。千歌ちゃんの話を聞きながらウトウトしていたのであります。

 

曜「それで、宇宙人に襲われてどうなったんだったっけ?」

 

千歌「えっとね、宇宙人に謎の薬を飲まされて私が2人になっちゃったんだよ…2人になったら、夜ご飯も減って大変だったよ……」

 

曜「アハハ、大変だったね……」

 

千歌「まあ、夢で良かったよ。ホントに……って、そーじゃなくて!!歌詞の話だよ!!」

 

曜「歌詞??」

 

千歌「ほら、この前梨子ちゃんと言ってたじゃん。ソロ曲を作ろうって話だよ。」

 

そういえば、そんな話をしていた気がする。確か、6人になって行うワンマンライブの2回目はソロ曲を披露しようって話だった。

作詞は全員自分でして、作曲は梨子ちゃんと相談しながらという話である。

 

曜「あー、そうだったね…千歌ちゃんは何か考えてるの?」

 

千歌「私はね…まだだよ!!なんとかなるでしょ!!」

 

千歌ちゃんらしいなあ…

真っ直ぐで純粋で輝いている。そんな千歌ちゃんの隣に立つために私は…

 

千歌「よーちゃんは??」

 

曜「私は……まだだよ!!」

 

千歌「そっか〜、梨子ちゃんに怒られないように頑張ろうね。」

 

私に歌詞は思いつかないかもしれない。私の本心。それは一体……

そんなことを考えているとまた眠くなってしまったのだった。

 

 

―――

 

 

ここはどこだろう。路地裏の暗い通りにある一軒の店。看板には「Shop East Dream」

物凄く怪しいが、好奇心が勝って入ってしまった。

 

曜「こんばんわ…誰かいますか?」

 

誰も…いない?怪しい薬や瓶など所狭しと並んでいる。誰もいないから戻ろう…と思ったその瞬間……

 

??「お客さんやん。何をお探しかな?お嬢ちゃん。」

 

曜「うわぁぁぁぁ!!」

 

後ろから声をかけられたからびっくりした。

白衣にほうき、謎のステッキが腰に刺さっている様子を見ると博士かはたまた魔法使いかっていう出で立ちである。

 

??「お嬢ちゃんは何を悩んでるのかな?歌詞作りだったっけ?」

 

曜「なんで分かるんですか?魔法使いか何かみたい……」

 

??「その通り、ウチは魔法使いなんよ。君の悩みは歌詞作りと…それ以外にもありそうだけど……」

 

曜「そんなのない…ですよ。」

 

??「そっかあ。まあ、いいよ。お嬢ちゃんにぴったりの商品があるんよ。」

 

曜「なんですか?」

 

??「このショージキニナレールXを飲めば、歌詞に自分の正直な気持ちを込められるよ。どうかな?」

 

曜「いや、魔法使いさん。そんな怪しい薬飲む人いないでしょ…」

 

??「目の前におるやん。君なら飲むと思ったんやけどなあ…ウチの見込み違いやったね。」

 

なんだか少し、バカにされた気分である。

 

??「こんな安全なの飲まないなんてもったいなくて涙出てくるわ…まあ、歌詞を自分で考えるのもありやんね。」

 

曜「分かりましたよ。いただきます、お代はいくらですか?」

 

??「毎度あり。お代は…君のこれからの物語を見せてもらえるだけでいいよ。」

 

言ってることがよくわかんないけど、飲んでしまった。あれ?また眠くなっ……

 

??「千歌ちゃんと上手く頑張るんやで〜」

 

その声はどこよりも遠い場所から聞こえた気がした。

 

 

―――

 

 

千歌「よーちゃん!!よーちゃん!!大丈夫!!よーちゃん!!」

 

曜「うーん、何…頭が痛い…」

 

千歌「早く目を開けて今の状況を理解してみてよ!!」

 

目を開くと驚きの光景が広がっていた。

 

曜「私の前に私がいる??なんで??」

 

ここから導き出される答えは一つだった。

 

曜「まさか……」

 

千歌「よーちゃんが増えちゃった!!」

 

 

―――

 

曜「えっと、君は一体何者なのかな?」

 

??「僕は私だよ。自分がよく知ってるんじゃない??」

 

千歌「えっと、よーちゃんがよーちゃんでよーちゃんが2人??うーん……」

 

曜「私が実際の渡辺曜だから、君は…ダーク渡辺曜って所かな?」

 

??「まあ、そんな所かな。」

 

曜「ちょっと屋上で話さない?千歌ちゃんのいない所で。」

 

ダーク曜「いいよ。その方が都合がいいや。」

 

千歌「ちょっとよーちゃん。私にも詳しく……」

 

その言葉を聞いて、ダーク曜はとんでもないことをした。

 

ダーク曜「ごめんね、千歌ちゃん。君の笑顔が眩しすぎて話にならないから、屋上で話して来ていいかな?」

 

千歌「ひゃ、ひゃい……」

 

この歯の浮くセリフに顎クイ。梨子ちゃんなら卒倒するだろうなあ……千歌ちゃんは真っ赤だし、こいつは何がしたいんだ!!

