仮面ライダービルド&HUGっとプリキュア 輝く未来をビルドせよ! 作:ブラッド族族長
この小説は出来る限りA,B,Cパートで分けて投稿していくつもりなのでよろしくお願いします!
転校生のためか戦兎はクラスメイトたちから質問攻めにあっていた。
「桐崎君、前はどこの学校だったの?」
「私たちと1つ年上の14みたいだけど、何かやらかしたのか!?」
(まあわかってはいたけど。どうしたもんかなぁ…)
みんなの質問に戦兎は口をつぐむ。自分が1年より前の記憶がないため、前の自分はどうだったのかを話せない。かといって記憶喪失ということはあまりおおっぴらには喋れない。そんな戦兎を見てなのか、はなとさあやは戦兎たちの間に入った。
「ほら、みんな。桐崎君困ってるよ」
「そうだよ。そんなに一辺に聞かれたら答えられないよ」
二人の言葉に、先ほどまで質問していたクラスメイトたちは落ち着きを見せた。
「言われてみれば…」
「悪いな桐崎。困らせちまって」
そう言ってクラスメイトたちは蜘蛛の子を散らすように離れた。
「ありがとう。たしか…野々さんと、薬師寺さんだっけ?」
「いいよ。わたしもこの前転校してきたばかりだから、なんか親近感沸いたんだ」
「困ったときはお互い様だよ。これから同じクラスメイトになるんだから」
そう言ってはなとさあやは笑いかける。そんなに二人の言葉に戦兎は感謝する。
ふと、はなは戦兎の顔をジッと見る。
「え、どうしたの?俺の顔に何かついてる?」
「桐崎くんって…前にわたしとどこかで会ってない?」
はなの唐突な言葉に戦兎はえっ?と驚きの表情を浮かべた。
もしかしたら1年前より前の自分を知っているのではないかと思ったのだ。
「覚えはないけど…どこかで会ったかい?」
「うーん…やっぱり気のせいだったかも。ごめんね…」
そう言って謝るはな。その表情は何故か悲しげなものだった。それにさあやと戦兎は気づけずにいた。
*
授業が終わり、戦兎はnascitaに帰ろうとしたその時、ビルドフォンから着信音が鳴った。画面には知らない電話番号が表示されていた。その見覚えのない番号に怪しいと思いながらも戦兎は出た。
「もしもし?」
『昨日ぶりかな?桐崎戦兎くん』
「あなたは?」
『東都政府首相補佐官の氷室噛滋だ』
東都政府首相補佐官。その意外な人物からの連絡に、戦兎は驚きの表情を浮かべた。
「東都政府の方がなんで…」
『詳しい話はこちらに来てからでもいいかな?学校の前に迎えの車を回してある』
電話越しの噛滋の言葉に戦兎は窓の外を見ると、校門の前に東都のマークがついた黒塗りの車が来ていた。
これはもう行くしかないのだと戦兎は思った。
「…わかりました。これから向かいます」
『話が早くて助かるよ。では後程…』
そう言い残し噛滋からの電話は切られた。
戦兎が昇降口に行くと、生徒たちは校門の前に来ている東都政府の車に驚いていた。
その様子を見ながら、戦兎は昇降口を出て車の前に立った。
そこには眼鏡をかけた政府の服を着ている青年、内海がいた。
「待っていたよ。さあ乗りたまえ」
「…どうも」
軽い会話をしつつ、二人は車に乗り、東都政府へと向かった。
その様子を見ていたはなたちは驚いていた。
「なんで桐埼くんが東都政府の人と…?」
「もしかして、東都政府に目を付けられるようなことをした、とか?」
「やっぱり彼も万丈みたいな問題児だったのかな?」
じゅんなとあきの言葉をよそに、はなは走っていく車を見つめていた。
*
-東都先端物質学研究所-
そこでは先ほど戦兎と電話をしていた氷室噛滋が待っていた。
「ようこそ、桐崎戦兎くん」
そう言って噛滋は戦兎に研究所の中へ案内した。
「それで俺に何の用でしょうか?」
「そこの内海から聞いたよ。うちのテスト、全問解いたそうじゃないか。素晴らしい」
「ありがとうございます。でも中学生じゃあ中途採用は無理って昨日言われたんですけど…」
「ならば、バイトとして雇わせてもらいたい。君の在校してる学園には私が話をつけておこう」
噛滋の言葉に、戦兎は目を見開く。いくら東都政府の首相補佐官でもやっていいことなのかと。
「でもそれは…」
「もちろんそれなりに給料は出す。学生である以上勉学を優先してくれても構わない。君が来れる時に来てくれればいい。悪い話ではないだろ?」
