カミト達は緊張と興奮に包みこまれた大祭殿のホールに来ていた。
ホールに集まっているのは有力な王侯貴族、各国の精霊使い養成機関に所属する
姫巫女達がホールの下にいる代表メンバーを見ていた。
観客の殆ど全員が高貴な身分であるために野次とかはないが
有名な精霊使いに対してはファンからの黄色い歓声が聞こえてきた。
「さてと・・・それでは現状の把握と行こう。」
その中でヴェルサリアがそういう中で要注意チームを見てこう言った。
「先ず厄介なのが『神聖ルギア王国の聖霊騎士団のエースだな。」
そう言って全員はルミナリスの方を見るがカミトはあれっと思っていた。
「(何だアイツの気配が・・・違う?)」
『ああ、それに何か憑りつかれているような感じがするしな』
それを見ていたシラヌイもそう言うがヴェルサリアはこう続けた。
「今のところ〈煉獄の使者(チーム・インフェルノ)〉を除けば厄介なのが
あいつらだな。」
〈それとチーム・ワイヴァーンとチーム・ケルンノスは我らの戦力を
把握されておるからこやつらも要注意であるがな。〉
ヴェルサリアとカオスブレイカーはそう言って見ているとレオノーラも
こう言った。
「それとクイナ帝国にいる〈四神〉。彼女達は集団戦術に特化した
強豪チームであの白髪の女性『シャオ・フー』が扱う神獣精霊の〈白虎〉も
要注意ですね。」
『メンバーが5人ですから恐らくあの中に中心人物がいるのでしょうね。』
レオノーラの言葉に対してメイルストームもそう付け加えた。
そしてフィオナはある方向を見てこう言った。
「後はそうねえ・・・ここ数十年の間に神聖ルギア王国から独立した
新興国のロッソベル公国の〈破烈の師団〉のエース『ミラ・バゼット』は
今大会最年少の13歳らしいわ。データ不足の事もあって・・・っていうか
よく集められたわね学園長は」
そう言いながらフィオナはある本を出した。
手帳には敵の情報がびっしりと書き込まれていた。
これは今日の昼頃に届いた学園長直筆の情報データの一部から抜き取った物だ。
「一体どうやって調べたのか気になるけどねえ・・・。」
「ああ、藪をつついたら斬り殺されそうだもんな。」
フィオナとカミトはそう言って肩を透かした。
そして大祭殿の入り口付近でざわめきが生まれた。
「・・・ようやくお出ましか。」
『重役出勤とは余裕何だろうな。』
カミトの言葉に対してシラヌイは毒を吐きたそうな声色でそう言った。
レン・アッシュベルが出た途端にざわめきは静寂に変わった。
彼女の後ろには長い頭衣で全身を覆った四人の精霊使いを率いていた。
その内2人を凝視した瞬間にその二人はカミトと目が合った。
「・・・ミュアがいると思えば多分と思っていたがビンゴだったな。」
『ああ、まさかミュアだけじゃなくて・・・リリィもいるとはなんつう
偶然何だか。』
同窓会かよとシラヌイは冗談交じりでそう言っているが内心は
穏やかではなかった。
嘗ては背中を預け、お互いに守りあったチームメイトだった。
彼女たちと組んだカミトはまさに無敵であった。
だからこそ・・・だからこそである。
『(こんな血なまぐさい再会とは俺達は本当に死神に愛されてるよなあ。)』
そう思っていた。
三人目は目の醒めるような青い髪の少女であった。
彼女の頭衣にはあちこちに金銀の豪奢な飾りをつけ、手には派手な図柄が
描かれた扇子を持っていた。
『派手な奴だな。』
シラヌイはそう言うがヴェルサリアはそれを見て驚きながらこう言った。
「あれに描かれているのは・・・アルファス教国王家の・・・まさか
〈ダスク・ウイッチ〉の後継者と呼ばれる
〈魔精霊使い(デモン・キャスター)〉の『シェーラ・カーン』か!?」
「はあ!?あの婆さんの後継者だって!!??」
『オイオイまじかよあのバケモノの後継者ってどんだけだよ!!』
シラヌイはそれを聞いてカミトと共に驚いていた。
何せ魔精霊を使う人間なんてグレイワース以外に考えることすら
しなかったからだ。
そして最後の一人は・・・。
「・・・何だあいつは・・・」
そう言うしかなかったのだ。
何せ最後の一人は・・・全身を漆黒の甲冑で覆った黒騎士だ。
然し夢で見た黒騎士とは違って・・・全身から嫌な気配を感じた。
決してここにいてはならないという・・・そう言う印象と言うか・・・
存在のようである。
「うぷ・・・気持ち悪い。」
「フィオナさん!」
如何やら感受性の高いフィオナはその黒騎士の神威を感じて吐き気を
催してしまいレオノーラがフィオナの前に立った。
すると偽のレン・アッシュベルがカミトの方を見て向かうと・・・こう言った。
「まさか〈闇の烙印〉を破壊できる者がいるとはな。」
「ああ、フィオナの人脈って奴でな。」
「だがあの烙印はあくまでもお前の中にある魔王を目覚めさせる
きっかけにすぎない。一度開いてしまったゲートは決して元には戻らず、
その証拠に契約精霊を失っている貴様程度では勝ち目など」
「いい加減にしなさい。」
そう言う・・・ミュアの姿があった。
「ミュア」
「ハアイ、兄さま。本当ならリリィと一緒に祝いたいところだけど
今は敵同士だからねえ。」
そう言うとミュアは偽のレン・アッシュベルに向けてこう言った。
「正直に言うけど・・・兄さまは強いわ。誰よりも強いって所
見せてあげてやるわよ。」
「それは何時になることやら。」
ミュアの言葉に対して偽のレン・アッシュベルがそう言うとミュアは
こう言った。
「あら知ってる?そう言う人間って本当は凄く・・・弱いって
定番なのよねえ。」
「・・・貴様」
それを聞いて偽のレン・アッシュベルの殺気が放出された。
『『『『『『!!!!!』』』』』
全員が驚愕するが耐えているのは・・・ミュアとリリィ、そして・・・
カミトであった。
すると大祭殿のホールからざわめきが聞こえた。
それを聞いてミュアはこう言った。
「そろそろ精霊姫達が来るわよ。さっさと準備しましょ?」
そう言って離れる前に・・・リリィが頭衣を取ってこう言った。
「久しぶりねカミト。」
「リリィ」
するとリリィはカミトの耳元に近づいてこう言った。
「貴方がいるべきところはそんな光り輝くところじゃないわ。」
「私達と同じ・・・闇の中ヨ。」
「!!!」
カミトはそれを聞いて目を見開くとリリィは離れてこう言った。
「それじゃあねカミト。楽しみにしてるわ。」
そう言ってミュアのいる方向に向かった。
『・・・カミト』
シラヌイはそれを聞いて・・・何も言えなかった。
これまで多くの人間を殺めてきた人間が娑婆で暮らせるなど・・・本当に
出来ていたのかと思ってしまったからだ。
次回はルール説明。