 

曜「ほら、早く行くよ!!」

 

ダーク曜「は〜い。」

 

 

―――

 

 

曜「ところで君は何者なのか、教えてくれない?」

 

ダーク曜「渡辺曜、君は僕のことを誰か分かってるんじゃない?」

 

全く心当たりがない……

何も変なことは………あのショージキニナレールXくらいである。

 

曜「もしかして、あの薬が原因?」

 

ダーク曜「ご名答。そして、僕の正体も気づいてるのに気づいていないフリをしているはずだよ。僕の正体を当てないと千歌ちゃんを奪っちゃうよ?いいの?」

 

曜「ダーク渡辺曜の正体は……」

 

考えろ。ホントに分かっていないが、あのムカつくほどの爽やかさ、私がやりたいことをやるあの鬱陶しい感覚。そう彼女は……

 

曜「君は私の欲望の姿。だよね。」

 

ダーク曜「ご名答。」

 

曜「人を見て、何もかも嫌いな感覚に陥ったのは初めてだったよ。何が目的なの?私と入れ替わるとか?」

 

ダーク曜「うーん、僕は君だからね。君の深層心理にある自分のエゴと欲望が主人格と何かの原因が重なって分離したからこうなったんだね。」

 

まさか、あの店主さんが渡してきたショージキニナレールXは人格分離薬と間違えて渡してきたのかなあ。

 

ダーク曜「ところでは、君に聞きたいんだけどさ。いいかな?」

 

曜「ん?何?何でも言ってよ。」

ダーク曜「君は高海千歌ちゃんが好きなんだよね?」

 

曜「千歌ちゃんは…友達だよ。」

 

ダーク曜「はあ…我が身ながら、ホンットにイライラする!!そんなだから、10年以上も告白できないんでしょ!!いい加減認めなさい。」

 

曜「だって……女の子が女の子を好きなんておかしいよ。君はそう思わないの?」

 

ダーク曜「もちろん、僕は君だからね。そう思うよ。でもさ、そんなことよりも千歌ちゃんのことが好きって気持ちを大切にしたいと思ってるんだ。」

 

ああ、この感覚をどこかで忘れてしまったような気がする。

千歌ちゃんの隣にいることのために何もかも犠牲にしてもいいとさえ思って、「なんでも出来る天才」の渡辺曜になろうとしていたのが懐かしい。でも、そうなればなろうとするほど、千歌ちゃんは私から離れていってしまうような気がしていた。

これなら、作詞のことも聞いてみるべきなんじゃないかな?

 

曜「ねえ、君が作詞するなら何をテーマに渡辺曜として作詞をする?」

 

ダーク曜「聞くまでもないでしょ?その答えは僕じゃなくて君の心にもうあるはずだよ。」

 

そうだ…私の憧れたもの。キラキラしたもの。それを見せてもらえる場所、そんなものを曲として作るべきだった。

そんなこと…最初から分かっていたはずなのになあ……情けないなあ。

 

曜「ありがとう。君のおかげでヒントが貰えた気がするよ。そして、君のことを嫌いとか言ってごめんなさい。」

 

ダーク曜「どうして謝るの?」

 

曜「私自身の嫌な所。嫉妬、欲望。それがあなた。でも、それも含めて渡辺曜なんだよ。そう自分を好きじゃない奴が人を好きなんて言うのはおこがましいよね?」

 

ダーク曜「なるほどね。こちらこそありがとう。私のことを好きって言ってくれて。そして、これからも一緒によろしくね。」

 

曜「よろしくであります!!」

 

ダーク曜「とりあえず、作曲頼んだわよ。さっさと千歌ちゃんに告白しなさいよ!!」

 

曜「そ、それは……」

 

ダーク曜「じゃあ、私もう行くね。結構楽しかったよ。私と喋るの。」

 

曜「うん!!」

 

そう返事したとき、首元に痛みが走って意識が無くなったのであった…

 

 

 

―――

 

 

 

??「よーちゃん!!よーちゃん!!大丈夫?よーちゃん!!」

 

首元が痛い……

目を開けるとそこに千歌ちゃんがいた。

 

曜「どうしたの千歌ちゃん?」

 

千歌「ずっとよーちゃん起きないから…死んじゃったのかと思ったよ……」

 

曜「うわあ、泣かないで千歌ちゃん!!」

 

千歌「ホントに良かったよ……」

 

曜「アハハ、寝不足かなあ…ところで千歌ちゃんはもう1人の私のこと知らない?」

 

千歌「どーいうこと?」

 

曜「……分かんないならいいや!千歌ちゃん、歌詞出来ちゃったよ。お先であります!」

 

千歌「あっ、ずるーい!!何かいい夢でも見たの?いいな〜、宇宙人の夢じゃ作詞出来ないよ……」

 

さっきのがどこまで夢だったのか分からない。

でも、正直な気持ち。

これを曲にするしかないってことを魔法使いさんのおかげで私から学べた。

 

だから……

 

 

 

―――

 

 

??「いやー、さっきのショージキニナレールXが上手くいったみたいで良かった良かった。試作段階から考えると予想以上に上手くいったよ。これは曜ちゃんの素直な性格のおかげだった気がするよ。甘酸っぱい恋の物語の味。お代は確かにいただいといたよ。」

 

 

―――

 

 

千歌「次はよーちゃん出番だよ!!」

 

曜「行ってくるであります!!」

 

大観衆の前で初めて一人で立つステージ。

でも、きっといろんな自分とこのステージに立っているはずだから。

何も怖くないよ。

 

曜「この曲は私の大切な人を思って、一生懸命作詞した曲です。それでは聞いてください。」

 

 

 

 

 

 

 

 

曜「Beginner‘s Sailing」

 

 




ようちかはすこです。感想などいただけるとありがたいです!!(笑)

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。