ヒッパーに赤いマフラーをプレゼントしたい 作:なし
ハムマンもそう思うよな?
短編日刊ランキングに載ってることに今更気づきました、ありがとうございます
ヒッパー要素が薄すぎる気がしてならない
3話で終わらせる←むりでした
「さて、組み合わせをどうするか……ね」
おでんを流し込まれたのも、もう数日前のこと。
ようやく修理が終わったエアコンを最大限稼働させながら、一人呟く。
今日も明石と仲良くおでんの消費をする、昼下がりのことだった。
「ヒッパーのことかにゃ?」
「そうだよ、餅巾着はいらん。明石にあげる」
ひょいひょいっと鍋から餅巾着だけを明石の取り皿に輸送する、それを見て明石は激した。
「やめるにゃ!明石は猫舌なのにゃ!!」
その言葉にとりあえず僕は箸を置いた。
「でも明石が原因だよな?本来なら僕がおでんの消費を付き合う必要はないはずなんだけど」
「う、うぐ……」
わざとらしくため息をつきながら、餅巾着を1つだけこちらに回収する、ため息をつくのがミソだ。
「はぁ……取り敢えず一個は食べるから、後の三個は食べるんだぞ」
「……わかったにゃ」
やったね、譲歩完了。
もとより餅巾着を全て押し付けられるとは思ってなかったので、これで成功と言えるだろう。
「なんの話してたっけにゃ?」
こてんと首をかしげる明石、なんだったか。
「おでんの嫌いな具材の話じゃなかったっけ?」
「餅巾着一択……もっと大事なことあったはずにゃ」
餅巾着は猫舌にとって、とても辛いものであった。餅がなかなか冷えない上に、嚼むと熱い出汁が飛び出しかねないという二重の罠。
明石は巾着を2つに割って冷ましていた。
多分これが一番賢いと僕も思った。
明石はふうふうと餅巾着を冷まして食べてるのを見て、ふと明石焼きが食べたいなぁと思う。
あれは熱々の玉を程よい温さの出汁につけて、適温にして食べるのが美味しい。
たこ焼きパーティーの代わりに明石焼きパーティーでもやりたいなと思う、おでんの消費が終わったらだが。
未だに大量にあるおでんの在庫を思いだし頭が痛くなる。消費期限がすぐに迫っているなら、罪悪感なく食堂でみんなで消費するという手を取るのだが、無駄に賞味期限がながい食材ばかりだった。練り物でさえ何故か賞味期限が長かった、生物じゃないのか。
一応軍なので野菜とかでなければ、消費期限が短いものを選ぶ理由がないのだろう。
無駄に賞味期限の長いこんにゃくをつつきながら、そう考える。
「あぁ、ヒッパーの組み合わせの話にゃ。なにかあったにゃ?」
「うん、ハムマンと仲いいらしいが、そろそろもっと輪を広げるべきかなと思ってね」
「にゃ、明日はどうするにゃ?」
「……予定ではポートランドとインディに、シムスと入れ替えるはずなんだが」
「ちょっと待つにゃ」
その言葉に違和感を覚えたのか、明石の箸が止まった。
「なんだ?」
「今日のヒッパーの組み合わせは?」
「ジャベリン、ヒッパー、ハムマン」
「……シムスはどこにいったにゃ?」
「ジャベリンの代わりにポートランド姉妹と一緒に」
明石は大袈裟に天を仰いだ。
「あの
「……まぁ、少し可哀想だとは思ったが。あの二人についていける駆逐級もかなり少ないからな」
一応シムス、ハムマンの2人はこの司令部では、最古参の部類であった。だからこそ信頼している姉妹でもある。
「たしかに……必要な犠牲となったのにゃ」
「まだ死んでないだろ」
びしっと明石のおでこにデコピンをする。
少し涙目でおでこをさすりながら、明石は口を開いた。
「それはともかくシスコンコンビに入れることはいいと思うけど、少し足の遅さが不安にゃ……」
「それはそうだな。一応明日はバルジを持たせるよ」
「それがいいと思うにゃ」
それきり会話が途絶え、執務室に黙々とおでんを消費する音だけが響いた。
あぁ、僕は何をやっているのだろうか。
●
ポートランドは妹が大好きである、それはもう目に入れても痛くないほどにだ。
と言うわけで大体いつも同じ編成にしてくれる指揮官には割と感謝している。
「指揮官ー、今日のインディちゃんも可愛くないですかー?」
「そうだな」
何やら眺めてる資料から目を逸らさず、適当に返事をする指揮官。まあいつも通りのことだった。
「ちゃんと見なきゃダメですよ、指揮官!ほら私の妹!」
そう言って、私の背中に隠れようとするインディちゃんを前にずいずいっと突き出す。
「お姉ちゃん恥ずかしいから……」
「大丈夫だって、ね!指揮官!」
ようやく資料から顔を上げ、インディちゃんをじっくりと見つめる指揮官。
「可愛いでしょー?」
「……あぁ、今日も可愛いと思う」
その言葉を聞いた瞬間、インディちゃんは拘束から抜け出して、脱兎のごとく逃げ出した。
呆然と立ち尽くす私と指揮官、やっぱりまだだめかなーそう内心で呟く。
ため息をつきながら指揮官は言った。
「インディも僕から褒められても嬉しくないだろうし、やめたらどうだ?」
「そうかなー?」
「だから逃げ出したんだろ?」
私は気づいていた、気づきにくいがインディちゃんの顔が赤く染まったいたことに。
褒められて照れたから逃げ出したんだろう。
そう思ったが特にそれを指揮官に伝えることはない、なんか悔しい気がした。
インディちゃんが指揮官に取られると思ったからだろうか?いや、私は指揮官ならインディちゃんをもらっていってもいいと思ってた筈だ。
ならばインディちゃんに対する嫉妬だろうか?
「女の子は褒められて嫌なことないよ、インディちゃんもそう」
「そうかな」
「そうそう、だからインディちゃんをうーんと褒めて上げてね!」
ばちーんとウィンクを飛ばす。
私はそれでいい筈だ、インディちゃんを支えてあげる影法師。
「インディは僕が褒めなくても、いつも可愛いってポートランドもわかってるだろ?」
「お、いうねー!わかってきたじゃん指揮官ー、私よりずっと可愛い妹、姉より優れた妹は存在したのです!」
「いや、ポートランドもインディと同じぐらい可愛いと僕は思うぞ」
数秒遅れてその言葉を飲み込んだ。
突然の誉め殺し、こういうところがあるからこの指揮官は。
「ッ〜!!」
「ちょ、痛い!痛いって!」
照れ隠しから思わず、指揮官の背中をバシバシと叩いてしまう。
いけないいけない、冷静にならなければ。
一回深呼吸する。
よし、これでいつも通りだ。
「やっぱり指揮官はそう軽々しく褒めないほうがいいです、禁止です」
「どっちなんだよ……」
「指揮官がいうと本気にする子が後をたたなさそうなんで」
僕に褒められても嬉しくないだろうに、そう呟きながら頭をがりがりと搔く指揮官。
この指揮官はいつになったら自分に自信を持つのだろうか、そうため息をつく。
「まぁいい、本題だ」
「あーそういえば任務の話だったね、なになに?」
インディちゃん云々でうやむやになっていたが、元は今日のお仕事の話だった筈だ。何だろうか。
「今日の任務はヒッパー、インディ、ポートランドで当たってくれ。」
指揮官は真面目な顔をして、そう言った。