ヒッパーに赤いマフラーをプレゼントしたい 作:なし
もし色々別れたらポーランド統合してボルシチを本場と言い張るにくすべはどうすればいいんですか?
このままではソーセージとジャーマンポテトを出すしかない、そうなるとソーセージに口うるさいハムマンとか誰も得しないキャラが出てきてしまう。
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重桜のちびっ子達と委託任務を終え、帰港する。二日連続での早上がりだった。時刻はまだ12時をちょっと過ぎたぐらい、仕事上がりにしては珍しく、今からでも食堂で昼ご飯を食べれるぐらいの時間だった。
重桜の子達が我先にと食堂へ向かって走って行く、ふと思い出したかの様に振り向いて声を上げた。
「鉄血のお姉ちゃんまたねー!」
「ヒッパーって呼びなさいってえの!」
そう凄んで見せるも、きゃっきゃっと笑うばかりで反省する様子はなかった。全くこれだから子供というものは。
はあと私がため息をつくのと対照的に、シムスはひっひっひっと笑いながら背中をバシバシと叩いてきた。
「まあ仲良くなれてよかったじゃないか、あの子達と。クレイヴン姉妹より、彼女達と仲良くなるのはずっと早かったよ」
「どうだか、舐められてるだけなきがするけど」
それを聞いて更に笑い声を大きくする、私からすれば何が面白いのかさっぱりわからないし、出来ることは眉間のシワを更に深くすることだけだった。
笑い過ぎて出てきた涙を拭って、彼女は言った。
「まあ、そうとも言えるねえ」
「どういう意味よ、後その変な笑い方やめなさいよ」
「天然は好かれやすいってことさ、後この笑い方は治せないさね」
天然だろうか、私が?
自分ではその様にはさっぱり思わなかった。
考え込んでる間にもシムスは食堂に行こうとする素振りを見せていた。
任務の途中、重桜の子に食事に誘われてたから、今から追いかけるのだろう。私も誘われていたが断っていた。
「ヒッパーも来なくていいのかい?」
「ええ、私は少し用事があるから。さっきも言ったでしょ?」
「確かに聞いたけど、指揮官に謝りに行くんだろう?」
「ナンデソウオモウノカシラ?」
図星だった。それを見てシムスはまた爆笑しそうになるも、ヒッパーが杖を構えるのを見て、必死に笑いを噛み潰しながら言う。
「さあ何ででしょうか?まああいつは多分もう許してると思うけどね!」
言うだけ言って、私の返事も聞かずにシムスは走っていった。
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廊下を一人歩く。
任務中か、それとも食堂に行ったのか、ひと気はさっぱりなかった。
なんて言えばいいのかまだ纏まっては居なかったが、取り敢えず行かなければいけないと思った。
電話で謝ろうとしても、思わず声を聞いただけで切ってしまった。
ならばと直接謝ろうとしても、姿を見ただけで思わず身を隠してしまった。
私の気持ちなのによくわからなかった。
むしろシムスの方がわかっているのかもしれない、もしくは私の妹か。
なるべくゆっくり歩いたつもりなのに、とうとう執務室までもう少しの所へ辿り着いてしまった。
既に歩みは止まっていた。
後もう少しなのに、はるか遠くに感じる。
まるで目の前に見えない透明な壁があるかの様だった。
「……今日はやめとこう」
一人言い訳をする、まだ謝る機会はいつでもある。逃げだと自分でわかっていても、それが一番な選択肢に思えた。
前に進むのにはあんなに苦労したのに、後に引き返すのは大変楽だった。
「急ぐにゃー!!」
後ろでズバァーン!と扉をぶち開ける音と同時に、明石の声が聞こえてくるまでは。
思わず振り返る。自分いる向きとは逆方向に向かって、明石を先導に黄色い鳥達が凄い勢いで何かを運んでいるのが見えた。
鳥達が持っているものにどこか見覚えがある気がした。
白い、何か。あれは確か指揮官の軍服ではないだろうか。
既に明石と鳥の群れは見えず、ただ一人立ち尽くすだけだった。
確かあっちの方向には、指揮官の部屋があった。
今日朝行ったから間違ってないはずだ。
何があったのか確かめてみよう、そう思いあとを追う。
先ほど立ち止まり進めなかったところは、あっさりと通り過ぎることができた。
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曲がり角から指揮官の部屋の前を伺う。
部屋の前には黄色い鳥達が守りを固めていた。
何かあそこで起きてるのには間違いないだろう、明石が部屋の前にいないことから中にいることも予想できる。
黄色い鳥達をなぎ倒して部屋に入り込むことも考えたが、あの外見から予想できないほど鳥が強く、手加減が難しいことから却下した。
それより出てきた明石を確保して、やさしく話を聞く方が楽だろう。ゆっくり頃合いを待つ。
曲がり角で待機して5分ほどたった頃だろうか、ようやく扉が開くのが見えた。
出てきたのは明石だった。覗くのをやめ、曲がり角に潜む。
「鳥さん達ありがとにゃ、いつもの仕事に戻っていいにゃ」
その声が聞こえて暫くして、曲がり角を鳥がゾロゾロと通り過ぎて行く。隠れている私を怪訝な目で見ながらも、黙ってゆっくりゆっくりと。
そしてようやく明石がやってきた。
「今日は一人でおでん、寂しいにゃ……」
俯いていたせいで、曲がり角で立ちふさがる私に気付かず危ういところで立ち止まる。
「なにしてるにゃ、危ない……にゃ」
そこまで言ったところで、ようやく私の存在に気づいた様だった。
私が言うことはただひとつだけだった。
「指揮官になにがあったのか、すぐに教えなさい」
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目の前で正座している明石のいった言葉を復唱する。
「ただ寝てるだけ?」
「そうにゃ、ただ長い時間ねるだけな症状にゃ」
「なら起こせばいいじゃない」
単純な問題ではないか、まだ日も高いし起こすべきだろうと思った。しかし、その言葉に明石は首を振った。
「無理にゃ、今まで色々試したことあるけど起きたことはなかったにゃ」
「今までも同じことがあったって言うの?」
「にゃ、知ってる者は少ないけど何度か」
なんでそれが秘密になっているのだろうか、不思議に思った。特に隠すことではない気がした、何か怪しい。
「明石、なにか隠してない?」
「……(ふるふる)」
黙って首を振る、露骨に目をそらす様になった。
確定だ何かを隠している、ただ力押しでは口を開かないか。
ため息をつく。これは切り札を切るしかないだろう。
「……正直にいったらマタタビあげるわよ」
「いいます!いいますにゃ!」
余りの変わり様に秘書官をやるのにふさわしいものかと思うも、その私の目線をスルーし、話を始めた。
「一つはその夢が悪夢だって言うことにゃ」
冷めない悪夢、確かに酷いものだと思うが隠すほどだろうか。ただひとつめってことは二つめ以降に続くものがあるのだろう。
「ふーん、ひとつめってことはふたつめがあるのね」
しかし明石はちらちらとこちらの顔を伺うだけで、その先を言おうとしなかった。
「なによ私の顔になんかついてるの」
「ついてないにゃ……これはもしかしたらそうかもしれないという予想の話だがにゃ」
そう前置き、ようやく口を開いた。
「指揮官にとって悲しいこと、ストレスが溜まることが起きた時に起きる……」
そこから先の言葉はよく聞き取れなかった。
サブタイトルが思いつかない病