「たしかに悪い話じゃないんですけど…なんで俺なんかを?」
「我が国は君のような逸材を欲している。そこに年齢などは関係ない、と私は思っている」
「そう言われると、なんか照れますね」
そう言って戦兎は照れ臭そうに頬をかく。
「それに、君と同じくらいの歳の少年が前にここにいた。1年前事故で亡くなったがね」
「えっ、その人って一体…?」
そんな戦兎をよそに噛滋はパンドラボックスが保管されている場所にたどり着く。
「まあそんなことより、君にやってもらいたいのは、このパンドラボックスの解析だ。この中には、核より強大なエネルギー物質があると言われている」
そう言って話を変えた噛滋。戦兎もそれ以上は聞かないほうがいいだろうと思い、噛滋の話についていく。
「地球より遥かに優れた文明が存在してたってことですよね?」
「その通りだ。そしてこの箱の強大なエネルギーを巡り対立し、国は3つに分かれた」
戦兎にパンドラボックスの話をしていると、噛滋のスマホから振動音が鳴った。「すまない」と戦兎に言い、噛滋は電話に出た。
「私だ。………わかった。今から向かう」
そう言い残し、噛滋は電話を切り、戦兎に向き直る。
「申し訳ない。火急の用が出来てしまった。今日のところはこれで失礼する」
「はいわかりました」
「では、期待してるよ。おい、彼を送ってやってくれ」
近くにいた政府の人間にそう言い残し、噛滋は内海を連れて歩いていった。
戦兎も政府の人に連れられる途中ビルドフォンから着信音が鳴った。相手はマスターの惣呀からだった。
「すいません。歩いて帰るんで大丈夫です」
「そうか。気をつけて帰るんだぞ」
政府の人にそう断りをいれ、戦兎は足早に研究所を出た。その後、戦兎は惣呀からの電話に出た。
「もしもしマスター。どうしたの?」
『スマッシュらしき怪物が現れたって情報が入った』
「場所は?」
『いま場所のデータを送る』
惣呀からスマッシュらしき怪物が現れた場所のデータを受けとると、戦兎は研究所から離れ、人気のない場所でビルドフォンを起動しマシンビルダーに変形させた。
『それと、そのスマッシュらしき怪物に人間が襲われてるみたいだ。センサーに反応はないが、スマッシュになる前の可能性が高い。そいつも保護してやってくれ』
「わかった」
マシンビルダーを走らせ、戦兎は目的の場所へと向かった。
*
-その頃-
はなとさあやはある建物に来ていた。
大きな樹と一緒に建っているそこで、二人はある赤ちゃんのお世話をしていた。
「はーぎゅー。はーぎゅー」
その赤ちゃんの名前は"はぐたん"。
空から突然現れたというこの赤ちゃんを、未来を奪おうとする敵、"クライアス社"から守るのが、彼女たち"プリキュア"の使命でもある。
「はぁ……」
「どうしたの、はなちゃん?」
「なんや、今日は偉い元気ないな」
ため息をついたはなに、さあやと赤髪の青年、ハリーは心配する。
「うんうん、なんでもないよ!あはは」
「嘘つけ。普段のお前見とったらわかるわ」
「はなちゃん、桐崎くんが来てからおかしいよ」
笑ってごまかそうとするはなをさあとハリーは諭す。
笑っていたはなの表情が少し暗くなった。
「実はね…桐崎くんがどことなく、前の学校にいた男の子と似ているんだ」
「もしかして失恋相手とかか?」
「そんなんじゃないよ。ただ、その男の子……」
ハリーの言葉を否定しながら、はなは言葉を続けた。
「1年前、東都政府の研究所にいった後、事故で亡くなったんだ……」
「そうだったのね…」
「なんか酷な話してもうたな」
その後しばらく沈黙が3人の周りを包んだ。
はぐたんも自然と泣きそうな表情になっていた。
「はぎゅ~…」
「ごめんねはぐたん…。はい!もうこの話は御仕舞い!」
はぐたんの顔を見たはなは気持ちを切り替えて笑いかける。
その時、ある場所の空が暗闇の黒く染まった。その空を見たはなたちはすぐに外に出た。
「あれは…!」
「クライアス社や!」
「行こう、さあやちゃん!」
「うん!」
はなとさあやは黒くなった空の方向へと走り出す。
ハリーもはぐたんを抱き抱え、遅れて着いていった。
その方向は、今戦兎が向かおうとしてる場所でもあった。
次回こそは、しっかりと戦闘シーン書かせていただきます!
お楽しみにしていてください!