カミトとエリスは簡単に準備を済ませた後に出発した。
用心の為に2人は精霊を武装形態にして進んでいた。
更に言えば完全な休眠モードである事で神威を込めなければ探知されない。
2人の行く先は鳥型の導きの精霊(ガイドスピリット)が案内している。
それについて行くため道に迷わないのだが一つ問題が発生した。
同盟についてではない・・・カミトとエリスについてである。
2人は無言で目的地に向かっているのだが時々こう言う話が聞こえた。
「な・・・なあ、カミト・・・」
「うん?」
「いや・・・その・・・何でもない。」
「ん、そうか・・・」
この会話が何でも続くのだが其れには理由があった。
エリスはチーム内で唯一カミトが教導院出身である事を知っているため如何しても聞きたかったのだが話す機会がなく今まで避けていたのだが其れすらも敵わずに
話してみようと思ってもこうなってしまう為話が進まないのだ。
カミトもエリスが何か言いたげなのは分かっているがそれが何なのかが
分からないのだ。
お互いにそう思っているとエリスの足元に・・・滑ッとした何かが絡みついた。
「きゃっ!」
「エリス!?」
カミトがエリスの悲鳴を聞いて振り向くとエリスの足元に蛇がいたため
カミトは素早く蛇を掴んで持っていたナイフで頭を斬り落とすとこう聞いた。
「大丈夫か?噛まれなかったか?」
「あ・・・ああ、ちょっと驚いただけで問題はない。」
いきなりだったからなとそういうとエリスはカミトが自分のすぐ近くにいたため
驚くがあっとこう思っていた。
「(カミトは優しい人だ、こうやって皆を守ってくれた・・・聞くべきだ、そして私は知りたい、どうしてそうなったのかを。)」
カミトは人殺しを好んでいたわけではないとそう思っているとエリスは
カミトに向けてこう言った。
「カミト、この同盟が決まってまた2人になったら・・・
聞きたいことがあるんだ。」
「今じゃ駄目なのか?」
「ああ・・・2人っきりでだ。」
エリスの真剣な表情を見てカミトは分かったと言って先に進もうとするが
エリスは更にこう聞いた。
「所で聞くがその蛇はどうするのだ?」
「ああこいつか、帰って来た時の食糧になるかなと思ってるんだが
調理するか?」
「調理って・・・まあ良いが毒の確認からしないといけんぞ?」
「知っているさ、こう見えても野営食は慣れてる。」
「・・・何処で知ったんだ?」
「ああ・・・グレイワースから教わったんだ、必要になるからってさ」
「・・・そうか。」
エリスはカミトのたどたどしい言葉を聞いて恐らくとそう思いながら
目的地に向かって行った。
短い休憩を何度か挟んで着いた目的地は朽ち果てた遺跡の前であった。
嘗て大陸と《元素精霊界(アストラルゼロ)》が一つとされていた
伝説の時代・・・つまり神話の世界に造られたと思われる
祭殿の遺跡であろうことは何となく分かるが・・・全体像は
最早理解できるものではなかった。
壁の殆どが朽ちて崩れ落ちて辛うじて原型を留めているのは
半ば地中に埋もっている数本の石柱ぐらいだ。
然も遺跡から少し歩いた先にあるのは急な崖で川の流れる音がけたたましく
聞こえる。
奇襲するのであれば正に持って来いの場所であろう。
然も拠点にするのならば最適な場所である。
すると・・・エリスがカミトに向けてこう言った。
「カミト見ろ、石柱に紋章があるぞ。」
そう言ってよく見るとそれは。
「ロッソベル公国の聖印。未だ新しいがこいつは結界じゃない?」
「となれば監視用か?」
「その可能性があるな、ここは拠点になるに最適だと思うが連中は
それを逆に利用してここを襲撃拠点にしていたんじゃねえか?」
「となれば連中の拠点はまた別に?」
「そう考えると・・・上流になるな。」
カミトとエリスは互いに考えを出し合っていると・・・互いの額に冷たい水滴が落ちてきた。
「「ん??」」
そしてカミトは空を見ると・・・暗雲が立ち込めているのが分かり
まさかと思った瞬間に・・・パラパラと雨が降り始めたかと思えば一気に・・・
激しい豪雨となって襲い掛かった。
「うわ!?」
「何処かに雨宿り出来る場所を探すぞ!!」
カミトはエリスの頭に自身の制服をかけて周りを見渡すと遺跡から
少し離れた崖に洞窟があった。
然しそれは天然ではなく人為的に・・・誰かが精霊で掘ったものだと分かった。
然しなりふり構っていられないと感じたカミトはエリスに向けてこう言った。
「あそこの洞窟迄走るぞ!」
「あ・・・ああ!」
そう言って2人は洞窟目掛けて駆け込んだ。
そして遺跡から少し離れたロッソベル公国の拠点。
「それで、誰かが来たのか?」
「今の私達は動けない状況よ、神威の回復にここ迄時間を
割いてしまうなんて。」
「あの選手でしょうね、神威を吸収しようとするなんて。」
「同盟の方は?」
「今ぽんたがミラ・バセットを迎えに言ったわ、その儘向こうに行くって。」
「それじゃあ私達は準備に入るわよ。」
「「「「ォォォォ。」」
場所は戻って。
洞窟の中は真っ暗だったためカミトは荷物からランタンを取り出して
火精霊が入っている精霊石を取り出してランタン二入れると明かりが灯った。
ごつごつした岸壁が照らし出されていた。
そして中には薪の跡が残っていた。
「《破烈の騎士団》はここで過ごしていたようだな。」
「折角だから使おう。」
カミトとエリスは互いにそう言って腰を下ろした。
次回はこんな時になったら・・・あれになる。