「等々嵐になったな。」
「ああ、義姉上達は心配しているであろうな。」
カミトとエリスは互いにそう言いながら外を見ていた。
嵐となってしまい激しい風と雷の音がする中で・・・カミトは何かが聞こえた。
「今のは・・・?」
「カミト?」
エリスはどうしたんだと思っているとカミトは耳を澄ましていた。
轟音轟く中で・・・剣戟の音が聞こえたのだ。
「剣舞だ。」
「何だと・・・!?」
「《破烈の騎士団》が交戦しているのかもしれない・・・急ぐぞ!」
「ああ!」
互いにそう言って2人は未だ生乾きの制服の上着を
(エリスは下着を着ていない)羽織って駆けだした。
2人は激しい森の中で打ち鳴らされる剣戟の音頼りで向かって行くと
開けた場所に出た瞬間に・・・地面に倒れ伏した・・・アレイシア精霊学院の
生徒達がそこにいた。
「こいつらは《チーム・ワイヴァーン》!?」
「学院ランキング一位の強豪だぞ!どうしてこんな!?」
2人はその光景を見て驚きながらカミトはすぐ様に近くにいた上級生の少女に
駆け寄ってこう聞いた。
「おい大丈夫か!一体何があったんだ!!」
「う・・・お前はレイヴン教室の・・・男の精霊使い」
そういうと彼女がいきなり・・・光に包まれ始めたのだ。
どうやら魔石を奪われているのであろう、消えようとしていた。
すると上級生の少女が弱弱しくこう言った。
「森の向こうで・・・仲間が未だ戦っている・・・助けて・・・!!」
そういった瞬間に・・・彼女達は消えていった。
「カミト・・・。」
「・・・先を急ぐぞエリス。」
「・・・ああ。」
エリスはそれを聞いて少し暗くなっていたが急いで向かって行った。
「カミト、この気配。」
「ああ、間違いなさそうだな。」
エリスとカミトはそう言って木立の向こうから伝わる・・・禍々しい気配を
感じた。
そして森を抜けると目にしたのは・・・黒い剣を手に少女に向けて一撃を
与えようとする黒騎士の姿が見て取れた。
カミトはそれを見て迷わずに黒騎士目掛けて渾身の一撃を見舞った。
甲高い金属音と共に火花が弾け、それによる反動で黒騎士の剣が少女に・・・
当たることなく地面に突き刺さった。
すると黒騎士の面から見える紅い眼光がカミトを見据えた。
「(やっぱりこいつは普通じゃねえ!)」
カミトは着地してそう思いながら周りを見ていた。
危うく当たりかけた生徒と・・・反対側・・・黒騎士の真後ろで
倒れている少女が見えてまさかとカミトはこう思っていた。
「(こいつ一人でエース級の精霊使い5人全員を倒したって事かよ!?)」
そう、恐怖だ。
こいつは単体では・・・それどころかメンバー全員でやっても勝てるかどうかの手合いだ、ここは先輩たちを引き連れて撤退が良いかとそう思っていると・・・
エリスが現れてこう言った。
「カミト!大丈夫か!?」
「く・・・男の精霊使いに・・・ヴェルサリアの・・・妹か。」
「学院代表の好で助けてやるよ。其れと勝手にやるからな。」
カミトは女生徒に向けてそう言いながら周囲の地形を把握していた。
右を向けば森が、左を向けば大きな崖。
下を向けば間違いなく助からない事間違いなしとそう感じていた。
「(崖っぷちでの打ち合いになると力があんまねえ俺だと無理だ!・・・
ならここは!!)」
カミトは少し考えて・・・駆けだすと同時にエリスがレイ・ホークで
風の刃を作り出して飛ばすが黒騎士はそれを黒い剣で弾くが・・・
狙いはそれだけではなかった。
「グォォォォォオオ!?」
「良し!かかったな!!」
エリスはそう言って・・・泥と水まみれになった黒騎士を見た。
先ほどの攻撃は相手の視界を阻害させることも兼ねた攻撃であった為突然の事で黒騎士は慌てている様であったがカミトは其の儘最大の神威を込めた
デモンズ・スレイヤーを振り下ろそうとした。
「(貰った!)」
カミトは手ごたえありだと確信するも・・・そうはいかなかった。
黒騎士は汚泥に四肢を沈めさせるほど低くして次の瞬間に・・・
一瞬でカミトの目の前まで跳躍したのだ。
「!!」
嘘だろうとそう思っていた。
何せあの鎧であそこ迄の跳躍を人間の・・・然も女の子が出来るのかと
そう思ったのだ。
然しカミトはこうなったらとそう思い其の儘・・・振り下ろした。
迸る閃光と衝撃によって黒い剣が・・・粉々に砕け散ったのだ。
「(いける!今の俺なら負ける相手じゃない!!)」
カミトは勝利を確信して其の儘突き進もうとしたその時に・・・
それは起こった。
黒騎士の鎧の隙間から・・・無数の黒い糸が飛び出してきてカミト目掛けて
襲い掛かった。
「何!?」
「カミト!!」
エリスがカミトを心配するが寸でのところでカミトは身を低くして
それから回避するとその糸は其の儘・・・カミトの後ろにいた女生徒に
絡みついた。
「アがあ!?」
女生徒が短い悲鳴を上げて暫くすると・・・痙攣して意識を失ったと思いきや
その糸が黒騎士の方に戻ったと思えば黒い霧を隙間から勢いよく噴出した。
「なあ!」
カミトは皮膚の泡立つような圧迫感を感じてまさかとこう言った。
「こいつ・・・神威を吸収しているのか!?」
そういうと・・・上空から声が聞こえた。
「あら?兎を追いかけていたら狼に出会ってしまったみたいね。」
「!!」
カミトはその聞き覚えのある声を聴いて上を向くと・・・・。
「レスティア・・・。」
「こんな所で逢えるなんて思わなかったわ、カミト。」
レスティアがそこにいたのだ。
次回は・・・助けが来る!