精霊使いの装甲機竜   作:caose

138 / 229
 やっとここまで来た。


いざ解呪の時。

「え・・・解呪って・・・そこにおられる殿方の・・・呪いを?」

 レイハはカミトの方に目を向けてそう聞くとカミトは床に手を付けて

頭を下げてそう頼んだ。

 「彼の呪いは私でも解呪することが出来なかったんだけれど火の精霊王の祝福を賜った貴方ならあらゆる穢れを滅却することが出来るんじゃないかと思って」

 「・・・確かに、〈断罪の浄火〉を使えば、灰に出来ない呪いなどない

でしょうが・・・」

 レイハはそう言いながらも躊躇っていた。

 幾ら昔の友人でもあるフィオナの頼みとはいえ〈精霊姫〉は本来は

公の立場にある存在。

 詰まるところが中立の存在である。

 精霊王から賜った力を私情で使う事など許される筈がないのだ。

 するとフィオナは・・・。

 「お願いヨ!レイハ・・・いえ、レイハ様!!」

 いきなり土下座してそう言うのだ。

 「ちょ・・・フィオナ様!」

 「フィオナお前何を!?」

 レイハとカミトはそれを見て驚きながらそう言うがフィオナはこう答えた。

 「今頼れるのは貴方だけなの!これで駄目ならもう後が無いの!!

だから・・・お願い・・・いえ、お願いいたしますレイハ様!!!」

 「俺からも頼みます!!」

 「えええええ・・・・」

 レイハはフィオナに続いて土下座するカミトを見て困ってしまった。

 そして暫くして・・・。

 「はああ・・・分かりました。」

 「「え?」」

 レイハが溜息交じりでそう言うので二人は何だと思っているとレイハは

こう答えた。

 「今回だけ特別ですよ。先輩の頼みであると同時に・・・ここまでされますと

流石にです。」

 降参ですと言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それから暫くして・・・。

 「・・・それではこれより儀式を始めます。」

 純白の儀式装束に着替えたレイハはそう言ってカミトの前に立って正座した。

 先ほどの様におどおどした少女とは180度違うまるで別人になった彼女を見て

カミトは確かに選ばれただけあるなあと思っていた。

 因みにフィオナは儀式の邪魔にならない様に部屋の隅の離れた場所で

見守っている。

 「宜しく頼む。・・・えっと・・・レイハ様」

 「レイハで宜しいですよカミト様。」

 レイハはカミトに向けてそう言うとカミトはこう聞いた。

 「怖くないのか?・・・その・・・男の体に触れるのは・・・」

 そう聞くとレイハはカミトに向けてこう答えた。

 「・・・正直ちょっとだけ怖いです。けど・・・。」

 「先輩があそこまでして頼むんですしそれに貴方は・・・。」

 「?」

 カミトはレイハの言葉を聞いて何だろうと思っているとレイハはこう答えた。

 「貴方は〈神儀院〉の人達が言うような人間じゃないって分かりますから。」

 「・・・そう・・・なのか?」

 「これでも私は精霊姫ですよ。人を見る目には自信があります。」

 そう言ってレイハは笑顔でそう答えたが・・・。

 カミトはそれを聞いて少し疑っていた。

 怖くない。

 それならば・・・幼少期に『シラヌイ』を使って幾多のも作戦、暗殺に参加し、幾多の人間の命をそれでこそボロ雑巾の様に潰してきた自分に対して

言う事ではないだろうな自虐的にこう思っていた。

 「(正直その目は当てにならないぜ。レイハ様。)」

 「さあ、上の服を脱いでください、カミト様」

 「あ、ああ・・・。」

 カミトはレイハの言葉を聞いてそう頷くと儀礼服の下に来ていた

装衣を脱いで上半身裸になった。

 胸の心臓に当たる部分に刻まれている〈闇の烙印〉がまるでどす黒い痣の様に残っていた。

 然しそれを見たレイハはと言うと・・・。

 「きゃ!す、凄い・・・!」

 「お、男の人の肌・・・は、初めて見ました・・・」

 「・・・そっち?」

 カミトはそれを聞いて呆然としてしまった。

 幾ら何でも親父と風呂に入ったことぐらいあるだろうがとツッコミたいと思うがまあ・・・父親は論外なんだろうなと思っている中でフィオナはこう言った。

 「どうせ結婚する時には上半身どころか全身見るんだけどね。」

 「お前そこ黙れ。」

 フィオナの言葉に対してカミトがそう言った。

 本当に前は姫巫女だったのかと思うとゾッとする人間だなと思った。

 その間にレイハは恐る恐ると言った様子でカミトの胸に手を触れると

興奮するかのようにこう言った。

 「・・・す、凄く固いんですね!!」

 「まあ・・・学院の訓練とマギアルカの特訓で鍛えてるからな。」

 「あれは確かにしんどいわよねえ。」

 フィオナはそう言って乾いた笑みを浮かべていた。

 その間に指が痣に触れるとカミトに疼くかのような鋭い痛みが走った。

 「!!」

 そしてレイハは静かに目を閉じると、厳かに精霊語の呪文を詠唱し始めた。

 それは〈火の精霊王〉に捧げる儀礼の言葉から始まった。

 「この世に遍く炎を司る至上の王。苛烈な処罰者にして偉大なる戦士よ」

 すると聖室の空気が変わり、レイハの髪が風に煽られたかのように

激しく舞いながら指先に蒼白い炎が灯った。

 「あらゆる罪を贖い、あらゆる穢れを滅ぼす〈断罪の浄火〉よ」

 語れるは最上級の古代精霊語。

 「あ・・・あぐう・・・」

 するとカミトの口から苦悶の声が洩れた。

 そして彼女の指先から放たれる蒼白い炎はカミトの全身を・・・燃やした。

 「クあアアアアアアアア!!」

 「カミト君!!」

 フィオナはそれを見て驚いた。

 然しそれでもレイハは続けた。

 「塵は塵に、灰は灰に!我が炎は闇を祓い、呪詛すら焼き尽くさん!!」

 それを言った次の瞬間に全ての炎が痣に集まり・・・爆裂した。

 「!!!!!!!!!!」

 カミトは声にもならない悲鳴を上げ途切れかけた意識の片隅で・・・右手が

僅かに疼くのを感じた。

 「(まさ・・か・・・エストの精霊刻印が?!)」

 それを目にした瞬間に・・・・。

 カミトの意識は闇の中に落ちていった。




 次回は闇の中に。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。